まさかの時のボードゲーム: Arcadia Quest (1)

Arcadia Quest は、ボードの上で剣士や魔法使い、ゴブリンやオークといったフィギュアを動かして、敵を倒したりクエストをクリアしたりする、ファンタジー世界を舞台にした対戦型のボードゲームである。舶来ゲームにしては、フィギュアやカードイラストがおどろおどろしくなく、日本的な「かわいさ」がある。一方で、プレイヤー間で直接殴りあう要素があるため、見た目のかわいさほどには平和的なゲームではない。ディセントやアンドールみたいな、協力プレイ的な要素はほぼ全くないので、そういう方向性を期待すると裏切られると思う。かわいい系のフィギュアで、そっち方向を期待するなら、Super Dungeon Explorer のほうがいいかも。

ゲームの概要

このゲームでは、プレイヤーはボード上でそれぞれ 3 人のヒーローを動かし、シナリオごとに用意されたクエストを、他のプレイヤーよりも早くクリアすることを目指す。クエストは、モンスターを特定の数だけ倒すとか、ボード上にあるアイテムを集めるとか、他のプレイヤーの操るヒーローを倒す、といった内容になっている。キャンペーンの中に 11 のシナリオが用意されており、最後のクエストで Lord Fang という Arcadia のボスであるヴァンパイアを倒したプレイヤーが、最終的な勝利者になる。

1

操作するヒーローのフィギュアはこんな感じ。12人のヒーローから 3 人を選ぶ。ざっくり分類すれば、近接攻撃が得意な「剣士」的なヒーローと、遠くから攻撃することが得意な「弓使い」的なヒーロー、特殊な効果をもつ魔法攻撃が得意な「魔術師」的なヒーローの三種類がいる。ただし、剣士的なヒーローは魔法は使えない、ということはない。魔法は誰でも使えるんだけど、剣士的なヒーローより魔法使い的なヒーローのほうがより効果的に魔法が使える、といった感じのデザインになっている。

5

ヒーローの能力は、それぞれのカードに書かれている。プレイヤーは、自分が操作するヒーローのカードを「ギルドボード」を使って管理する。ヒーローの攻撃方法は、ヒーローとは別のカードになっている。どのヒーローがどの攻撃カードを使うかは、予め選んでヒーローに割当てておく。このとき、魔法使いには魔法の攻撃カードを割当てておいたほうが、剣で攻撃するカードを割当てておくよりも、攻撃するときに有利になるという感じになっている。

2

ボードのマス目は一辺が 5cm くらいあり、この手の他のゲームにくらべると、ずいぶんとマス目が大きい。マップのタイルは 3×3 のマスが書かれており、どのシナリオでもタイルを縦横 3 枚分くらいのスペースの中に配置する。つまり、マップのサイズは最大でも 9×9 マスということになる。ただし、ヒーローの移動力は 3 しかなく、モンスターの多くはひとマス しか移動できないので、このサイズのマップでも結構広く感じる。マスには、最大で2体までのキャラクタ(ヒーローかモンスター)が入ることができる。

ちなみに上の写真では、机の上に乗りきれなかったのでタイルを 2×2 のサイズに置いている。2人プレイだったら、マップのサイズはこれくらいで十分という気もする。

3

ボード上のマスには、モンスターの他にもアイテムが落ちていたり、ポータル(相互にワープできるポイント)が設置されていたりする。? が書かれたトークンがアイテムで、青い渦巻が書かれたトークンがポータルを意味している。他にも、マスとマスの間に置かれるドアがあり、閉まっていると視線が遮られて攻撃が通らなくなる。ドアをうまく使うと、モンスターや他のヒーローからの攻撃をうまく回避できたりする。なお、どこにアイテムやモンスターを配置するかは、シナリオで予め指定されている。

ゲームはターン制で、自分のターンに「ヒーローを1体動かす and/or 攻撃する」か「休息する」のいずれかを実行する。ヒーローは 3 体を順番に動かす必要はなくて、同じヒーローを連続して動かしてもいい。一方でモンスターのターンみたいなのはなくて、モンスターはヒーローの行動に反応する形でのみ行動をする。つまり、ヒーロー側が何もアクションをしない限り、モンスターが移動したり攻撃してくることはない。

4

戦闘は専用のダイスを使って行なう。ヒーローやモンスターによって、使うダイスの数が指定されており、攻撃側は黒のダイス、防御側は白のダイスを振る。近接攻撃なら、剣のマークが出た数だけ「ダメージ+1」となり、遠隔攻撃なら弓のマークで「ダメージ+1」になる。ギザギザのマークは「クリティカルヒット」を意味し、「ダメージ+1」となる上に、追加でさらにダイスをひとつ振ることができる。

防御側は「盾」のマークで「ダメージ-1」となる。クリティカルの場合は「ダメージ-1」となった上に、さらに追加でダイスを振ることができる。こうして攻防側がダイスを振ったら、最終的にダメージのプラスマイナスを計算して、プラスになっただけ防御側がダメージを受ける。HP 以上のダメージを受けたら、そのモンスターまたはヒーローはボードから取り除かれる。

倒れたヒーローは「休息」すると復帰させることができる。モンスターは倒されると墓地に置かれ、次のプレイヤーのターンの開始時に「復活」するか判定する。ボードに復活ポイントが最初から指定されていて、ダイスを振って出た目に応じて、どこに復活するかを決めるようになっている。つまり、モンスターは倒しても倒しても次々と復活してくることになる。ヒーローも何度でも復活はできるけど、死んだ回数に応じて次のシナリオで「ペナルティ」を受けてしまう。なので、死にまくっても大丈夫、というわけでもない。

6

これはクエストカード。プレイヤーの誰かがクエストをクリアして勝利条件を満たすと、ただちにシナリオは終了になる。そうして、次のシナリオの開始の前に、前のシナリオの間に集めたコインを使って、ヒーローの能力を強化することができる。こうして、ヒーローを強化しながらキャンペーンを進めていくところに、ひとつの楽しみがある。もちろん、モンスター側もシナリオが進むにつれて強化されていく。

ゲームの内容はだいたいこんな感じ。戦闘やモンスターの行動に関してはいくらか細かいルールがあるけど、分かってしまえば難しくはない。カードも英語で書かれているけど、さほど複雑なテキストは書かれていないので、この手のゲームをしたことがあれば、英語のままでも十分プレイできる感じ。

7

なお、シナリオには「他のプレイヤーのヒーローを倒す」というクエストがほぼ必ず含まれているのと、モンスターの操作を「右隣のプレイヤー」が担当することから、モンスターとプレイヤーが入り交じったバトルロイヤル的なプレイ感になる。モンスターを操作するプレイヤーが、自分に都合のよいようにモンスターを動かして MPK するのは、他のゲームにあんまり無い感じがしてちょっと面白い。

こういうデザインだと、ともすれば壮絶な殺し合いにもなりそうだけど、実際には単体のシナリオで勝利しても受けとるコインが多少増えるくらいなので、それほど深刻にはならない。むしろ深く考えて安全に行動するより、とにかく近くにいる敵(モンスター、ヒーロー問わず)を袋叩きにしてコインを稼ぐような展開にはなりやすい。人によって好みの差が出るだろうけど MML 的には悪くない。

ちなみに、対戦要素なしでもプレイすること自体は可能ではある。ただし、そうすると結果的にモンスターの操作を手加減することになって緊張感が減るので、このゲームの面白さがやや損なわれるかも。


ゲームには直接関係ないけど、発売元の Cool Mini or Not はフィギュア(ミニチュア)メーカーなので、フィギュアの品質はなかなか高い(と思う)。ただ、この手のポップなゲームは他にはなくて、主に作ってる製品は、Blood Rage みたいなガチ系のものだったりする。突如こっち系に走ったのは、これ系が好きな人でも入ったのかな? MML 的には歓迎したいところ。


次の記事では、ヒーローの移動について説明する。

まさかの時のボードゲーム: Arcadia Quest (1)」への1件のフィードバック

  1. 友達が持っていたので凄くはまりましたね。それで今回は続編のインフェルノKSで買いました。CMONのボドゲは良い物がありますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.