まさかの時のボードゲーム: Star Realms (2) カードの能力

前の記事に出てきた、Federation Shuttles のカードを例にして、カードの能力を見てみよう。

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このカードは下段が3つの蘭に仕切られていて、一番上の蘭には「黄色の数字」が、中央の蘭には「緑色の数字」と十字マークが、一番下にはテキストが書かれている。

一番上の蘭は、このカードをプレイしたときに、無条件で効果を発揮する能力が書かれている。このカードの場合、プレイすればただちに交易ポイント2が得られる。最初のデッキにある Scout では交易ポイント1しか得られないことを考えれば、このカードのほうが Scout より強力だということが分かる。

二番目の蘭は、左に十字マークがあって、中央に緑色の数字がある。緑色の数字は「権威ポイント」を意味していて、HP を数字だけ増やすことができる。ただし、この能力は無条件では効果を発揮しない。カードの左上に十字のマークのある別のカードが場にある時だけ効果を発揮する。このカード単体をプレイしただけでは、二番目の蘭の能力は使えない。

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一方で、たとえば手札に Federation Shuttles が 2 枚あったとしよう。1枚目の Federation Shuttles をプレイしたときは、場には他のカードがないので、一番上の蘭の「2交易ポイントを得る」の能力だけが発揮される。

この直後に、手札からもう一枚の Federation Shuttles を出すと、2枚目のカードの「2交易ポイントを得る」の能力が発揮されると同時に、場にすでに出ているカードと、今出したカードの両方の二番目の蘭の能力「4HPを得る」が使えるようになる。この能力を使うことで、合計 4 の交易ポイントを得て、HP を 8 増やすことができる。

ちなみに、この状態でさらに3枚目の Federation Shuttles を出した場合、3枚目のカードの陣営能力は使えるけど、すでに使ってしまった2枚のカードの陣営能力は使えない。陣営能力は「他のカードが場に出ていたら、そのターンに1回だけ使える」能力であって、他のカードが出るたびに使えるわけではない。いわゆる、誘発型能力というのとは違う。

この左にマークのある能力は、陣営能力(Ally Ability)と呼ばれる。いわゆる「シナジー」とか「コンボ」とか呼ばれるギミックが、あらかじめカードの能力として用意されているとも言える。このメカニズムがあるため、同じ陣営のカードを購入することで、より有利にゲームを進められるようになる。ちなみに、Base Set には「陣営」が 4 種類ある。

Federation Shuttles の一番下の蘭は、いわゆるフレーバーテキストと呼ばれるもので、ゲームには直接関係はないが、ゲームの雰囲気を盛りあげる文言が書かれている。カードによっては、このフレーバーテキストがなく、蘭が2つしかないものもある。

なお、カードによっては能力がテキストで書かれているものや、使用する能力を選択するもの、複数の能力を同時に使えるものもある。

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たとえば、この Patrol Mech というカードの一番上の蘭には 3 or 5 と書かれている。このカードをプレイするときは、「3交易ポイントを得る」か「5攻撃ポイントを得る」のいずれかを選ぶ。

Patrol Mech の二段目の陣営マーク付きの能力は、テキストで書かれている。この能力は「自分の手札か捨札から1枚を、廃棄してもよい」と書かれている。「廃棄(Scrap)」というのは、カードを捨札に置くのではなく、交易デッキの隣りの廃棄物置き場(Scrap Pile)という場所におく。ここに置かれたカードは捨札とは異なり、二度とデッキには戻らない

この「カードを廃棄する」という能力は、デッキに強力なカードが増えてきたときに、最初から入っている Scout や Viper などの「弱い」カードが手札に来ないように、デッキから取り除くために使われる。その他にも、シナジーを起こしやすくするために、自分の集めたい陣営のカード以外を取り除くために使ったりもする。

なお、カードによっては「廃棄する」ことで能力を発揮するものもある。これを廃棄能力(Scrap Ability)と言う。

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たとえば、この Explorer というカードは、普通にプレイすると2交易ポイントが得られる。プレイしたあとで、さらにカードを「廃棄」すると、追加で「2攻撃ポイント」を得ることもできる。

ちなみに、この Explorer というカードの廃棄能力を使った場合だけは、カードを廃棄場に置くのではなく「交易所」の Explorer が積んである束に表向きに置く。Explorer カードは、交易所に最初から10枚置かれているカードで、ここにカードが残っている限り、いつでも購入することができる特殊な宇宙船カードである。

基地カード

カードには、縦向きのカードと横向きのカードがある。縦向きのカードは「宇宙船カード」で、手札からプレイしたら、そのターンだけ能力を使うことができる。一方で横向きの「基地カード」は、手札から場に出してプレイすると、ターンが終わってもそのままずっと場に残り続ける。そして、自分のターンになる毎に、基地カードに書かれた能力を繰り返し使うことができる。

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基地カードも、宇宙船カードと同じように「交易所」から購入する。購入された基地カードは、やはり自分の捨札になる。

手札に基地カードがあるときは、それを場に出すことでプレイできる。プレイするときに、コストなどを支払う必要はない。プレイした基地カードは、横向きにして自分の場に置く。場に出した基地カードの能力は、すぐに使うことができる。もちろん、陣営能力(Ally Ability) も使える。

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たとえば、この Blob Wheel という基地カードは、出した直後に上の蘭の「1攻撃力を得る」という能力を使える。さらに、このカードを廃棄することで、下の蘭の「3交易ポイントを得る」能力を使うこともできる。

基地カードにも「陣営」があり、陣営能力をもつカードもある。

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たとえば、この Space Station という基地カードは、「2攻撃力を得る」という陣営能力をもっている。この能力は、このカードと他の同じ黄色陣営のカードが同時に自分の場に出ているとき、任意のタイミングで使うことができる。基地カードは場にずっと出したまにできるので、同じ陣営の基地カードが2枚あれば、毎ターン陣営能力を使えることになるため非常に強力である。

そして、基地カードには宇宙船カードにはない「耐久力」というパラメータがある。これは右下の盾マークの中に書かれた数字で表される。攻撃ポイントを消費することで、相手の基地カードを攻撃することができる。1ターン中に与えたダメージが耐久力以上になったら、基地カードは捨札にされる。つまり、耐久力を超えた攻撃をすることで、基地カードを場から除去することができる。ただし、あくまで捨札になるだけなので、いずれデッキに戻って再び場に出てくることにはなる。

「耐久力」の盾のマークの上に、Outpost と書かれたカードがある。Outpost カードが相手の場に出ていると、Outpost 以外の基地カードを攻撃したり、捨札にすることができず、また相手を攻撃することもできない。つまり、Outpost カードは相手からの攻撃を防ぐ「盾」として使えるわけだ。

カードの能力を使うタイミング

このゲームでは、カードの能力を使うタイミングがかなり重要なので、ここに纏めておく。

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宇宙船カードは、プレイしたときに一番上の蘭の能力 (Primary Ability) が発揮される。そのため、一番上の能力を使うときは「能力を使いたいタイミングで」プレイする必要がある。

基地カードの一番上の蘭に書かれた能力 (Primary Ability) は、自分のターンであればいつでも使うことができる。またカードの陣営能力は、条件さえ満たしていれば、自分のターンで中の任意のタイミングで使うことができる。

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たとえば、上の基地カード Space Station が自分の場にあるときに、他の基地カード War World を出したとする。その後はどのタイミングでも、いずれのカードの陣営能力も使うことができる。

場に出されたカードの廃棄能力は、自分のターン中に好きなタイミングで使うことができる。カードの他の蘭に書かれた能力を全て使ったあとで、廃棄能力を使ってもよい。

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同じ蘭に二つ以上の能力が書かれている場合、それらの能力は必ず「同時に」使わなければならない。たとえば、上の Supply Bot というカードは、交易ポイント 2 を得ると同時に「手札か捨札の束から1枚を廃棄してもよい」という能力を持っている。このカードを交易ポイントを得る目的で場に出したときは、場に出したときに2番目のカード廃棄する能力を使うかどうかを、その時点で選択しなければならない。

カードを引く能力と併用したときなどに、これが問題になることがある。たとえば、このカードを使った時点では手札に廃棄していいカードがなくて、その能力を使わなかったとする。そのあとに別のカードの能力で手札を引いたとき「あ、このカードいらないから廃棄するね〜☆」みたいなことをしたくなるけど、それはダメということ。一方で、カードを引く能力を使った後でこのカードをプレイしたのであれば、引いたカードを廃棄することはできる。


というわけで、カードの一般的な能力については、だいたいこれでおしまい。あとはプレイ例について少し説明して、基本的なプレイの戦略についてと、カードの能力についての細かいところについて補足する予定。

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まさかの時のボードゲーム: Star Realms (1) ゲームの概要

Star Realms は、宇宙船カードや基地カードを使って相手を攻撃し、相手の権威ポイント(HPみたいなもの)をゼロにすれば勝利となる、対戦型のカードゲームである。

それぞれのプレイヤーは自分のデッキを持つが、MTG のような TCG と違って、デッキの内容は予め決められている。8 枚の Scout という宇宙船カード(黄色の丸に1と書かれたカード)と、2 枚の Viper と書かれた宇宙船カード(赤色の丸に1と書かれたカード)の、合計10枚のカードで最初のデッキを作る。

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この10枚のカードをシャッフルして山札とし、先手は3枚、後手は5枚のカードを引いて、最初の手札にする。

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準備が終わった状態はこんな感じ。中央の「交易デッキ」とか「交易所」については後述する。

相手への攻撃

Viper カードに書かれた「赤色の数字」は「攻撃ポイント」を表していて、そのカードを場に出す(プレイする)ことで、書かれた数字だけの「攻撃ポイント」を得ることができる。

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上のように、今の手札に1枚の Viper カードがあるとする。これを手札から出してプレイすると、「1攻撃ポイント」を得ることができる。この攻撃ポイント1を使うと、相手に 1 ダメージ与えて HP を 1 減らすことができる。なお、カードのプレイにコストの支払いなどは必要ない。ただ、手札から場に出すだけでプレイできる。

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プレイヤーの HP (権威ポイント)はこのようにカードで表されていて、最初は 50 ポイントある。1 ダメージうけたら 1 と書かれたカードを 1 枚減らす。こうして、相手の HP が 0 以下になったら自分の勝利となり、自分の HP が 0 以下になったら敗北になる。

ちなみに、1ポイントのカードは裏が5ポイントになっており、10ポイントのカードは裏が20ポイントになっているので、必要に応じてひっくりかえして使う。もちろん、このカードを使わずに、自前のライフカンターを使って HP を表示してもいい。

カードの購入

一方で、Scout カードに書かれた「黄色の数字」は、「交易ポイント」を表している。交易ポイントは、中央の「交易所」に置かれた 6 枚のカードを購入するために使う。

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この「交易所」の6枚のカードは、あらかじめ80枚のカードで「交易デッキ」を作ってシャッフルしておき、その上から5枚めくったものに、Explorer という宇宙船のカードを加えた 6 枚で構成されている。

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それぞれのカードの右上には「値段」が書かれていて、値段と同じだけの「交易ポイント」があれば、そのカードを購入することができる。

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たとえば、今手札に 2 枚の Scout カードがあるとする。これを2枚のカードを場にだしてプレイすることで、2交易ポイントが得られる。この交易ポイントを使うことで、値段が2以下のカードを買うことができる。

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今、交易所にあるカードで買えるのは、値段が 2 の Explorer(一番左) と Cutter (左から2番目)、値段が 1 の Federation Shuttles (右から2番目) がある。ここでは Federation Shuttles を買ってみよう。

まず、手札から Scout カードを1枚出して、交易ポイント 1 を得る。そして、この Federation Shuttles を捨札置き場に置く。このように、購入したカードは、手札ではなく自分の捨札置き場に置く

そして、交易所の空いた場所には、交易デッキの一番上からカードをめくって補充する。この補充は、空きができたら即座に実行する。この状態で、まだ交易ポイントが残っていれば、さにカードを購入できる。

ただし、今は手札に Scout カードが1枚残っているけど、交易所には値段が1以下のカードがないので、これ以上カードの購入はできない。購入も攻撃もできなくなったら、プレイした宇宙船カードと手札すべてを捨札にする

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プレイした宇宙船カードを捨札にするだけでなく、手札もすべて捨札にするというところが、最初は間違いやすい。

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そして、デッキから5枚引いて次の手札にする。これで、自分のターンは終わりになる。ちなみに3枚だけ引くのは、最初のターンの先手番のプレイヤーだけで、それ以降のターンや後手番のプレイヤーは5枚引く。

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さて、デッキからカードを引くときに、デッキのカードが足りないことがある。たとえば、上のような状態で5枚の手札を引こうとしたとき、今デッキに2枚しかカードがないので、デッキからは手札は2枚しか引けない。このようなときは、捨札をシャッフして新たなデッキとし、そこから残りの手札を引く。つまり、購入して捨札となったカードは、いずれ自分のデッキのカードとして使えるようになるわけだ。もちろん、プレイして捨札になったカードも、いずれ再び利用できるようになる。

この、カードを購入してデッキを強化していく(デッキ育成)という要素が、このゲームの大きなポイントになっている。


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まさかの時のボードゲーム: MTG Boardgame (2) ゲームの概要1

このゲームはターン制で、プレイヤー毎に5つのフェイズをプレイする。先手のプレイヤーが5つのフェイズを終えたらターン終了となり、次のプレイヤーのターンが始まる。こうして手番を繰り返し、いずれかのプレイヤーが勝利条件を満たした時点でゲーム終了となる。

ターンは以下の5つのフェイズで構成される。

  1. ドロー: 山札からスペルカードを1枚引く。
  2. アクティベート: アーミーカード1枚をアクティベートする。(スペルカードを使用する)
  3. 移動: アクティベートされたアーミーカードに対応する、任意の個数のフィギュアを移動させる。
  4. 攻撃: アクティベートされたアーミーカードに対応する、任意の個数のフィギュアで攻撃する。(スペルカードを使用する)
  5. ディスカード: 手札が7枚以上あれば、7枚になるまで手札を捨てる。

1. ドローフェイズ

スペルカードを山札から引く。山札が空ならカードは引けない。ただし、山札からカードが引けなくても、負けにはならない。

2. アクティベートフェイズ

アーミーカード1枚を指定して、アクティベートする。ここでアクティベートしたカードに対応する(盤上にいる)フィギュアだけが、能力を起動したり移動したり攻撃したりできる。

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アーミーカードというのは、この縦長のカードのことで、それぞれ対応するフィギュアがある。

プレインズウォーカー以外のフィギュアを盤上に出すには、このフェイズでプレイズウォーカーをアクティベートする必要がある。プレインズウォーカーをアクティベートしたときは、このフェイズの終了時に「任意の2つまでの」「自分のストックにある」フィギュアを、プレインズウォーカーから「視線が通る」「距離5以内の」マスに召還できる(「視線」については、後で説明する)。

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召還するときは、異なる種類のフィギュアを1体ずつ召還してもいいし、同じ種類のフィギュアを2体召還してもいい。1体しか召還しなくてもいいし、1体も召還しなくてもいい。視線が通ってさえいれば、プレインズウォーカーと高さの違うマスに召還したり、上の写真のように水の向こう側に召還してもいい。

ただし、プレインズウォーカーがいなかったり、プレインズウォーカーをアクティベートしていなければ、フィギュアを召還することはできない。また、フィギュアが自分のストックになければ、やはり召還できない。破壊されて墓地に置かれたフィギュアは召還できない(カードの能力で召還できることはある)。

アクティベートや召還が終了したあと、次の移動フェイズの前までの間に、スペルカードを使うことができる。スペルカードは、ひとつのターンに最大 3 枚まで使える。スペルカードの使い方については後述する。

3. 移動フェイズ

アクティベートしたカードに対応するフィギュアを、カードの「MOVE(移動力)」 の値だけ、1体ずつ移動させることができる。アーミーカードに対して、フィギュアが複数ある場合は、それらすべてを任意の順序で動かすことができる。移動させるときは、フィギュア1体を完全に移動させてから、次のフィギュアを移動させる。

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たとえば、このカードをアクティベートしている場合は、右上にある3つの対応するフィギュアを動かすことができる。右下に2体の別のフィギュアがあるけど、こちらはアクティベートされていないので、このターンに移動させることはできない。

ちなみに、召還されてすぐのフィギュアは通常は移動できない。なぜなら、フィギュアを召還するためにはプレインズウォーカーをアクティベートしているはずなので、召還されたフィギュアはそのターンにはアクティベートされていないからである。ここは分かりにくいところ。

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段差があるときは、1段登るために追加の移動力を1を消費する。逆に段差を落ちるときは、追加の移動力は必要ない。ただし、フィギュアの「サイズ」より高い段差を落ちると「落下ダメージ」を受ける。具体的にはダイスをひとつ振り、剣マークが出たら1ダメージ受けるという処理をする。

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フィギュアのサイズは、アーミーカードの左下に書かれている。この数字を超える段差を落ちたときは、落下ダメージの処理をする。また、このサイズを超える段差を登ることはできない。

障害物(壁)があるときは、それを通過することはできない。ただし、飛行しているクリーチャーなどで、段差や壁などを無視して移動できるものもいる。

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たとえば、このクリーチャーはアーミーカードに「段差、落下、障害物を無視する」とあるので、段差を登るように移動しても、追加の移動力を必要としない。また、障害物(壁)も無いものとして通過できる。

なお、すでに他のフィギュアのいるマスで移動を終了することはできない。

水の高さは -1 (陸地は 0 )である。そのため、陸地から水に移動すると「落下」したことになり、水から陸に移動すると段差を登ったことになる。ただし、水に「落下」したときは、どんな高さから落ちてもダメージを受けない。水のマスに移動したときは、そのマスで移動を終了しなければならない。

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たとえば、このニッサ君の移動力は 5 だけど、水が移動の途中にある場合、水に落ちた時点で移動を止めなければならない。つまり、赤の×印がある位置にはこのターン中に移動することができない。

水の中にフィギュアがいて、さらに隣接する水のマスに移動するときは、1マスだけしか移動できないことになる。水から陸に上がるときは、その後に続けて陸上を移動できる。

グリフ

グリフは、マップ上に置かれた黒いタイルのことで、このタイルの上にフィギュアを配置しておくことで、自軍に能力を付加する効果を持つ。グリフの上にフィギュアが移動してきたときは、ここで移動を終わらなければならない。

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グリフには高さはないので、グリフに「登ったり」グリフから「落下したり」ということは生じない。もちろん、グリフが段差の上や水の中にあるときは、水や段差による移動の制限は受ける。

移動の例

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実際にこのジェイス君を移動させてみよう。ジェイス君の移動力は 6 なので、同じ高さのマスであれば 6 マスまで移動できる。1段登るには1の追加の移動力を必要とし、水に落ちたりグリフに乗ると、そこで移動がとまる。障害物(壁)は通過できない。

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ということで、ジェイス君の移動できる範囲はこんな感じになる。同じ色の六角形のマスは、同じ移動力で移動できることを示している。

水に落ちるとそれ以上移動できないので、水のマスが2つ以上続いている場所には移動できない。グリフに載っても停止するため、グリフの先の水には入れない。障害物(壁)が置かれているマスには入れない。ただし、障害物を回りこむように移動はできる。マップの端から出るような移動もできない。

交戦状態(Engaged)

敵のフィギュアに隣接するマスに移動したとき、敵と高さが同じであれば「交戦状態(Engaged)になった」と言う。

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上の場合、A と B は同じ高さにいて、なおかつ隣接しているので「交戦状態」にある。一方で A と C は隣接しているけど、マスの高さが違うため「交戦状態」ではない。また B は A, D の二体と同時に接しているため、二体と「交戦状態」にあることになる。

交戦状態にあるフィギュアを、その交戦状態にある敵フィギュアから離れるように動かすと、敵から「追撃」を受ける。追撃は、ダイスをひとつ振って、剣マークが出たら1ダメージ受ける。

たとえば、上状態で A のフィギュアを右に動かすと、「交戦状態」にある敵の B フィギュアから離れるように動くので、その瞬間に A は追撃を受ける。二つの敵と「交戦状態」にある B のフィギュアが左に動くと、A, D の二体から離れるように動くので、これら両方の敵から追撃を受ける。

なお移動の途中で「交戦状態」になっても、移動をそのまま続けることができる。つまり、相手のフィギュアの横を通過するように動くことができる(離れるときに追撃は受ける)。また、接している敵から離れないように(敵の回りを回るように)移動する限りは、追撃は受けない。

自軍のフィギュアがいるマスを、他の(自軍の)フィギュアが通過することができる。ただし、交戦状態にあるフィギュアは通過することができない。

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たとえば、このような状態で移動力 5 の A のフィギュアを動かすとき、C のフィギュアを通過して Y のグリフまで移動することはできる。しかし、B のフィギュアは D と交戦状態にあるため、これを通過して X の位置のグリフに移動することはできない。

2マス以上に跨がるクリーチャー

クリーチャーの中には、2マス以上の大きさを持つものがある。こうしたクリーチャーは移動するときに、かならずフィギュアの前が通ったマスを、後ろが次に通らなければならない。

2マス以上あるフィギュアを回転させる(前後を入れかえる)ときは、移動力を消費せずに回転させられる。つまり、いつでも回転させることができる。敵に接している状態で向きを変えても、追撃ダメージは受けない(フィギュア自体は離れていないので)。

段差も、普通のフィギュアと同様に登ることができる。ただし、異なる高さに跨るようにフィギュアが置かれた状態で、移動を終了することはできない。移動する途中に、異なる高さの段差に跨がるように移動するのは問題ない。このとき、「前」が段差を登るときに追加の移動力が必要になる。落下は、前と後ろの両方が「落ちた」ときに生じる。

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2マス以上に跨がるフィギュアは、前と後ろの両方が水に落ちない限りは、水によって移動を強制終了させられない。陸地を隔てる水のマスがひとつしかなければ、2マス以上になたがるフィギュアは、そこを陸地であるかのように通過するように移動できる。ただし、移動終了時に段差を跨るようには停止できないため、半分だけ水のマスに載ったような状態で移動を終了することはできない。

また、「前」と「後ろ」の両方が水に落ちたら、その時点で移動を終了しなければならない。そのため、上の右側のように水のマスが2つ以上続く場所では、水に落ちて止まることになる。


移動についてはだいたいこんな感じ。移動に関しての特殊ルールが、アーミーカードに書かれていることもある。また、追加の移動をできるようにするスペルカードもある。

召還に関してはルールブックの記述が曖昧であり、英語圏でもずいぶんと解釈について議論になっていた。youtube の動画でも3体召還している動画や、6体召還してる動画などもある。しかし、結論としては「任意のフィギュアを2体まで召還してよい」という解釈に落ち着いたようだ。実際、6体とか召還できたら先手めっちゃ有利になるので、公式からコメントが無い限り、MML ではこの解釈を採用する。