まさかの時のボードゲーム: A Game of Thrones LCG [second edition] (2) 多人数戦ルール

3人以上でプレイするときも基本的なルールに変更はないが、「称号カード(Title)」というものを使う。称号カードは、コアセットには 6 枚含まれている。ゲーム中では、策略カードを選ぶ plot フェイズで、この 6 枚から 1 枚をランダムに選んで使う。

制約とボーナス

称号カードには、挑戦できない相手、挑戦に勝つとボーナスがある相手、特殊能力、などが書かれている。称号カードに書かれている共通の制約およびボーナスとして、以下の二つがある。

  1. Support: この項目に書かれた称号を持つプレイヤーに「挑戦」することはできない。
  2. Rivals: この項目に書かれた称号を持つプレイヤーに「挑戦」で勝つと(攻撃側でも防御側でもよい)、勝利点 1 を追加で得られる。ただし、このボーナスは 1 ターンに 1 回しか得られない。

なお、制約やボーナスがない称号もある。

称号カード

称号カードは裏面が青色で、通常デッキに入れるカードとは区別されるようになっている。

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Crown Regent: 一番左のカード。他のプレイヤーが「挑戦」を行なったとき、1ターンに1回だけ、Crown Regent の称号カードを持つプレイヤーが選んだ任意の相手に「挑戦」するよう強制する能力を持っている。また、Dominant フェイズで STR と金貨の合計値に 2 を加えることができる。

なお、Crown Regent は Support, Rivals のいずれについても指定されていない。

Master of Laws: 中央のカード。Marshaling フェイズで得る金貨が +2 される。

Master of Coin: 右のカード。Draw フェイズに手札を追加で 1 枚引く。Taxition フェイズで手札の上限が +1 される。

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Hand of the King: 左のカード。「権力(王冠)」の挑戦をするとき、合計の STR に +1 できる。また「戦闘」したときは、同じフェイズに別の相手に対してさらに「挑戦」してもいい。ただし、同じ相手に2回の戦闘はできない。

Master of Ships: 中央のカード。「戦闘(剣)」の挑戦をするとき、合計の STR に +1 できる。「戦闘(剣)」の挑戦中、策略カードの Claim の値に +1 できる。

Master of Whispers: 右のカード。「陰謀(目)」の挑戦をするとき、合計の STR に +1 できる。「陰謀(目)」で勝利したときは、勝利によるボーナス(手札を捨てされること等)を、勝利した相手以外の任意のプレイヤーにも適用していい。

実例

4人プレイで、称号カードを1枚ずつ引いたときの関係(一例)を図示してみた。

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たとえばこんな感じになる。Rivals 関係は双方向だけど、Supports 関係は片方向になっている。

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Supports/Rivals がない Crown Regent がいると、こんな感じになる。Master of Laws が袋叩きに合いそうな未来が見えるが、Crown Regent は称号カードの制約を無視して、挑戦先の相手を変更できるので、采配次第では違った未来になるかもしれない。

こんなふうに、バトルロワイアルでよくある、特定の人が不条理に袋叩きにあうようなことは、ある程度ルールで抑制されるようになっている。まあ、それでも結託されたら袋叩きにはあうわけだけど・・・


だいたいこんな感じかな。多人数でやると、かなり広い机がないとカード置けないかも。最低でも自分の場に 15 枚くらいのカードを並べるスペースがいると思う。

まさかの時のボードゲーム: A Game of Thrones LCG [Second Edition] (1) 概要

A Game of Thrones LCG second edition は、「策略デッキ」と「通常デッキ」の二つの構築済デッキを使い、ゲーム全体に影響を与える「策略カード」と、戦闘や陰謀を実行する「人物カード」を駆使して、誰よりも早く勝利点(権力/power)を 15 点獲得したプレイヤーが勝つ、というカードゲームである。first edition との間に互換性はないが、ルール自体はおおむね踏襲しており、複雑なキーワードや要素の整理、プレイ手順のシンプル化などが行なわれ、より遊びやすくなっている。

ちなみにこのゲームは、この手のデッキ構築型対戦ゲームとしては珍しく、最初から 3 人以上でのプレイを想定して設計されている。3人以上でプレイするときには、2人プレイのルールにはない「称号(Title)」という、プレイヤーの役割を表わす要素が追加されるため、2人プレイとは違ったプレイ感になる。

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勝利点の獲得方法

勝利点は、各ターンの終了時にアンタップ状態 (このゲームでは正式には Kneeled/ひざまづいた状態、という)になっている「人物カード(Character)」に書かれた STR 値の総量+手持ちの金貨の数が、他のプレイヤー全てを上回っているときに、獲得することができる。「人物カード」は各ターンに攻撃や防御、陰謀などを実行するときにはタップする必要がある。だから、イメージとしては「各ターンの戦闘や陰謀などで疲労してない(ひざまづいてない)人物の権力と、自分の財力の合計が一番高ければ、そのターンの権力闘争に勝利したことになって、勝利点が得られる」という感じだと思う。

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これが人物 (Character) カード。左上の数字のところに Character と書かれている。人だけじゃなくて、動物(魔物?)だったりすることもある。左の中段に書かれた数字が、権力闘争や戦闘時に参照される STR (Strength) という値である。ちなみに左上の数字は、カードを場に出すときに必要な「コスト」を表わしている。

勝利点を得る方法は他にもあるけど、基本的にはこのターン終了時のアンタップ状態(kneeled)の人物カードの STR と金貨の合計値によって、ポイントを獲得する方法がメインになる。だから、高い STR を持つ人物カードや、金貨がたくさん得られるカードを自分の場に並べ、対戦相手の人物は戦闘や陰謀などで除去したりタップさせたりして、自分だけ多くの人物カードがアンタップ状態で残るようにする、というのが最も基本的なプレイ戦略になる(多分)。

なお、デッキからカードが引けなくなったプレイヤーは、その時点で即座に敗北する。

ざっくりとしたゲームの流れ

ゲームはターン・フェイズ制で、各プレイヤーが順番に手番をプレイする。手番は Magic the Gathering のようなターン毎の切り替えではなく「フェイズ毎」に各プレイヤーが順番に手番を実行する。

ターンは、次のフェイズで構成される(2人プレイの場合)。

  1. Plot:「策略デッキ」から「策略カード」を 1 枚選んで、全員で一斉に場に出す。
  2. Draw: 「通常デッキ」から手札を2枚引く。
  3. Marshaling: 場の状態に応じて金貨を得た後、手番順に、好きなだけ場にカードを出す(出さなくてもいい)。
  4. Challenges: 手番順に、「戦闘」「陰謀」「権力闘争」のいずれかの挑戦を実行する(しなくてもいい)。
  5. Dominance: アンタップ状態の人物カードの STR と、手持ちの金貨の合計値が最大のプレイヤーが、勝利点を得る。
  6. Standing: すべてのカードをアンタップする。
  7. Taxiation: 残った金貨と余計な手札を捨てる。

これを繰り返して、いずれかのプレイヤーが 15 点獲得するか、あるプレイヤー以外の全員のデッキが空になったら、そのプレイヤーが勝利者となる。

以下、各フェイズを実際の例を通して説明してみる。

Plot: 策略カードを選ぶ

ターンの最初に、それぞれのプレイヤーは自分の「策略デッキ(Plot Deck)」を見て、裏向きに場に出す。全員が出揃ったら、一斉に表を向けて確認する。必要に応じてカードに書かれた効果を適用する。策略カード(Plot)の多くは、ターン中の自分のプレイを有利に進めるための効果を持っている。

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出したカードに書かれた菱形のマーク内の数値(Initiative)が大きいプレイヤーが、このターンのフェイズで先に手番を実行する(優先権を得る)。上の例では、手前のプレイヤーのカードのl Initiative のほうが大きいので、手前側のプレイヤーが手番を先に実行できる。

なお、2 ターン目は、策略カードは前のターンに出したカードの上に置く。一番上にある策略カードが今のターンで有効になる。策略デッキが空になったら、捨札の策略カードをシャッフルして、再び「策略デッキ」として使う。

Draw: カードを2枚引く

各プレイヤーは「通常デッキ」から2枚カードをひく。このとき、デッキが空になると即座に敗北してしまう。

Marshaling: カードを場に出す

コストを払って、手札のカード(Character, Location, Attachment)を場に出せる。コストはカードの左上に書かれており、場に出すには数字分だけの金貨を払う必要がある。コスト 0 なら、金貨を払わずに場に出せる。ただし、Limited とテキスト欄に書かれたカードは、コストに関らずひとつのターンに 1 枚しか出せない。

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これは人物(Chracter)カード。これらのカードを主に使って、権力闘争を行なう。

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これは場所(Location)カード。ゲームを有利に進めるための、補助的な能力を持つことが多い。

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これはアタッチメント(Attachment)カード。他のカードに「付ける」カードで、能力を増強したり、付けたカードに新たな効果を付与するものが多い。

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このイベント(Event)という種類のカードは、場には出せない。使えるタイミングが書いてあり、そのタイミングで使う(コストを払って捨札にする)ことで、さまざまな効果を得られる。

Challanges: 戦闘、陰謀、権力(闘争)のいずれかを実行する

人物カードには、剣(赤)、目(緑)、王冠(青)のアイコンが書かれており、対応する「挑戦(Challange)」に使うことができる。各闘争に勝利することで、次の効果が得られる。

  • 剣(赤)/戦闘: 相手の場の人物カードを X 枚選び、捨札にする。
  • 目(緑)/陰謀: 相手の手札をランダムに X 枚選び、捨札にする。
  • 王冠(青)/権力: 相手の勝利点を X 点奪う。

X は、自分が出した「策略カード」に書かれた Claim 値(一番右の銀色の六角形に書かれた数字)になる。つまり、この値が大きな策略カードを出せば、挑戦に勝利したときに大きな効果を得ることができる。

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たとえば上の人物カードでは、「戦闘」に使えるのは中央と右のカード、「陰謀」に使えるのは左と中央のカード、「権力闘争」に使えるのは一番左のカードだけ、ということになる。

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では、実際の「挑戦」の例を示そう。

2人プレイで、それぞれの場が上の状態になっていて、手前のプレイヤーに優先権があるとする。つまり、先に「挑戦」できるのは、手前のプレイヤー側である。

手前のプレイヤーは「陰謀(緑)」を実行することにし、陰謀に参加させる人物として一番右のカードを使うと宣言した。このとき、参加させた人物カードはタップする必要がある。

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この宣言に対し、奥側のプレイヤーは防御に使う人物を選ぶことができる。しかし、奥側のプレイヤーの場には緑のアイコンを持つ人物がいないので、防御することができない。そのため、防御しないことを宣言した。

この「挑戦」の結果、手前側プレイヤーの「陰謀」が成功して勝利となった。手前側のプレイヤーの「策略カード」の Claim 値は 1 なので、奥側のプレイヤーはランダムに1枚、手札から捨てなければならない。

さらに、防御側に人物カードがいない場合は、挑戦に勝利したプレイヤーは無条件で勝利点を 1 点得るというルールがある。このルールが適用され、手前側プレイヤーは 1 点を得た。

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さて、手前側プレイヤーの「挑戦」が終わったので、次は奥側のプレイヤーが「挑戦」できる。奥側プレイヤーは、右から2枚の人物カードを使って「戦闘(赤)」の挑戦を実行することにした。使用する二枚の「人物カード」をタップする。

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これに対し、手前プレイヤーは真ん中の人物カードを防御に充てることにした。右のカードも赤のアイコンを持っているが、すでに先の「挑戦」で使用してタップ状態になっているので、この防御のタイミングでは使うことができない。防御に使用する人物カードも、やはりタップする必要がある。

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ここで、攻撃側(奥側)の人物カードの STR の合計値は 3+4 = 7 であり、手前側の人物カードの STR の合計値は 3 なので、この「挑戦」は奥側のプレイヤーが勝利となった。奥側のプレイヤーの出した「策略カード」の Claim 値は 1 なので、負けた側の好きな人物カード 1 枚を、捨札にすることができる。選ぶ人物カードはどれでもよく、防御に参加してない人物カードでも捨札にできる。そこで、一番左のおねいさんのカードを選び、捨札にすることにした。

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なお、この「戦闘」では、防御側は防御の人物を選んたとしても「挑戦」に負けることは目に見えていたので、防御したことが一見無駄に見える。しかし、防御することにより「防御されなければ無条件で1勝利点を得る」ルールで相手が勝利点を得てしまうことを阻止できている。だから、ここで防御したことは無駄にはなっていない。

Dominance: STRと金貨の合計値が一番大きいプレイヤーが勝利点を得る

挑戦の結果、奥側のプレイヤーには STR 5 をもつ人物カードがアンタップ状態で残り、手前のプレイヤーにはアンタップ状態の人物カードは一枚もない。互いに金貨は一枚も持っていないため、このターンの権力闘争は奥側のプレイヤーの勝利となる。これによって、奥側のプレイヤーは1勝利点を得る。

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Standing: カードをアンタップする。

場に残っているカードをすべてアンタップ(Standing)する。

Taxition: 残った金貨を戻し、余計な手札を捨てる。

この時点で残っている金貨があれば、すべて共通のストックに返す。手札は「策略カード」の右下に書かれている枚数を越えているとき、越えている枚数分だけ捨札にする。

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たとえば、この策略カードなら手札が 6 枚を越えていたら、越えている枚数分だけ捨てなければならない。

ここまでやってターンは終了となる。勝負がついていなければ、次のターンの策略カードを選ぶフェイズから始める。

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2人プレイでのターン終了時の見た目はこんな感じ。


だいたいこんな感じ。カードに書かれたテキストによって、起こる効果は上の例では無視している。実際には、カードを配置するときや、「挑戦」するときにカードの効果を使うことで、ゲームを有利に進めることもできる。