まさかの時のボードゲーム: Pathfinder Adventure Card Game 新版キャラクタカード

Core Set には 12 人のキャラクターが収録されている。Quick Start にはそのうち Lini, Seoni, Sajan, Amiri の 4 キャラクタが含まれている。

Seoni (ソーサラー)

カードを1枚捨てることで、戦闘チェックを 1d12 + 2d4 に変更できる能力をもつ。この能力のおかげで、手札に武器も呪文もなくても戦うことができる。しかも、Arcane 呪文カードは使った後に必ず Recharge チェックに成功できる能力も持っている。呪文カードが手札にあれば、デッキの枚数を減らさずに敵を攻撃できてしまう。いずれも強力な能力で、これらのおかげで戦闘に関しては無敵に近い。旧版では呪文カードが2枚しか持てなかったが、新版になって5枚も持てるようになり、戦闘に対してはかなり強化された。

一方で、戦闘や CHR や INT に関係するチェック以外には無力に弱い。手札が多いのに Armor カードが全く持てないため、うっかり大ダメージをくらってしまうと、大量の手札を捨てさせられて大変なことになることもある。デッキの先読みができる Harsk のようなキャラと組んだり、Detect Magic / Magic Eye のような先読みができる Arcane Spell を入れたり、Sleep / Confusion のような遭遇を回避する Arcane Spell を入れるなどの対策は必要になる。手札回復用に Heal できるキャラもいると安心度が上がる。

  • Arcane 呪文を使ったら、Recharge を忘れずに。Recharge はターンエンド時。
  • Arcane スキルは INT ではなくて CHR+2。

Lini (ドルイド)

手札に動物 (Ally) がいれば強いが、動物がいないと結構どうしようもないドルイド。旧版にあった、動物カードを見せるだけでチェックに +1d4 する激強能力が削除されてしまったので、動物がいてもかなり弱くなった印象はある。動物カードは Recharge した時にデッキをシャッフルできるので、連続して使っていっても手札に動物がそこそこ来る。なので、戦闘ではとにかく動物を Recharge して、戦闘チェックを 1d10+1d4+3 にしていくのだけど、Blessing 無しだと倒しきれないことも多い。武器があれば幾分マシだけど、武器枠が1しかないのと武器への習熟がないので、それほど期待はできない。

戦闘以外に関しても、前述の動物チート能力が削除されてしまったので、全体的に弱い感じになってしまった。動物がその部分を補ってくれたらいいのだけど、Core Set にいる動物は犬以外はややものたりない。そのため基本、呪文で何とかしないといけないのだけど、呪文の Recharge チェックが 1d10+3 なので、困難度が 8 以上なら確率 60% と少々心もとない。hero point で得られる一番下の能力を得ると、旧版と同等とはいかないもののチェック全般に対してはかなり強くなるので、この能力の獲得を最優先で目指したい。それまでは Cure を複数入れておいて、ヒーラー寄りに動くほうが動きやすいかもしれない。デッキをひたすらシャッフルするプレイがちょっと面倒だったりとか、ネガティブな要素が多い気がする Lini 君だけど、今後、動物カードが充実してきたら強くなるはず(たぶんきっと)。

Sajan (モンク)

手札の Blessing カードをリチャージしまくって好き放題するキャラクター。ステータスがまんべんなく 1d6 とか 1d8 と低い一方で、デッキの Blessing カードが 7 枚(デッキのほぼ半分)とかなり多い。しかも自分のチェックの時なら、Blessing カードを捨て札にする代わりに Recharge してよく、ひとつのチェックに Blessing カードを 1枚しか使えない制限も突破して 2 枚まで使える。戦闘時なら、Blessing カードがなくても任意のカードを Recharge すれば最低でも 1d8 +1d6 +2 (Acrobatics) にできる。

このように、手札さえあればやたら強い。しかし、手札がなくなるといきなり弱くなる。Armor カードが無いので、間違って大ダメージを受けた瞬間、いきなり瀕死になることがある。また、他キャラクタのチェックに Blessing を使うと、Recharge できなくてジリ貧になりやすい。捨て札に Blessing カードを落とさないことがとにかく重要だが、他キャラのサポートもするなら、捨て札からの回収手段を用意しておく必要がある。Heal できるキャラと組んだり、捨て札をデッキに戻すアイテムを持ったりすると、プレイが安定しやすい(気がする)。

Amiri (バーサーカー)

脳筋キャラに見えて、かなりの頭脳プレイが要求されるキャラクタ。とりあえず、戦闘に関しては十分に強い。仮に武器が手札に無くても、何でもいいからカードを bury するだけで 1d12 + 1d8 + 3 とかいうアホみたいな攻撃力になる。武器があれば、さらなる途方もない瞬間最大風力を得ることができ、ほとんどの Villain や Henchmen を夜空の星にすることができる。新版で Avenge (復讐) ルールが追加されたことによって、他のキャラが Hehchmen や Villain を討ち逃したとしても、Amiri さえ同じロケーションにいれば、カードを1枚犠牲に(bury)すれば Avenge で仕留めることができるようになった。

そして、三番目の「ターンエンドに移動できる。他のキャラを一緒に動かしても良い」という能力が地味に強い。基本の使い方は、Amiri をソロでいずれか location に置いておいて、探索したい location にはターン開始時に移動して探索し、終わったら元の location に戻るというもの。このようにすると、ターン開始時にペナルティのある location を探索する場合に、そのペナルティを回避することができる。Amiri がGuard しやすい location に常駐させた状態で、探索するときだけ別の location へ出張するみたいなこもできる。また、ターンエンドに味方のいる location に移動して、その味方のターンで出た villain や henchmen を倒し損なったときに Avenge するための保険となりつつ、自ターンにはまた別の location に移動して探索するみたいな運用もできる。

書いていくとキリがないけど、この Amiri のターンエンドの移動能力をうまく使うことで、地味ながら location の探索が楽になる。むしろ、この能力をうまく使えるかどうかが、Amiri を使えるかどうかにかかっていると言っても過言ではない(と思う)。

Valeros (ファイター)

PCAG (というかPathfinder全般)の基本キャラクタ4人衆のひとり。旧版と新版でかなり能力が変更されている。いずれも戦闘に特化された能力で、特化の度合いが旧版よりも強化された感じ。ひとつめの能力は、旧版で「無条件に同じ location にる他のキャラクタの戦闘チェックに +1d4 できる」能力だったのが、武器か防具カードを1枚 reload か recharge することで +1d4 する能力に変更されたもの。無条件で他キャラを支援できなくはなったのは痛いが、それでも他キャラの戦闘を支援できる能力はありがたい。Lini や Kyra のような、若干戦闘に不安のあるキャラクタに同行させると心強い。

二つ目の能力は Valeros 君の本領発揮といったところで、武器カードか防具カードを手札か捨て札からデッキに Recharge できる。これによって、武器や防具を捨てたときに得られる能力を気軽に使うことができる。たとえば Long Sword なら、見せるだけなら戦闘チェックは 1d10+1d8+2 だけど、捨てれば 1d10+2d8+2 まで持っていける。他キャラなら捨て札を回収できないから、使うのをためらうところだけど、Valeros 君は捨て札から回収できてしまうので、ほぼ気にせず使えてしまう。デッキを減らさずにダイスを追加できるというのはかなり強い。最後の能力は、敵に負けてもカードを1枚捨てることで再チャレンジできるというもの。これも新版で追加されたもの。カードを bury しなくて済む上に、捨て札が武器か防具なら2番目の能力で回収できるので、他キャラに比べるとかなり気軽に Avenge に挑戦できる。地味ながら有益な能力だと思う。

1番目と2番目の強力な支援能力があるのと、戦闘以外はあんまり得意ではないので、できるだけサポートが得意な他キャラクタと一緒に location を攻略させたい。

Ezren(ウィザード)

Pathfinder おなじみキャラその2。Arcane 呪文とデッキのカード操作が得意。旧版では条件によっては「ずっと俺のターン」みたいなことができたけど、さすがにマズイと思われたのか、新版では能力の発動条件が修正されてしまい、えんえんプレイみたいなことはできなくなった。とはいえ、location デッキや自分のデッキのトップを見る能力は便利で、うまく使えば location の探索をかなり有利に進めることができる。1番目の能力で spell を引き、2番目の能力でいらない spell をデッキに戻しつつ location のトップを見て対処を決めるというのが理想的。location のトップが Spell カードなら、2つ目の能力で1枚カードを捨てて(通常の遭遇とは別に)遭遇し、3つ目の能力で獲得しにいき、手札を減らすことなく location を掘り進めることもできる。

さらに Int が 1d12 とやたら高いので、戦闘用の Arcane 呪文でも最低で 1d12+1d4+2 の大ダメージ(高い目)を期待できる。その上、呪文カード (Magic trait) の Recharge チェックを高水準でできるため、Recovery の難易度が 9 くらいまでのカードなら気軽に使っていけるのが強い。その一方で、呪文カードが十分手元になかったり、遭遇したカードと呪文が噛みあわなかったりするとただの人になってしまうことがある。特に防御が紙なので、敵と手札の相性が合わないと、一撃でデッキを溶かされてしまいかねない。いざという時のためにも、回復やサポートができるキャラクタを同じ location に配置しておきたい。

Merisiel (ローグ)

Pathfinder おなじみキャラその3。戦闘能力もそこそこあり、罠の解除も得意、苦手な敵に会ってもささっと回避できたりと、何かと器用なおねいさん。ソロで location を探索している時なら、あらゆる遭遇を無条件で回避能力できる能力を持つため、ボスを一人で探索する任務に向いている。他 location が十分に封鎖できていない状態でボスを発見したら、「回避」することでボスを逃がさずにその location に留めておける。多少の敵は2番目と3番目の能力で倒すこともできるし、万が一危険な敵に遭遇しても無条件で回避できるので、死んでしまうこともない。

という感じで、いいことしかないように見えるけど、実際には戦闘すると攻撃力が少し足りないことが多い。また、罠以外のチェックはさほど得意ではなく、Fravore な Item カードは使える場面が限られているなどと、微妙に器用貧乏なところがある。死にはしなくても、カードの獲得はできず、敵も倒すことができず、ただ時間を浪費するだけみたいなことにもなりやすい。別の location からでもサポートができる、Harsk とか Sajan のようなキャラクタと一緒に使うといいような気がする。

Kyra (クレリック)

Pathfinder おなじみキャラその4にして、Heal 能力をもつ貴重なキャラクター。旧版では遭遇ステップを飛ばすことで Heal できたが、新版では Divine カードを1枚 Recharge することで Heal できる能力になった。一見すると使いにくくなったように見えるけど、キャラクタデッキの Blessing、Spell、Item のカードを全部 Divine にすれば、最大 11 枚が Divine カードになるので、ほぼターンこの能力は使える。また、捨て札を回収しつつ、手札の不要なカードをデッキに戻して手札を回せると思えば、旧版よりも能力は強化されたと言える。Cure を 1,2 枚デッキに入れておいて、Recovery に失敗したら Heal 能力でl Cure をデッキに戻すように動くと安定する。

一方で、Heal 能力以外には大した能力がない。1番目の Undead と Outsider に有利な能力も、条件が限られている割には +1d6 という微妙な能力で、あまり使える場面がない。武器への習熟がデフォルトでは無い上に Melee は 1d8+2 と微妙で、Divine 呪文は攻撃用ものがあまりないため、ちょっと強い敵に出会うと苦戦しがち。自己 Heal 前提で Blessing を使いまくるか、他キャラの戦闘をサポートする能力のある Valeros、Harsk、Sajan などと組んで探索させたい。

Harsk (レンジャー)

他キャラクターの戦闘を支援する能力と、location デッキの先読みができる能力が特徴的なキャラクター。旧版では他locationのキャラクタにしか支援できなかったのが、新版では同じlocationでも支援できるようになったので、あえてソロで探索する必要がなくなった。一方で Ranged スキルが 1d6+2 とかなり頼りなくなってしまった。STR は何故か 1d10 に大幅強化されたが、Melee スキルはないので近接武器はやや使いにくい。2番目の Bow/Axe に特典がつく能力を使えば 2d6+2 になるので、それを頼りに武器は Bow と Axe だけに絞って使うしかなさそう。

3番目の、無条件に location デッキのトップを見る能力は非常に強力。新版では1番目の能力の変更のおかげで、他のキャラクタと一緒に location を探索する機会も増えそうなので、この能力は以前にも増して役に立つはず。Harsk をプレイするなら、手順を全キャラの中で一番最初にしておいて、ターンエンドにカードを確認し、必要に応じて他のキャラを対処する(必要に応じて移動する)、というように運用すると探索の効率がかなりよくなる。戦闘チェック以外で対処する必要がある敵や、罠カードへの対処は苦手なので、それらに対処できるキャラクタと組ませたい。

Lem (バード)

支援に特化したキャラクタ。1番目の能力で、同じ location にいるキャラクタの戦闘以外のチェックに +1d4 できる。デッキ枚数を減らさずに支援できる能力は使い勝手がいい。2番目の能力の、捨て札から選んでデッキに戻せる能力も強力で、うまく使えば捨て札とデッキと手札の間でカードを回して、都合のいい手札を揃えることができる。ただし、初期状態では戦闘は支援できないのと、追加できるダイスが 1d4 なので、支援の力が十分とはいえない。キャラクタを育てて、戦闘の支援ができるようになりつつ追加ダイスが 1d6 になると、そこそこ使えるようになる気がする。

戦闘についてはかなり苦手で、Melee 武器は論外、弓を持たせても Ranged スキルがないので 1d8+弓となってしまい、少し強い敵に会えば苦戦は必至。呪文攻撃なら Arcane/Divine とも 1d10+1 あるので、それなりに攻撃はできるけど、攻撃呪文にカードを割り当てると支援に使える枠が減ってしまう。攻撃専科にするなら、最初から Seoni とか Ezren で行けばいじゃんみたいになってしまうので、別の路線を模索したいところ。デッキの先読みができるキャラと組むとか、Detect Magic などで自分で先読みするなどして、チェックに成功しそうなカードにだけ遭遇していくような工夫が必要な感じがする。

Seelah (パラディン)

モンスターを殴りつつ支援もでき、あらゆるチェックに対して最低 1d8 で挑めるというオールマイティなキャラクタ。Melee スキルが 1d10+2 あり、武器へも習熟しているので、そこそこ強い敵でも倒すことができる。Armor への習熟もあるので、ダメージに対してもある程度は対応できる。手札にカードが全くなくても、デッキのトップのカードを捨てることで、自分や同 location のキャラクタのチェックに 1d4 できる能力も強い。封鎖チェックなどで、最後のダメ押しが足りないときなどに重宝する。いざとなったら攻撃系の Divine 呪文でも十分なダメージを出せる。

という感じで万能ではあるんだけど、デッキのカードの枚数が、武器3、呪文3、防具2、Blessing 4、とバラけている上に手札が 4 枚なので、攻撃したいけど武器や呪文がないとか、ダメージ受けたけど防具がないという、手札と状況のミスマッチが起こりやすい。また、支援のためにデッキのトップカードを捨てたら、それが一番欲しいカードだった!みたいなことも良く起こる。捨て札の回収手段は何か用意しておきたい。Divine スキルがあるので自分で Cure で捨て札を回収したいところだけど、安定して Recovory できるほど Divine スキルが十分ではないのが悩ましいところ。

Fumbus (アルケミスト)

あまりよくわかってないキャラ。アイテムを呪文のように使って、Recovery で回収して使いまわしていくという感じの運用をするようだ。キャラクタカードだけ見てると、戦闘とかどうするんだろう感じなのだけど、Core Set には Nixious Bom とか Acid Frask のような、明かにこのキャラのためにデザインされた Recovory 付きのアイテムがあるので、こういうのをデッキに入れていくのだと思う。とはいえ、本領発揮となるのはカードを Recharge して +1d4 する能力と、3番目のチェックに +1d6 できる能力を取得してからという感じはする。それまでは、呪文と Ranged 武器でで何とかしていく感じだろうか。

ちなみに、Core Set だけだと Item カードの選択肢があまりない上に、このキャラ向けと思われるカードは数枚しかないので、このキャラを Core Set だけで遊ぶのは辛いかもしれない。Crimzon Throne の拡張セットには、このキャラクタのために作られたようなカードがいくつか用意されているので、それで初期デッキのアイテム枠6つを埋めることができる。そうすれば、多少は遊べるんじゃないかなあ。

まさかの時のボードゲーム: Pathfinder Adventure Card Game Core Set 新旧カードの比較

新版 (Core Set) と旧版の Rise of the Ronelords のカードを比べてみた。基本、キャラクタは旧版と同じキャラがいるけど能力は多少変更されているものもある、という感じで、モンスターやアイテム類は 1/3 ほどが新しいカードで、残り半分は同じ名前だけど数値や能力が変更されている、という感じ。

キャラクター

新版 (Core Set) では下記の4キャラが初期キャラとして推奨されている(ようだ)。

  • Lini:ノーム/ドルイド
  • Sajan:ヒューマン/モンク
  • Seoni:ヒューマン/ソーサラー
  • Amiri:ヒューマン/バーバリアン

旧版の RotR では D&D や Pathfinder 的に言うところの超基本クラスのウィザード、ファイター、クレリック、ローグの4人だったので、新版では少し外してきたようだ。

ちなみに ウィザードの Ezren、ローグの Merisiel、ファイターの Valeros、クレリックの Kyra の基本4兄弟(?)はちゃんと Core Set に収録されているので大丈夫。

各キャラクタの能力やパラメータは、旧版 (RotR) からは変更されているものが多い。たとえば Lini の場合、動物カードを見せるだけで、どんなチェックにも +1d4 できる能力は削られている。STR / DEX のチェックの能力も、戦闘時のみの能力に変更されている。

ただし、能力の変更自体は Rise of the Runelords の次に出た基本セットの Skull & Shackles に収録されている Lini でも行なわれており、Lini の +1d4 する能力はこの時にすでに削除されている。キャラクタの能力の修正は、基本セットが出るたびに行われているので、Core Set での修正が特別ということではない(と思う)。

強化されているキャラクタもいる。ソーサラーの Seoni は、戦闘チェック時に加えられるダイスが +1d6 から +2d4 に強化された。そして、呪文の Recharge 時に必ず成功するという強力な能力は、RotR での収録当初からそのまま残っている。RotR 当時、デッキの Spell カードの枚数が 4 枚で、せっかくの自動 Recharge 能力が生かしきれていなかったが、Core Set では Spell カードの枚数が 6 枚となり、全体的に見てかなり強化されたと思う。(ちなみに Seoni は Wrath of the Righteous で戦闘チェック能力がカードを捨て札から戻す能力に変更されていたが、Core Set でまた元に戻った)。

ロールカードも健在で、各キャラクタごとに追加で 2 つのロールがプレイできるよう、カードが追加されている。ロールカードは各キャラ1枚で、裏表に異なるロールが書いてある。

モンスター

モンスターのカードは、用語が整理されたこともあり、テキストはスッキリした。旧版と同じ名前のモンスターも収録されているが、能力やパラメータが変更されているものが多く、違うカードのようになっているものも少なくない。

上のモンスターはいずれも旧版と同じ名前とイラストだけど、パラメータや能力が変更されている。

旧版と、似たようで違うモンスターが収録されていたりもする。上が旧版で下が Core Set (新版)で収録されているモンスター。何となくだけど、人型をしているモンスターが減った気がする。ゴブリンもあまり見かけない。新版のモンスターには、通常の戦闘チェックをする以外の倒す方法が追加されているものが多い。

Mummy of Masks から追加された If defeated less than X (倒したときのダイスの超過分が X 未満の時) という表記をもつモンスターカードが微妙に増えていて、倒したとしてもダメージを与えてきたり、悪い効果を付与される機会が増えた感じがする。

武器

武器 (Weapon) や防具 (Armor) は、旧版にあったものと同名のカードが多い。まあ、武器とか防具はそんなに突飛なものが Core Set には収録されないよね、ということで定番のものが並んでいる感じ。

こちらも、用語や文章表現が整理された影響でテキストが減っている。カードを見せるだけでダイスを追加でき、捨て札にするとさらにダイスを追加するという基本的なメカニズムはそのままになっている。

武器の習熟について、旧版では「習熟してないと困難度4上がる」ようなペナルティのある武器が多かったが、新版では「習熟していれば捨て札にすることで +1d6 できる」というように、メリットが付く形に変更された。

祝福カード

旧版は、どのセットにも Blessing of the Gods のカードが大量に入ってて、ちょっとげんなりしたりしたけど、Core Set ではこのカードは廃止されたようで(?)、カードのバリエーション自体が増えたようだ。また祝福カードに付いていた Blessing という接頭語が、カード名に付かなくなった。

新版の Blessing カードは、以前は When this is the hour という項目が追加されて、時計として使われるときだけに付く効果が追加された。旧版にも Recharge というセクションがあるカードもあったが、時計デッキの捨て札の一番上の Blessing カードと同じカードを使ったときは、捨て札にならず Recharge されるというかなり微妙な能力だった。

新版の When this is the hour には、特定のチェックに +1d4 できたり、特定のチェックに使ったカードを捨て札にする代わりに Rehcarge するなど、それなりに有用な効果が書かれている。旧版は時計デッキをめくるのはデメリットしかなかったが、新版では微妙にメリットも追加されることになった。

Blessing of the Gods に相当するカードは Core Set には無く、替わりに左下にあるような、魔方陣のような模様のあるイラストがついたカードが沢山増えた。旧版にあった Blessing カードとイラストが同じカードもあるが、カード名も能力も微妙に変更されている。

新版の Blessing カードには freely と書かれたカードがいくつかあるけど、これはいとつのチェックの間には、同種のカードを複数枚使えない」という制限を受けずに使えることを意味している。たとえば Trag’s Power は STR か DEX のチェックに限り、同じ遭遇の中で他の Blessing カードが使われていたとしても、それとは関係なく使えるということを意味している。

呪文カード

呪文カードも、新旧で同じカード名のものが多数ある。まあ、基本的に元になっているゲーム (Pathfinder) が同じなので、呪文や武器がそれほど大きく変化することはないよね…

同名のカードについては、呪文の効果も旧版と大きくは変わっていない。Recharge のセクションが During Recovery に変更されているけど、Arcane や Divine に習熟してなければカードを Banish する必要があり、そうでなければ Discard するか Recharge を試せるという点は変わっていない。

まさかの時のボードゲーム: Pathfinder Adventure Card Game Core Set ルールの変更点など

ルールの変更点で、影響が大きいと思われるものをまとめています。旧版カードを新版ルールで使用する場合の注意点についてと、新版カードのみでプレイに支障がなさそうな細かなものは書いてません (Core Set のルールブックか公式 FAQ を参照のこと)。

Location Deck の Villain と Henchman の扱いが変更された

旧版では、シナリオで指示がない限りは Villain 1枚と、ロケーション数 – 1 の枚数の Henchman を用意して、それらをロケーションデッキにランダムに1枚ずつ入れていた。

新版では、Villain と Henchman は Story Bane というカードに統合された。そして、シナリオで Proxy を入れるように指示されている Story Bane は、Proxy と書かれたカードを Story Bane カードの代わりとしてデッキに混ぜる。実際に Proxy カードをめくったときは、あたかもその Proxy に対応する Story Bane カードを引いたかのようにしてルールの処理をする。

旧版では Location が 6 つほどあったときに、一箇所だけ Villain を入れて残りの 5 箇所に同じ種類の Henchman )を入れるとき、Henchman カードが5枚ないとデッキが組めないという問題があった。この、複数の Location に同じカードを入れるときに、同じカードが沢山必要になる問題を解決するのが Proxy カードになる。

わかりにくいので、実例を挙げる。Quick Start で最初にプレイすることが推奨されている、Scenario 1★: Ramble Road のセッティング(初期プレイ版)を例として説明してみる。

このシナリオは、初期プレイの場合のみプレイ人数によらず Location は 3 つとし、難易度は S を適用することと書かれている。使用する Location は Campsite, Caravan, Trail の三つで、それぞれ Quick Start に指定されているカードタイプでデッキを組む。

実際にデッキを組むと、上のような感じになる。この状態になったら、Story Bane を組込む。

シナリオブックを見ると、Henchmen として Dire Wolves のカードを Proxy A とするように指定されている。Danger カードはデッキには混ぜず、Villain の Bandit は Proxy に指定されていないので、デッキにそのまま混ぜる。Location には最低 1 枚の Story Bane を加える必要があるため、今回のように Location が 3 つで Villain が 1 種類、Henchmen が 1 種類ならば、Henchmen に相当する Proxy A は 2 枚用意することになる。同様にして、このシナリオで Location が 4 つなら Proxy A は 3枚、Location が 5 つなら Proxy A は 4 枚必要になる。

こうして用意した 3 枚の Story Bane は、それぞれ1枚ずつ Location デッキに加える。上の写真では分かりやすいように表向きにして置いているけど、実際にデッキを組むときは Story Bane カード3枚をシャッフルして、どのカードがどの Location に入るか分からないように、裏向きのまま Location デッキに加える。その後、Location デッキをそれぞれシャッフルする。これで Location デッキの準備は完了となる。

残った Danger カードと、Proxy A に対応する Story Bane カードの Dire Wolves は、場に表向きで置いておく。そして、Proxy A カードがめくれたときには、そのカードはあたかも Dire Wolves であるかのように扱う。Proxy A カードが捨てられるときも、Dire Wolves ではなく Proxy A カードを捨てる。

Danger カードが追加された

新版で追加された Danger カードについて、ルールブックには「誰でも見える場所に置いておく」「召喚(summon)されたときに参照する」程度のことしか書いてなくて、ゲーム中いつ使われるのかが分かりにくい。

実際のゲームプレイでは、Bane カードに Danger カードを召喚するように書かれているものがあったり、Location カードに同様の記述があるものがあり、それらのカードに書かれた条件を満たしたときに召喚される(遭遇する)。

例えば Scenario 1★: Ramble Road では、シナリオに含まれる Location カードの Caravan というカードの TO CLOSE OR TO GUAD の項目の中に Danger に関する記述がある。この Location を閉じようとするか、守ろう(Guard)とするとき、Wisdom か Perception のチェックで 5+# 以上の値を出すか、Danger カードを召喚して打ち倒す (Defeat) ことで、閉じる(または守る)ことに成功することができる。条件は選択できるので、Danger を召喚しないこともでき、その場合はゲーム中で Danger カードを使わないまま、ゲームが終了する可能性もある。

このように、Danger カードは Villain のように、ゲームのプレイ中に必ず遭遇するとは限らない。何らかのカードの効果や、シナリオの指示によって遭遇することになった時にだけ参照する。

Location カードにサイズ表記が追加された

旧版の Location カードには、デッキに含むべきカードのタイプと枚数が一種類のみ書かれていたが、新版では S, M, L (Small, Medium, Large) のそれぞれのサイズによって入れるべきカードが表示されるようになった。

通常のプレイでは M (Medium) のサイズ表記に従うが、ゲームを簡単にしたいときは S (Small) にしたり、難しくしたければ L (Large) を選んでもいい。サイズの選択はプレイヤーの裁量で決めてよく、シナリオの中で L を使えと指定されることはないようだ (例外的に Quick Start で使用するデッキのみ S を使うように指定されている)。

難易度の調整方法が公式で提示されるようになった

Location の S. M. L とは別に、ゲームの難易度 (Normal, Heroic, Legendary) という概念も追加された。通常のプレイでは Normal を選べばよいが、より歯応えのあるゲームを楽しみたいプレイヤーは、Heroic や Legendary の難易度のセッティングで遊ぶこともできる。

一部のカードに +# という表記が追加された。これは # のところに好きな数字を入れて運用することで、ゲームの難易度を調整することができるというもの。+#+# みたいに # を二つ加えるようなカードもあるので、#=1 として運用するだけでも結構難易度が上がったりする。

ゲーム中に発生する特殊な効果を追加できる、Wildcard というカードが標準で用意されるようになった。このカードには、ゲーム中に起こる「ちょっとしたハプニング」みたいなものが記されていて、どの効果を適用するかをプレイヤーが自由に選ぶことができる。効果はゲームが難しくなるようなものばかりなので、たくさん選んでいくとかなり難しくなる。Heroic, Legendary の難易度で遊ぶときに、使うように指示される。

ちなみに、旧版でもプレイヤー側で勝手に難易度を自由に替えて遊ぶことはできていた。これが新版では、公式が難易度の調整方法をいろいろと提案してくれるようになったということにすぎない。なので、たとえばHeroic でプレイしないとクリア扱いにならないというような、高難易度プレイの強制があるわけではない。

Recharge のセクションは During Recovery という名前に変更された

旧版の Spell のカードなどで、使用したあとに Arcane や Divine などのスキルを持っていれば、カードを Recharge できるという能力が整理され、Recovery という処理をするようにに変更された。

Spell カードはデフォルトで Banish するようになり、スキルを持つ場合だけ Discard するか Recharge するように変更された。変更があったカードには During Recovery というセションがある。カードを Banish する場合、通常はプレイ後にゲームから追放する(追放して Vault という領域に加える。しかし、カードの power の欄に During Recovery という表記のあるカードについては、カードがプレイした直後には Recovery Pile という領域に入ることになった。この領域に置かれたカードは、ターン終了時に During Recovery の欄に書かれていることを実行することができる。

基本的に旧版にあった Recharge の処理とほとんど同じなので、カードの使い勝手は変わらない。カードがデフォルトでは Banish するように変更されたことと、カードをプレイしてからターン終了時までにカードがどの領域にあるのかが曖昧になっていたので、それを明確化したということだと思う。

Hero Point が追加された

シナリオクリア時に Hero Point というポイントを貰えるようになった。そのかわり Feats はデフォルトではもらえなくなり、Hero Point を消費して Feats を得るように変更された。

Hero Point は溜めておくことでゲーム中にも使うことができ、死んでしまったときに復活するために使ったり、ダイスのロールをやり直すためにも使える。

Scourge カードはマーカーを置いて運用するようになった

Scourge カードは、負の効果をマーカーを使って表すようになった。機能的には大きな変更はないが、ルールブックに細かな運用方法が記載されるようになった。

ゲームに開始時に scourge カードを見えるところに並べておき、◯のところに対応するマーカーを積んでおく。ゲーム中に、キャラクターが scourge を受けた (suffer scourge) 時に、対応するカードのマーカーをキャラクターに置いて、scourge を受けていることを示す。scourge から回復したときは、マーカーを戻す。

ひとつの scourge に対応するマーカーはひとつというわけではなくて、同じ scourge を複数のキャラクタが受けることもある(マーカーは、各種ごとに複数用意されている)。

その他

  • Adventure Path カードや Scenario カードがなくなり、かわりに Story Book という小冊子がつくようになった。これは、前からカードだと情報量少ないし、字が小さくて読み難いとかあったので、良い変更だと思う。
  • 用語の追加と変更があった。ルール自体の変更を伴うものも多少あるが、大部分はこれまで長い文章で書かれていたものが短縮されたという感じ。ルールの変更や追加があるものは別の項目に書いた。
    • vault: 旧版での box のこと。追放したカードを置いたり、新規に入手できるカードを探したりする領域を指す。カードテキスト中に new card という表現があるときは、vault にあるカードという意味。
    • hourglass: 旧版の blessing deck のこと。blessing deck の捨て札のトップのカードのことを hour と呼ぶようになり、hour な時だけ blessing カードが追加の効果を持つようになった (上のほうの記事参照のこと)。
    • closing henchmen: 倒したときに location の close を試せることができる henchmen のこと。倒しても close を試せない henchmen (non-closing henchmen)がいるので、明確に区別されるようになった。
    • guard: 旧版でいうところの temporarily close のこと。guard されている location は、guard されている間に限って “closed location” と同じ扱いを受ける (つまり open location ではない)。旧版のカードで closed location を参照するカードを使う場合は、そのようにする。
    • suffer / heal: A suffer X damage で、A が X ダメージを受けるという意味。この場合、通常は X 枚のカードを選んで捨てる (手札の枚数を越えるときは手札を全て捨てる)。基本、ダメージを受けるのはキャラクタだけなので、A は you とか local character とかになる。A heal X は、A の捨て札から X 枚をランダムに選んでデッキに戻してシャッフルする。ダメージ処理や heal の処理自体に変更はない。
    • a local character / a distant character: 自分と同じ location にいるキャラクターのことを local character と呼ぶようになった。別の location にいるキャラクタは distant character と呼ぶ。
    • #: カードの数字に # という表記が追加された。# はシナリオのレベルに依存する数字で、レベルが上がることによる難易度の上昇を表現している。
    • pawn: 旧版で言うところのキャラクタトークンのこと。新版はトークンカードが入っておらず、キャラクタのいる location を表示するポーン(キャラクタのイラストが描かれた紙を台座にたてたもの)が同梱されるようになった。カード中にこの用語が出てくることはないはず。
    • reload: 手札のカードをデッキの一番上に置くこと。
    • bury pile: bury したカードが置かれる場所のこと。この用語なかったんだっけ?
    • bless: チェックに使う基本ダイスを1つ追加するという意味。On Y check, discard to bless みたいな形で使われる。Y (STRとかcombatとか)のチェックのために、このカードを捨て札にしてチェックに使う基本ダイスを1つ追加してもよい、という意味。On any check, discard to bless なら、いかなるチェックに対しても使える。
    • freely: 1回のチェックで使える同種のカードは1枚だけ、という制限を受けずにプレイできるという意味。On any check, freely discard to bless みたいな感じで使われる。(上のほうの blessing カードの項目を参照のこと)
    • If defeated by less than X: 戦闘チェックで、チェックの数値 + X 未満で敵を倒した場合、という意味。たとえばチェックの数値が 10 のモンスターで X=4 なら、14 未満でチェックに成功した場合という意味。旧版の Mummy’s Mask から出現していた表現でやや分かりにくい書き方だったが、Core Set でも採用されて Monster に多用されるようになった(気がする)。
    • invoke X trait: 「チェックに使用しているカードが X の trait を持っているか、もしくはチェックの対象のカードが X の trait を持っている」という意味。たとえば Lini の On a local check that invokes the Animal trait, add 1d4.という Power は「Lini のいる location で何らかのチェックを行なうとき(Lini 以外の同じ location にいる他のキャラクタのチェックでもよい)、そのチェック中に使用したカードが Animal trait を持つか、チェックを行なう対象のカードが Animal trait を持つときは +1d4 する、という意味。これは旧版のカードにもあった表現なので、新版での用語の変更というではないけど、分かりにくい表現のひとつだと思う。
  • 特性 (trait) の種類が追加された。特性については、キャラクタのカードに書いてあるので、都度読めば分かるはず(多分)。
  • 敵やトラップ (bane) を倒せなかったときに、他の local character による再挑戦(avenge) ができるようになった。敵を倒せなかった (undefeated) ときの処理をしたあと、その bane に別のキャラクタが再度「遭遇」することができる。avenge できるのは 1 キャラにつき 1 回だけ。これは結構大きな変更。
  • vulnerable / resistant: カードがキャラクタの特性に対して vulnerable (脆弱性) を持つときは、キャラクタのロールに +4 ボーナスが付き、逆に resistant (抵抗) を持つときは -4 のペナルティが付くようになった。immune については従来と同じ (その属性からはダメージや影響を受けない)。
  • カードを Display したときも「プレイした」扱いになるようになった。つまり、カードをプレイしたときに誘発する能力が誘発するようになる。
  • boon に遭遇したら、必ず獲得を試みなければならなくなった (獲得を試みないという選択肢がなくなった)。 そして、成功したら必ず手に入れなければならない。デッキの内容を保持したいから、boon に遭遇したけど獲得しないでおこう、みたいなことができなくなったということ。
  • Story book で villain についての記述がないシナリオの場合、全部の location を closed にしたらクリアとなる。

Ship カードや Trader, Bazaar, Defensive Stance などの旧版にあったカードの一部は Core Set や新版用の拡張には無いのでルールの記載がない。新版のエキスパンションに追加されたらルールも記述されるかも(多分)。Cohort は Core Set のルールブックには記載があるけど、Core Set には該当するカードがない。