まさかの時のボードゲーム: Mage Knight Board Game

ヒーローのフィギュアを六角形で区切られたマップの上で移動させ、デッキのカードを使って敵を倒したり、アイテムを獲得したりしながら勝利点を稼いでいくゲームです。そして、最終的に勝利点(名声)が最も高いプレーヤーが勝利となります。ただし、プレイするシナリオによってはプレーヤーが協力して目標を達成したり、プレーヤー同士の直接対戦をして決着をつける、といったこともできます。

基本的に、手持ちのデッキをプレイ中に強化していって得点を稼ぐタイプのゲームであり、この点でドミニオンやサンダーストーンによく似ています。しかし、マップという概念が加わったことでプレイ感が大きく異なったものになっています。例えば、サンダーストーンではダンジョンや村にはいつでも行けますが、Mage Knight ではマップ上で実際にダンジョンのあるマスに行かなければモンスターとは戦えません。同様に、村のマスに行かなければ、一緒に戦ってくれる協力者(ユニット)を雇えません。しかも、移動するためにもカードを消費する必要があり、大きな移動コストが必要な地形もあったりして、それほど自由に移動できるわけではありません。そのため、手札やデッキのマネジメントに加えて「どのように移動させるか」を考えることも重要になってきます。

mage knight 2

地形の他にも、マナというカードの能力を使用するために必要となるリソースの確保、昼夜の差による移動力や使えるマナの違い、タクティクスカードの選択、交渉などに影響する評判値のマネジメント、レベルアップや勝敗に影響する勝利点fame)の確保といった、数多くの考慮すべき要素がこれでもかというくらい盛り込まれています。これらの追加要素によって、従来の同種のゲームに比べて戦略の幅が広がると同時に、ゲームの自由度を非常に高いものにしています。

このように、とても深みのある設計のゲームではあるのですが、同時にルールを覚えることが非常に大変なゲームでもあります。むしろ、ルールの解読をしている途中で挫折してしまいかねません(実際、2回ほど挫折しかけました)。特に、日本語版が発売されていないため、日本でプレイする敷居はかなり高いと感じます。また、この手のボードゲームにしては珍しく、コンポーネントが箱にぎゅうぎゅうに詰められており、箱から出したカードやコマを傷付けないように戻すのに結構苦労するという、別の意味での収納難易度の高いゲームにもなっています・・・。とまあ、ハードルはいろいろと高いのですが、それらを乗り越えてでも遊ぶ価値があるゲームだと思います。

ちなみに、2001 年頃から発売されていたミニチュアゲームの Mage Knight とは別の物で、ルールなどに共通点はありません。ただし、世界観などには一部共通する点があります。


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  • プレイ人数: 1-4 人
  • プレイ時間: 準備 10-20分、プレイ: 1-3時間
  • ルール難易度: ルールの骨格自体はそう難しくはないものの、細かい処理の部分が非常に多くて、正しくルールを適用できるまでにかなりの時間がかかると思います。必然的に覚えることが多くなり、その点ではテラミスティカ以上に大変です。そもそもルールブックが古文書のように難解で、読み解くには相当な気合が必要です。
  • 言語依存度: カードテキストはまだしも、ルールブックを英語の原文で読むには、相当なスキルが必要だと思います。

関連リンク

いつも思うけど、偉い人たちが多くてすごいよね。


良い点

  • ものすごいボリュームで、相当な回数やっても飽きない。
  • サイコロなどのランダム要素が少なく、じっくり頭を使ったプレイができる。
  • 重厚なゲームの割には、プレイ自体はサクサク進む。
  • 採用するルールやカードを選ぶことで、難易度を容易に変化させられる。
  • フィギュアやマップなどのコンポーネントの出来がいい。