MTG カード与太話: 戦乱のゼンディカーより「マラキールの解放者、ドラーナ」「水の帳の分離」


マラキールの解放者、ドラーナ/Drana, Liberator of Malakir

いろいろな意味で《呪われたミリー/Mirri the Cursed》を思い出したカード。飛行、先制攻撃つきで、サイズもコストも同じくらい、戦闘ダメージを与えると +1/+1 カウンターを載せるといったあたり、ミリー先生によくにている・・・んだけど、細かいところで結構違っている。単体のカードとしてはミリー先生のほうが使いやすいけど、デッキを底上げするカードとしてはドラーナ先生のほうに軍配が上がるという感じかな。ただ、伝説なので複数並べられないのは残念なところ。

ちなみに、能力とサイズだけ見たら《流城の隊長/Stromkirk Captain》のほうがより近い。こちらは飛行をもっていないかわりに、ダメージを与えなくても全体強化ができる。しかし、カウンターを載せるのではなく +1/+1 の修整を与えるという点と、強化できるのは吸血鬼だけというところで、また使い勝手が違っている。

というか、本当は過去のドラーナ先生からの変遷を書こうと思ってたんだけど、ドラーナ先生がライザップに行った説が面白かったので、ここではパス・・・


水の帳の分離/Part the Waterveil

(2)(青)というコストで 6/6 速攻のクリーチャーを出せると思えば、かなりコストパフォーマンスは良い。他の +1/+1 カウンターを 6 個置けるカードと比べても、このコストは相当に安い。たとえば、エンチャント先のクリーチャーに +1/+1 カウンタを 6 個載せる《ウィーティゴの姿/Shape of the Wiitigo》のコストは(3)(緑)(緑)(緑)となっている。X個のカウンターを載せるカードを見ても、一番安そうな《膨らむ勇気/Swell of Courage》でもコストは(X)(白)(白)なので、6つ載せるには 8 マナもかかる。今のところ、他の「覚醒」カードと比べても(カウンターを載せることに対する)コストパフォーマンスは良い。

とまあ、カウンター部分についてはとても良いんだけど、追加ターンをプレイできるカードとしては、それほどコストパフォーマンスは良くないのよね。使うと追放されてしまうし。やはり覚醒のほうをメインにして《樹上の村/Treetop Village 》とか《天界の列柱/Celestial Colonnade》みたいな、大き目のミシュラランドと組合せて一瞬で撲殺、みたいな感じにしたいところ。

MTG カード与太話: 戦乱のゼンディカーより「粗暴な排除」「果てしなきもの」


粗暴な排除/Brutal Expulsion

非常に珍しい、スタック上の呪文を手札に戻せる(バウンスできる)能力をもつカード。これと同じ能力を持つカードは、今のところ他には《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》しかない。打ち消しではないので、《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll 》のような打ち消せない呪文にも対応できる。もちろん、あくまで手札に戻るだけなので、次のターンには出てくるかもしれない。でも、落とし子などを使って強引に出てきたエルドラージ相手とかなら、十分な効果がありそう。

プレインズウォーカーに直接ダメージを与えられるカードも珍しく、これ以外では《溶岩震/Magmaquake》《宿命的火災/Fated Conflagration》の 2 枚しかない。《宿命的火災/Fated Conflagration》のほうはプレインズウォーカー全体にダメージを与えてしまうので、狙ってプレインズウォーカーにダメージを与えようと思うと、これと《宿命的火災/Fated Conflagration》しかないことになる。珍しい能力 x2 ってことで、これは相当に珍しいよね。こういうのが本当の「神話レア」なんだと思うけど、実際に神話レアだったらきっとみんな怒るよね・・・。


果てしなきもの/Endless One

《変容する壁/Shifting Wall》と《ファイレクシアの略奪機/Phyrexian Marauder》に続く、コストが(X)のクリーチャー 3 枚目。既存のいずれのカードも制約が強いカードだったのに、これはまったく何の制約もなく攻撃も防御もできるようになった。このあたりは、さすがエルドラージと言ったところなんだろうか。《搭載歩行機械/Hangarback Walker》を見てると、性能的にどうなのかと思ってしまうんだけど、実のところコストパフォーマンスはそう悪くはない。

例えば 3 マナ 3/3 の無色クリーチャーでは、制約もデメリットもない同種のクリーチャーは《陰極器/Cathodion》しかいない。同様に、4 マナ 4/4 で制約やデメリットがない無色のクリーチャーは《Su-Chi》だけ。5 マナでも《刻まれた大怪物/Etched Monstrosity》が一応 5/5 で出るというくらいのもので、6 マナになってようやく《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》とか《小走り破滅エンジン/Scuttling Doom Engine》なんかが出てくるくらい。こうして見ると、わりと普通に使える気もする。

そもそも、アーティファクトではないけど無色かつ 0 マナ、というオンリーワンの特性をもっているので、何かしらのコンボパーツとしての出番もありそうだ。すごく遠い未来かもしれないけど。

MTG カード与太話: 戦乱のゼンディカーより「虚空の選別者」「ムラーサの緑守り」


虚空の選別者/Void Winnower

《光り葉の選別者/Gilt-Leaf Winnower》はタフネスとパワーが違う存在を嫌っていたけど、こちらは偶数が大嫌いな選別者らしい。《光り葉の選別者/Gilt-Leaf Winnower》は自分自身のパワーとタフネスが異っていたのに対して、こちらはコスト(9)もカード番号(17)も登場年(2015)も含め、自身に関する数字はひとつも偶数ではないという徹底ぶり。これは高く評価されるべき。ただ、こちらは《光り葉の選別者/Gilt-Leaf Winnower》に破壊されてしまうのに対して、《光り葉の選別者/Gilt-Leaf Winnower》を唱えることを禁じられないのはご愛嬌・・・

ちなみに「偶数」というテキストを持つカードは過去に《アシュリングの特権/Ashling’s Prerogative》と《Chaos Lord》と《Chaos Moon》の 3 枚が存在している。そのうち《Chaos Lord》と《Chaos Moon》はIce Age の時代のカードなので、「偶数」の歴史はそれほど浅くはない。一方で「奇数」のほうは 2 枚しかなく、いずれのカードも「偶数」というテキストも含んでいるため、「奇数」が単体(?)でテキストに書かれているカードというのは無いようだ。そしてこのカードの登場によって「偶数」は 4 枚、奇数は 2 枚となった。奇数はますます貴重なものとなったらしい。


ムラーサの緑守り/Greenwarden of Murasa

墓地のカードを手札に戻せるクリーチャーは沢山いるけど、「任意の」カードを戻せる能力をもつものは数少ない。過去のカードとしては《納骨蔵のワーム/Charnelhoard Wurm》《棲み家の防御者/Den Protector》《永遠の証人/Eternal Witness》《ニクスの織り手/Nyx Weaver》くらいらしい。特に、単体で 2 枚以上のカードを戻せるとなると、このカード以外では《納骨蔵のワーム/Charnelhoard Wurm》しかいないようだ。しかも、ワームが戦闘ダメージを与えないと戻せないのに対して、このカードは戦場に出たときと死亡した時に戻せるので確実性が高い。こうして見ると、なかなかレアなカードだということは分かる。

とはいえ、6 マナというのはどうだろう。墓地回収だけに使うにはもったいない。でも 5/4 で 6 マナじゃ重すぎる。この 5/4 という本体サイズと墓地回収の能力が、微妙に噛み合ってない感じがするところに難しさがありそう。ちまたでは《書かれざるものの視認/See the Unwritten》とかいう意見もあるようだけど、これらのコンボだけでは決定力に欠ける気がする。ゼンディカーなんだし、視認を改良した《召喚の罠/Summoning Trap》mk2 みたいなカードが出て、何かすごいことが起こるという予言だと信じたいところ。