まさかの時のボードゲーム : バロニィ [1] ゲームの概要

バロニィは手番制の陣取りゲームで、プレイヤーは地域の覇権を競う男爵となり、騎士を使ってマップ上の土地を征服して爵位を上げていきます。誰かが公爵になったラウンドの終了時に、最も勝利点を稼いでいるプレイヤーが勝利者となります。

メインのマップボードはこんな感じです。マップには海、山岳、森林、平原、田園の5つの地形があります。3つの地形が一組になったマップタイルを人数x9枚使ってマップを作ります。

このタイルで作ったマップの上に、騎士や都市などを配置していきます。

これは爵位を示すボードです。各プレイヤーは自分の色のコマを置いて、現在の爵位と勝利点を同時に示します。爵位をひとつ上げるには、資源トークンを15個必要とします。自分の手番に資源トークンを 15 個以上支払うと、爵位をひとつ上げることができます。爵位がひとつ上がると、ただちに15勝利点を得ます。ただし、16以上の資源を支払っても15勝利点しかもらえません。

これらの資源トークンを得るには、騎士をマップ上のマスに移動させ、村か要塞を建てる必要があります。自分の手番に、自分の騎士だけがいるマスから騎士を取り除き、代わりに村コマか要塞コマを置けます。このとき、置いた土地の種類によって、対応する資源トークンを受けとります。

資源トークンは、4種類の地形に対応した4種類のものがあります。村か要塞を建てた土地が「田園」ならば資源は5、草原なら資源は4、森林は資源3、山岳は資源2です。資源トークンに書かれている白い数字は、ゲーム終了時に勝利点に加算されます。田園は3点、平原は2点、森林は1点、山岳は0点です。

騎士は、自分が最初から持っている三つの「都市」に招集することができます。自分の手番に「招集」すると、自分の都市のいずれかに騎士コマを2つ置けます。都市が海に面していれば、騎士コマを3つ置けます。

都市は、ゲームの開始前にプレイヤーが順番にマップ上に置いていきます。都市は、他の都市と隣接するようには建てられず、海と森のマスにも建てることはできません。最初に都市を置いたマスには、同時に騎士コマもひとつ置きます。

都市は、村をアップグレードすることで作ることもできます。都市を建てるときは、そのマスが都市を置ける条件を満たしている必要があります(他の都市に隣接していない、森マスではない、他プレイヤーの騎士コマがいない)。新たな都市を建設すると、ただちに10勝利点を貰うことができます。ただし、都市コマは5つしかないので、6つ以上の都市は作れません。また。アップグレードで都市を建てたときには、騎士コマは置きません。

このゲームの勝敗を左右するのは、騎士の使い方です。騎士は、自分の手番に2コマまで、それぞえ隣接するマスに動かすことができます。自分の手番に、同じコマを2回動かすことはできません。騎士は移動するときに、次のルールに従う必要があります。

  1. 海には移動できない。
  2. 他プレイヤーの要塞、都市があるコマには移動できない。
  3. 他のプレイヤーの同色のコマが2つ以上あるマスには移動できない。
  4. 他のプレイヤーのコマが置かれている山のマスには移動できない。
  5. 移動終了時に、そのマスに自分のコマが2つ以上あるとき、自分以外のコマをすべて除去する。もしこの方法で村を除去したときは、除去した村の色のプレイヤーから好きな資源トークンをひとつ奪ってもよい。

この、最後のルールが重要で、騎士コマ2つを敵の村のあるマスに移動させれば、その村を除去した上に資源トークンを奪うことができるというわけです。

たとえば、このような状態で赤プレイヤーの手番になったとき、騎士コマ2つを黄色の村のマスに移動させたとしましょう。

このとき、黄色の村は除去され、赤プレイヤーは黄色プレイヤーのもつ資源をひとつ奪えます。騎士の侵入したマスと同じ資源である必要はありません。上の場合、森に侵入していますが、黄色プレイヤーが田園の資源を持っていれば、それを選んで奪うことができます。

もし、赤の騎士コマで黄色の村を除去したときに、黄色プレイヤーが資源コマを何も持っていなければ、村は除去されますが資源トークンを奪うことはできません。資源トークンは勝利点獲得のために支払うことができるので、村を除去される前に勝利点に変換してしまえば、仮に村を除去されても資源ツークンを奪われることは防げます。

黄色の村に騎士コマがあれば、赤の騎士コマは侵入させることができません。山以外の場所にある村の除去を防ぐためには、その村に騎士を置いておく必要があるということです。

複数の色のコマが同じマスにいることもあります。たとえば、黄色の村に青の騎士コマがいたとしましょう。このとき、赤の騎士コマふたつを村のマスに移動させると、黄色の村と青の騎士の両方を除去します。赤プレイヤーは黄色プレイヤーの資源トークンをひとつ奪いますが、青プレイヤーからは奪えません。単に青の騎士コマは除去されるだけです。

また、赤の騎士コマをひとつだけ移動させたときは、単に赤の騎士コマがそこに置かれるだけです。黄色の村も青の騎士もそのまま残ります。

除去されたコマは、それぞれのプレイヤーのストックに戻ります。ストックに戻った騎士は「招集」で都市に置けますし、ストックの「村」は再度建設のときに使えます。ストックの数以上に騎士は招集できませんし、村や要塞も建設できません。

なお、山のマスにある村は除去できません。自分の騎士コマは、他のプレイヤーのコマがある山には侵入できないからです。

最期に、「探検」という方法で騎士コマをマップに出すことができます。この方法で出したときは、騎士をマップの端の任意のマスに騎士をひとつ置くことができます。ただしこの方法で騎士を置くときは、同時に自分のストックからひとつ騎士コマを箱に戻さなければなりません。つまり、使える騎士のコマの総数が減るということです。

誰かが「公爵」(一番右側の列)にコマを進めたら、そのラウンドの終了時に爵位ボード上の勝利点に、手持ちの資源に書かれた白い数字(勝利点)を加算し、合計の勝利点が最も多い人が勝利者(王)になります。資源トークンの勝利点によっては、爵位の低いプレイヤーが勝利することもあります。

ルールは概ねこんな感じです。

短時間で勝負が着く割にはガチな指向を要求されるゲームで、実力の差がはっきり出ます。初心者と遊ぶときは、使う都市コマや騎士コマを減らすなど、かなりのハンデを付けたほうがいいように思いました (勝利点に差をつける程度ではハンデにならない感じがします)。

自分の都市の初期配置は特に重要で、どこに置くかで半分くらい勝負が決まる感じがします。マップは「人数x9枚でランダムに作る」とありますが、マップの表を見ながれ作るとどうしても意識的に有利なマップを作ろうとしてしまいがちです。タイルをすべて裏向けてマップ状にしておいてから、あとで表に向けるなどの工夫が必要な気がしました。

まさかの時のボードゲーム: ワイナリーの四季 [1] ゲームの概要

このゲームはラウンド制で、プレイヤーが交互に手番をプレイしながら、ワイナリーを発展させていくゲームです。プレイヤーは、ぶどうの樹を植えて、ぶどうを収穫し、ワインを醸造して出荷することで勝利点を稼ぎます。そして、20 点を越える勝利点持つプレイヤーが出たラウンドの最後に、最も勝利点を持っているプレイヤーが勝利となります。

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勝利点を稼ぐには、とにもかくにもワインを出荷する必要があります。ワインを出荷するためには、おおむね下記の複数の手順を踏まなければなりません。

  1. 畑にぶどうの樹を植える (植樹する)。
  2. ぶどうを収穫する。
  3. 収穫したぶどうからワインを醸造する。
  4. ワインを熟成させる(必要に応じて)。
  5. 手持ちのワインを出荷するために、受注カードを引く。
  6. 出荷する (受注カードを使う)

なかなか大変ですよね…。これらに対応するアクションを実行するためには、自分の手番にボードの上にプレイヤーがもつ労働者コマを(黄色い丸のところに)置いて、働いてもらいます。

ゲームのボードはこんな感じです。各アクションにコマを置けるスペースは、プレイする人数によって決まっています。たとえば、2人プレイのときはひとつのアクションには1コマしか置けず、3〜4人のときは2コマまで置けます。労働者コマも、コマを置けるスペースも限りがあるため、プレイヤーは好きなアクションを必ずできるとは限りません。

ラウンドは「春」「夏」「秋」「冬」「年末」の五つのフェイズに分かれており、各フェイズの内容はおおむね以下の通りです。

  • 春: プレイヤーの手番の順序を決める。
  • 夏: 手番の順で、夏のアクションを順番にプレイする。
  • 秋: 訪問者カードを1枚引く。
  • 冬: 手番の順で、冬のアクションを順番にプレイする。
  • 年末: ワインやぶどうの熟成、労働者コマなどの回収、親プレイヤーの移動などを行なう

春は、各プレイヤーが「ニワトリ」のコマを使って、ラウンド中の手番の順序を決めます。

親から順に好きな番号のところにニワトリを置いていき、より低い番号にコマを置いた人から順に手番を実行します。各番号にはボーナスが書かれていて、例えば上の写真の場合なら青プレイヤーは「受注カード」を引くことができ、黄色プレイヤーはこのラウンドだけ使える追加の労働者コマをひとつ得ます(アクションがひとつ多く実行できる)。白プレイヤーは何もボーナスはありませんが、手番を最初に実行できます。数値が大きいほど良いボーナスがもらえますが、その分だけ手番は後になってしまいます。

順番が決まったら、夏フェイズにアクションを実行していきます。ゲームの大半の時間は、夏フェイズと冬フェイズのアクションのプレイに費されることになるでしょう。プレイヤーは交互に労働者コマを置いていき、互いに労働者コマが尽きるかパスをするとフェイズは終了します。なお、夏と冬で実行できるアクションが異なっています。労働者コマは1年(ラウンド)の終了時まで帰ってこないため、夏のうちに労働者コマを使いきってしまうと、冬フェイズには何もできません。夏フェイズにできるアクションは、ボードの左側にあり、労働者コマを置く黄色や青い丸が書かれています。冬フェイズにできるアクションは右側にあり、青い丸が書かれています。

共通のボードとは別に、プレイヤーごとの資源を管理するためのシートがあります。シートでは、プレイヤーが管理するぶどう畑、収穫したぶどう、醸造したワイン、ワイナリーに建設した建築物、労働者コマなどの資源を管理します。これらの資源は、アクションを実行したりカードをプレイすることで増えたり減ったりします。

シートで管理する資源とは別に「現金」もあります。現金は、アクションの実行やカードのプレイ時のコストとして支払ったり、労働者を新たに雇う時に支払ったりします。このゲームの現金の単位は「リラ」です。

「ぶどう畑」は、ぶどうの樹を植樹する場所です。プレイヤーは最初に 3 つの畑を持っています。畑は、「畑売買」のアクションを実行することで、売りはらって現金にすることもできます。もちろん、すべての畑を売ってしまうとぶどうは育てられません。売ってしまった畑も、現金があれば「畑売買」のアクションで買い戻すことはできます。

「ぶどうの樹」はカードで表されており、ぶどうの価値と種類、植えられる条件などが書かれています。ぶどうは、白ぶどうと黒ぶどうの二種類があります。価値は数値で示されており、価値が高ければ高いほど高額で売れたり、高い勝利点になるワインを作れたりします。たとえば、上の写真の「マルヴァシア種」(左下)は、価値が1の白ぶどうの樹で、右下に「カベルネ・ソーヴィニオン種」は価値4の黒ぶどうの樹です。

ひとつの畑に複数のぶどうの樹を植えることもできます。そのときは、畑の価値を越えないように樹を植える必要があります。ぶどうの樹を植えるときは「ぶどうの樹を植える」アクションを実行する必要があります。

たとえば、畑が上のような状態になっているとき、左の「価値5」の畑に植えられるのは、左のマルヴァシア種(価値1)と、中央のピノ種(価値1+1=2)です。右のメルロー種は価値が3あるため、左の畑に植えると畑の価値を越えてしまいます。同様に、中央の畑にもメルロー種は植えられません。ぶどうの樹は同じ畑に何本でも植えられますし、種類の違う(黒と白の)ぶどうを混在させることもできますが、畑の価値を越えるようには植えられません(訪問者カードで植える場合を除く)。また、ぶどうの樹が植えられるのは売却されていない畑にだけです。右にある価値7の畑は売却されてしまっているため、どのぶどうの樹も植えることはできません。

多くのぶどうの樹は、貯水タンクやぶどう棚が建設されていないと植えられません。植えるために必要な施設は、カードの上の欄にアイコンで描かれています。たとえば、マルヴァシア種は建築物が何もなくても植えられますが、右隣りの価値2の黒ぶどうの樹であるシラー種は、「ぶどう棚」がなければ植えられません。価値4の白ぶどうのシャルドネ種は、植えるためには「ぶどう棚」と「貯水タンク」の両方が必要です。何も建設されていなくても植えらるぶどうの樹は、価値が1のぶどうの樹だけです。それ以外のぶどうの樹は、ぶどう棚か貯水タンクが立っていることが、植えられる条件になっています。

さて、ぶどうの樹が畑にあるときに収穫のアクションを実行すると、ひとつの畑にあるぶどうの樹すべてから収穫できます。ぶどうを収穫したときは、収穫した樹の価値に対応する自分のシートのぶどうの数値のところに、透明のマーカーを置きます。ただし、同じ種類のぶどうを複数収穫したときは、その価値を合計した数(価値)のところにマーカーを置きます。

たとえば、上のような畑の状態のときに、左の畑に対して「収穫」を実行したときは、白ぶどう1、黒ぶどう3のところにマーカーを置きます。 (ここ間違ってるので要修正)

もし、収穫したぶどうに対応するシート上の数値の場所に、すでに透明のマーカーがあるときは、ぶどうの価値を下げて収穫しなければなりません。

たとえば、上の収穫をした後にさらに右の畑についても収穫したとしましょう。このとき、貯蔵庫にぶどうがひとつもなければ、価値3の黒ぶどうと価値1の白ぶどうが収穫できます。しかし、すでにどちらのぶどうの場所にもマーカーがあるので、そのまま収穫することはできません。黒ぶどうは1つ格下げとなり、価値2のぶどうとして収穫されます。そして、価値1の白ぶどうは置く場所がないので廃棄となります(収穫したことにはなります)。

ちなみに、収穫したぶどうは売却して現金にすることもできます(アクションの実行が必要です)。貯蔵庫がいっぱいなのに醸造できなくて困ったときは、ぶどうを売ってしまうこともできるわけです。なお、収穫を実行してもぶどうの樹はなくなりません。ぶどうの樹は農耕馬などのアクションで「引っこ抜く」ことをしない限り、畑に残り続けます。

ぶどうを収穫したら、いよいよワインを醸造できます。貯蔵庫にあるぶどうからワインを醸造するときは、「醸造」のアクションに労働者マーカを置き、そのぶどうの種類と価値に対応するワインの位置にマーカーを移動させます。ただし、価値4以上のワインを造るには「中規模セラー」という建築物を建てる必要があります。中規模セラーがない状態で、価値4以上のワインを醸造しようとしても、3の価値のワインしかできません。

今、上の写真のように価値3と4の黒ぶどうと、価値4の白ぶどうが貯蔵庫にあり、3つのワインを醸造する(ボーナスの)アクションを実行したとしましょう。通常であれば、価値3と4の赤ワインがそれぞれひとつ、価値4の白ワインがひとつできるところですが、価値4のワインを作るには中規模セラーが必要です。

今、このプレイヤーは中規模セラーがないので、価値4以上のワインは格下げとなり、価値2と3の赤ワインと価値3の白ワインが醸造されることになります。

もし中規模セラーがあれば、上のように価値4と3の赤ワイン、価値4の白ワインを醸造できます。

同様に、価値7以上のワインを造るには、大規模セラーが建設されている必要があります。もし醸造しようとしたワインに対応する位置にすでにマーカーがある場合は、ぶどうの収穫のときと同様に、より価値の低い位置にマーカーを置かなければなりません。また、もしマーカーを置ける位置がない場合は、醸造されたワインは捨てることになります(もったいない!)。ワインはぶどうと違って、売却して現金にすることはできません。計画的な醸造が必要です。

中規模セラー以上をもっているときは、ロゼワインを作ることができます。ロゼワインは、黒ぶどうと白ぶどうを一つずつ使用し、使用する「白ぶどうの価値+黒ぶどうの価値」によって、できあがりのワインの価値が決まります。

たとえば、ぶどうの在庫が上のような状態で大規模セラーがあるならば、下の写真のように白4と黒3のぶどうから価値7のロゼワインを作ることもできます。

同様にして、大規模セラーがあるときは「スパークリングワイン」を醸造することができます。スパーリングワインは黒ぶどう2つと白ぶどう2つの合計4つのぶどうを必要とします。スパーリングワインの価値は、醸造に使用したすべてのぶどうの価値の合計となります。もし醸造されたワインの価値が 9 以上となっても、ワインの価値が 9 を越えることはありません。

貯蔵されているワインとぶどうは、年末フェイズに「熟成」されることで、各マーカーをひとつずつ右に移動させます。価値が低いぶどうやワインでも、何年か置いておけば価値が上がるということです。このときも中規模セラーがなければ、4以上の価値にワインを熟成することはできません(ぶどうは4以上に熟成できる)。同様に、大規模セラーがなければ 7 以上の価値のワインには熟成できません。

苦労してワインができたら、いよいよ出荷して勝利点にします。しかし、そのためには「受注カード」を引いておく必要があります。受注カードを引くには「受注カードを引く」アクションの実行が必要です。受注カードには、出荷するワインの種類と価値、得られる勝利点が書かれています。出荷するときは、「受注カードに書かれた価値以上で」「カードに書かれているワインと同じ種類の」「カードに書かれた個数と同じだけのワインを」出荷しなければなりません。

たとえば、上の写真の一番左の受注カードを使って出荷する場合は、価値2以上の赤ワインひとつと価値2以上の白ワインをひとつ持っている必要があります。このカードの条件を満たすのは比較的容易ですが、その代わり得られる勝利点は2だけです。一方、一番右のカードは価値8以上のスパークリングひとつと、価値2以上の白ワインがひとつ必要です。スパークリングワインを作るには、中規模セラーと大規模セラーを建設した上で、白ぶどう2つと黒ぶどう2つを収穫する必要があるため、条件を満たすのは容易ではありません。その代わり、もらえる勝利点は 6 と多くなっています。

この受注カードが結構な曲者で、自分の持っているワインと違う種類のワインばかりが書かれていたり、やたら価値が高いワインが書かれていて出荷できない、なんてことがザラにあります。受注カードが引けるのは1ラウンドに最大でも2枚程度なので、引きが悪いと数ラウンド続けて出荷できないこともよくあります。受注カードをたくさん引いて手持ちのワインに合うカードが来るのを待つのか、手持ちの受注カードにあうようにワインを生産していくのか、といったところでプレイヤーは悩むことになります。

なお、出荷するときに勝利点以外に「付加価値」というのを取得することがあります。これは、ボードの右下あたりに自分のマーカーを置いて管理する数値で、数値が高ければ高いほど、毎年の現金収入が増えるようになっています。

たとえば、一番左の受注カードで出荷した場合、プレイヤーの付加価値は 1 上昇します。一番右のカードなら付加価値は 2 上昇します。

付加価値が上昇したときは、ボードの右下にある付加価値表に置いる、自分の色のボトルマーカーを1進めます。付加価値が1以上のプレイヤーは、ラウンドの終了時に付加価値と同じだけの現金を受けとることができます。たとえば上の状態なら、白プレイヤーは3リラ、黄色プレイヤーは1リラもらえます。青プレイヤーは付加価値が0なので何ももらえません。このゲームでは現金は手に入りにくいため、付加価値を上げて恒常的に現金が入るようにすることは結構重要です。

なお、付加価値は最大5までしか、上がりません。

そして、このゲームの勝敗に大きく影響する要素に「訪問者カード」があります。訪問者カードは、非常に強力な効果をもたらすものが多く、うまく使えば盤面の状況をひっくり返すこともできます。ボード上にあるアクションと同じことがより低いコストでできたり、出荷しなくても勝利点を得られたり、他プレイヤーから現金を奪ったり、手札を捨てさせたりと、さまざまなことができます。

訪問者カードは秋フェイズで必ず1枚引ける他、アクションで引くこともできます。夏の訪問者と冬の訪問者カードがあり、夏の訪問者カード(黄色)は夏にのみプレイでき、冬の訪問者カード(青)は冬にのみプレイできます。訪問者カードのプレイはアクションとして行う必要があり、労働者コマを「夏季訪問者」または「冬季訪問者」と書かれたアクションに置く必要があります。

実際のところ、普通にアクションを実行するのが馬鹿らしくなるほど、訪問者カードは強力です。たとえば、上の「教師」のカードは労働者を通常の半額で訓練できます。「酵母研究者」は中規模や大規模のセラーがなくても、4 以上のワインを醸造できてしまいます。

「売り子」は3枚ものカードを引かせてくれたり(他のプレイヤーにも恩恵あり)、「小作人」は施設がなくても好きなぶどうの樹を植えることができたり、ぶどうの樹を(ワインにせずに!)直接2勝利点に変換できたりします。

通常のルールを無視するようなカードも少なくなく、ほどんどの場合は普通にアクションを実行するよりお得です。その一方で各カードの能力はかなり偏っており、ちょうど欲しい効果のカードが引けるかは運しかありません。そのため、カードさえ使えば常に有利にゲームが進められるというほどではありません。このあたりのバランスは、うまく取れている感じがします(理不尽なカードを他プレイヤーに使われて「えー」となることも多いですが…)。

以下、ここまでで説明していない残りの五つのアクション「観光客」「市場」「建設」「農耕馬」「労働者訓練」について簡単に説明します。いずれの施設も建てられるのは1つまでです。

「観光客」のアクションを実行すると、2リラの現金が貰えます。中央のマスに労働者コマが置けるときは、かわりに3リラ貰えます。前述したようにこのゲームは現金の入手方法が限られているので、2リラでも結構貴重です。

「建設」では、現金を払って自分のシート上に施設を建設できます。建設できる施設は8種類あります。いずれも、建設には現金が必要です。

  • ぶどう棚: 価値2以上のぶどうの樹を植えるときに、必要なことがあります。
  • 貯水タンク: 価値3以上のぶどうの樹を植えるときに、必要なことがあります。
  • 風車小屋:ぶどうの樹を植えるだけで 1 勝利点もらえます (1ラウンドに1回だけ)。
  • 試飲室:ワインがセラーにあるときに「観光客」アクションを実行すると 1 勝利点もらえます (1ラウンドに1回だけ)。
  • 中規模セラー:価値4以上のワインを作るために必要です。
  • 大規模セラー:価値7以上のワインを作るために必要です。大規模セラーの建設には、中規模セラーが建設されている必要があります。
  • 宿泊施設:秋フェイズに訪問者カードを追加で1枚引けます。結構強力です。
  • 農耕馬:「農耕馬」のアクションでぶどうを収穫したり、ぶどうの樹を引っこ抜けるようになります。

農耕馬のアクションは、夏でも冬でも実行できますが、1ラウンドに1回しか実行できません。夏に「農耕馬」を実行することで、夏に収穫することも可能です。この場合、同じ畑から同じラウンドの冬に再度収穫することはできません(当然よね)。

「市場」のアクションでは1リラ貰えます。「観光客」に比べると収入は半分なので割がよくないですが、市場のアクションは労働者コマがある限り何度でも実行できることと、夏でも冬でも実行できるというメリットがあります。他に何もできない時の、最後の選択肢的なアクションです。

「労働者訓練」では、労働者コマを4リラで購入できます。購入した労働者コマは、次のラウンドから使えます。1ラウンド中に実行できるアクションが増えるため、とても重要なアクションです。現金は、労働者を買うために必要なものといっても過言ではないでしょう。多少無理をしてでも、序盤のうちに労働者を増やしておくと後々楽になります。

なお、買えるのは一般の労働者コマだけで「親方」コマは買えません。ここまで説明してませんでしたが「親方」コマは、アクションのマスがすでに他の労働者コマで埋まっているときでも、そのアクションに配置して実行することができます。

最後に、パパカードとママカードについて説明しておきます。プレイヤーは、ゲーム開始時点でランダムにパパカードとママカードを1枚ずつ受けとります。各カードには、自分がゲーム開始時点で受けとれる現金や労働者コマ、カード、施設などが書かれています。自分の両親から資産を相続したというイメージですかね。パパママカードはゲーム開始の時に使うだけなので、資源を相続したらカードは箱に戻しておきます。

写真の上側のペアなら、ゲーム開始時に「労働者コマ2つ」「ぶどうの樹カード1枚」「冬訪問者カード2枚」「親方」「現金6リラ」「農耕馬または1リラ」を受け取れます。下のペアなら「労働者コマ2つ」「ぶどうの樹カード1枚」「冬訪問者カード1枚」「親方」「現金6リラ」「中規模セラーまたは3リラ」を受け取れます。

ちなみに、「施設や労働者と現金のいずれか」という選択肢があるカードを引いたときは、施設を選んだほうが有利な気はします。

だいたいこんな感じですかね。

まさかの時のボードゲーム:テラフォーミングマーズ [1] ゲームの概要

テラフォーミングマーズはラウンド制のゲームで、手番を交互にプレイしながら勝利点を稼いでいきます。プレイヤーは火星を開拓する企業の経営者になって、互いに火星の開発を競います。勝利点は「火星の開発の度合い」を表しているため、つまりは火星を一番開発した人が勝つというゲームになっています。

勝利点の稼ぎ方は、ざっくり言えば以下の方法があります。

  1. 火星の酸素濃度を上げる。(1点)
  2. 火星の温度を上げる。(1点)
  3. 火星に海のマスを作る。(1点)
  4. 火星に緑地のマスを作る。(ゲーム終了時に1点)
  5. 緑地の隣りに都市を作る。(ゲーム終了時に隣接する緑地1つにつき1点)
  6. 勝利点になるカードをプレイする。(点数はカードによる)
  7. ゲーム内で特定の条件を満たす。(点数はカードによる)

ゲームが終了するのは「火星に海のマスが9マスできる(最初は0マス)」「火星の酸素濃度が14%になる(最初は0%)」「火星の温度が8度になる(最初は-30度)」の三つの条件を満たした時です。この条件が満たされたラウンドの終了時に各プレイヤーの勝利点を計算し、最も勝利点が高いプレイヤーが勝利となります。

「酸素濃度」「温度」のパラメータは、ボードの上に表示される場所があります。これらのパラメータは全プレイヤーに共通のもので、ゲーム中にでは「グローバルパラメータ」と呼ばれます。

右にある温度計みたいなのが火星の温度で、上側にあるメーターみたいなのが酸素濃度を表しています。海のマスは、ボード上に置かれた六角形の海のマスの枚数をカウントします。上の写真では、酸素濃度は3%、温度は-22度、海のマスは3つです。これらがそれぞれ14%、8度、9つになったら、そのラウンドでゲームは終了になります。こうなる前に、各プレイヤーはできるだけ火星を開発して勝利点を稼ぐわけです。

先に挙げた勝利点を稼ぐ方法は、いずれも自分の手番に実行することができます。「資源」がなければ何もできません。プレイヤーが持てる「資源」は「現金」「建材」「チタン」「植物」「発電」「発熱」の 6 種類あります。

これらの資源は、プレイヤーごとにシートを使って管理します。それぞれの資源に対応する区画があり、そこに四角いコマを置いて資源の個数を表示します。シート上にある銅色のコマは1個の資源、銀色のコマは5個の資源、金色のコマは10個の資源を表しています。

たとえば、上の写真の状態のときは、現金28ME(MEは現金の単位)、建材3、チタン2、植物8、発電6、発熱3を表しています。このように、シート上にある金や銀のコマは、置かれている区画の資源の個数を表すために使われるものです。銅とか銀とかの資源を表しているわけではありません(ここは勘違いしやすいところ)。「現金」コマとか「チタン」コマみたいなものはなくて、どの資源も同じように銅、銀、金のコマで表すということです。

各資源の特徴や使い道について簡単に説明しておきます。

  • 現金: 緑地、海、都市の設置、カードのプレイなどあらゆる用途に使用する。
  • 建材: 建材マークのあるカードのコストを支払うとき、2MEとして支払える。
  • チタン: チタンマークのあるカードのコストを支払うとき、3MEとして支払える。
  • 植物: 植物資源 8 つを消費して緑地マスをひとつ置くことができる (自分の支配下のマスに隣接するように置く)。アクションとして実行できる。
  • 発電: ラウンドの終了時に、すべての「発電」資源は「発熱」資源に変換される (移動させる)
  • 発熱: 発熱資源 8 つを使用して、火星の温度を1上げる。アクションとして実行できる。

資源は、上に書いた用途以外に使うこともあります。

プレイヤーは、これらの資源を各ラウンドの終了時に補充できます。補充される資源の量は、各プレイヤーの「生産力」に依存しています。ゲーム開始時点では、どの資源の生産力も 1 しかありません。そのままなら、ラウンド終了時に補充される資源はひとつだけです(現金以外は)。資源が補充される量を増やしたければ、手札(カード)をプレイする等の方法で、生産力を高める必要があります。たとえば、上のシートの写真では、現金の生産力は2、建材の生産力は1、以下、チタンは3、植物は6、発電は3、発熱は2の生産力があることを示しています。

なお「現金」の補充だけは、プレイヤーの開発度(ほぼ勝利点と考えてよい)にも依存します。開発度はマップ(ボード)の周囲の数字の上に、プレイヤーのコマを置くことで表される数値です。

この数値は、ゲーム中では開発度(TR)と呼ばれますが、ゲーム終了時には勝利点として数えられるものなので、勝利点が高ければ高いほど現金収入が増えると考えても良いでしょう (厳密にはTRと勝利点は違うものなので、ルールを読むときは注意)。たとえば、上の写真の状態であれば、青プレイヤーは自身の現金の生産力に加えて 24ME の現金を受けとれます。同様に赤のプレイヤーは、現金の生産力に加えて 22ME の現金を受けとれます。

これらの資源とは別に、プレイヤーは手札を持つことができます。手札のカードは自分の手番にプレイすることができ、資源を得たり、生産力を高めたり、酸素濃度や温度を上げたり、海や緑地をマスを置いたりと、様々なことができます。

カードには、青いカード、赤いカード、緑のカードがあります。青いカードは、プレイすると場に残り、カードに書かれた能力を繰り返し使うことができます。赤いカードは一度だけ効果を発揮するカードで、使ったあとは裏向きにして自分の場に置かれます。緑のカードも一度だけ効果を発揮するカードですが、使ったあとは表向きに自分の場に置かれます。緑のカードは右上にアイコンが付いていて、自分の場にあるアイコンの数が他のカードのプレイに影響を与えたりします。

カードをプレイするにはカードに書かれた「コスト」に相当するだけの、現金や資源を払わなければなりません。例えば、上の写真の緑のカードは、プレイするために 12ME を払う必要があります。

カードによっては、何らかの条件を満たしていないとプレイできないものがあります。写真の3枚のカードは、いずれもコスト(現金)の横にアイコンでプレイできる条件が描かれています。左から「海のマスが3枚以上あるとき」「温度が-14度以下のとき」「自分の場に科学アイコン(原子力のようなマーク)が2つ以上あるとき」という条件を示しています(条件はテキストでも書かれています)。条件を満たしていなければ、現金でコストが払えたとしてもプレイすることができません。

条件付きカードはそこそこ枚数あるため、引いたカードが全部条件を満たしていないカードばかりで、まったく使えないということも起こります。カードの引きは運なの、一枚使うだけでかなり盤面が変わるカードもあったりしするため、テラミスティカやカヴェルナなどのランダム要素が少ないゲームと異なり、運ゲー的な要素は強いです。また、カードには他のプレイヤーの資源を奪ったり減らすようなカードもあるため、自分が予定していたアクションが他人によって妨害されるということもあり得ます。

なお、「標準アクション」と呼ばれる、誰でも何回でもコストが払える限りは実行できるアクションもあります。コストを払うことで、緑化したり都市を作ったり海を作ったりと、一通りのことができるようになっています。ただ、基本的にはカードや資源を使ったほうが効率がいいことが多いです。

次に、「称号」と「褒賞」について説明します。

称号というのは、プレイヤーがゲーム中で特定の条件を満たしたときに、現金を払うことで勝利点が貰えシステムのことです。特定の条件を満たすと勝利点がもらえるという仕組みは他のゲームでもよくありますが、このゲームでは条件を満たした上で「自分の手番に現金を払う」ことをしなければ、勝利点をもらうことができません。称号の一覧は、ボードの左下に描かれています。

たとえば、左下の「造星者」という称号は、自分のTR(開発度)が35以上のときに、8ME 払うことで取得できます。取得(設立)することで、ゲーム終了時に勝利点5が加算されるようになります。勝利点35以上になったら自動的に称号が貰えるわけではないため、仮に先に35以上になったプレイヤーがいても、そのプレイヤーが称号を取得しないまま他のプレイヤーが35になり、そのプレイヤーが先に称号を取得するということもありえるわけです。他のプレイヤーに称号を取得されてしまうと、自分が条件を満たしていても同じ称号を獲得することはできません。

ちなみに、称号は3種類まで設立できます。一人で3つとも取得することもできますし、3人のプレイヤーが個別に1つずつの称号を獲得することもできます。

称号と似たようなシステムに「褒賞」があります。

褒賞も、プレイヤーが自分の手番にコストを払うことで設立できます。こちらは、自分が条件を満たしていなくても設立が可能で、勝利点が実際にもらえるかはゲーム終了時に判定されます。

たとえば「銀行王」の褒賞が設立された状態でゲームが終了すると、その時点で現金が最も多い人が 5 勝利点もらえます。この勝利点は、褒賞を設立したプレイヤーと別のプレイヤーでも受けとれます。あるプレイヤーが、自分の手持ちの現金が多いので「銀行王」の褒賞を設立して勝利点獲得を狙っていたところ、ゲーム終了時点では別のプレイヤーのほうが手持ちの現金が多くなり、そのプレイヤーが褒賞の5勝利点をもっていく、ということもありえるということです。

褒賞は、1つめの設立は8MEでできますが、2つ目は14ME、3つめは20MEとお高くなりります(最大3つまで)。いつのタイミングで褒賞を設置していくかは、かなり悩みどころです。

ここまでで説明していない要素として、企業カードというものがあります。これは、プレイヤーがプレイ開始前にランダムに1枚配られるカードで、ラウンドごとに1回使えるアクションが書かれています。

企業ごとに得意分野があるため、自分が担当する企業が変わることでゲーム展開も大きくかわったりします。

…という感じで、だいたいゲームの要素は説明したつもりです。次はゲームの流れとアクションについて説明する予定です。