まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (11) プレイ例の解説 -ターン9〜12-

ターン9: コーポレーション

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コーポレーションは、手札を 1 枚引いたあと、ただちに遠隔サーバのカードを連続 3 回アドバンスした。そして、カード表向きにして得点することを宣言した。

表に向けたカードは、計画書の《ニセイMK.II/Nisei MK II》だった。このカードはアドバンストークン 4 つを載せることで、2 ポイントの得点にできる。今ちょうど 4 つのトークンを載せたので、コーポレーションはただちにこのカードを得点にした。得点にしたカードは、他のカードと区別して置いておく。

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コーポレーションは、計画書カードを得点したので、ID カードの能力である「計画書カードを得点したか盗まれたとき、ランナーに 1 ネットダメージを与える」を使用して、ランナーにダメージを与えた。これによって、ランナーはランダムにカードを 1 枚捨てなければならない。

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さらに《ニセイMK.II/Nisei MK II》のカードは、得点したときに「計画カウンター」がカードの上にひとつ置かれる、という能力をもっている。このカウンターを消費することで、ランナーの「ラン」をいつでも無条件で終了させることができる。ランナーにとっては、かなり嫌な能力といえる。

ターン10: ランナー

このターンは、前のターンで得たカードやクレジットを使って、戦線の構築に努めることにした。

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まず最初のクリックで 1 枚手札を引き、次のクリックでアイスブレイカーの 《クリプシスCrypsis》 をインストールした。このカードは強度が 0 しかなく、アイスを突破するためには必ずクレジットを払って強度を増やす能力を使用する必要がある。そのかわりに、突破できるアイスの種類が特定されていないため、どんな種類のアイスのサブルーチンでもブレイクできる。コストはかかるものの、汎用性がとても高いカードになっている。

ただし、このカードはあらかじめクリックを消費して「ウィルスカウンター」をカードに載せておかないと、サブルーチンをブレイクする能力を使ったときに、カードがトラッシュ(捨札に)されてしまう。カウンターが載っている状態でブレイク能力を使用したときは、カウンターひとつを捨てるだけで済む。つまり、このカードを使用するには準備がいるわけだ。

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そこで、このターンの 3 つ目のクリックを使用して《クリプシスCrypsis》 にトークンを載せることにした。これで、少なくともブレイク能力を 2 回は使うことができる。なかなか面倒なカードではあるけど、アイスの種類を問わずにブレイクできる能力はとても強力なので、ここぞという場面でうまく使っていきたい。

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最後のクリックは《イソップ質点/Aesop’s Pawnshop》というリソースをインストールするために使用した。このカードは、ランナーのターンを初めるときに、他のインストール済みの(場に出ている)カードをひとつ捨札にすることで、3 クレジットを得ることができる能力をもっている。カードを消費するので気安くは使えないけど、クリックを消費せずに 3 クレジットを得られるのはとても良い。こちらも、うまく運用していきたいカードである。

なお《イソップ質点/Aesop’s Pawnshop》のカードは、カード名の左に◆の記号がある。この記号のあるカードは、場には1枚しか出せないユニークカードであることを意味している。もしユニークカードが複数枚場に出たときは、先に出ているほうのカードをトラッシュしなければならない。

ターン11: コーポレーション

このターン、コーポレーションは最初に手札を引いたあと、1クリックを消費して《予知/Precongnition》という任務カードを使用した。

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このカードは、山札(R&D)の上から 5 枚を見て、好きな順序に並べかえる能力を持っている。コーポレーションはカードの順序を並べ替えたあとに、次のクリックで手札をひいてきた。

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そして、3 つ目のクリックでは遠隔サーバに 3 枚目となるアイスをインストールした。遠隔サーバにはすでにアイスが 2 枚あるため、インストールするときには 2 クレジットを払う必要がある。

このターン、コーポレーション側は守りをかためることにクリックを費し、手番を終了した。

ターン12: ランナー

ランナーは、自分のターンの最初に、トークンの残りが 2 つになっていた 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》を捨札に(トラッシュ)することで、《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》の能力によって 3 クレジットを得た。

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この場合、《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 から直接クレジットを得ようとすると、1 クリック消費して 2 クレジットしか得られず、しかも 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 に残りのトークンがないのでカード自体は捨札にされてしまう。能力を使ってトラッシュされてしまうのであれば、《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 の能力で 3 クレジットにしたほうが、クリックの消費もせず 1 クレジット多く得られるのでお得というわけだ。

さて、こうしてクレジットを得たあと、ランナーは立て続けに 3 クリック消費して手札を 3 枚引いた。こうして手札を補充したあと、4 クリック目で HQ に向けてランを宣言した。

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コーポレーションは、1 クレジット支払って HQ を守るアイスを表に(レゾ)してきた。HQ を守るのは《ハンター/Hunter》というアイスだった。このアイスには、トレース 3 (Trace 3) と書かれたサブルーチンがついている。

トレース X と書かれたサブルーチンが起動したときは、X の数値とランナーの「リンク強度」という値を比べ、リンク強度のほうが X 未満だったときは「トレース成功」となり、ランナーは「タグ」というトークンを付けられてしまう。この「タグ」が付いていると、コーポレーションは 1 クリックと 2 クレジットを消費することで、ランナーの場に出ている好きなリソースカードを 1 枚、トラッシュすることができるようになる。

このように、タグはコーポレーション側からランナーのリグ(場)にあるカードを攻撃できる、数少ない攻撃手段になっている。そのため、ランナー側にとっては、基本的にタグは鬱陶しい存在である。ただしランナー側も 1 クリックと 2 クレジットを消費することで、付けられたタグを除去する能力をもっているので、そこまで致命的というわけでもない。また、追加のデータパックにはタグを逆用するカードもあったりする。

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さて、ここで出てきた「リンク強度」というのは、ランナーの場に出されているカードに書かれている「リンク」という値の合計のことを意味する。上の写真の右のカードのテキスト欄の左上にあるマークがそれに相当する。

anr11_17_link ← これがリンク強度を示すアイコンである。

上のカードには、このアイコンの横に +1 と書かれているので、場にこのカードがあればリンク強度は 1 である。しかし、今は場に出しているカードに「リンク」と書かれたカードがないので、ランナーのリンク強度は 0 となっている。これに対し、コーポレーション側のトレース強度は 3 なので、このまま勝負するとランナー側は負けてしまう。

このリンク強度は、クレジットを支払うことで一時的に上昇させることもできる。3 クレジット払えば、リンク強度は 3 となってリンク値がトレース強度以上になるので、トレースは失敗となる。これに対して、コーポレーション側もクレジットを支払うことでトレース強度を上昇させることができる。つまり、トレース勝負は最終的にはクレジット勝負ということになる。

ランナーとしては、クレジットを支払って不利なトレース勝負をするよりも、アイスブレイカーでサブルーチンをブレイクすることを選ぶことにした。《Hunter》は「トラップ」という種類のアイスで、強度は 4 である。そこでランナーは 4 クレジット支払い、先にインストールした 《Crypsis》 の強度の強度を 4 とし、さらに 1 クレジット支払ってサブルーチンをブレイクした。

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《クリプシス/Crypsis》 は、サブルーチンをブレイクしたあとに、上に載っているウィルスカウンターをひとつ除去しなければならないので、カウンターを除去した。これで、次に使うためにまたカウンターをひとつ載せておくか、そうでなければ使ったあとにカードを破棄することになる。

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いずれにしてもこれでアイスを突破したので、ランナーは HQ (つまり手札) にアクセスできる。HQ へアクセスするときは、コーポレーションの手札からランダムに 1 枚選んで見ることができる。今、コーポレーションの手札は 2 枚しかないので、いずれか 1 枚を見ることができるということだ。

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ランナーがアクセスしようとしたとき、コーポレーションは《ニセイMK.II/Nisei MK II》の計画カウンターを消費して、ランを強制終了させてしまった。よっぽど、アクセスされては困る手札の内容なのだろうか。いずれにせよ、この能力は強制なので、ランナーには抗う術もなくランを終了させ、そのままターン終了となった。


なお 《クリプシス/Crypsis》 に載っていた「ウィルスカウンター」は、コーポレーションが自分のターンに 3 クリック消費することで「すべてのウィルスカウンターを除去する」アクションを実行し、除去することもできる。今はカウンターの数が少ないので、このアクションを行うメリットがない。しかし、多数のウィルスカウンターを置くようなゲーム展開になるようなら、コーポレーションがアクションによって除去してくる可能性についても考える必要がある。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (10) プレイ例の解説 -ターン7/8-

ターン7: コーポレーション

まずは山札からカードを引いて、手札を 5 枚とした。

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1 クリック使って、遠隔サーバにカードをインストールすることにしたようだ。このとき、すでにインストールされている 《メランジュ採掘社/Melange Mining Corp.》 をトラッシュし(捨札にし)、空いた場所に新たに 1 枚のカードを裏向きにインストールした。このように、すでにインストール済みのカードを破棄し、その後に別のカードをインストールすることもできる。

ルール上、遠隔サーバには資材カードや計画書は 1 枚しかインストールできない。そのことから、わざわざ資材カードを捨札にしてインストールしてきたということは、資材カードか計画書である可能性が高いということだ。もちろん、資材か計画書をインストールしたと見せかけて、「強化」をインストールした可能性もある。

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コーポレーションは、次に 1 クリックと 1 クレジットを消費して、遠隔サーバに 2 枚目のアイスをインストールしてきた。2 枚目のアイスは、1 枚目と同じように裏向きかつ横向きにし、1 枚目のアイスの「外側」(サーバから遠い側)に並べて置く。これで、ランナーがこの遠隔サーバにランしてきたときは、最大で 2 枚のアイスを突破しなければ、サーバにアクセスできないようになった。

ちなみに、サーバにアイスをインストールするとき、1 枚目は 1 クリックでインストールできたけど、2 枚目をインストールするには 1 クリックに加えて 1 クレジット、3 枚目なら 1 クリックと 2 クレジッット消費する必要がある。つまり、同じサーバに 2 枚以上のアイスをインストールするときは、すでにサーバに付けられているアイスの枚数分のクレジットを払う。また、2 枚目以降のアイスをインストールするときは、必ず最も外側(サーバから遠い側、最外殻)にインストールする。そして、一度アイスをインストールしたら、アイスの順序や位置を変えことはできない。

いずれにしても、アイスを 2 枚にしてサーバの守りを強化したきたということは、遠隔サーバのカードがよっぽど大切と見える。いや、そうと見せかけて実は罠の可能性もある・・・とまあ、このあたりのプレイは、コーポレーションとランナーとの駆け引きといったところ。

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コーポレーションの最後の 1 クリックは、サーバのカードを「アドバンス」するために使用した。アドバンスのためには 1 クレジット消費する必要がある。クレジットのトークンの裏側がアドバンストークンになっているので、手持ちのクレジットトークンを裏返してカードの上に置く。

「アドバンス」という操作は、通常は計画書を得点するために行うために行われる。コーポレーションは、カードの上に置かれたアドバンストークンの数が、計画書カードの右上に書かれた数字以上になったときに、計画書を得点に変換することができる。

一方で、資材カードのカードの中にもアドバンスできるものがある。資材カードをアドバンスしたときも、同様にカードの上にアドバンストークンを置く。このとき、カードが裏向きのままであれば、ランナーからはそのカードが計画書なのか資材カードなのかは分からない。だから、ランナーがアドバンストークンの載った資材カードを計画書と思ってランして来れば、コーポレーションとしては「してやったり」である。ランナー側としては、今アドバンスされたカードが「計画書」なのか「資材」なのか、慎重に見極める必要がある。

このようにして、このターンはコーポレーション側からさまざまな「謎」が提示されたところで終了した。

ターン8: ランナー

ランナーは、先のターンのランで手札とクレジットを消費したため、このターンは回復に専念することにした。

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まず 2 クリック使用して手札を2枚引き、残り 2 クリックで 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 から 4 クレジットを取った。これですべてのクリックを消費したので、ターン終了とした。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (9) プレイ例の解説 -ターン6-

ランナーのターン: 6

このターン、ランナーは R&D に対して再びランすることを目論んでいる。前のターンである程度の手札とクレジットは得たものの多少の準備不足を感じていたので、ランナーは最初の 1 クリックで手札を引き、手札を 4 枚とした。

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次に 1 クリック消費して、《Armitage Codebusting》 から 2 クレジットを得た。

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そして、次の 1 クリックでイベントカードの《Tinkering》を使用した。このカードは、アイスのカードを一枚対象とし、このターン限定で対象としたアイスのタイプを本来のタイプにに加えて Barrier、Code Gate、Sentry のタイプにする、というカードである。アイスのタイプを増やすだけで、一見何ら有益な効果がないようにも思えるが、このカードをうまく使うことで、本来は突破できないアイスを突破することができる。

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今回は、このカードの対象として、R&D サーバに付けられている《Neural Katana》を指定した。このアイスは Sentry のタイプを持つが、《Tinkering》の効果によって Barrier と Code Gate のタイプも持つこととなった。

このカードを使わなけえば、ランナー側のリグにあるアイスブレイカー《Battering Ram》では Sentry タイプである 《Neural Katana》 のサブルーチンはブレイクできない。しかし 《Tinkering》 を使ったことでBarrier のタイプも得たため、《Battering Ram》 のサブルーチンもブレイクできるようになったわけだ。

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準備が整ったところで、ランナーは満を持して 1 クリックと 2 クレジット使用して、イベントカードの 《The Maker’s Eye》 を使用した。このカードは「R&D に対してランを行なう。もしランが成功したときは、R&D に対して追加で2枚のカードにアクセスする。」という効果をもつ。このカードの効果によって、ランナーは追加のクリックを消費することなく R&D に対して「ラン」を実行することとなった。

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R&D へのラン(2回目)

ランナーは、まず R&D に付けられている(「ルートにある」という)アイスの《Neural Katana》 に遭遇することになる。このアイスは、先のイベントカードの使用で Barrier のタイプを得ている。そしてアイスの強度は 3 であり、アイスブレイカーの 《Battering Ram》 の強度の 3 以下なので、アイスブレイカーの1番目の能力「2クレジットを支払い、Barrier タイプのサブルーチン 2 つをブレイクする」を使用することで、アイスのサブルーチンをブレイクすることができた。こうして、アイスのサブルーチンは沈黙したまま実行されず、ランナーはまんまと R&D にアクセスすることに成功した。

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ランに成功したことから、ランナーは先に使用した《The Maker’s Eye》の効果によって、R&D の上から 3 枚のカードに対してアクセスができる。複数枚のカードにアクセスするときは、一枚ずつアクセスの処理を行なっていく。

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最初に R&D からめくったカードは、なんと計画書の《優先請求/Priority Requisition》だった。即座にこれを奪って、3 ポイントを獲得した。ただし、コーポレーションの ID カード《ジンテキ: 個人改革/Jinteki: Personal Evolution》の効果「計画書を得点にするか、奪われたとき、ランナーに 1 ネットダメージを与える」により、ランナーは手札を 1 枚ランダムに失った。

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次に R&D からめくったカードは、資材カードの《ジューンバグ計画/Project Junebug》 だった。このカードは「ランナーがこのカードにアクセスしたとき、1 クレジット払うことで、ランナーにこのカードの上にあるアドバンストークンの数 x 2 のネットダメージを与える。」という効果をもっている。ただし、今はこのカードの上にアドバンストークンは置かれていない。そのため、運よく(相手にとっては運悪く)コーポレーションはコストを払ってもランナーにダメージを与えることができない。一方でランナーはこのカードをトラッシュコストを払ってアーカイブ(捨札の束)に捨てさせることができる。このカードのトラッシュコストは 0 であり、ランナーはコストを払うことなくこのカードを捨札にした。

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最後の 1 枚は、アイスの《エニグマ/Enigma》だった。このカードはランナーに何も影響を与えないけど、トラッシュコストもないので捨札にすることもできない。ランナーは、裏向きのままこのカードを R&D の上に戻し、今回のランを終えた。

こうしてランナーのターンは終了した。このターンではランナーの作戦が成功し、首尾よく 3 ポイント獲得することができた。


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