まさかの時のボードゲーム : バロニィ [1] ゲームの概要

バロニィは手番制の陣取りゲームで、プレイヤーは地域の覇権を競う男爵となり、騎士を使ってマップ上の土地を征服して爵位を上げていきます。誰かが公爵になったラウンドの終了時に、最も勝利点を稼いでいるプレイヤーが勝利者となります。

メインのマップボードはこんな感じです。マップには海、山岳、森林、平原、田園の5つの地形があります。3つの地形が一組になったマップタイルを人数x9枚使ってマップを作ります。

このタイルで作ったマップの上に、騎士や都市などを配置していきます。

これは爵位を示すボードです。各プレイヤーは自分の色のコマを置いて、現在の爵位と勝利点を同時に示します。爵位をひとつ上げるには、資源トークンを15個必要とします。自分の手番に資源トークンを 15 個以上支払うと、爵位をひとつ上げることができます。爵位がひとつ上がると、ただちに15勝利点を得ます。ただし、16以上の資源を支払っても15勝利点しかもらえません。

これらの資源トークンを得るには、騎士をマップ上のマスに移動させ、村か要塞を建てる必要があります。自分の手番に、自分の騎士だけがいるマスから騎士を取り除き、代わりに村コマか要塞コマを置けます。このとき、置いた土地の種類によって、対応する資源トークンを受けとります。

資源トークンは、4種類の地形に対応した4種類のものがあります。村か要塞を建てた土地が「田園」ならば資源は5、草原なら資源は4、森林は資源3、山岳は資源2です。資源トークンに書かれている白い数字は、ゲーム終了時に勝利点に加算されます。田園は3点、平原は2点、森林は1点、山岳は0点です。

騎士は、自分が最初から持っている三つの「都市」に招集することができます。自分の手番に「招集」すると、自分の都市のいずれかに騎士コマを2つ置けます。都市が海に面していれば、騎士コマを3つ置けます。

都市は、ゲームの開始前にプレイヤーが順番にマップ上に置いていきます。都市は、他の都市と隣接するようには建てられず、海と森のマスにも建てることはできません。最初に都市を置いたマスには、同時に騎士コマもひとつ置きます。

都市は、村をアップグレードすることで作ることもできます。都市を建てるときは、そのマスが都市を置ける条件を満たしている必要があります(他の都市に隣接していない、森マスではない、他プレイヤーの騎士コマがいない)。新たな都市を建設すると、ただちに10勝利点を貰うことができます。ただし、都市コマは5つしかないので、6つ以上の都市は作れません。また。アップグレードで都市を建てたときには、騎士コマは置きません。

このゲームの勝敗を左右するのは、騎士の使い方です。騎士は、自分の手番に2コマまで、それぞえ隣接するマスに動かすことができます。自分の手番に、同じコマを2回動かすことはできません。騎士は移動するときに、次のルールに従う必要があります。

  1. 海には移動できない。
  2. 他プレイヤーの要塞、都市があるコマには移動できない。
  3. 他のプレイヤーの同色のコマが2つ以上あるマスには移動できない。
  4. 他のプレイヤーのコマが置かれている山のマスには移動できない。
  5. 移動終了時に、そのマスに自分のコマが2つ以上あるとき、自分以外のコマをすべて除去する。もしこの方法で村を除去したときは、除去した村の色のプレイヤーから好きな資源トークンをひとつ奪ってもよい。

この、最後のルールが重要で、騎士コマ2つを敵の村のあるマスに移動させれば、その村を除去した上に資源トークンを奪うことができるというわけです。

たとえば、このような状態で赤プレイヤーの手番になったとき、騎士コマ2つを黄色の村のマスに移動させたとしましょう。

このとき、黄色の村は除去され、赤プレイヤーは黄色プレイヤーのもつ資源をひとつ奪えます。騎士の侵入したマスと同じ資源である必要はありません。上の場合、森に侵入していますが、黄色プレイヤーが田園の資源を持っていれば、それを選んで奪うことができます。

もし、赤の騎士コマで黄色の村を除去したときに、黄色プレイヤーが資源コマを何も持っていなければ、村は除去されますが資源トークンを奪うことはできません。資源トークンは勝利点獲得のために支払うことができるので、村を除去される前に勝利点に変換してしまえば、仮に村を除去されても資源ツークンを奪われることは防げます。

黄色の村に騎士コマがあれば、赤の騎士コマは侵入させることができません。山以外の場所にある村の除去を防ぐためには、その村に騎士を置いておく必要があるということです。

複数の色のコマが同じマスにいることもあります。たとえば、黄色の村に青の騎士コマがいたとしましょう。このとき、赤の騎士コマふたつを村のマスに移動させると、黄色の村と青の騎士の両方を除去します。赤プレイヤーは黄色プレイヤーの資源トークンをひとつ奪いますが、青プレイヤーからは奪えません。単に青の騎士コマは除去されるだけです。

また、赤の騎士コマをひとつだけ移動させたときは、単に赤の騎士コマがそこに置かれるだけです。黄色の村も青の騎士もそのまま残ります。

除去されたコマは、それぞれのプレイヤーのストックに戻ります。ストックに戻った騎士は「招集」で都市に置けますし、ストックの「村」は再度建設のときに使えます。ストックの数以上に騎士は招集できませんし、村や要塞も建設できません。

なお、山のマスにある村は除去できません。自分の騎士コマは、他のプレイヤーのコマがある山には侵入できないからです。

最期に、「探検」という方法で騎士コマをマップに出すことができます。この方法で出したときは、騎士をマップの端の任意のマスに騎士をひとつ置くことができます。ただしこの方法で騎士を置くときは、同時に自分のストックからひとつ騎士コマを箱に戻さなければなりません。つまり、使える騎士のコマの総数が減るということです。

誰かが「公爵」(一番右側の列)にコマを進めたら、そのラウンドの終了時に爵位ボード上の勝利点に、手持ちの資源に書かれた白い数字(勝利点)を加算し、合計の勝利点が最も多い人が勝利者(王)になります。資源トークンの勝利点によっては、爵位の低いプレイヤーが勝利することもあります。

ルールは概ねこんな感じです。

短時間で勝負が着く割にはガチな指向を要求されるゲームで、実力の差がはっきり出ます。初心者と遊ぶときは、使う都市コマや騎士コマを減らすなど、かなりのハンデを付けたほうがいいように思いました (勝利点に差をつける程度ではハンデにならない感じがします)。

自分の都市の初期配置は特に重要で、どこに置くかで半分くらい勝負が決まる感じがします。マップは「人数x9枚でランダムに作る」とありますが、マップの表を見ながれ作るとどうしても意識的に有利なマップを作ろうとしてしまいがちです。タイルをすべて裏向けてマップ状にしておいてから、あとで表に向けるなどの工夫が必要な気がしました。