まさかの時のボードゲーム: MTG Boardgame (2) ゲームの概要1

このゲームはターン制で、プレイヤー毎に5つのフェイズをプレイする。先手のプレイヤーが5つのフェイズを終えたらターン終了となり、次のプレイヤーのターンが始まる。こうして手番を繰り返し、いずれかのプレイヤーが勝利条件を満たした時点でゲーム終了となる。

ターンは以下の5つのフェイズで構成される。

  1. ドロー: 山札からスペルカードを1枚引く。
  2. アクティベート: アーミーカード1枚をアクティベートする。(スペルカードを使用する)
  3. 移動: アクティベートされたアーミーカードに対応する、任意の個数のフィギュアを移動させる。
  4. 攻撃: アクティベートされたアーミーカードに対応する、任意の個数のフィギュアで攻撃する。(スペルカードを使用する)
  5. ディスカード: 手札が7枚以上あれば、7枚になるまで手札を捨てる。

1. ドローフェイズ

スペルカードを山札から引く。山札が空ならカードは引けない。ただし、山札からカードが引けなくても、負けにはならない。

2. アクティベートフェイズ

アーミーカード1枚を指定して、アクティベートする。ここでアクティベートしたカードに対応する(盤上にいる)フィギュアだけが、能力を起動したり移動したり攻撃したりできる。

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アーミーカードというのは、この縦長のカードのことで、それぞれ対応するフィギュアがある。

プレインズウォーカー以外のフィギュアを盤上に出すには、このフェイズでプレイズウォーカーをアクティベートする必要がある。プレインズウォーカーをアクティベートしたときは、このフェイズの終了時に「任意の2つまでの」「自分のストックにある」フィギュアを、プレインズウォーカーから「視線が通る」「距離5以内の」マスに召還できる(「視線」については、後で説明する)。

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召還するときは、異なる種類のフィギュアを1体ずつ召還してもいいし、同じ種類のフィギュアを2体召還してもいい。1体しか召還しなくてもいいし、1体も召還しなくてもいい。視線が通ってさえいれば、プレインズウォーカーと高さの違うマスに召還したり、上の写真のように水の向こう側に召還してもいい。

ただし、プレインズウォーカーがいなかったり、プレインズウォーカーをアクティベートしていなければ、フィギュアを召還することはできない。また、フィギュアが自分のストックになければ、やはり召還できない。破壊されて墓地に置かれたフィギュアは召還できない(カードの能力で召還できることはある)。

アクティベートや召還が終了したあと、次の移動フェイズの前までの間に、スペルカードを使うことができる。スペルカードは、ひとつのターンに最大 3 枚まで使える。スペルカードの使い方については後述する。

3. 移動フェイズ

アクティベートしたカードに対応するフィギュアを、カードの「MOVE(移動力)」 の値だけ、1体ずつ移動させることができる。アーミーカードに対して、フィギュアが複数ある場合は、それらすべてを任意の順序で動かすことができる。移動させるときは、フィギュア1体を完全に移動させてから、次のフィギュアを移動させる。

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たとえば、このカードをアクティベートしている場合は、右上にある3つの対応するフィギュアを動かすことができる。右下に2体の別のフィギュアがあるけど、こちらはアクティベートされていないので、このターンに移動させることはできない。

ちなみに、召還されてすぐのフィギュアは通常は移動できない。なぜなら、フィギュアを召還するためにはプレインズウォーカーをアクティベートしているはずなので、召還されたフィギュアはそのターンにはアクティベートされていないからである。ここは分かりにくいところ。

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段差があるときは、1段登るために追加の移動力を1を消費する。逆に段差を落ちるときは、追加の移動力は必要ない。ただし、フィギュアの「サイズ」より高い段差を落ちると「落下ダメージ」を受ける。具体的にはダイスをひとつ振り、剣マークが出たら1ダメージ受けるという処理をする。

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フィギュアのサイズは、アーミーカードの左下に書かれている。この数字を超える段差を落ちたときは、落下ダメージの処理をする。また、このサイズを超える段差を登ることはできない。

障害物(壁)があるときは、それを通過することはできない。ただし、飛行しているクリーチャーなどで、段差や壁などを無視して移動できるものもいる。

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たとえば、このクリーチャーはアーミーカードに「段差、落下、障害物を無視する」とあるので、段差を登るように移動しても、追加の移動力を必要としない。また、障害物(壁)も無いものとして通過できる。

なお、すでに他のフィギュアのいるマスで移動を終了することはできない。

水の高さは -1 (陸地は 0 )である。そのため、陸地から水に移動すると「落下」したことになり、水から陸に移動すると段差を登ったことになる。ただし、水に「落下」したときは、どんな高さから落ちてもダメージを受けない。水のマスに移動したときは、そのマスで移動を終了しなければならない。

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たとえば、このニッサ君の移動力は 5 だけど、水が移動の途中にある場合、水に落ちた時点で移動を止めなければならない。つまり、赤の×印がある位置にはこのターン中に移動することができない。

水の中にフィギュアがいて、さらに隣接する水のマスに移動するときは、1マスだけしか移動できないことになる。水から陸に上がるときは、その後に続けて陸上を移動できる。

グリフ

グリフは、マップ上に置かれた黒いタイルのことで、このタイルの上にフィギュアを配置しておくことで、自軍に能力を付加する効果を持つ。グリフの上にフィギュアが移動してきたときは、ここで移動を終わらなければならない。

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グリフには高さはないので、グリフに「登ったり」グリフから「落下したり」ということは生じない。もちろん、グリフが段差の上や水の中にあるときは、水や段差による移動の制限は受ける。

移動の例

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実際にこのジェイス君を移動させてみよう。ジェイス君の移動力は 6 なので、同じ高さのマスであれば 6 マスまで移動できる。1段登るには1の追加の移動力を必要とし、水に落ちたりグリフに乗ると、そこで移動がとまる。障害物(壁)は通過できない。

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ということで、ジェイス君の移動できる範囲はこんな感じになる。同じ色の六角形のマスは、同じ移動力で移動できることを示している。

水に落ちるとそれ以上移動できないので、水のマスが2つ以上続いている場所には移動できない。グリフに載っても停止するため、グリフの先の水には入れない。障害物(壁)が置かれているマスには入れない。ただし、障害物を回りこむように移動はできる。マップの端から出るような移動もできない。

交戦状態(Engaged)

敵のフィギュアに隣接するマスに移動したとき、敵と高さが同じであれば「交戦状態(Engaged)になった」と言う。

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上の場合、A と B は同じ高さにいて、なおかつ隣接しているので「交戦状態」にある。一方で A と C は隣接しているけど、マスの高さが違うため「交戦状態」ではない。また B は A, D の二体と同時に接しているため、二体と「交戦状態」にあることになる。

交戦状態にあるフィギュアを、その交戦状態にある敵フィギュアから離れるように動かすと、敵から「追撃」を受ける。追撃は、ダイスをひとつ振って、剣マークが出たら1ダメージ受ける。

たとえば、上状態で A のフィギュアを右に動かすと、「交戦状態」にある敵の B フィギュアから離れるように動くので、その瞬間に A は追撃を受ける。二つの敵と「交戦状態」にある B のフィギュアが左に動くと、A, D の二体から離れるように動くので、これら両方の敵から追撃を受ける。

なお移動の途中で「交戦状態」になっても、移動をそのまま続けることができる。つまり、相手のフィギュアの横を通過するように動くことができる(離れるときに追撃は受ける)。また、接している敵から離れないように(敵の回りを回るように)移動する限りは、追撃は受けない。

自軍のフィギュアがいるマスを、他の(自軍の)フィギュアが通過することができる。ただし、交戦状態にあるフィギュアは通過することができない。

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たとえば、このような状態で移動力 5 の A のフィギュアを動かすとき、C のフィギュアを通過して Y のグリフまで移動することはできる。しかし、B のフィギュアは D と交戦状態にあるため、これを通過して X の位置のグリフに移動することはできない。

2マス以上に跨がるクリーチャー

クリーチャーの中には、2マス以上の大きさを持つものがある。こうしたクリーチャーは移動するときに、かならずフィギュアの前が通ったマスを、後ろが次に通らなければならない。

2マス以上あるフィギュアを回転させる(前後を入れかえる)ときは、移動力を消費せずに回転させられる。つまり、いつでも回転させることができる。敵に接している状態で向きを変えても、追撃ダメージは受けない(フィギュア自体は離れていないので)。

段差も、普通のフィギュアと同様に登ることができる。ただし、異なる高さに跨るようにフィギュアが置かれた状態で、移動を終了することはできない。移動する途中に、異なる高さの段差に跨がるように移動するのは問題ない。このとき、「前」が段差を登るときに追加の移動力が必要になる。落下は、前と後ろの両方が「落ちた」ときに生じる。

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2マス以上に跨がるフィギュアは、前と後ろの両方が水に落ちない限りは、水によって移動を強制終了させられない。陸地を隔てる水のマスがひとつしかなければ、2マス以上になたがるフィギュアは、そこを陸地であるかのように通過するように移動できる。ただし、移動終了時に段差を跨るようには停止できないため、半分だけ水のマスに載ったような状態で移動を終了することはできない。

また、「前」と「後ろ」の両方が水に落ちたら、その時点で移動を終了しなければならない。そのため、上の右側のように水のマスが2つ以上続く場所では、水に落ちて止まることになる。


移動についてはだいたいこんな感じ。移動に関しての特殊ルールが、アーミーカードに書かれていることもある。また、追加の移動をできるようにするスペルカードもある。

召還に関してはルールブックの記述が曖昧であり、英語圏でもずいぶんと解釈について議論になっていた。youtube の動画でも3体召還している動画や、6体召還してる動画などもある。しかし、結論としては「任意のフィギュアを2体まで召還してよい」という解釈に落ち着いたようだ。実際、6体とか召還できたら先手めっちゃ有利になるので、公式からコメントが無い限り、MML ではこの解釈を採用する。

まさかの時のボードゲーム: MTG Boardgame (1) 準備編

このゲームは、六角形のマスで区切られたマップの上で、自軍のクリーチャーのフィギュアを動かしたりスペルカードを使って、対戦相手のクリーチャーやプレインズウォーカーと戦うゲームである。2人プレイの場合は相手のプレインズウォーカーを倒せば勝利となる。3人以上の場合は、バトルフィールドによって勝利条件が異なっている。

準備

選んだバトルフィールドによって、組み立てるマップが異なっている。下の写真は、最初のバトルフィールド「The Duel」用に組み立てたもの。

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バトルフィールドを組み立てたら、各プレイヤーは、緑、赤、黒、青、白のうちからのひとつの色を選ぶ。そして、その色に対応するフィギュアとカード(スペルカード、アーミーカード)を受け取る。

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縦長のカードが、盤上のユニット(フィギュア)の能力を示す「アーミーカード」で、TCGサイズのカードが戦闘時などに使うとさまざまな効果を発揮する「スペルカード」。

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フィギュアはこんな感じ。各色ごとにひとつだけ着色済みのフィギュアがあり、それが「プレインズウォーカー」のフィギュアになっている。これが倒されてしまうと敗北となる。上の写真では、分かりにくいけど、左上のフィギュアがプレインズウォーカーのニッサ。

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アーミーカード(縦長のカード)は、自陣に表向けに置いておく。それぞれのアーミーカードに対応するフィギュアも自軍に置いておく。

ただし、プレインズウォーカーのフィギュアだけは、バトルフィールドの上に配置しておく。配置できる位置は、バトルフィールドによって決まっている。たとえば「The Duel」では、自軍側のフィールドの一番橋のマスのいずれかに置くことができる。

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スペルカードは、裏向きに束にしてシャッフルしてデッキとし、自軍に積んでおく。デッキから 3 枚引いて最初の手札とする。マリガンのルールはない。

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ダイスやマーカーなどは、いずれのプレイヤーも取れる位置にまとめて積んでおく。そして、使用しているバトルフィールドに対応したルールブックのページを開き、ターンマーカーを1のところに置く。

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最後に、手番を20面ダイスを振って決める。これでプレイの準備は終わり。