まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (1) ゲームの基本

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Android Netrunner は二人用のデッキを用いるカードゲーム (Living Card Game: LCG) で、プレイヤーはコーポレーション(サーバの防御者)とランナー(サーバへの侵入者)のいずれかを担当する。

コーポレーションは、サーバを使って「計画ポイント(アジェンダポイント)」を作る能力をもっている。コーポレーションは 7 ポイント作ることができれば勝利となる。「計画ポイント」は、電子的な価値のある情報のようなもので、今風にいえば「ビットコイン」みたいなものだ(と思う)。これに対して、「計画書」はビットコインを作るプロジェクトの計画書のようなもので、決められた回数だけアドバンス(計画を実行)させると、カードに書かれている「計画ポイント」を得ることができる。

一方で、ランナー(侵入側)はサーバに侵入する能力を持っており、サーバから「計画書」を盗むことで得点できる。ランナーは、コーポレーションから7 ポイント盗めたら勝ちになる。ランナー側は単に「計画書」を盗めばよく、「アドバンス」という操作をする必要はない。そのかわり(?)、自力では「計画書」を作ることができない。

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上の写真の、左が「ランナー」を示す ID カードで、右が「コーポレーション」を示す ID カード。ID カードはデッキには入れず、最初から場に出して使う。ランナー側もコーポレーション側も複数の種類の ID カードがあり、カードによって能力が異なっている。また、使用する ID カードによってデッキに入れられるカードの種類にも制約がつく。だから、デッキを組むよりも前に、どの ID カードを使うかを選択する必要がある。

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これが「計画書」カード。コーポレーション側のデッキにしか入れられない。コーポレーションはこのカードに対して「アドバンス」という操作をして得点にし、ランナーはこのカードをコーポレーションから奪って得点にする。

カードの右上に、ポイントを得るまでに必要になるアドバンスの回数が書かれている。これらのカードの場合、ポイントを得るには「4回」のアドバンスが必要ということを示している。

カードの中段左側に書かれている数字が「計画ポイント」で、コーポレーションは計画書を完成させると 2 ポイント得られ、ランナーはこのカードを盗むことで 2 ポイント得られることを示している。

コーポレーション(防御側)の戦略

コーポレーションには、最初から R&D、HQ、アーカイブという3種類のサーバがある。といっても、これらは「山札」「手札」「捨札」のことで、このゲームでは山札のことを「R&D」、手札のことを「HQ(ヘッドクオーター)」、捨札の束のことを「アーカイブ」と呼ぶことになっている。いずれにしろ、これらのサーバではビットコイン(計画ポイント)は作れない。

じゃあどこで作るかというと、「遠隔サーバ」というところで作ることができる。「遠隔サーバ」というのは、コーポレーションが自分の手番に、手札のカードを裏向きに出す(インストールすると言う)ことで作ることができる。

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ランナー側からコーポレーション側の陣地を見ると、上の写真のようになる。山札の横に、裏向きに置かれたカードが「遠隔サーバ」である。この「遠隔サーバ」に対して、自分の手番のときに「アドバンス」という操作をすることで、計画ポイントを作ることができる。ちなみに、遠隔サーバはいくつでも作ることができる。

「アドバンス」という操作は「ビットコインを作る計画を実行する」というような意味だと思ってもらえば、だいたいあってる(気がする)。コーポレーションは、「遠隔サーバ」のカードに書かれている回数だけ「アドバンス」すると、カードに書かれたポイントの分だけコーポレーションの得点になる。

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アドバンスした遠隔サーバには、円い「アドバンストークン」を置いて、何回アドバンスしたか分かるようにする。遠隔サーバは裏向きのままでもアドバンスできるし、何らかの理由で表向きの状態になっていてもアドバンスできる。

つまり、コーポレーションとしてはひたすら「遠隔サーバ」を作って「アドバンス」しまくれば勝てる、ということになる。

ランナー(侵入側)の戦略

一方、ランナーは自分では計画ポイント(ビットコイン)が作れない。その代わり、コーポレーションのサーバに侵入して「計画書」を盗み、ポイントを得ることになる。

ランナーは自分の手番に、コーポレーション側の好きなサーバを指定して「ラン」する(侵入を試みる)ことができる。ランに成功してサーバにアクセスできたとき、それが「遠隔サーバ」だったときは、コーポレーションはそのカードを表向きにしてランナーに見せる。

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アクセスされたカードが上のような「計画書」だったときは、ランナーにカードを奪われてしまう。そして、表に書かれた「計画ポイント」の分だけ、ランナーがポイントを盗んだことになり、それがランナー側の得点になる。たとえば上のカードの場合は、いずれを奪った場合でも 2 ポイントがランナーの得点になる。取引所のサーバに侵入してビットコインを盗む、みたいなことを想像してもらえば、だいたいあってるかも。

だから、ランナーは「サーバ」にランして計画書を盗みまくることで勝利を目指す。


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まさかの時のボードゲーム: Star Wars Imperial Assault

スターウォーズの世界を舞台としたフィギュアを使う対戦型のボードゲームで、GM 的な役割りをするプレイヤーが帝国軍の全キャラを操作し、同盟軍は各プレイヤーがそれぞれ一人ずつのヒーローを担当して帝国軍と戦う。マップやフィギュアが最初から付いていて、戦闘のみに特化された TRPG という雰囲気のゲームで、同じ会社から発売されているディセント第二版というゲームと非常によく似ている。

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上の写真は、3人プレイのチュートリアルのゲームをセットアップしたところ。手前側が帝国軍のプレイヤーで、左側に同盟軍のプレイヤー(2人分)がセットアップされている。中央は実際に戦闘をするマップで、複数のマップタイルを組合せて作るようになっている。灰色のフィギュアが帝国軍側のフィギュアで、ベージュ色のフィギュアが同盟軍のヒーローを表している。

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同盟軍のヒーローのパラメータは、ヒーローのカードに書かれている。基本パラメータは Health (体力)、Endurance (耐久力)、Speed (移動力)、Defense (防御力) の 4 つ。右上には、戦闘などに使える特殊能力が書かれており、下の欄には各種のチェックに使うダイスの種類が書かれている。

ヒーローが戦闘などでダメージを受けると Health が減っていき、Health がゼロになるとヒーローカードを裏返す。裏面(負傷面)にも同じようにパラメータが書かれているけど、裏面はパラメータが若干下っていたり、能力が書かれていなかったりする。そして、裏目の Health もゼロになると、ヒーローは倒されてマップ上から除去される。

Endurance は特殊能力を使うときに消費するポイントで、ここに書かれた数値になるまでポイントを使うことができる。Speed はマップ上を1ターンの間に移動できるマスの数を示している。Defense は、敵から攻撃を受けたときに、防御判定につかうダイスの色を示している。このヒーローが防御する場合は、白のダイスをひとつ振ることを意味している。

右側のカードは「武器」のカードで、攻撃するときに使うダイスの種類や、耐久力を消費して使用できる特殊能力が書かれている。この武器の場合は、通常攻撃のときは緑と黄色のダイスをそれぞれ1つずつ振ることを意味している。カード中央には、攻撃用のダイスを振ったときに出た「稲妻」の目を消費することで使える特殊能力を示している。

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帝国軍側はこんな感じ。同盟軍側に比べると、Health が圧倒的に低い。一方で、攻撃や防御についてはあまりかわらない。これだけ見ると帝国軍が不利に見えるけど、帝国軍側は同盟軍よりだいたいの場合は数が多い。

このゲームはターン制で、同盟軍プレイヤーと帝国軍プレイヤーが交互にフィギュアを操作するようになっている。各ターンには「移動」「攻撃」「体力や耐久力の回復」「トークンやドアなどを操作する」「カードに書かれた特殊能力を使う」という5つのアクションのうちから2つを選んで行動できる。

同盟軍と帝国軍のプレイヤーは、ターンを交互にプレイする。ただし、同盟軍プレイヤーが2人いる場合は、プレイ順序は「同盟軍1」「帝国軍」「同盟軍2」「帝国軍」、といった感じになる。たとえば、同盟軍のフィギュアが2人としたら、最初のターンにに同盟軍プレイヤー1が「自分の担当するフィギュア」を行動させ、次のターンは帝国軍プレイヤーが「同じグループ所属するフィギュア全部」を行動させる。そして、その次のターンには同盟軍プレイヤー2が「自分の担当するフィギュア」を行動させ、次のターンは帝国軍プレイヤーが「他の、同じグループに所属する全部のフィギュアを」行動させる、という具合になる。つまり、帝国軍側だけが同時にたくさんのフィギュアを動かすことがある、ということ。

こうやって、双方が全部のフィギュアを行動させたらラウンド終了となる。そして、帝国軍か同盟軍のいずれかのプレイヤー側が勝利条件を満たすまでラウンドを繰り返す。

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次に戦闘について簡単に説明する。

このゲームでは、戦闘はダイスで解決する。上の写真では、帝国軍側の Stormtrooper (灰色の上側のフィギュア)が、同盟軍の Diala Passil を攻撃したところを示している。Stormtrooper の攻撃ダイスが「緑」「青」のふたつで、Diala Passil の防御ダイスは「白」ひとつなので、これらを相互のプレイヤーが振る。

この戦闘の場合、攻撃側と防御側が隣接していない(遠隔武器で攻撃している)ので、まずは出目から命中判定をする。命中判定については、ダイスに書かれている「数字」の合計が、攻撃側から防御側までの距離(マス目の数)以上であれば命中したことになる。この戦闘では、距離が 3 でダイスの結果が 5 (1+4) なので、命中したことになる。

次にダメージ判定をする。ダメージは、攻撃側のダイスにあるバツ印の合計から、防御側のダイスにある黒い三角形のようなマークの数だけ引く。この例では、攻撃側のバツ印の数は 2 で、防御側の三角形が 1 なので、ダメージは 1 (= 2-1) になる。

最後に、稲妻マークの解決をする。攻撃側のダイスに稲妻のマークがあるときは、そのマークの数だけカードに書かれた特殊能力を使用できる。ただし、防御側に円のマークがあるときは、そのマークの数だけ稲妻のマークがキャンセルされる。この例では、攻撃側の稲妻マークは 1 つで防御側の円マークが 1 つあるので、稲妻マークは相殺されてしまい特殊能力を使うことができない。

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こうして戦闘の解決を終了し、最終的に与えられたダメージの分だけ、上の写真のようにダメージトークンをヒーローカードや帝国軍側のカード(配置カード)に置く。ダメージは累積していき、Health 以上のダメージを受けると帝国軍側ならフィギュアをマップ上から除去する。同盟軍側なら、先に書いたようにカードを裏面にするか、ヒーローをマップから除去する。

このミッションでは、同盟軍側は帝国軍側のフィギュアをすべて除去したら勝利になる。

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帝国軍側はヒーローを全員倒すか、マップに配置されている2つのターミナルトークン(上の写真の左上にある撒き菱みたいなトークン)2つに、いずれかのフィギュアが到達したら勝利になる。ただ、同盟軍側のヒーローはやたら Health が高いので、ヒーローを倒すのは現実的ではない。なので帝国軍側は、大抵のミッションではヒーローを倒すよりも、ミッションで決められている勝利条件を満たすことを目指すことになる。

というか、どのミッションでも同盟軍側は何も考えずに行動していると、すぐに帝国軍に負けるくらいのバランスになってることが多い。同盟軍側は、やられることを気にするよりも、全力で帝国軍を倒しまくらないと勝てなかったりする。

・・・ルールはだいたいこんな感じで、これくらい分かればプレイできる感じ。あとはカードごとに書かれた特殊能力が沢山あったり、ミッションで指定されている特殊なルールがあったりする。

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なお、最初に書いたように、ディセント第二版とはルールがとてもよく似ている。このゲームのほうがよりルールが整理されて、シンプルになっているという感じ。コンポーネントもよく似ていて、上の写真のようにディセント第二版のフィギュアをこのゲームのフィギュアを混ぜて置いてみても違和感がない。

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上側が Imperial Assault のダイスで、下はディセントのダイス。マークは違うけど、出目の感じはよく似ている。

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これは、ディセントのマップとこのゲームのマップを接続してみたところ。どっちがどっちか分からない程度には似ている。ディセントのマップやフィギュアを使って、勝手な拡張ミッションとか作れそうなくらい。というか、あっちの人ならすでにそういうの作ってそうよね。


何にせよベースはディセントなので、この手のゲームが好きなら十分楽しめると思う。むしろ、ディセントより遊びやすくなっている感じはする。拡張セットも発売されているし、Skirmish という2人用の対戦ルールも用意されているので、シナリオ不足で困るというような心配はなさそうだ。

ただ、ディセントがファンタジーというテーマだったのに対して、このゲームはスターウォーズというテーマなので、日本では一部地域でしか受けないかなあ。

Pathfinder Adventure Card Game: Wrath of the Righteous Base Set の追加要素について

Pathfinder Adventure Card Game の三つ目の Base Set である Wrath of the Righteous で追加されたルールやカードなどについて、以前の記事で触れなかった部分について追記する。

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前回の記事にも書いたように、このセットでも基本的なルールの変更はなく、いくつかの新しい要素とサポートカードが追加されている。もちろん、これらの追加要素をまったく使わずプレイすることもできる。追加されたサポートカードには Mystic PathCohort がある。追加要素としては RedemptionServitor Demons がある。この他、カードの属性として AbyssCorrupted という特殊な属性が追加されている。以下、これらについて順に説明する。


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Mythic Path: アドベンチャーに含まれる複数のシナリオを続けて行なう時に、シナリオをクリアしたときに報酬として受けとるカードで、次のシナリオでのチェックダイスにボーナスを付けることができるようになる。また回数制限ありながら、チェックに使うダイスを d20 に変更することもできる。

シナリオの開始時に Mythic Path カードに 2 つの Mythic Charge (トークン) を置いておく。シナリオ中に、カード中に書かれている種類のチェックを行なうときは、このカードの上に置かれたトークンの数だけプラスの修正を加えることができる。例えば、上の左のカードは Dex か Int のチェックのときにボーナスを与えるカードになっていて、このカードの上にトークンが 2 つあればダイスに +2 の修整を、トークンが 1 つなら +1 の修整を加えることができる。トークンがひとつもないと、何も修整を受けない。

この修整を行なった後に、カード上のトークンを好きなだけ消費して、チェックに使うダイスを d20 に変更できる。このとき、消費したトークンに等しい数のダイスを d20 に変更できる。ただし、変更するダイスは「ダイスのサイズが大きいほうから」順に選ばなければならない。たとえば、d12+d6+d4 というダイスでチェックを行なうときに、トークンをひとつ使ってダイスを変更するときは、d12 が d20 に変更され d20+d6+d4 になる。トークン 2 つを使った場合は、2d20 + d4 になる、ということ。

上の能力とは別に、5 つのトークンを消費することで、特別な能力を一度だけ使うことができる。どんな能力が使えるかはそれぞれのカードに書いてある。ただし、トークンはシナリオの最初の時点では 2 個しかないので、その状態ではこの能力はつかえない。プレイ中にトークンを増やす効果を使うなどして、5 つに増やす必要がある。

なお、Wrath of the Righteous の基本セットには 5 種類の Mythic Path カードが入っている。


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Cohort:

シナリオを開始する前に、シナリオカードで指定されている Cohort カードから1枚を選んで手札に追加できる。このカードは他のカードと同じように使うことができる。ただし、あるシナリオで手札に入れた Cohort カードを次のシナリオに持ち越すには、キャラクタカードで指示されたデッキを構成するカードのタイプに Cohort が含まれている必要がある。


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Redeem:

このセットに含まれるカードには、上の右のカードのように Corrupted という属性 (trait) を持つカードがある。これらのカードは、Corrupted という属性をもっている状態だと、カードの能力が十分に発揮できなかったり、そもそも全く使用できなかったりする。

この Corrupted という属性は、カードの能力などによって消去する (Redeem) ことができる。Redeem すると、そのカードは現在のゲームだけでなく、進行中のアドベンチャーパスのすべてのシナリオにおいても、Corrupted の属性がないものとして扱えるようになる。複数の同名のカードがある場合にそのカードを Redeem した場合は、それら全ての同名のカードについて Corrupted の属性がないものとして扱うことができる。

Redeem したカードを覚えておくためのチェックリストが、上の写真の左のカードになっている。Redeem したときは、このカードのチェック欄の該当するカード名のところにチェックを入れる。このカードに相当する pdf ファイルが paizo.com からダウンロードできるので、それを印刷してチェックを入れるのでもいい。というか、普通そうするよね。


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Servitor Demons

アドベンチャーごとに、Servitor Demon というのが指定されている。シナリオをプレイ中に Servitor Demon を召喚するように指示があったときは、上の左のカードの該当するアドベンチャーの欄にある Demon カードを召喚する。たとえば、Base Set のアドベンチャーなら、上の写真の右の Demon を召喚する。


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Abyss

Location カードの中に、Abyss という属性が書かれたカードがある。これらの Location にいるときだけ、特殊な効果を発生させるカードがある。Abyss 属性のついた Location カードは、他のカードと同様にイラスト中に Abyss という属性名が書かれている。また、Abyss 属性をもつカードはカード名のところが赤っぽい色になっているので、それで区別がつくようにもなっている。

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通常の Location カードはこんな感じで、カード名のところは白い。比べるとかなり違ってるよね。

Abyss 属性を参照するカードは、モンスターや罠などの bane カードの中にある。もし、Abyss 属性をもつロケーションにいるキャラクターが、探索のときにめくったカードが Abyss 属性を参照するカードだったときは、敵の強さが増大したり、追加のダメージを受けたりといったことが起こる。


だいたいこんなかんじかな。