まさかの時のボードゲーム: Pathfinder Adventure Card Game Core Set ルールの変更点など

ルールの変更点で、影響が大きいと思われるものをまとめています。旧版カードを新版ルールで使用する場合の注意点についてと、新版カードのみでプレイに支障がなさそうな細かなものは書いてません (Core Set のルールブックか公式 FAQ を参照のこと)。

Location Deck の Villain と Henchman の扱いが変更された

旧版では、シナリオで指示がない限りは Villain 1枚と、ロケーション数 – 1 の枚数の Henchman を用意して、それらをロケーションデッキにランダムに1枚ずつ入れていた。

新版では、Villain と Henchman は Story Bane というカードに統合された。そして、シナリオで Proxy を入れるように指示されている Story Bane は、Proxy と書かれたカードを Story Bane カードの代わりとしてデッキに混ぜる。実際に Proxy カードをめくったときは、あたかもその Proxy に対応する Story Bane カードを引いたかのようにしてルールの処理をする。

旧版では Location が 6 つほどあったときに、一箇所だけ Villain を入れて残りの 5 箇所に同じ種類の Henchman )を入れるとき、Henchman カードが5枚ないとデッキが組めないという問題があった。この、複数の Location に同じカードを入れるときに、同じカードが沢山必要になる問題を解決するのが Proxy カードになる。

わかりにくいので、実例を挙げる。Quick Start で最初にプレイすることが推奨されている、Scenario 1★: Ramble Road のセッティング(初期プレイ版)を例として説明してみる。

このシナリオは、初期プレイの場合のみプレイ人数によらず Location は 3 つとし、難易度は S を適用することと書かれている。使用する Location は Campsite, Caravan, Trail の三つで、それぞれ Quick Start に指定されているカードタイプでデッキを組む。

実際にデッキを組むと、上のような感じになる。この状態になったら、Story Bane を組込む。

シナリオブックを見ると、Henchmen として Dire Wolves のカードを Proxy A とするように指定されている。Danger カードはデッキには混ぜず、Villain の Bandit は Proxy に指定されていないので、デッキにそのまま混ぜる。Location には最低 1 枚の Story Bane を加える必要があるため、今回のように Location が 3 つで Villain が 1 種類、Henchmen が 1 種類ならば、Henchmen に相当する Proxy A は 2 枚用意することになる。同様にして、このシナリオで Location が 4 つなら Proxy A は 3枚、Location が 5 つなら Proxy A は 4 枚必要になる。

こうして用意した 3 枚の Story Bane は、それぞれ1枚ずつ Location デッキに加える。上の写真では分かりやすいように表向きにして置いているけど、実際にデッキを組むときは Story Bane カード3枚をシャッフルして、どのカードがどの Location に入るか分からないように、裏向きのまま Location デッキに加える。その後、Location デッキをそれぞれシャッフルする。これで Location デッキの準備は完了となる。

残った Danger カードと、Proxy A に対応する Story Bane カードの Dire Wolves は、場に表向きで置いておく。そして、Proxy A カードがめくれたときには、そのカードはあたかも Dire Wolves であるかのように扱う。Proxy A カードが捨てられるときも、Dire Wolves ではなく Proxy A カードを捨てる。

Danger カードが追加された

新版で追加された Danger カードについて、ルールブックには「誰でも見える場所に置いておく」「召喚(summon)されたときに参照する」程度のことしか書いてなくて、ゲーム中いつ使われるのかが分かりにくい。

実際のゲームプレイでは、Bane カードに Danger カードを召喚するように書かれているものがあったり、Location カードに同様の記述があるものがあり、それらのカードに書かれた条件を満たしたときに召喚される(遭遇する)。

例えば Scenario 1★: Ramble Road では、シナリオに含まれる Location カードの Caravan というカードの TO CLOSE OR TO GUAD の項目の中に Danger に関する記述がある。この Location を閉じようとするか、守ろう(Guard)とするとき、Wisdom か Perception のチェックで 5+# 以上の値を出すか、Danger カードを召喚して打ち倒す (Defeat) ことで、閉じる(または守る)ことに成功することができる。条件は選択できるので、Danger を召喚しないこともでき、その場合はゲーム中で Danger カードを使わないまま、ゲームが終了する可能性もある。

このように、Danger カードは Villain のように、ゲームのプレイ中に必ず遭遇するとは限らない。何らかのカードの効果や、シナリオの指示によって遭遇することになった時にだけ参照する。

Location カードにサイズ表記が追加された

旧版の Location カードには、デッキに含むべきカードのタイプと枚数が一種類のみ書かれていたが、新版では S, M, L (Small, Medium, Large) のそれぞれのサイズによって入れるべきカードが表示されるようになった。

通常のプレイでは M (Medium) のサイズ表記に従うが、ゲームを簡単にしたいときは S (Small) にしたり、難しくしたければ L (Large) を選んでもいい。サイズの選択はプレイヤーの裁量で決めてよく、シナリオの中で L を使えと指定されることはないようだ (例外的に Quick Start で使用するデッキのみ S を使うように指定されている)。

難易度の調整方法が公式で提示されるようになった

Location の S. M. L とは別に、ゲームの難易度 (Normal, Heroic, Legendary) という概念も追加された。通常のプレイでは Normal を選べばよいが、より歯応えのあるゲームを楽しみたいプレイヤーは、Heroic や Legendary の難易度のセッティングで遊ぶこともできる。

一部のカードに +# という表記が追加された。これは # のところに好きな数字を入れて運用することで、ゲームの難易度を調整することができるというもの。+#+# みたいに # を二つ加えるようなカードもあるので、#=1 として運用するだけでも結構難易度が上がったりする。

ゲーム中に発生する特殊な効果を追加できる、Wildcard というカードが標準で用意されるようになった。このカードには、ゲーム中に起こる「ちょっとしたハプニング」みたいなものが記されていて、どの効果を適用するかをプレイヤーが自由に選ぶことができる。効果はゲームが難しくなるようなものばかりなので、たくさん選んでいくとかなり難しくなる。Heroic, Legendary の難易度で遊ぶときに、使うように指示される。

ちなみに、旧版でもプレイヤー側で勝手に難易度を自由に替えて遊ぶことはできていた。これが新版では、公式が難易度の調整方法をいろいろと提案してくれるようになったということにすぎない。なので、たとえばHeroic でプレイしないとクリア扱いにならないというような、高難易度プレイの強制があるわけではない。

Recharge のセクションは During Recovery という名前に変更された

旧版の Spell のカードなどで、使用したあとに Arcane や Divine などのスキルを持っていれば、カードを Recharge できるという能力が整理され、Recovery という処理をするようにに変更された。

Spell カードはデフォルトで Banish するようになり、スキルを持つ場合だけ Discard するか Recharge するように変更された。変更があったカードには During Recovery というセションがある。カードを Banish する場合、通常はプレイ後にゲームから追放する(追放して Vault という領域に加える。しかし、カードの power の欄に During Recovery という表記のあるカードについては、カードがプレイした直後には Recovery Pile という領域に入ることになった。この領域に置かれたカードは、ターン終了時に During Recovery の欄に書かれていることを実行することができる。

基本的に旧版にあった Recharge の処理とほとんど同じなので、カードの使い勝手は変わらない。カードがデフォルトでは Banish するように変更されたことと、カードをプレイしてからターン終了時までにカードがどの領域にあるのかが曖昧になっていたので、それを明確化したということだと思う。

Hero Point が追加された

シナリオクリア時に Hero Point というポイントを貰えるようになった。そのかわり Feats はデフォルトではもらえなくなり、Hero Point を消費して Feats を得るように変更された。

Hero Point は溜めておくことでゲーム中にも使うことができ、死んでしまったときに復活するために使ったり、ダイスのロールをやり直すためにも使える。

Scourge カードはマーカーを置いて運用するようになった

Scourge カードは、負の効果をマーカーを使って表すようになった。機能的には大きな変更はないが、ルールブックに細かな運用方法が記載されるようになった。

ゲームに開始時に scourge カードを見えるところに並べておき、◯のところに対応するマーカーを積んでおく。ゲーム中に、キャラクターが scourge を受けた (suffer scourge) 時に、対応するカードのマーカーをキャラクターに置いて、scourge を受けていることを示す。scourge から回復したときは、マーカーを戻す。

ひとつの scourge に対応するマーカーはひとつというわけではなくて、同じ scourge を複数のキャラクタが受けることもある(マーカーは、各種ごとに複数用意されている)。

その他

  • Adventure Path カードや Scenario カードがなくなり、かわりに Story Book という小冊子がつくようになった。これは、前からカードだと情報量少ないし、字が小さくて読み難いとかあったので、良い変更だと思う。
  • 用語の追加と変更があった。ルール自体の変更を伴うものも多少あるが、大部分はこれまで長い文章で書かれていたものが短縮されたという感じ。ルールの変更や追加があるものは別の項目に書いた。
    • vault: 旧版での box のこと。追放したカードを置いたり、新規に入手できるカードを探したりする領域を指す。カードテキスト中に new card という表現があるときは、vault にあるカードという意味。
    • hourglass: 旧版の blessing deck のこと。blessing deck の捨て札のトップのカードのことを hour と呼ぶようになり、hour な時だけ blessing カードが追加の効果を持つようになった (上のほうの記事参照のこと)。
    • closing henchmen: 倒したときに location の close を試せることができる henchmen のこと。倒しても close を試せない henchmen (non-closing henchmen)がいるので、明確に区別されるようになった。
    • guard: 旧版でいうところの temporarily close のこと。guard されている location は、guard されている間に限って “closed location” と同じ扱いを受ける (つまり open location ではない)。旧版のカードで closed location を参照するカードを使う場合は、そのようにする。
    • suffer / heal: A suffer X damage で、A が X ダメージを受けるという意味。この場合、通常は X 枚のカードを選んで捨てる (手札の枚数を越えるときは手札を全て捨てる)。基本、ダメージを受けるのはキャラクタだけなので、A は you とか local character とかになる。A heal X は、A の捨て札から X 枚をランダムに選んでデッキに戻してシャッフルする。ダメージ処理や heal の処理自体に変更はない。
    • a local character / a distant character: 自分と同じ location にいるキャラクターのことを local character と呼ぶようになった。別の location にいるキャラクタは distant character と呼ぶ。
    • #: カードの数字に # という表記が追加された。# はシナリオのレベルに依存する数字で、レベルが上がることによる難易度の上昇を表現している。
    • pawn: 旧版で言うところのキャラクタトークンのこと。新版はトークンカードが入っておらず、キャラクタのいる location を表示するポーン(キャラクタのイラストが描かれた紙を台座にたてたもの)が同梱されるようになった。カード中にこの用語が出てくることはないはず。
    • reload: 手札のカードをデッキの一番上に置くこと。
    • bury pile: bury したカードが置かれる場所のこと。この用語なかったんだっけ?
    • bless: チェックに使う基本ダイスを1つ追加するという意味。On Y check, discard to bless みたいな形で使われる。Y (STRとかcombatとか)のチェックのために、このカードを捨て札にしてチェックに使う基本ダイスを1つ追加してもよい、という意味。On any check, discard to bless なら、いかなるチェックに対しても使える。
    • freely: 1回のチェックで使える同種のカードは1枚だけ、という制限を受けずにプレイできるという意味。On any check, freely discard to bless みたいな感じで使われる。(上のほうの blessing カードの項目を参照のこと)
    • If defeated by less than X: 戦闘チェックで、チェックの数値 + X 未満で敵を倒した場合、という意味。たとえばチェックの数値が 10 のモンスターで X=4 なら、14 未満でチェックに成功した場合という意味。旧版の Mummy’s Mask から出現していた表現でやや分かりにくい書き方だったが、Core Set でも採用されて Monster に多用されるようになった(気がする)。
    • invoke X trait: 「チェックに使用しているカードが X の trait を持っているか、もしくはチェックの対象のカードが X の trait を持っている」という意味。たとえば Lini の On a local check that invokes the Animal trait, add 1d4.という Power は「Lini のいる location で何らかのチェックを行なうとき(Lini 以外の同じ location にいる他のキャラクタのチェックでもよい)、そのチェック中に使用したカードが Animal trait を持つか、チェックを行なう対象のカードが Animal trait を持つときは +1d4 する、という意味。これは旧版のカードにもあった表現なので、新版での用語の変更というではないけど、分かりにくい表現のひとつだと思う。
  • 特性 (trait) の種類が追加された。特性については、キャラクタのカードに書いてあるので、都度読めば分かるはず(多分)。
  • 敵やトラップ (bane) を倒せなかったときに、他の local character による再挑戦(avenge) ができるようになった。敵を倒せなかった (undefeated) ときの処理をしたあと、その bane に別のキャラクタが再度「遭遇」することができる。avenge できるのは 1 キャラにつき 1 回だけ。これは結構大きな変更。
  • vulnerable / resistant: カードがキャラクタの特性に対して vulnerable (脆弱性) を持つときは、キャラクタのロールに +4 ボーナスが付き、逆に resistant (抵抗) を持つときは -4 のペナルティが付くようになった。immune については従来と同じ (その属性からはダメージや影響を受けない)。
  • カードを Display したときも「プレイした」扱いになるようになった。つまり、カードをプレイしたときに誘発する能力が誘発するようになる。
  • boon に遭遇したら、必ず獲得を試みなければならなくなった (獲得を試みないという選択肢がなくなった)。 そして、成功したら必ず手に入れなければならない。デッキの内容を保持したいから、boon に遭遇したけど獲得しないでおこう、みたいなことができなくなったということ。
  • Story book で villain についての記述がないシナリオの場合、全部の location を closed にしたらクリアとなる。

Ship カードや Trader, Bazaar, Defensive Stance などの旧版にあったカードの一部は Core Set や新版用の拡張には無いのでルールの記載がない。新版のエキスパンションに追加されたらルールも記述されるかも(多分)。Cohort は Core Set のルールブックには記載があるけど、Core Set には該当するカードがない。

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