MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「真珠の達人」「尊いラマスー」


真珠の達人/Master of Pearls

真珠を大量に投げると、なぜか味方クリーチャーが +2/+2 されるという謎のクリーチャー。真珠にそんな効能があるのかと思って調べてみたら、真珠槍の急使/Pearlspear Courierに似たような能力があるくらいで、他の「真珠」なカードはあんまり関係がなかった。この「真珠」とは「白を意味する宝石」という位置付けで扱われているようで、例えばMox Pearl とか真珠の破片/Pearl Shardのような白いアーティファクトの名前に使われたりしている。なので、真珠の達人というのは単に白いクリーチャーの達人というくらいの意味のようにも思える。しかし、そういう扱いの割には「真珠(Pearl)」という単語の付くカードは少なくて、これを入れても 10 枚ほどしかなかったりする。似たような扱いのものに「象牙」があるけど、こちらも 10 枚ほどしかカードはなかったりするので、このあたりの単語のイメージはあまり固まってないようだ。

カード的には、序盤に引いたら表向きに出して普通に殴り、中盤以降なら裏向きに出してフィニッシャー的に使う、みたいなことができるので、単純な 2/2 クリーチャーよりは腐りにくそう。でも変異のコストが高すぎるので、これをわざわざ入れた構築デッキを組むかというと難しい感じ。変異コストを簡単に踏み倒せるようになったり、背教/Backslideみたいな再利用できるカードが出たら、どこかに出番があるのかも。とりあえず、絵は綺麗だからモンクなデッキを組むなら(絵的に)必須だよね。


尊いラマスー/Venerable Lammasu

5/4 飛行と、白のわりにはやや頭でっかちなクリーチャー。5/4 飛行で白単色のクリーチャーは、過去には守護天使アヴァシン/Avacyn, Guardian Angelしかいない。アヴァシン君はダメージ軽減能力がついた 5/4 飛行、警戒で、トリプルシンボルの 5 マナ。一方こちらはサイズは一緒で飛行だけついて、白マナは 1 つだけど 7 マナ。色の濃さは違うものの、レアとアンコモンで結構な能力差がついている感じ。リミテッドなら普通にフィニッシャーになれそうだけど、構築では種族ボーナスみたいなものでもつかない限りは、なかなか出番はないかもしれない。

ところで、このラマスーという種族は、これと狩り立てられたラマスー/Hunted Lammasuしか存在していない。いずれも白い大きめの飛行クリーチャーで、羽根のついた水牛みたいな見掛けをしている。ちなみにラマスーとは・・・とか偉そうに書こうとしたら、すでに MTG Wiki のラマスーの項目に、これ以上書くことないくらい詳しく書かれてたのでパス。いやー、いつもながら偉い人はいるもんですよね。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「灰雲のフェニックス」「焼き払い」


灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix

フェニックスといえば何度でも墓地から甦ることができる、再生より強力な復活能力と、燃えさかる大鳥の格好いい絵、という恵まれた組み合わせにもかわらず、なぜか MTG の世界ではそれほど活躍できてないという印象がある(注1)。今回の絵はいつにも増して格好良さが増大している気がするものの、はたして実戦でどこまで活躍できるだろうか。とりあえずリミテッドでなら普通に活躍できそうだけど、神話レアだし・・・。先輩の神話レアの炎輪のフェニックス/Flame-Wreathed Phoenixは、それでもリミテッドでそこそこの成績は残してはいる一方で、やはり構築ではなかなか難しかったようだ。

墓地から戻る能力がかなり強力なせいで、コストが高めに設定されているところにフェニックスの辛さがある気もする。まあ、あまり安いとゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabobみたいなことになるからだろうけど。直接ダメージを繰り返し与えられる能力も地味に強いものの、表に向けるのに 6 マナかかる上に、裏向きで死亡してしまうと復活できないという隙の大きさに、使い方の難しさがありそう。ちらつき/Flickerのような変異コスト踏み倒し系のカードと組合せるのかなあ。そういったカードはスタンダードならいくつかあるけど、今のところタルキールのカードには無いから、ブロック構築erには今後のお楽しみということだろうか。


焼き払い/Burn Away

クリーチャーに火をつけて破壊した上に、墓地にそのまま投げこんで全てを焼き払ってしまう極悪非道なカード。裂け木の恐怖/Splinterfrightあたり、よく燃えそうだよね。ゾンビ関連のデッキもよく燃えそう。探査デッキもよく燃える。タルモゴイフ/Tarmogoyfとかルアゴイフ/Lhurgoyfは微妙に燃え残る感じ。

ちなみに、赤単色で相手の墓地だけ吹き飛ばすカードはこれまでには無かったらしい。全員の墓地を吹きとばす(墓地以外も激しく吹きとばす)カードなら、滅殺の命令/Decree of Annihilationとか世界火/Worldfireなんてのがある。これらは墓地対策というより、いつもの赤のスーパーリセット系のカードで、用途は全然違うよね。あと似たようなカードでは、土地カードだけ追放できる泥穴/Mudholeくらいしかない。墓地を吹き飛ばすカードは黒とか白に多かったのに、ここにきて何故か赤単色でこういうカードが出てきたというのは何かの変化の予兆なのか、火力にちょっとした(相当な)オマケを追加しただけなのか、ただのデザイナーの気紛れなのか、気になるところ。


MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「神秘の痕跡」「頭巾被りのハイドラ」


神秘の痕跡/Trail of Mystery

山火事のようにしか見えないけど、神秘の痕跡らしい。このカード、絵も効果も一見地味っぽく見えるわりには、強そうなオーラを感じる。というか、普通に強くない? クリーチャーを連打してるだけで、土地を手札に補充しつつライブラリーを圧縮できて、しかも 2 マナと序盤から出せる軽さ。これだけでも使えそうなのに、おまけに変異で表向きにすると +2/+2 がついてくるとか、神秘にしてもかなりの出血サービスという気がする。そして、複数枚並べても腐らないという優秀さ。これは使うしかない。軽量or変異クリーチャーを並べたてながら土地を伸ばしていき、ファッティを出してトドメを刺すという緑らしいデッキが組めそう。

将来的にドライアドの東屋/Dryad Arbor生けるものの洞窟/Zoetic Cavernみたいな土地かつクリーチャーみたいなのが沢山追加されたら、探検/Explore迷える探求者、梓/Azusa, Lost but Seekingムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Dayaあたりと組ませて、じゃかじゃかクリーチャーを出しながら、どんどん土地を引くみたいなデッキが組めたらいいなあ(注1)。


頭巾被りのハイドラ/Hooded Hydra

ハイドラって MTG の世界では多数の首をもつ大蛇的な扱いという感じだけど、首を実際に蛇っぽくしてみると思った以上に違和感があるなーという、どうでもいいことに気がついたカード(注2)。というか、コブラっぽいエラがよくないのか。最初見たときに、一瞬キノコかと思ったくらい。しかものこのハイドラ、体が哺乳類というか象とか馬みたいな感じで、さらに違和感が高まっている。もちろん、過去にも蛇かつハイドラなんてカードは存在してない。むしろ、ハイドラは蛇じゃないよということを明言するために作られたカードだったりして。

カード的には、地割れ潜み/Chasm Skulkerを自分で最初からカウンターを置けるようにしつつ、変異で固定数のカウンターが載るようになった感じ。あとから強化はできなくなったけど、最初の時点で自由にカウンター数を選べるのは良い感じ。場面に応じて小さく出すこともできるし、裏向けておいて中盤に 5/5 に化けさすこともできる点で使い勝手はよさそう。1/1 トークンをばらまく能力は、死んだあとにそれぞれの首が分裂して蛇になるというイメージだよね。ハイドラならそういうのありそうなのに、意外にもこれまでには存在してなかった。イカと同じでいろいろなコンボのパーツとしてひっそり(?)活躍しそうな気はする。


  • (注1) そんな日がくるかは不明
  • (注2) この世でのヒドラ刺胞動物という分類らしい。