MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「タルキールの龍の玉座」「群の祭壇」


タルキールの龍の玉座/Dragon Throne of Tarkir

パワー 3 のクリーチャーに付けておけば、2 マナで毎ターン踏み荒らし/Overrunが使える。序番に出した 2/1 くらいのクリーチャーに、中盤以降に攻撃する意味がなくなった頃にこれを付けて、全員 +2/+2 トランプルにするくらいで十分勝てそう。もし一度で勝てないとしても、2,3回ほど殴って耐えきれる相手がいるとも思えない。突破力が不足しがちなリミテッドなら、普通にエンドカードになりえる。ってことで多分レアなんだろうね。これを一回使ったあとに飛鶴の技/Flying Crane Techniqueを使って、再度これの能力を使ってから総攻撃とかしたら、全員 2 倍強化された上に飛行、トランプル、二段攻撃とかなって楽しそう(注1)。まあ、構築で使うには難しそうだけど・・・

とかくパワーの高いカードに付けることが前提なのに、防衛が付いてしまうのは困ったもの。だったら、最初から壁デッキを組んでしまえばいいに違いない。ということで、剃刀の壁/Wall of Razorsとか怒りの雨雲/Rage Nimbus みたいな頭でっかちの軽い壁を用意して、どれかひとつにこれを付けて全体を強化しておき、最後にローリング・ストーンズ/Rolling Stonesで総攻撃とかどうだろう。孔の歩哨/Vent Sentinelも入れておけば完璧よね・・・うーん、もはやこのカードと全然関係ないな。


群の祭壇/Altar of the Brood

地味ながら、侮れなさそうなカード。トークン生成系のカードや居住カードが、なぜかライブラリー破壊カードになる。とりあえず、無限トークン発生コンボで瞬殺可能よね。頭巾被りのハイドラ地割れ潜み/Chasm Skulkerがまさかのライブラリー破壊カードに。フェッチランドなんかも出して起動するだけで、ライブラリーをどんどん破壊していける。墓地利用のカードも多いことだし、定期的な墓地の掃除は必要な感じはするけど、何かやばい能力を発揮しそうな感じがするカード。フェイジングなカードとも相性よさそう。

ちなみに Altar という単語は、当初は「供犠台」と訳されていたのに、いつのころから「祭壇」と訳されるようになったらしい。「祭壇」と最初に訳されたのはテンペストの狂気の祭壇/Altar of Dementiaだったようだ。しかし、その後のミラディンで影の供犠台/Altar of Shadows供犠台の光/Altar’s Light が登場し、再び訳語が「供犠台」に戻った。神河謀叛でも「供犠台」と訳されたカードが出たので、そのまま訳語が戻ったのかと思いきや、イーブンタイドで祭壇のゴーレム/Altar Golemが出現した。その後のカードはすべて「祭壇」に統一されているので、どうもこのあたりで「祭壇」に完全に切り替わったらしい。アシュノッドの供犠台/Ashnod’s Altarのような、生け贄を捧げる系のカードが「供犠台」であって、そうでないものは祭壇なのかと思いきや、ゼンディカーの殺戮の祭壇/Carnage Altar とか普通に生け贄を要求するカードだったりして、そういうことではないらしい。ただ単に(どういうわけか)訳語だけ変わった、ということのようだ。(注2)


  • (注1) それこそオーバーキルすぎる。
  • (注2) 「供犠台」より「祭壇」のほうが日本語的には馴染がある単語だから、という程度の理由かもしれない。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「真珠湖の古きもの」「千の風」

いつものことながら、青いカードは分かりません。インスピレーションのみです。


真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient

名前も絵も能力も格好良いカード(注1)。リバイアサンは、ドラゴン、ワーム様、に次ぐ第三の好き好き巨大クリーチャーカードなのよね。リバアサンはドラゴンと違って、だいたいは構築で使えなくて安いから集めやすいしー・・・(注2)。初代のリバイアサン/Leviathanは当時としてはとても巨大で強かったものの、強烈なデメリットゆえの使いにくさに、悲鳴をあげるのを楽しむ会が結成されてたくらい(注3)。しかし時は流れ、デーモンと同じような感じで、リバイアサンもデメリット無しの(むしろメリット付きの)巨大クリーチャーになり下ってしまった。やはり、巨体というだけでは生き残れない、世知辛い世の中になってしまったということか。まあ、メリットといっても巨体と微妙に噛み合ってない感じの能力ではあるので、そのあたりでバランスが取られているのかもしれない。

カードの能力については新リバイアサン:真珠湖の古きものにとても詳しい(かつ前向き、かつとても同意できる)記事があったのでパス。何だか、青を代表する巨大水棲クリーチャーのわりには、リバイアサンは活躍できる場面が微妙に少ないよね。最近はスフィンクスが幅をきかしてたりするし。空が飛べたら活躍できるのかと、頑張って空を飛んでみたシミックの空呑み/Simic Sky Swallowerあたりは多少活躍したし、アーティファクトになったら呼び出される機会も増えるかと、被覆までつけて頑張ってみた墨溜まりのリバイアサン/Inkwell Leviathanなんかは、努力の甲斐があってか一部地域で活躍はしてる(注3)。でも、ドラゴンとか天使とかに比べると、どうも一歩(二歩以上?)引く立ち場という感じ。いつか出るかもしれない、伝説のリバイアサンに期待するしかないのかなあ。


千の風/Thousand Winds

名前も絵も能力も格好良いカードその2。青いカードって自分では全然使わなくて、相手に出されてイヤーな印象が残るせいでよく覚えてるのよね。しかし、その影響を差し引いたとしても、最近どうも青の格好いいカードを多く見るような気がしてる。こいつは、私がそこにいないのではなくて、他の眠ってるクリーチャーを全部いないことにするカード(注4)。最初は隠れていて(?)、姿を現した途端に周囲を吹き飛ばすというイメージが面白い。味方もかまわず吹き飛ばすけど、飛ばされないように起こしておけばいいので、使い勝手はそう悪くはない感じがする。

とりあえず、相手のターンエンドに凍氷破/Icy Blastでも撃って寝かせておいて、次のターンにおもむろにこれを表にして総攻撃するとか楽しそう。まあ、青がそんなクリーチャー主体のコンボを使うのかは良くわからないんだけど・・・。ただ、ブロック構築には青の飛行クリーチャーの定番であるスフィンクスがいない上に、パワー 4 以上の飛行クリーチャーが(多色を入れても)これと河水環の曲芸士/Riverwheel Aerialistsしかいないので、青いデッキのフィニッシャーとして採用されることがあるのかも。もちろん、リミテッドなら素出しでも 5/6 飛行なだけで普通に強いから、それなりに活躍しそう。


  • (注1) 格好いいのと強いのは、また別の次元のお話。
  • (注2) 一部地方の話です。
  • (注3) つまり、シミックが偉かった? 今後のシミックに期待するしかない。
  • (注4) 同名の某楽曲とは多分無関係。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「不気味な腸卜師」「血に染まりし勇者」


不気味な腸卜師/Grim Haruspex

腸卜師(ちょうぼくし/Haruspex)って何かと思ったら、ローマ時代に家畜や生け贄にした動物の内蔵(腸)を使って占いをしていた人のことらしい。腸卜官とか臓卜官という役職まであって、帝政ローマの政治にも影響を与えていたそうな。生け贄を使って占いをするというだけですでに不気味のように思うんだけど、これはその中でも格別に不気味度の高い占い師らしい。とはいえ、過去に「腸卜師」という単語の入ったクリーチャーはいないので、比較はできないんだけど・・・。ちなみに、占い(卜い)は色ごとに担当する職種が違っていて、青と黒はウィザード、赤と緑はシャーマン、白はクレリックが担当している。過去にいた黒い占い師は髑髏の占い師/Augur of Skullsしかいないので、初めての同僚ということになる(のかな)。

この占い師の仕事は、味方のクリーチャーが死んだら内蔵を見て占いをする(カードを1枚引く)というもの。想像するとちょっとエグいけど、この能力はなかなか役に立ちそう。組み直しの骸骨/Reassembling Skeleton みたいなのを特攻させ、墓地に落としてはカードを引くみたいなことをするだけで、普通にかなり強い予感がする。このブロックなら下の血に染まりし勇者/Bloodsoaked Championと相性が良い感じ。素出しのコストも変異コストも安い上に複数枚並べても腐らないから、クリーチャーを並べる系のデッキなら席がありそう。


血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion

味方が攻撃していると何度でも墓地から蘇える、攻撃しかできない勇者。ブロック構築で黒っぽいウィニーデッキを組むときには、間違いなく中核になりそうなクリーチャー。勇者という名前に恥じない働きをしそう。ちなみに、過去の黒い「勇者」はゾンビかスケルトンだったので、ナマモノ(?)の黒い勇者としてはこれが初めてらしい。過去の勇者たちも墓地に行くのを防いだり、墓地から戻ったり、他のカードを戦場に戻すような能力があり、黒い勇者は何らかの甦り能力をもつ点で共通している。ただ、過去のカードはゾンビやスケルトンだから蘇るのに説明はつくものの、この勇者はナマモノ(人間)なのに墓地から戻ってきてしまう。いったいどういうカラクリで戻ってきているのかは謎。

クリーチャーの勇者(Champion)はすべからく戦士なのかと思いきや、過去に 11 体の「勇者」がいる中で、戦士なのは6体と半分程度しかいない。あとは単なるゾンビだったり、アバターだったり、ただの兵士だったりといろいろのようだ。ちなみに、スレイベンの勇者/Thraben Valiantという「勇者」と和訳されているクリーチャーもいるけど、英語は Champion でなくて Valiant となっている。Valiant が名詞として入っているカードはこれしかなく、どうも Chanpion とは違う系列の勇者らしい。まあでも、能力的に何か大きな差異があるわけでもないけどね。MTG の世界では勇者はわりと自由な職業(?)で、誰でもなれる(自称できる)ということなのかもしれない。