MTGカード与太話「破滅の刻」から「ラムナプのハイドラ」


ラムナプのハイドラ/Ramunap Hydra

3/3 という、中くらいのサイズのハイドラ。巨大なイメージのあるハイドラにしては少々小さい。過去に出た 35 体前後のハイドラのうち、半分弱は 0/0 で、残り半分弱が 5/5 以上だと思えば、ベースのサイズが 3/3 というのは珍しい。似たようなサイズの《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》や《飼い馴らされたハイドラ/Domesticated Hydra》がサイズを(理論上は)いくらでも増加させられるのに対し、こちらはサイズが 5/5 で頭打ちという点でも、サイズの小ささが目立っている。なぜハイドラなんだろうね?

カード的には、色拘束が少ない 4 マナで (砂漠を置くかサイクリングする前提で) 警戒、到達、トランプルで 4/4 か 5/5 と思えば、ハイドラにしてはなかなか強い感じはする(失礼!)。今後、砂漠カードがどのくらい使われるかにもよるだろうけど、うまくデッキと噛み合えば構築でも採用されるかもしれない。砂漠を序盤からたくさん引く方法があれば、普通に活躍できる可能性もありそう。しかも、もしこれが猛威を振ったとしても、某ゴイフと違って砂漠が環境からなくなれば被害(主に財布への?)も少ないというのも good 。そういう意味ではうまいデザインという気もするけど、ハイドラなんだからサイズを無限に増加させる可能性が何かほしかったなあ。

ちなみに、イラストには2つの頭が見えているけど、英語のカード名が “Hydra” と単数形なので、これで 1 体ということらしい(多分) 。ということは、砂漠に生息する固体と頭が増殖して +1/+1 されるということだろうか。そうだとしても、墓地に砂漠があるとさらに +1/+1 になる理屈はちょっと分からない。サイズ増加の理由を探るには、もう少し妄想力が必要のようだ。

MTG カード与太話: 霊気紛争より「秘密の回収」


秘密の回収/Secret Salvage

自分の墓地にあるカードと同じカードを、ライブラリから好きなだけ引き出せるカード。任意のカードを探せるにしても、墓地に1枚落としておく必要があるということと、そのカード自体は追放されてしまうこと、そしてこのカード自体のコストが結構重いというあたりに、使い方の難しさを感じる。これは、例によって開発から使い方を考えてみろという、挑戦枠のカードだよね。

墓地活用の方向なら、たとえば《稲妻の波動/Lightning Surge》を1枚使って墓地に落としておき、1枚は犠牲にしてライブラリから残り3枚のカードを引きだし、次々と相手に着弾させつつフラッシュバックで墓地からもさらにダメージ・・・みたいなのは楽しそうではある。でも、手間の割には効果が薄い感じも。やはり、ここは勝利条件カードで勝負すべきだろうか。一見《先端生物学者/Biovisionar》は良さそうに見えたけど、1枚は追放されてしまうのでうまくない。ならば《面晶体の連結/Hedron Alignment》はどうだろう。これを使うと、1枚は自動的に追放されて1枚は手札に残るので、あとは墓地と戦場にさえ何とか置ければいいかんじ。意外にいいかも。他にも《勇壮な戦闘/Epic Struggle》を置いて、何だもいいから軽いクリーチャーを引きまくったり、《ゼンディカーの報復者/Avenger of Zendikar》のようなトークンを大量に出すクリーチャーを引きまくるとかなら、勝利条件カードで勝てなくても勝ち目があるかもしれない。うーん、なかなか夢は広がる(かも)。

ちなみに、ライブラリから同じカードを「追放」するカードは《消えないこだま/Haunting Echoes》や《知力の刈り取り/Reap Intellect 》などいくつかある。しかし、同じカードを「手札に入れる」というカードは、これ以外だと《冥府の教示者/Infernal Tutor》しかないようだ。《冥府の教示者/Infernal Tutor》は、自分の手札にあるカードと同じカードを「1枚だけ」ライブラリから取りだせる。しかし、これはどちらかというと手札にカードが無い場合に追加される能力である「暴勇」の、任意のカードを1枚探せるという能力のほうがメインな感じよね。

MTG カード与太話: 霊気紛争より「生真面目な補充兵」


生真面目な補充兵/Solemn Recruit

《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》からプロテクションを外して、代わりに紛争を付けたようなカード。《威名の英雄/Fabled Hero》の「英雄的」を「紛争」に置きかえたものとも言える。2/2 の二段攻撃クリーチャーは、初出はシャドウムーアの《炉火のホブゴブリン/Hearthfire Hobgoblin》で、コストは(赤/白)(赤/白)(赤/白)と、微妙な設定となっていた。そのあと《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》や《威名の英雄/Fabled Hero 》などを経た後に調整され、(1)(赤)(白) のマナコストを持つ《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》が出た。ここで 2/2 二段攻撃クリーチャーのコストは、アンコモンではダブルシンボル3マナ強、レアでダブルシンボル3マナ弱という評価でおおむね確定したようだ。その後に出たこのカードも、二段攻撃+αの能力でコストは(1)(白)(白)となっており、これまでの評価を踏襲している。MTG の歴史の中では比較的新しいキーワードの能力である二段攻撃も、評価は落ち着いたと見ることができそうだ(多分)。

ちなみに、現在の 1/1 二段攻撃の標準形はアンコモンの《剣術の名手/Fencing Ace》でコストは(1)(白)であり、1/2 の二段攻撃としてはアンコモンの《ボロスの速太刀/Boros Swiftblade》がありコストは(赤)(白)である。ただし《ボロスの速太刀/Boros Swiftblade》は《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》の収録されているオリジン以前のカードなので、若干コストが高めに設定されているかもしれない。今後も、二段攻撃がどのように評価されていくのか、変遷を見守りたいところ。

《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》のように比較的能力がシンプルなカードは、古今の強力なパワーを持つカードに押されてデッキには入りにくいことが多い。しかし、キーワード能力がどのように評価されているかを検証できるので、与太話的にはとても価値があるのよね。