MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「奈落の総ざらい」「死滅都市の悪鬼」


奈落の総ざらい/Empty the Pits

プリントミスで X がひとつ多いんじゃなかろうかと、一瞬思ったカード。忌むべき者の軍団/Army of the Damned と比べて、いいところがあんまりない。黒 4 マナだけで 2/2 ゾンビをゾロゾロ出せる可能性はあるけど、そもそも黒4マナが出せるようになったくらいじゃ、墓地に大量のカードが落ちているはずもない。インスタントなので相手のターンエンドに使えたりするのは良いとしても、ゾンビはタップ状態で出るわけだし、インスタントのメリットがかなり減ってしまってる。真夜中の儀式/Midnight Ritual と比べても、追放するのがクリーチャーカードでなくてもいいというメリットよりも、デメリットのほうが大きすぎる感じ。リミテッドで使おうにも色が漉すぎて辛いし、そもそも神話レアだから見掛けること自体少なさそうだし、いったいこれはどうしたらいいのだろうか。

バベルっぽいデッキを組んで、心の傷跡/Traumatize とかで大量のカードを墓地に落として、ゾンビの大軍団を出してみるくらいしか思いつかなかった。それとも、このあと「探査でカードを1枚追放したとき、各カードは1ではなく2を支払う」みたいなエンチャントが出てくるとか。それならかなり強いかも。というか、下のカードも探査つきにしては随分重いし、何かそういうカードが出るという予言だったりして。


死滅都市の悪鬼/Necropolis Fiend

これまた重い、探査つきデーモン。4 枚くらい追放して、5 マナで 4/5 飛行が出たら何とか、というくらいだろうか。マイナス修正を与える能力は強力だけど、こいつの呼出しで墓地のカードを使いきってしまって、能力は実質的にあんまり使えなさそうな雰囲気がある。この能力は XXT くらいにしといて、こっちも墓地のカードの追放で 1 払える、くらいだったら良かったのになー。カードを追放しないと全く能力が使えないのでは、あまり使い勝手がよくない。上でも書いたけど、探査に何かのボーナスを付けるカードでも出ないと、リミテッドですら重めの 4/5 飛行クリーチャーという以上の活躍はできそうにない感じはする。いや、きっと何かあるに違いない(願望)。

このデーモン、死滅都市(Necropolis)と名前に入っているけど、赤マナや青マナを使う能力はもっていない。なので、崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis とは関係がないらしい。どちらかというと、アーティファクトクリーチャーの Necropolis が探査っぽい能力をもっているので、こちらのほうがまだ近いのかもしれない。ちなみに Necropolis という名前が入ったクリーチャーカードは、これら以外には 死滅都市の執政/Necropolis Regent という吸血鬼しかいない。さすがに死滅した都市だけあって、住民は少ないと見える。この吸血鬼は、このデーモンとは違って探査っぽい能力はない代わりに、+1/+1 カウンターを置く能力をもっている。この能力も、 方向は違うけど Necropolis の +0/+1 カウンターを置く能力と微妙に符号しているよね・・・というか、崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis はアラーラの友好 3 色を出す土地だし、タルキールのテーマとはずれてるから関係ないよね(?)。はたして、こういったところはどこまで考えてデザインされてるのだろうか・・・。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「賢いなりすまし」「ケルゥの呪文奪い」


賢いなりすまし/Clever Impersonator

クリーチャーではないパーマネントのコピーにもなれる、相当に芸達者な多相の戦士。カードタイプの異なるもののコピーになれる、かなり珍しいカード。微妙にルール破壊系のカードで、MTGO の実装者をいろいろ苦しめそうなカードではある。何かすごいことが起こるかもしれないから、とりあえず4枚集めとけ的なカードなことは間違いない。

他のカードタイプのコピーになれる過去のカードを探してみたところ、アーティファクトのコピーになれるエンチャントの Copy Artifact、条件付きでクリーチャーになれる 多相の戦士の真髄/Shapeshifter’s Marrow くらいしか見つけられなかった(注1)。アーティファクトのコピーになれるクリーチャーとしては、ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph、彫り込み鋼/Sculpting Steel などがあるけど、いずれもアーティファクトカードでもある。エンチャントのコピーになれるカードとしてもエンチャント複製/Copy Enchantment があるけど、これも元々エンチャントだし。そして、 プレインズウォーカーのコピーになれるカードは他にはない。まあ、Magic 2014 までは、プレインズウォーカーのコピーになる意味があんまりなかったかからだろうけどね。このカードが悪さをしなければ、今後似たようなカードが出てくるのかも。


ケルゥの呪文奪い/Kheru Spellsnatcher

虚空魔道士の弟子/Voidmage Apprentice と 呪文乗っ取り/Spelljack を合成したようなカード。相手に使われると、すごく嫌な気分になることは間違いない。意味深に裏向けに設置しておき、どこかのゲームのように「発動」とか言いながら呪文を打ち消された挙句、その呪文をコピーして使われた上に 3/3 クリーチャーが相手の戦場に残るとか、どう考えても気分がよくない。

ブロック構築くらいなら、青いデッキに入ってきそうな感じがする。ただ、スタンダード使うには重すぎる感じはある。ソーサリーのタイミングで 3 マナかけて設置しないといけないし、打ち消すのに 6 マナ使うというのはさすがに重い気がするんだけど、どうなんだろう。コントロール系のデッキはあいかわらずよくわからないのよね・・・相手ターンの終了時に設置できたり、4 マナくらいで変異できたり、残るクリーチャーが 4/4 飛行だったり、くらいなら確実に入ってきそう。でも、残念ながら(幸運なことに?)そこまで強力ではなかった。刹那呪文が乱舞するようになれば、何枚か使われる・・・のかなあ。


注1: コピーのトークンを出すカードは沢山ある。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「龍語りのサルカン」「火口の爪」


龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker

今回はこれまでと違って、ちゃんと身形をととのえてきたサルカン君。
ばさばさの髪ボロボロに見えるはだけた服も野蛮人みたいな杖も、強さとは無関係と悟ったのかやめたらしい。活躍したジェイス君を見慣らってか、目から何かを出してみたりと、なかなかの変貌ぶり。野山を放浪しているおっさんから、怪しい宗教家くらいには進化した感じ(注1)。

もちろん見た目だけでなく、能力も改めてきた。とりあえず、5マナで 4/4 飛行かつ速攻で破壊不能なドラゴンが出てくるのは、結構な事件という気はする。2体並べられないのは残念ではあるものの、このポテンシャルなら1体でも十分に殴り勝てそう。2番目の能力も十分強力だし、ブロック構築だけじゃなくてスタンダードでも(今回こそは)各地で採用されるんじゃなかろうか・・・赤いデッキが使われれば。ブロック構築では特に多色が推進されそうなので、たとえ赤がメインとならなくても、赤いカードが入る隙間くらいはどこかにあると信じたい。多色で色マナ2つはどうかというところだけど、この能力なら入るんじゃないかなー。ていうか、何げにドラゴンになるカードだったりするから、ドラゴンブリーダーとしては集めないといけないのか??


火口の爪/Crater’s Claws

絵と能力的に Lava Brust を思いだした。どちらも X 火力で、火口から出てくる火柱というシチュエーションが似ている。ただ、Lava Brust のほうが名前的に流れ出る溶岩がダメージ源ぽいのに対して、このカードは火口から直接燃えさかる手(?)が出てきて、その手がダメージを与えるらしい。マナの量によって、手の大きさが変わるということだろうか。でも、パワー 4 以上のクリーチャーがいると、なぜか手のサイズがでかくなるというメカニズムはよくわからない。ティムールでは、元気玉のようにクリーチャーからパワーを集めることができるらしいけど、パワーを使ってクリーチャーでないものも強化できるというのは、どういう仕組みなのか気になるところ。

何にせよ、2点のおまけの付く X 火力。素で撃っても十分強いし、2点のおまけ付きなら相当強い。まあ、真面目なカードの能力分析は、公式記事や他でも書かれてるので割愛・・・。ブロック構築の赤いデッキには何枚かは入ってくると思う。ブロック構築用として 4 枚集めておきたい感じ。


注1: 何げに荒野の後継者によくにてる。実は弟?