MTGカード与太話「破滅の刻」から「オケチラ最後の慈悲」


オケチラ最後の慈悲/Oketra’s Last Mercy

「初期ライフ総量」という訳語が入った 3 枚目のカード。しかし、ゲーム開始時のライフの量を参照するカードとしては 7 枚目だったりする。英語の “starting total life” という表現の訳が《毅然たる大天使/Resolute Archangel》が出るまでいろいろと揺れてたため、このような齟齬が起きたようだ。《毅然たる大天使/Resolute Archangel》の次に出た《極上の大天使/Exquisite Archangel》でも「初期ライフ総量」と訳されたことで、訳語がこれに決まったらしい。初期ライフ総量を参照6枚のカードのうち、ライフを元に戻すという能力がこれらのカードで共通していることが、安定化に一役買ったような気もする(主に検索能力的な問題で…)。もちろん妄想ですよ。

ちなみに、ライフを初期値に戻す(ような)過去のカードとしては《清めの風/Blessed Wind》がある。これはライフを 20 点にするので初期値に戻すわけではないけど、9 マナとやたら重いカードになっている。相手にも使える点が評価されているのか、ライフを戻す能力自体が高く評価されたのか、当時のことはわからない。ただ、自分のライフを戻す能力については、このカードでは(デメリットがあるとはいえ) 3 マナに設定されたので、かなり弱めの能力と最近は判断されているようだ。

これくらい軽くなると、《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》とか《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》、《死の宿敵、ソリン/Sorin, Grim Nemesis》の大マイナス能力の直前に使う、みたいな運用ができるかもしれない。多人数戦でやったら 40/40 のトークンが出てきたり、1/1 絆魂が 40 体並んだりしてなかなか楽しそう。そんなのが出てきたら、次のターンに土地がアンタップしなくてもあんまり痛くない。ひっそり《永遠の器/Eternity Vessel》を出しておけば、何回も同じことができる。《失われし夢の井戸/Well of Lost Dreams》を出しておけば、大量にカードも引けそう…さすがにマナがないかな。ただし《加護の反射/Boon Reflection》を出しておくと、ルールの解釈で一悶着起きそうな予感も。

MTGカード与太話「破滅の刻」から「王神の贈り物」


王神の贈り物/God-Pharaoh’s Gift

《来世への門/Gate to the Afterlife》で登場が予言されていたカード。どんなカードになるかと思いきや、墓地に落ちたクリーチャーをゾンビに変えて戦場に戻すという、昔のエジプトのミイラが蘇える的なイメージが具現化されたようなカードだった。出るコピーはサイズが 4/4 固定になるから、巨大クリーチャーを墓地から釣るのには不向きではある。でも、元のカードの能力自体は維持されること、唱えるときのコストを無視できること、《降霊術/Seance》と違ってトークンは戦場に残る等、副作用を起こす怪しい要素をいくつももっているので、うまく使えば悪さができそうな感じ。

とりあえず、《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》を墓地から出して 4/4 飛行とか、《剣術の名手/Fencing Ace》を 4/4 二段攻撃にしてみるとか、《突進するアナグマ/Charging Badger》を 4/4 トランプルで出すくらいでも普通に楽しそう。《荒廃の工作員/Blighted Agent》とか、ブロックされない 4/4 感染とかになって、かなり凶悪そう。《運尽きた造反者/Doomed Dissenter》なら、最初の死亡時に 2/2 を出しつつ、さらに自身が甦って 4/4 になった上に、また死んだら 2/2 が出たりしてお得感がすごい。さらに 《むら気な召使い/Wayward Servant》 と一緒に出しておけば破壊力がすごそう。

MTGカード与太話「破滅の刻」から「地揺すりのケンラ」


地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra

絵は格好いいけど「地揺すり」という、今ひとつ脱力系の接頭語がついたケンラ。英語の Earthshaker は格好いいのに、あまり良い訳語がなかったらしい。最初に Earthshaker を訳したときに「地揺すり」としたのが、そのまま踏襲されてしまった。「地鳴らし」とか「地響き」とかよいかなと思ったけど、地鳴らしは Groundshaker という別の単語に対応しているらしい。「地響き」は無いんだけど、ちょっとニュアンスが違うかもしれない。せめて「大地を揺がすケンラ」くらいにはしてほしかった。

ちなみに Earthshaker という単語は、英語圏ではギリシア神話の「ポセイドン」の別名のひとつらしい。ポセイドンというと海の神というイメージだけど、wiki によれば「海、水、地震、馬」の神なのだそうだ。地震で地面を揺らす神だから、Earshshaker という別名をもっているのだとか。古代からそう考えられてたということは、地震というのは本来は青に分類すべき属性なのかもね。まあ、《地揺すり/Earthshaker》 の見た目はポセイドンとは程遠いのだけど。

カードとしては、序盤に出してひと殴りして墓地にいっても、「永遠」とブロック阻止能力のおかげで後半にも出てきて何回かは殴れそうな、使い勝手のよいクリーチャーになっている。ウィニー的クリーチャーにありがちな、後半に手札に来ても困るなーという点が解消されているのは良い。とはいえ、最近はこういう「二度おいしい」的なクリーチャーは普通になってきたよね。何回か使いまわせないと、デッキに入れてもらえない厳しい世の中になったということかな(これでも入るかちょっと分からないけど)。

※ dota2 というオンライン対戦ゲームに出てくる Earthshaker も、どでかいハンマーもったおっさんで、ポセイドンとは似てもにつかないから、この単語とポセイドンとの繋りは欧米でも薄いのかもしれない。(まあどうでもよいよね)