まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (13) プレイ例の解説 -ターン18〜24-

ターン開始直前のランナー陣営の状態を示しておく。

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プログラムのリグ(場)には、バリアーテイプのサブルーチンをブレイクできる、アイスブレイカーの 《バタリング・ラム/Battering Ram》 と、種類を問わずブレイク可能な 《クリプシス/Crypsis》 が出ている。また、アイスブレイカーではないプログラムとして、1 ネットダメージを妨害できる 《ネット・シールド/Net Shield》 が出ている。

ハードウェアのリグ(場)は、メモリユニットを 1 増やす 《アカマツ・メモリーチップAkamatsu Mem Chip》 が出ている。この効果で、ランナーのメモリユニットは 5 となっている。現状のプログラムのメモリコストの合計は 4 なので、あと 1 のメモリユニットを使用することができる。

リソースのリグ(場)には、場のカード1枚を捨てて 3 クレジットを得ることができるユニークカードの 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 と、6 回までの制限つきながら 1 クリックで 2 クレジット得られる 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 があり、後者のカード上には 6 クレジットが残っている。

以上のような状態で、ランナーのターンを開始する。

ターン18: ランナー

最初の 1 クリックで 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 から 2 クレジット取った。

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次の 1 クリックで《個人的調整/The Personal Touch》というハードウェアをインストールすることにした。このカードはこれまでにインストールしたカードと違って、他のアイスブレイカーの上にしかインストールできないという制約がある。今回は、このカードを 《クリプシス/Crypsis》 の上にインストールした。これにより、 《クリプシス/Crypsis》 は強度が 0 から 1 になった。

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3 クリック目は、今強化した 《クリプシス/Crypsis》 にウィルスカウンターを 1 つ載せた。

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そして 4 クリック目は、アイス 4 枚に守られる強固な遠隔サーバ 1 に対してランを宣言した。

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コーポレーションは、1 枚目のアイスをレゾした。これは 《データ・マイン/Data Mine》というアイスだ。レゾコストは 0 なので、クレジットを払うことなくレゾできる。アイスの種類は Trap であり、強度は 2、ランナーに 1 ネットダメージを与えるサブルーチンをもっている。

これに対して、ランナーはブレイクしないことを選択したため、コーポレーションは 1 ネットダメージを受けるサブルーチンを起動させた。しかし、ここでランナーは 1 クレジット使用して、《ネット・シールド/Net Shield》の能力でダメージを防ぎ、ダメージを無かったことにした。

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このゲームは、他の対戦型カードゲームのような「スタック」に相当する概念がなく、あらゆるカードの能力は基本的に「即座に解決される」という原則がある。ただし例外があり、「妨害する (Prevent)」と書かれた能力については、妨害の対象となる能力が使用されたときに限り、その能力を妨害する形で起動することができる。《ネット・シールド/Net Shield》の場合は、そのターンの最初のネットダメージを妨害することができると書かれているので、そのタイミングでのみ起動することができるわけだ。(昔の Magic the Gathering にあった「インタラプト」に近い)

さて、こうして《データ・マイン/Data Mine》のサブルーチンの効果を無効化し、ランナーは 1 つ目のアイスを突破することに成功した。コーポレーションは 《データ・マイン/Data Mine》 のサブルーチンの効果を適用し、このカードをトラッシュした。ランナーはランを継続することとした。

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二つ目のアイスについて、コーポレーションはレゾしてきた。これは 《チャム/Chum》 というアイスで、種類はコードゲート、強度は 4、レゾコストは 1 である。「次に遭遇するアイスの強度を +2 し、そのアイスを突破できなかったときは 3 ネットダメージを与える」という、これまでとは少し違うサブルーチンを持っている。このアイス単独では防御能力はなく、これよりサーバ側にアイスが無い場合(1つ目のアイスであるとき)は、サブルーチンをブレイクせずとも事実上突破されてしまう。しかし、2枚目以降にこれが設置されていると、なかなかやっかいである。状況によっては、サブルーチンでランを終了させることはできないけど、ランナーに自発的にジャックアウト(ランを終了させること)を迫ることができる。

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ランナーは考慮した後、《クリプシス/Crypsis》 でサブルーチンをブレイクすることにした。まず 3 クレジット払ってアイスブレイカーの強度を 4 とし(《個人的調整/The Personal Touch》によって基本の強度が 1 に上がっているため)、次に 1 クレジット払ってブレイクする能力を使用した。

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これでサブルーチンのブレイクに成功し、《クリプシス/Crypsis》からウィルスカウンターをひとつ除去した。

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そして、ランナーはランを継続し、三つ目のアイスに挑むことにした。ここで、突如コーポレーションは遠隔サーバのカードをレゾしてきた。サーバのカードは 《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》という「強化」カードだった。このカードは、インストールされているサーバに付けられているアイスのレゾコストを -2 するという効果を持っている。

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強化カードはどのサーバにもインストールできるカードで、サーバを何らかの形で強化する能力をもっているものが多い。資材カードや計画書カードと異なり、強化カードはサーバごとに何枚でもインストールできる点と、HQ や R&D、アーカイブサーバにインストールすることができるという点で大きく異なっている。また、遠隔サーバにインストールされるときは、資材カードや計画書カードなどと区別して置く必要がない。そのため、ランナーからは強化カードがインストールされていても、資材カードや計画書カードとは(裏向きの状態では)区別がつかない。今回のようにレゾしてみたら資材カードも計画書カードもなくて、強化カードだったということもありえる。もちろん、他の計画書などのカードがインストールされている状態で、追加で強化カードを同じサーバにインストールすることもできる。

ただし、他のプログラムがインストールされてないのに、強化だけされてるという状態は、現実世界のサーバ管理では違和感があるけど、そのあたりは気にしないということで・・・

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次にコーポレーション、三つ目のアイスを 3 クレジット使ってレゾしてきた。《セル・ポータル/Cell Portal》というアイスで、種類はコードゲート、レゾコストは 5 であるが 《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》 の効果でレゾコストが -2 されているので、3 クレジットでレゾできる。

このアイス、強度は 7 と高い上に「ランナーは(このアイスに遭遇した後に)このサーバの最も外側のアイスに遭遇する」というやっかいなサブルーチンを持っている。このサブルーチンをブレイクできなければ、再び 《チャム/Chum》 から遭遇しなおしになる(《データ・マイン/Data Mine》はトラッシュされたので存在していないので遭遇しない)わけだ。サブルーチンの起動後は《セル・ポータル/Cell Portal》自体はデレゾ(裏向きに)されるので、次にこのアイスに遭遇したときは、コーポレーションは再度レゾのためのクレジット支払う必要があるものの、コストが払える限りは(そして、サブルーチンをブレイクできない限りは)永遠にサーバに辿りつけないことを意味する。

ここでランナーは、サーバが強化カードの《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》であることを見て、ランを継続する意味がないと判断した。そこで、サブルーチンはブレイクせず、ジャックアウト(ランを終了)することにした。サブルーチン自体は起動されるので、ランナーは再び《チャム/Chum》に遭遇することになるわけだけど、この遭遇前にジャックアウトしたということになる。一方でコーポレーション側は、《セル・ポータル/Cell Portal》のサブルーチンを起動したので、このカードをデレゾ(裏向きに)した。

これで、ランナーはこのターンを終了した。

ターン19: コーポレーション

コーポレーションはターン開始前に 2 クレジット消費して、遠隔サーバ 3 をレゾした。サーバのカードは、サーバ 2 と同じく 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 で、コーポレーションは合計で 2 クレジット得た。

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1枚ドローしたあとは、3 クリックを消費して 3 クレジット得てターンを終了した。コーポレーホン側も、先のランの攻防でかなりのクレジットを消費したため、しばらくはクレジットの回復に努めることになりそうだ。

ターン20: ランナー

コーポレーション側の守りが固いので、ランナー側も当分は自陣の強化に専念することにした。

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このターンは、ドロー、クレジットの取得、《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 からの 2 クレジット取得をし、最後の1クリックで《確実なギャンブル/Sure Gamble》というイベントカードを使用して、クジットを実質的に 4 つ増やした。

ターン21: コーポレーション

まずターン開始時に、2 枚の 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 から合計 2 クレジットを得た。ドローフェイズのドローのあと、1 クリックを使ってさらに 1 枚引いた。

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その後、1 クリックと 3 クレジットを消費して遠隔サーバ 1 にアイスをインストールした。さきほどのランで 《データ・マイン/Data Mine》 をトラッシュしたので、遠隔サーバ 1 のアイスは 3 枚になっていたが、これでまたアイスが 4 枚になった。

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最後の 1 クリックと 1 クレジットを消費して、HQ サーバに 2 枚目のアイスをインストールした。

コーポレーション側の守りは、着々と固くなりつつある。ランナーとしては防御体制が完成する前に、何とか攻略したいところだ。

ターン22: ランナー

ターンの始めに 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 の能力を使用して 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 をトラッシュし、3 クレジットを得た。

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次にイベントカードの 《ディーゼル/Diesel》 を使用して手札を 3 枚引いた。(実質的には、手札は 2 枚増えたことになる)

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そして、イベントカードの《改良済み/Modded》を使用し、5 クレジット使用してハードウェアの 《ザ・ツールボックス/The Toolbox》をインストールした。このカードのコストは 9 だけど、《改良済み/Modded》 の効果でコストが -3 され、さらに ID カードの効果でコストが -1 されているため、5 クレジットでインストールできる。

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《ザ・ツールボックス/The Toolbox》は高いコストに見合う強力なカードで、メモリーユニット +2、リンク値 +2 に加え、毎ターン繰り返し使える 2 クレジットを供給する能力をもっている。このカードからクレジットを得るときは、クリックを消費する必要がない。その一方で、このカードから得たクレジットは、アイスブレイカーの能力を起動するときにだけ使用することができる。

ただ、このカードはユニークカードであり、リグには一枚しか出せない。しかもこのカードは「コンソール」という種類のカードであり、他のコンソールカードと同時にはリグに出せないという、大きな制約を持っている。

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3 つ目のクリックでは、5 クレジット使って 《マグヌム・オプス/Magnum Opus》というプログラムをインストールした。このカードは、回数の制限なく 1 クリックを 2 クレジットに変換するという、かなり強力な能力を持っている。その代わり、インストールコストは 5、メモリーコストも 2 といずれも高く設定されている。現在のランナーのメモリーユニットは、先の 《ザ・ツールボックス/The Toolbox》 のインストールで 7 まで増えたため(かつ現時点でのメモリーコストの合計は 4 であるため)、このカードをインストールすることができる。

最後のクリックは、 《マグヌム・オプス/Magnum Opus》 から 2 クレジット得るために使用した。ランナー側の陣営もかなり強化されてきたようだ。

ターン23: コーポレーション

コーポレーションは、2 枚の 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 から 2 クレジットを得て 1 枚ドローしたあとは、3 クリックをすべてクレジットの取得に費した。

このゲームでは、重要なリソースであるクレジットを手番を消費して獲得しなければならないため、このようにクレジットの獲得だけにターンを費すことも少なくない。

ターン24: ランナー

一方でランナーは、手札も自動的には補充されず、なおかつ手札は残りライフと等しい価値をもつので、ドローにクリックを費すことが自然と多くなる。

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このターンも、ランナーは 2 クリックをドローに消費した。3 クリック目はコスト 0 で《グローバルセックへのアクセス/Access to Globalsec》というリソースをインストールした。このカードはリンク強度を 1 増加させる効果がある。直接的には、コーポレーション側からの「トレース」への対策になるカードだ。しかし今回の狙いはそこにはなく、低コストで場のカードを増やして 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 の「餌」を作ることが目的のようだ。

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最後に、対コードゲートのアイスブレイカーである 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Blade》を 4 クレジット使用してインストールした。場に出ているアイスにコードゲートタイプが多いようので、このアイスブレイカーのインストールは、コーポレーション側にとっては脅威であろう。

互いの陣営が整ってきており、決戦の時が近づいてきているようだ。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (12) プレイ例の解説 -ターン13〜17-

かなりゲームが進んだので、現状の盤面の状態を示しておこう。

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こちらはコーポレーション側の状況である。R&D と HQ には 1 枚ずつアイスがあり、それぞれレゾされている。アーカイブにはアイスがない。遠隔サーバがひとつあるが、サーバ自体にはカードがインストールされておらず、アイスが 3 つインストールされている。計画書カード 1 枚が得点されており、得点は 2 ポイントである。コーポレーションの手元には 5 クレジットあり、手札は 2 枚である。

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対するランナー側のリグ(場)には、アイスブレイカーが 2 枚と、ハードウェア 1 枚がインストールされている。計画書カード 1 枚を盗んで得点しており、現時点で 3 ポイント獲得している。手元には 2 クレジットと手札 3 枚がある。

この状態で、コーポレーションのターンが始まる。

ターン13: コーポレーション

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最初の 1 クリックでクレジットを補充し、次の 1 クリックで空白となっていた遠隔サーバに、新たなカードをインストールしてきた。

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3 クリック目では、すでに存在している遠隔サーバとは異なる、さらに別の遠隔サーバにカードをインストールした。ややこしいので、左の遠隔サーバを遠隔サーバ 1、右を 2 と呼ぶことにする。

コーポレーションはクリックが尽きたので、遠隔サーバ 2 にはアイスをインストールせずに終了した。ということは、ランナーが遠隔サーバ 2 にランをすれば、苦もなくサーバのカードにアクセスできるということだ。コーポレーションにもそれは分かっているはずなので、アイスをインストールしないままにしたということは、アクセスされても困らないカード(つまり資材カードか強化カード)の可能性が高い。罠の資材カードをインストールし、無防備にしておくことでランを誘っているのかもしれない・・・と警戒させておいて、実は計画書をインストールした可能性もある。

コーポレーションは、また新たな謎を提示してターンを終了した。

ターン14: ランナー

ランナーはコーポレーションの誘いには乗らず、このターンは自陣を固めることにした。

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1 クリック目で手札を引き、2クリック目で《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》を再びインストールした。そして、3クリック目で《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》からクレジットを 2 つ得た。

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4 つ目のクリックで 《アカマツ・メモリーチップ/Akamatsu Mem Chip》という「ハードウェア」カードをインストールした。ID カードの効果によって、ハードウェアをインストールするコストも 1 減るので、このカードはコスト 0 でインストールできる。

このカードは、メモリーユニットを 1 増やす効果がある。「メモリーユニット」は「プログラム」をインストールするときに参照される値で、場に出せるプログラムのカードのメモリーコストの合計値が、ランナーの持つ「メモリーユニット」の値を越えることができない。ランナーの最初のメモリーユニット値は 4 で、場に出ている「プログラム」のカードの《クリプシス/Crypsis》 のメモリーコストは 1 で、《バタリング・ラム/Battering Ram》 のコストは 2 であるので、合計のメモリーコストは 3 である。ランナーのメモリーユニットの値は 4 なので、メモリコストが 1 のプログラムはインストールできる余裕がある。

anr12_1_memory ← メモリーコスト 1 を表すマーク

しかし、メモリーコスト 2 以上のカードをインストールしようとすると、メモリーコストがメモリーユニットの値を越えてしまうため、インストールできない。このようなとき、《アカマツ・メモリーチップ/Akamatsu Mem Chip》 のようなカードをインストールすることで、ランナーのメモリーユニットを増加させ、メモリーコストが 2 以上のプログラムもインストールできるようにできる。

ターン15: コーポレーション

コーポレーションは自分のターンを始めた直後に、遠隔サーバ 2 にインストールしたカードを 2 クレジット使ってレゾした。

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レゾされたカードは《PADキャンペーン/PAD Campaign》という資材カードだった。これは、コーポレーションがターンの開始時に 1 クレジットを得る能力を持っている。ランナーがアクセスしてもダメージを与えるような能力はもっていない。しかし、ランナーはこのカードをトラッシュするためには、ランのために 1 クリック消費した上に、さらにトラッシュコストの 4 クレジットを消費する必要がある。

このカードの、無条件で毎ターン 1 クレジット得られる能力はささやかなものだけど、繰り返し長い間使用すると効果は馬鹿にならない。とはいえ、ランナーとしては 4 クレジットと 1 クリック消費してトラッシュするだけの価値があるかというと、難しいところである。コーポレーションとしては、このカードがたとえトラッシュされても、ランナーに相応のコストを支払わせるのであれば十分だと考えて、アイスをインストールしない状態でカードをインストールしたわけだ。

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さて、このターンはコーポレーションは 1 クリック目で手札を引き、2 クレジット目で任務カードの《ヘッジファンド/Hedge Fund》を使って、実質的に 4 クレジットを得た。

最後のクリックで、さらにクレジットを得て手持ちのクレジットを 10 まで増やし、ターンを終了した。

ターン16: ランナー

ここからしばらくは、双方の陣営とも自陣の備えに注力することとなるので、重要な部分のみポイントを絞って説明する。

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1クリック目は、《ディーゼル/Diesel》 を使ってカードを 3 枚引いた。

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次に、プログラムである《ネット・シールド/Net Shield》というカードをインストールした。このカードは、ランナーがあるターンに受けるネットダメージを 1 点だけ軽減する(妨害する)能力をもっている。このカードは、プログラムではあるけどアイスブレイカーではない。能動的にサブルーチンを突破する能力はもっていないが、ダメージを与えてくるサブルーチンから受けるダメージを妨害することで、実質的にサブルーチンを突破したのと同じ効果を得ることができる。

残り 2 クリックは、《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 から 4 クレジットを得るために使用した。

ターン17: コーポレーション

まず、ターンの開始時に《PADキャンペーン/PAD Campaign》から1クレジットを得た。

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ドローフェイズで1枚引いたあと、1クリックを消費して手札を引いた。次の 2 クリック目、さらに新しい遠隔サーバ 3 にカードをインストールした。

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そして、最後の 1 クリックで遠隔サーバ 1 に 4 つめのアイスをインストールした。これで、遠隔サーバ 1 のカードにアクセスすることは、なかなか容易なことではなくなった。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (11) プレイ例の解説 -ターン9〜12-

ターン9: コーポレーション

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コーポレーションは、手札を 1 枚引いたあと、ただちに遠隔サーバのカードを連続 3 回アドバンスした。そして、カード表向きにして得点することを宣言した。

表に向けたカードは、計画書の《ニセイMK.II/Nisei MK II》だった。このカードはアドバンストークン 4 つを載せることで、2 ポイントの得点にできる。今ちょうど 4 つのトークンを載せたので、コーポレーションはただちにこのカードを得点にした。得点にしたカードは、他のカードと区別して置いておく。

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コーポレーションは、計画書カードを得点したので、ID カードの能力である「計画書カードを得点したか盗まれたとき、ランナーに 1 ネットダメージを与える」を使用して、ランナーにダメージを与えた。これによって、ランナーはランダムにカードを 1 枚捨てなければならない。

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さらに《ニセイMK.II/Nisei MK II》のカードは、得点したときに「計画カウンター」がカードの上にひとつ置かれる、という能力をもっている。このカウンターを消費することで、ランナーの「ラン」をいつでも無条件で終了させることができる。ランナーにとっては、かなり嫌な能力といえる。

ターン10: ランナー

このターンは、前のターンで得たカードやクレジットを使って、戦線の構築に努めることにした。

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まず最初のクリックで 1 枚手札を引き、次のクリックでアイスブレイカーの 《クリプシスCrypsis》 をインストールした。このカードは強度が 0 しかなく、アイスを突破するためには必ずクレジットを払って強度を増やす能力を使用する必要がある。そのかわりに、突破できるアイスの種類が特定されていないため、どんな種類のアイスのサブルーチンでもブレイクできる。コストはかかるものの、汎用性がとても高いカードになっている。

ただし、このカードはあらかじめクリックを消費して「ウィルスカウンター」をカードに載せておかないと、サブルーチンをブレイクする能力を使ったときに、カードがトラッシュ(捨札に)されてしまう。カウンターが載っている状態でブレイク能力を使用したときは、カウンターひとつを捨てるだけで済む。つまり、このカードを使用するには準備がいるわけだ。

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そこで、このターンの 3 つ目のクリックを使用して《クリプシスCrypsis》 にトークンを載せることにした。これで、少なくともブレイク能力を 2 回は使うことができる。なかなか面倒なカードではあるけど、アイスの種類を問わずにブレイクできる能力はとても強力なので、ここぞという場面でうまく使っていきたい。

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最後のクリックは《イソップ質点/Aesop’s Pawnshop》というリソースをインストールするために使用した。このカードは、ランナーのターンを初めるときに、他のインストール済みの(場に出ている)カードをひとつ捨札にすることで、3 クレジットを得ることができる能力をもっている。カードを消費するので気安くは使えないけど、クリックを消費せずに 3 クレジットを得られるのはとても良い。こちらも、うまく運用していきたいカードである。

なお《イソップ質点/Aesop’s Pawnshop》のカードは、カード名の左に◆の記号がある。この記号のあるカードは、場には1枚しか出せないユニークカードであることを意味している。もしユニークカードが複数枚場に出たときは、先に出ているほうのカードをトラッシュしなければならない。

ターン11: コーポレーション

このターン、コーポレーションは最初に手札を引いたあと、1クリックを消費して《予知/Precongnition》という任務カードを使用した。

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このカードは、山札(R&D)の上から 5 枚を見て、好きな順序に並べかえる能力を持っている。コーポレーションはカードの順序を並べ替えたあとに、次のクリックで手札をひいてきた。

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そして、3 つ目のクリックでは遠隔サーバに 3 枚目となるアイスをインストールした。遠隔サーバにはすでにアイスが 2 枚あるため、インストールするときには 2 クレジットを払う必要がある。

このターン、コーポレーション側は守りをかためることにクリックを費し、手番を終了した。

ターン12: ランナー

ランナーは、自分のターンの最初に、トークンの残りが 2 つになっていた 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》を捨札に(トラッシュ)することで、《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》の能力によって 3 クレジットを得た。

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この場合、《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 から直接クレジットを得ようとすると、1 クリック消費して 2 クレジットしか得られず、しかも 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 に残りのトークンがないのでカード自体は捨札にされてしまう。能力を使ってトラッシュされてしまうのであれば、《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 の能力で 3 クレジットにしたほうが、クリックの消費もせず 1 クレジット多く得られるのでお得というわけだ。

さて、こうしてクレジットを得たあと、ランナーは立て続けに 3 クリック消費して手札を 3 枚引いた。こうして手札を補充したあと、4 クリック目で HQ に向けてランを宣言した。

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コーポレーションは、1 クレジット支払って HQ を守るアイスを表に(レゾ)してきた。HQ を守るのは《ハンター/Hunter》というアイスだった。このアイスには、トレース 3 (Trace 3) と書かれたサブルーチンがついている。

トレース X と書かれたサブルーチンが起動したときは、X の数値とランナーの「リンク強度」という値を比べ、リンク強度のほうが X 未満だったときは「トレース成功」となり、ランナーは「タグ」というトークンを付けられてしまう。この「タグ」が付いていると、コーポレーションは 1 クリックと 2 クレジットを消費することで、ランナーの場に出ている好きなリソースカードを 1 枚、トラッシュすることができるようになる。

このように、タグはコーポレーション側からランナーのリグ(場)にあるカードを攻撃できる、数少ない攻撃手段になっている。そのため、ランナー側にとっては、基本的にタグは鬱陶しい存在である。ただしランナー側も 1 クリックと 2 クレジットを消費することで、付けられたタグを除去する能力をもっているので、そこまで致命的というわけでもない。また、追加のデータパックにはタグを逆用するカードもあったりする。

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さて、ここで出てきた「リンク強度」というのは、ランナーの場に出されているカードに書かれている「リンク」という値の合計のことを意味する。上の写真の右のカードのテキスト欄の左上にあるマークがそれに相当する。

anr11_17_link ← これがリンク強度を示すアイコンである。

上のカードには、このアイコンの横に +1 と書かれているので、場にこのカードがあればリンク強度は 1 である。しかし、今は場に出しているカードに「リンク」と書かれたカードがないので、ランナーのリンク強度は 0 となっている。これに対し、コーポレーション側のトレース強度は 3 なので、このまま勝負するとランナー側は負けてしまう。

このリンク強度は、クレジットを支払うことで一時的に上昇させることもできる。3 クレジット払えば、リンク強度は 3 となってリンク値がトレース強度以上になるので、トレースは失敗となる。これに対して、コーポレーション側もクレジットを支払うことでトレース強度を上昇させることができる。つまり、トレース勝負は最終的にはクレジット勝負ということになる。

ランナーとしては、クレジットを支払って不利なトレース勝負をするよりも、アイスブレイカーでサブルーチンをブレイクすることを選ぶことにした。《Hunter》は「トラップ」という種類のアイスで、強度は 4 である。そこでランナーは 4 クレジット支払い、先にインストールした 《Crypsis》 の強度の強度を 4 とし、さらに 1 クレジット支払ってサブルーチンをブレイクした。

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《クリプシス/Crypsis》 は、サブルーチンをブレイクしたあとに、上に載っているウィルスカウンターをひとつ除去しなければならないので、カウンターを除去した。これで、次に使うためにまたカウンターをひとつ載せておくか、そうでなければ使ったあとにカードを破棄することになる。

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いずれにしてもこれでアイスを突破したので、ランナーは HQ (つまり手札) にアクセスできる。HQ へアクセスするときは、コーポレーションの手札からランダムに 1 枚選んで見ることができる。今、コーポレーションの手札は 2 枚しかないので、いずれか 1 枚を見ることができるということだ。

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ランナーがアクセスしようとしたとき、コーポレーションは《ニセイMK.II/Nisei MK II》の計画カウンターを消費して、ランを強制終了させてしまった。よっぽど、アクセスされては困る手札の内容なのだろうか。いずれにせよ、この能力は強制なので、ランナーには抗う術もなくランを終了させ、そのままターン終了となった。


なお 《クリプシス/Crypsis》 に載っていた「ウィルスカウンター」は、コーポレーションが自分のターンに 3 クリック消費することで「すべてのウィルスカウンターを除去する」アクションを実行し、除去することもできる。今はカウンターの数が少ないので、このアクションを行うメリットがない。しかし、多数のウィルスカウンターを置くようなゲーム展開になるようなら、コーポレーションがアクションによって除去してくる可能性についても考える必要がある。


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