MTG カード与太話: 霊気紛争より「生真面目な補充兵」


生真面目な補充兵/Solemn Recruit

《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》からプロテクションを外して、代わりに紛争を付けたようなカード。《威名の英雄/Fabled Hero》の「英雄的」を「紛争」に置きかえたものとも言える。2/2 の二段攻撃クリーチャーは、初出はシャドウムーアの《炉火のホブゴブリン/Hearthfire Hobgoblin》で、コストは(赤/白)(赤/白)(赤/白)と、微妙な設定となっていた。そのあと《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》や《威名の英雄/Fabled Hero 》などを経た後に調整され、(1)(赤)(白) のマナコストを持つ《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》が出た。ここで 2/2 二段攻撃クリーチャーのコストは、アンコモンではダブルシンボル3マナ強、レアでダブルシンボル3マナ弱という評価でおおむね確定したようだ。その後に出たこのカードも、二段攻撃+αの能力でコストは(1)(白)(白)となっており、これまでの評価を踏襲している。MTG の歴史の中では比較的新しいキーワードの能力である二段攻撃も、評価は落ち着いたと見ることができそうだ(多分)。

ちなみに、現在の 1/1 二段攻撃の標準形はアンコモンの《剣術の名手/Fencing Ace》でコストは(1)(白)であり、1/2 の二段攻撃としてはアンコモンの《ボロスの速太刀/Boros Swiftblade》がありコストは(赤)(白)である。ただし《ボロスの速太刀/Boros Swiftblade》は《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》の収録されているオリジン以前のカードなので、若干コストが高めに設定されているかもしれない。今後も、二段攻撃がどのように評価されていくのか、変遷を見守りたいところ。

《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》のように比較的能力がシンプルなカードは、古今の強力なパワーを持つカードに押されてデッキには入りにくいことが多い。しかし、キーワード能力がどのように評価されているかを検証できるので、与太話的にはとても価値があるのよね。

MTG カード与太話: 霊気紛争より「霊気圏の収集艇」

プレリ、何それおいしいの? (仕事の時間です)


霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester

イラスト、名前、カードタイプ、能力を総合して見ると、いかにも某連邦の「木馬」っぽいな・・・と思ってたのに、あまりそういう意見はないらしい。木馬とか言っても、現役のプレインズウォーカー諸氏には通じない時代がきたということか(老衰による妄想です)。残念ながら搭載するべき「白い(黄色い?)悪魔」は用意されていないようだ。このセットから搭載機を選ぶなら増強自動機械あたりですかね・・・。パワー的には悪魔と呼ぶには不足だけど、搭載機とする分には悪くない感じ。一方、強引に悪魔から選ぶとすれば、本セット唯一の悪魔である艱苦の伝令しかいない。しかし、これだと悪魔のほうに木馬のほうがタップされたり生け贄にされたりして、いいように利用されるだけになりそう(実はそれで正解という説も)。

とりあえず、カード的に見ても3マナで飛行絆魂 3/5 なんていうクリーチャーは過去に例がなく、かなりの良性能ではあるようだ。3/5 より大きなサイズで、飛行と絆魂を持つ最小コストのクリーチャーは、5 マナの 悪斬の天使/Baneslayer Angelくらいしかいない。これはこれで破格の性能だけど・・・。3 マナ以下で、飛行と絆魂を持つクリーチャーは、たとえば 空中対応員/Aerial Responder吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk などがいて、飛行かつ常時絆魂 + α ではあるものの、サイズは 2/3 止まりとなっている。

最近は蓄霊稲妻/Harnessed Lightningのおかげで、デッキにエネルギーを出すカードは何か入ってそうだし、序盤に出したクリーチャーを搭乗させて再利用することができると考えれば、なかなか悪くないように思える・・・んだけど、運用するにはやや手がかかるかなあ。攻撃するには若干パワー不足、コストパフォーマンス(航行速度)はあと一歩、運用が少々面倒、というところまで木馬に似せるなんて、デザイナーの木馬へ愛が感じられる(もちろん妄想です)。

MTG カード与太話: 霊気紛争より「無秩序街の主」


無秩序街の主/Freejam Regent

このセットで唯一のドラゴン。しかし、絵的には顔はヘビとか悪魔っぽい感じだし、体は何だか豹柄だし、ポーズも妙にコミカルで、いつものドラゴンのような威厳があんまり無い。カード名も「無秩序街の」ではなくて「」となっていたり、神話レア枠を人間に譲ってしまっているあたりに、ドラゴンとしての威厳の喪失が見られる(?)。今季はアーティファクトに主役を取られたので三枚目の役に徹し、来季での再起を狙うというドラゴン族の苦渋の選択か(妄想です)。それでも、多少なりともアーティファクトを利用する能力をもっているあたりに、ドラゴンのしたたかさが見える。ていうか、もうちょっと格好良い絵にしてほしかったなー(本音)。

どうでもいいけど、無秩序街 (Freejam) というのは、カラディシュにあるギラプール市の近郊にある街で、航空技術が発達した街らしい (MTG wikiによる)。といっても、今のところこのカード以外に無秩序街に関係するカードはなく、誰もいない街の主みたいな、やや悲しい状態になっている。《霊気圏の収集艇》とか《羽ばたき飛行機械》みたいな、飛んでるアーティファクトは実はここで作られた可能性はあるが、特にフレイバーなどでは言及がない。《羽ばたき飛行機械》の背景を見ると、ギラプール市とその周辺にあるという尖塔や高層建築物らしきものはあるものの、無秩序街は「地面を歩かなくても建築物を伝って歩ける」みたいな特徴があるそうなので、やっぱり違う気もする。

この「主」を名乗るドラゴンの、ぼっち疑惑が晴れる日が来るのだろうか。