まさかの時のボードゲーム Gloomhaven [1] ゲームの概要

Gloomhaven は、ファンタジー世界を舞台とした協力型のボードゲームである。プレイヤーはそれぞれ1人のキャラクタの操作を担当し、モンスター側はルールに従って自動的に移動したり攻撃を加えたりしてくる。プレイヤーは、キャラクタに剣を振るわせたり、魔法を使わせたりしてモンスターを攻撃し、罠を回避し、宝を回収する。キャラクタはゲーム中でアビリティを使ったり、シナリオをクリアすることで経験値を得て、レベルアップしたりさまざまな報酬を獲得することができる。そして、強くなったキャラクターで、アンロックされた新なシナリオに挑んでいく。

ゲームはターン/ラウンド制で、六角形のマスが描かれたマップタイルの上に配置されたキャラクタやモンスターのフィギュアを、それぞれの手番(ターン)に動かすことで進行していく。

各プレイヤーは、それぞれ一人のキャラクタ(クラス)を担当する。キャラクターは、六角形のマスの描かれたマップの上に「フィギュア」として配置され、プレイヤーの指示に従ってマップ上を移動したり、敵を攻撃したりできる。実際にプレイしているときの盤面の様子はこんな感じ。モンスターは厚紙のコマを台座に差しこんだものだが、プレイヤーの操作するキャラクターはそれぞれ専用のフィギュアが用意されている。

プレイヤーは、キャラクタに指示を与えるときは、クラスごとに用意された「アビリティカード」を使う必要がある。ラウンド毎に、手札から2枚のカードをプレイすることで、それらのカードに書かれた内容をキャラクタに実行させることができる。ちなみにデッキ(山札)みたいなものはなくて、使えるすべてのカードを最初から手札として持っていてる。なので、最初の時点では手札は 10 枚とか沢山もっていることになる。

アビリティカードは、こんな感じで上段と下段に別のテキスト(アクション)が書かれている。プレイヤーは、2枚プレイするカードのうち、一枚は上段側のテキストを実行し、もう一枚は下段側のテキストを実行しなければならない。上段側は攻撃系のアクションが多く、下段側は回復や移動のアクションが多い傾向がある。どのカードをプレイするか自体も悩むが、基本的には上段側のアクションのほうが強いこともあり、出したカードのどちらの上段側のテキストを実行するかも悩むことになる。

キャラクタには「クラス」があり、複数のプレイヤーが同時に同じ「クラス」をプレイすることはできない。クラスはそれぞれに特徴があり、近接戦闘に特化したクラスもあれば、敵の行動を阻害することが得意なクラスや、治癒などの支援活動が得意なクラスもある。担当するクラスによって、全く別のゲームをプレイしているかのように感じるほど、それぞれのクラスの得意分野が異なっている。

たとえば、これは Brute という接近戦を得意とするクラスのキャラクタマット(左上)とアビリティカードで、近接攻撃で大きなダメージを与えるカードが多く揃っている。複数の敵に同時に攻撃できるカードや、相手の攻撃に対して反撃できるカード、敵の攻撃を防御するカードなどもある。逆に、長距離を移動できるカードは少なく、また遠隔攻撃に関してはあまり得意ではない。

こちらは Spellweaver という遠隔攻撃(魔法攻撃)を得意とするクラスで、離れた場所から攻撃するカードが揃っている。また、エレメンタルと呼ばれる精霊の力(カード内に描かれている火とか水とかのマーク)を使うカードが多数あり、エレメンタルを消費することでさまざまな追加の効果を得ることができる。一方で、Brute に比べてデッキの枚数が少なかったり(Brute は 10 枚、Spellweaver は 8 枚)、HP が少ない(Brute は 10、Spellweaver は 6)といったように、アビリティカード以外にもクラスごとの相違点がある。

プレイヤーの前のプレイエリアはこんな感じになる。自分の担当するキャラクタマット、アビリティカードの他に、HP/経験値トラッカー、攻撃修整デッキ(左下の剣のマークにあるカード)、キャラクタトークン(左上にある丸い駒)を受けとる。トラッカーは、赤い左側の部分でキャラクタの HP を管理し、右の青い部分でシナリオ内で取得した経験値を管理する。キャラクタトークンは、ゲームの中でカウンターとして使ったり、何かを示すマーカーとして使ったりする。

左側中段にある、石畳みたいなカードは「バトルゴールカード」というカードで、シナリオの開始時に2枚引いて1枚を選んで自分のプレイエリアに裏向きに置いておく。バトルゴールカードの表面(上の写真)には「条件」と「報酬」が書かれており、シナリオクリア時にプレイヤーが条件を満たしていたら(シナリオクリアの報酬とは別の)報酬がもらえる。書かれている条件は、それほど厳しい内容ではないのだが、条件を満たそうとすると必ずしもパーティとしてベストの行動ができないことがある。しかも、このカードは他のプレイヤーには秘密にしたまま達成する必要がある。そのため、バトルゴールカードはプレイヤーの行動に若干のゆらぎみたいなものを与える要素になっている。

HP/経験値トラッカーは、キャラクタの HP と経験値を管理する。HP が 0 以下になったり、ラウンドの開始時に手札が2枚プレイできず、なおかつ「休息」(後述) もできない状態になると、キャラクターは「消耗」した状態となって、ゲームから退場させられてしまう。全員がゲームから退場したら、その時点でシナリオのクリアは「失敗」となる。シナリオで獲得した経験値については、シナリオをクリア(または失敗)した後に、レベルアップするために使用される。レベルアップすることで、初期の HP の最大値が増加したり、新たなアビリティカードを使えるようになったりする。

このゲームの経験値のシステムは少し変わっていて、モンスターを「倒す」だけでは経験値が得られない。アビリティカードを使ってアクションを実行するときに「特定の条件を満たすことで」経験値が得られる。つまり、何も考えずに敵を倒しまくっても、経験値を得ることはできないようになっている。このため、敵を倒すことを優先するのか、経験値を獲得することを優先するかについての判断に頭を悩ますことになる。なお、シナリオをクリアすることでも、報酬として経験値は貰える。

この他に、プレイヤーの場には「攻撃修整デッキ」と呼ばれるカードの束がある。これは、サイコロを使わないこのゲームにおいて、戦闘時に若干の(場合によっては相当な)ランダム要素を加えることで、ゲーム緊張感を高めるものとなっている。これについては、ゲームの進行の説明のところでまとめて説明する。

モンスターについては、モンスターの種類ごとにモンスターのデータシートと、モンスターの行動を決めるアビリティデッキを用意する。どの種類のモンスターをどこに配置するかは、シナリオブックに書かれている。モンスターには「レベル」と「ノーマル」「エリート」の区別があり、それらについてもシナリオブックで指定がある。

たとえば、最初のシナリオでは Bandit Archer、Bandit Gurd、Living Bones の三種類のモンスターを配置するように指示がある。スリーブを使って、シナリオブックで指定されたレベルの表記だけが見えるように、モンスターのデータシートをセッティングする。スリーブに書かた番号は、マップ上に配置したモンスターの駒に書かれた番号に対応している。モンスターがダメージを受けたときは、対応する番号の欄にダメージトークンを置く。ダメージがモンスターの HP を上回れば、モンスターは倒されてボード上から取り除かれることになる。

モンスターは、データシートとは別にモンスタータイプごとに用意されたアビリティデッキ(モンスターアビリティカード)がある。アビリティデッキは、プレイヤーが使うアビリティカードと同じように、モンスターが行なうアクションが書かれている。ラウンドごとにアビリティカードをデッキから引くことで、そのラウンドにそのタイプのモンスターがどのように行動するかが決まる。

さらに、モンスター用の攻撃修整デッキもある。これについては後述する。

(つづく)
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