まさかたの時のボードゲーム Gloomhaven [3] ラウンドのプレイ(後編)

前の記事の続き。


注:写真ではノーマル 1 の Guard がなぜか Living Bone のコマになってますが、こいつは Bandit Guard です。きっと途中で過労死して Living Bone に (見た目だけ) なったんだよ!


現在のマップ上の状況はこんな感じ。盗賊のアジトに侵入した Brute と Spellweaver は、侵入者に気がついた盗賊どもに囲まれて奮闘中、といった感じのところ。

第二ラウンドが開始されたので、プレイヤーは手札からそれぞれ 2 枚のアビリティカードを選んで場に出す。マップ上には三匹の Bandit Guard がいるため (Living Bone に見えるコマは Guard の間違いです!!)、Guard のアビリティデッキからもカードを一枚めくって出す。

出されたカードを見て、プレイヤーはリーディングカードを決める。Brute はイニシアチブ値が 15 の Shield Bash をリーディングカードとし、Spellweaver はイニシアチブ値が 7 の Mana Bolt をリーディングカードとした。Guard のアビリティカードのイニシアチブ値は 30 なので、このラウンドのプレイ順序は Spellweaver > Brute > Guard と決まった。

なお、ここまでのラウンドで、各プレイヤーは一番低いイニシアチブ値のカードをリーディングカードに指定しているが、あえて値の高いカードを選んで手番を後ろにするようなプレイもあり得る。たとえば、敵が遠くに離れているような場合は、先に敵に行動させて相手をこちらに近づかせてから、こちらは少ない移動だけで反撃するといったような戦術もありえる。また、すでにダメージを受けている状態で HP を回復するカードを使う場合に、先に敵に攻撃させてダメージを受けた後で、ヒールで大きく回復してダメージを受ける前より HP を増やす、といったようなプレイングも可能である。このように、イニシアチブ値が高いカードをリーディングカードにしたほうが良いケースもある。

Spellweaver のターン

このターン、Spellweaver はまず Fire Orbs の上段のアクションを使って、敵を攻撃することにした。上段には、次のアクションが書かれている。

– Attack 3 (Range 3, Target 3)
– Gain 1 for each enemy targeted.
– 炎のエレメンタルマーク
– ×マークのついたカードのマーク

一行目は、自分の位置から 3 マス以内の敵 3 体までに 3 ダメージ与えることを意味している。離れた敵を同時に 3 体も攻撃できるのは、非常に強力なアクションである。二行目は、このアクションで対象にした敵の数に等しいだけ、経験値を得られるというアクションである。三行目は、このアクションを実行したら、エレメンタル影響テーブルの「炎」のトークンを、一番右の欄に動かすという意味である。最後の×のついたカードのマークは、このアクションを実行したら、このカードは捨て札になるのではなく「破棄」することを意味している。破棄されたカードは二度と手札に戻らない。つまりこのアクションは、「シナリオ中に1回だけ使える」必殺技的なアクションというわけである。

(注: 破棄されたカードを手札に戻す方法もあるので、厳密に言うと1回しか使えないわけではないけど、戻す方法は極めて限られている。そのため「破棄」を求められるカードは、通常がゲーム中に1回しか使えないと考えてよい。)

さて、マップを見ると Spellweaver から 3 マス以内に、ノーマルの Guard が二体と、エリートの Guard が一体いる。こいつらをまとめて焼き払ってしまおうというのが、このターンの Spellweaver の作戦である。複数の敵を攻撃するときは、攻撃側が好きな順序で攻撃を行なってよい。Spellweaver のプレイヤーは、まずノーマル 1 の Guard を攻撃する。

攻撃修整カードは +0 だったので、ダメージは 3 になる。次にエリートを攻撃する。

攻撃修整カードは +0 だったけど、エリートは Shield 1 のせいで攻撃を受けたときのダメージは -1 されるので、エリートのダメージは 2 になる。

最後にノーマル 2 の Guard を攻撃する。修整カードはまたもや +0 だったので、ダメージは 3 になる。

これらの攻撃の結果、Guard のダメージトークンは、それぞれ下記のようになった。

– ノーマル 1 Guard: 5 → 8
– ノーマル 2 Guard: 2 → 5
– エリート Guard: 2 → 4

ノーマル 1 Guard は HP の 6 以上のダメージを受けたため、倒されたことになって盤面から除去される。ダメージトークンもスリーブから取り除いておく。他の二体はまだ HP を削り切れていないのでマップ上に残る。

モンスターが倒れた後のマスには、貨幣トークンを 1 つ置く(写真では置いてないけど)。このトークンは、Loot のアクションを使って拾うか、キャラクターが貨幣トークンのあるマスでターンを終了することで拾える。拾った貨幣トークンは、シナリオ終了時にシナリオレベルによって決まっているレートでゴールドに変換される。詳しい説明は省略するけど、つまりモンスターを倒せばゴールドが手に入る(拾う必要はある)。

そして、アビリティカードの2番目のアクションの「攻撃した対象の数だけ経験値を得る」によって、Spellweaver は経験値 3 を得る。

次の3行目のアクションは、エレメンタル影響テーブルの上にある「炎」のトークンを、一番右の列に移動させることを意味している。エレメンタル影響テーブルとは、下のようなボードの上に 6 種類のトークンが置かれたものである。

このエレメンタル影響テーブルは、現ラウンドにおける各エレメンタルの「強さ」を表していて、トークンが一番左にあるエレメンタルは影響が「ない」、中央の列にあるエレメンタルは影響が「弱い」、右の列にあるエレメンタルは影響が「強い」ことを意味している。炎のトークンは中央の列に移動すると、炎のエレメンタルは「強い」状態になる。

もしエレメンタルが「弱い」か「強い」の状態のときに、他に炎のエレメンタルを参照するアクション(例えば上の写真の Flame Strike のように、炎マークに×がついているアクションが書かれているアクション)があれば、そのマークに対応するアクションを使用できる(エレメンタルを「消費」するという)というものである。エレメンタルを「消費」すると、対応するトークンは左の列にひとつ動かされる。つまり、「弱い」にあるエレメンタルは1回しか「消費」できず、「強い」にあるエレメンルも 2 回しか使えないことを意味している。さらには、使う前の時点でエレメンタルを右に動かすカードを使っておく必要があるため、それなりに同種のエレメンタルを「強化」したり「消費」するカードが揃っていないと、エレメンタルに関係するカードは使用できない。エレメンタルについては他にもいろいろ制約があるけど、ちょっと複雑なのでここでは説明を割愛する。

最後に、×マークのついたカードアイコンのあるアクションをプレイしたので、この Fire Orbs のカードは「破棄」し、捨て札とは別のところに置く。この状態になったカードは、このシナリオの間は手札に戻ることはない。若干説明が長くなってしまったけど、強力なカードはいろいろな要素が詰めこまれているため、プレイするのに時間がかかることも多い。

さて、ようやく1枚目のアビリティカードのプレイが終わったので、Spellweaver のプレイヤーは続けてもう一枚のアビリティカード Mana Bolt の下段のアクションを実行する。ここには、次のアクションが書かれている。

– Heal 3 (Range 1)

これは、自分から1マス以内の味方の HP を 3 回復するという意味である。1マス以内なので、自分自身の HP も回復できるし、隣接している他のキャラクターを回復することもできる。今、Spellweaver はダメージを受けていないので、自身を回復することは意味がない。ダメージを受けている、隣接したマスにいる Brute の HP を回復することにする。

Brute のプレイヤーは、HP を 3 増やして 9 にする。これで Spellweaver のターンは終了し、次のターンに移る。

Brute のターン

Brute のプレイヤーは、Sweeping Blow の上段のアクションを実行することにした。

このカードは Attack 2 と書かれている横に、赤いマスとグレーのマスが描かれている。これは「自分がグレーのマスにいるとき、赤いマスにいる的すべてに Attack 2 する」ことを意味している。つまり、敵との位置関係をうまく調整すれば、このアクションで同時に 3 体までの敵を攻撃できることになる。

このラウンドの最初の時点では、ちょうどこのカードで三体攻撃できる位置関係にあったのだけど、Spellweaver の攻撃で一体倒したので、同時に攻撃できるのは二体になった。攻撃する順序はプレイヤーが自由に決められるので、まずエリートを攻撃して次にノーマルを攻撃することにした。

エリート攻撃のために、修整カードを1枚ひく。修整カードは -1 で、アクションの攻撃値は 2、なおかつエリートは Shield 1 を持っていて、攻撃を受けたときのダメージを -1 できるため、エリートに与えられるダメージは 0 となってしまった。

次にノーマル Guard を攻撃するために、修整カードを1枚ひいたところ、またしても -1 を引いてしまった。しかし、ノーマル Guard は Shield 1 がないので、1ダメージあたえることができる。

その結果、合計のダメージが 6 となって、マップ上からノーマル Guard は除去された。このマスにも貨幣トークンを 1 つ置く(この写真では置いてないけど…)。

少しマップ上がすっきりしたが、エリート Guard はなかなか強いのでまだ油断はできない。

つづいて、Brute は2枚目の Shield Bash の下段のアクションを実行する。このカードは、自身に Sheild 1 の効果をラウンド終了時まで付与してくれるものである。Sheild 1 は、敵から攻撃を受けたときに、ダメージを無条件で -1 してくれるもので、防御にとても役にたつ。エリート Guard はこの能力を常備しているせいでなかなかダメージを与えられず、未だにマップ上でしぶとく生き残っている。

なおこのカードは、ラウンドボーナスのマーク(リサイクルのようなマーク)がアクションに書かれているので、プレイしたあともラウンドが終わるまでは自分の場に置いておく。

エリート Guard のターン

プレイヤー側のターンが終わったところで、敵方はエリート Guard だけがマップ上に残っているので、エリート Guard がターンを実行する。

アビリティカードには Move +1、Attack -1 とあるので、エリート Guard は最初に移動をしてから次に攻撃をする…といっても、エリート Guard から見て「最も近い」敵は Brute であり、すでに Brute に隣接しているので、結果的にエリートは移動することなくその場に留まる。

次に Brute に対して攻撃を実行するため、攻撃修整カードを引く。引いたカードは +1 だった。エリートの攻撃値は 3 であり、アクションで攻撃 -1 され、さらに Brute の使った Shield Bash の効果で -1 されるため、Brute の受けるダメージ は 3+1-1-1 = 2 となる。

Brute の HP は 9-2 = 7 になる。

クリーンナップ

これですべてのキャラクタとモンスターが行動したので、このラウンドは終了になる。場に残っている Shield Bash は捨て札にし、攻撃修整カードなどもすべて捨て札の束に置く。

そして、エレメンタル影響テーブルにある炎のトークンを一つ左の欄に移動する。ラウンド終了時には、エレメンタルトークンは、すべてひとつずつ左の欄に移動させる必要がある。これがあるため、少人数でのプレイではエレメンタルを使うことが若干難しい感じがする。

いずれにしても、これでラウンドは終了になる。プレイヤーはいずれも「短い休息」を選択しなかったので、このまま次のラウンドを開始することになる。

ちなみに、このシナリオではあと 2 つの部屋が残っており、それぞれの部屋に 3 体程度のモンスターが配置されている。つまり、シナリオクリアの条件は「敵を全滅させる」なので、少なくともあと 7 体くらいは敵を倒す必要があるわけで、なかなかシビアである。最初の導入シナリオでこの難易度なので、ゲーム全体の難易度がどのくらいのものか、ある程度想像がつくと思う。

まとめ

ラウンドのプレイは、だいたいこんな感じで進んでいく。敵の行動はある程度予想ができるため、それを予想した上でカードをどのように効率よくプレイしていくかというところが重要なポイントになる。しかもどのカードをプレイするかは、プレイヤー間で相談してはいけないというルールがある。

ただし、具体的に使うカードの内容や数値を言ってはいけないだけで、ざっくりした内容は相談してもいい。たとえば「僕はこの Guard を攻撃するつもりだ」とか「私はあなたの HP をヒールするつもりだから、あんまり離れないでほしい」みたいな感じのことは言っても良いことになっている。実際問題として、プレイヤー間でしっかり連携しないとシナリオがクリアできない程度には難易度の高いゲームなので、カードをプレイする前に相談することはとても重要だと思う。

次の記事では、シナリオのプレイ以外の部分(キャンペーンプレイ、街での買い物、移動中に発生するイベント、レベルアップ、ランダムダンジョンなど)について少し説明する(多分)。

(つづく)
次の記事

まさかの時のボードゲーム Gloomhaven [2] ラウンドのプレイ(前編)

前の記事「ゲームの概要」

具体的に Gloomhaven のシナリオをプレイする様子を追いながら、アビリティカードやアクションなどについて説明してみる。

今まさに、Brute と Spellweaver の二人のキャラクター(クラス)がパーティを組んでいて、最初のシナリオ “Black Barrow” で訪れる盗賊の本拠地に踏みこんだところだ。目の前には、2人のノーマルタイプの Bandit Guard とエリートタイプの Bandit Guard がいた。敵はすぐに侵入者に気がつき、すぐさま武器を手にとった…というころが下の写真。ここで、最初のラウンドがスタートしたとしよう。

アビリティカードの選択

ラウンドの最初に、各プレイヤーは手札から 2 枚のアビリティカードを選んで裏向きに場に出す。この時点ではアビリティはプレイしない

次に、プレイヤーは自分が出したアビリティカードのうちの1枚を選んで「リーディングカード」にする。選んだカードに中央に書かれた値が、キャラクタの「イニシアチブ値」になる。

さらに、マップ上にいるモンスタータイプごとに 1 枚のモンスターアビリティカードを、対応するモンスターのデッキから引く。この時点で、場に出したアビリティカードをすべて表向きにする。

今、2人のプレイヤーがそれぞれ2枚のカードを出して、マップ上にいる Guard のモンスターのデッキからもアビリティカードを1枚ひいたところである。Guard はマップ上に三匹いるが、アビリティカードは1枚だけ引いている (「モンスター」ごとにではなく「モンスタータイプ」ごとに1枚引く)。

イニシアチブの決定

モンスター側は、モンスターのアビリティカードの左側に書かた値が、そのモンスタータイプ全体の「イニシアチブ値」になる。この「イニシアチブ値」が低い順に、キャラクタやモンスターが行動する。

例えば、上の状態で Brute のプレイヤーは右側の 18 のカードをリーディングカードに選び、Spellweaver のプレイヤーは左側の 36 のカードをリーディングカードに選んでいるとする。このとき、モンスターの Guard のイニシアチブ値は 50 なので、このラウンドは Brute > Spellweaver > Bandit Guard という順序でプレイすることになる。

なお、上の写真では説明のためにカードはすべて表向きにしているが、イニシアチブカードの選択は「カードを表向きにする前(かつモンスターのアビリティカードを引く前)」に行なう必要がある。

Brute のターン

最初に Brute のプレイヤーがターンをプレイする。プレイヤーのターンでは、先に出した 2 枚のアビリティカードのうち、一枚は上段側のテキストの内容(アクション)をプレイし、もう一枚は下段側のアクションを実行する。カードをプレイする順序は、どちらを先に行なってもかまわない(リーディングカードに指定することと、カードのプレイ順序は関係がない)。

今、Brute のプレイヤーは Grab and Go のアビリティカードプレイすることにした。リーディングカードとしては Eye for an Eye を選んだが、それとは関係なく Grab and Go から先にプレイしても問題ない。

次に、カードテキストの上段と下段のどちらのアクションを実行するかを決める。Grab and Go のカードの上段には “Loot 1” と書かれており、下段には Move 4 と書かれている。Loot 1 というアクションは、自分のいるマスから距離1のマス以内にある宝箱や貨幣トークンを回収するアクションである。現在、Brute の周囲のマスには宝箱はないので、このアクションを実行する意味はない。下段のアクションは、4 マス移動するというアクションで、近接攻撃が得意な Brute が離れている敵に近づくためにうってつけである。そこで、ここでは下段のアクションを実行することにした(もちろん、下段側を実行するつもりで最初からカードを出しているわけだけど)。

移動方法は単純で、隣接するマスを 4 マス進めていけばよい。ここでは 3 マスしか進めていないけど、かならずしも移動アクションは最大値まで実行しなくてもよい。

ちなみに、上の写真では Brute は敵に隣接するマスを避けて移動したが、このゲームではいわゆる ZoC のような概念はなく、敵に隣接するマスでも特に制限なく通過できる。ただし、通常の移動方法では敵のフィギュアを通過することはできない。一方で、味方のフィギュアは通過することができるが、フィギュアのいるマスで止まることはできない。

これで Grab and Go のアクションが終わったので、プレイしたカードは「捨て札」として積んでおく。捨て札になったカードは、何らかの効果で手札に戻らない限り再びプレイすることはできない。

次に、もう1枚出していた Eye for an Eye のアクションをプレイする。先にすでに Grab and Go の下段側のアクションをプレイしたので、自動的にこのカードは上段側のアクションを実行することになる(もちろんそのように考えてプレイしている、はず)。

このカードの上段には、下記のように複数のアクションが書かれている。

  • Retaliate 2 self
  • Gain 1 each time you retaliate this round.
  • ラウンドボーナスのマーク (リサイクルみたいなマーク)

上から順に説明していこう。Retaliate というアクションは、隣接する敵から攻撃を受けたときに、それらの敵にダメージを与えるという効果を発生させる。与えるダメージは 2 であり、攻撃を受けたときに反撃する対象は self (つまり自分)である。ただし、このアクションは敵側のアクションに対して効果が発生する受動的なアクションであるため、このカードをプレイした時点では何もおきない。

次のアクションは「このラウンドに Retaliate を行うたびに 1 (経験値)を得る」という意味である。Retaliate は隣接する敵から攻撃を受けると自動的に実行されるため、多数の敵から攻撃を受ければ受けるほど経験値がたくさんもらえることになる。このアクションも受動的に効果が発生するものであり、カードをプレイした時点では発生しない。

最後のラウンドボーナスのマークは、「この欄に書かれた効果は、ラウンド終了時まで有効である」ということを意味している。つまり、このカードのアクションである Retaliation の効果が発生する有効期間は、現在のラウンドが終わるまでということになる。次のラウンドになったら、このカードの Retaliation の効果は発生しなくなる。

カードのアクションは、このように受動的なものもある。Brute は、このラウンドではあえて自分から攻撃せず、敵から攻撃を受けて反撃ダメージを与えることを狙ったわけである。

これで Brute のカードのプレイ自体は終了したが、Eye for an Eye の効果はラウンド終了時まであるので、このカードは自分の場のところにラウンド終了時になるまで置いておく。ラウンドが終了したときに捨て札の束に置く。

Spellweaver のターン

Spellweaver のプレイヤーは、自分のターンでまず Reviving Ether の下段のテキストの Move 4 をプレイすることにした。

Spellweaver は遠隔攻撃が得意なクラスではあるものの、敵から距離が離れすぎていて、このままでは攻撃が当てられない。そのため、Move 4 のアクションで敵にある程度近づくことを試みる。といっても、Spellweaver は HP が少なく、敵から身を守る手段にも乏しいので、Brute を盾にするように移動することで、安全に遠くから攻撃することを目指す。

いろいろ考えた結果、この位置に移動してみた。敵方のモンスターは、基本的に「一番近くにいる」キャラクターを目指して移動してくるため、この位置にいれば他のモンスターは Brute を目指して移動するはずである。ちなみに 3 マスしか移動していないが、Brute の時と同様にアクションは必ずしも最大値まで実行しなくても良いので、この位置で止まるのは問題ない。

これで Reviving Ether のプレイは終わったので、カードは捨て札にする。

次に Flame Strike のアクションをプレイする。Reviging Ether は下段のアクションを実行したので、こちらは自動的に上段のアクションをプレイすることになる。

上段には複数行のアクションが書かれている。

  • Attack 3 (Range 2)
  • 炎マーク: Wound

1行目のアクションは、自分から 2 マス以内にいる敵 1 体に対して、3 ダメージを与える攻撃を行なうことを意味している。アクションの下に Range X と書かれている場合、自分から X マス以内の敵(アクションによっては味方)にアクションを実行できるという意味になる。

次の炎マークの行は「炎のエレメンタルを消費することで、攻撃した敵に Wound の状態異常を与える」ということを意味している、エレメンタルの説明は若干複雑になるのでここでは割愛するが、現時点では「炎のエレメンタル」が使用できないので、この行についてはここでは無視する。

さて、ここでようやく攻撃のアクションが出てきたので、攻撃の手順について簡単に説明する。

攻撃するときは、まずは攻撃する対象を決める。ここでは、自分から 2 マス以内の 1 体の敵を対象にできるので、Brute のすぐ左にいる Bandit Guard を攻撃対象にすることにする。このとき、対象まで「視線が通っているか」について判定を行なう必要がある。近接攻撃をする場合は、相手との間に壁がない限りは「視線が通っている」と判定する。遠隔攻撃を行うときは、対象のいるマスのいずれかの角と自分のいるマスのいずれか角を、壁に遮られない線で結べるときに「視線が通っている」と言う。上の状態では、Spellweaver のいるマスから Bandit Guard のいるマスに壁に遮られない線を引けるので、視線が通っている状態になっている。

対象が決まって、視線が通っていることがわかったら、次に自分の「攻撃修整デッキ」から修整カードを一枚引く。「攻撃修整デッキ」は20枚のカードで構成されており、カードには +0 とか -1 とか x2 などと書かれている。このとき引いたカードに書かれた修正値の分だけ、攻撃値を増減させる必要がある。

今、Spellewaver が自分のデッキから修整カードを1枚めくると、カードには +0 と書かれていた。これはつまり、攻撃値に対する修整はないということで、敵には 3 ダメージがそのまま与えられることになる。

モンスターにダメージが与えられたら、ダメージを受けたモンスターの駒に書かれた番号に対応する、モンスターの情報カードのスリーブの上の番号のところに、ダメージトークンをダメージ量に等しいだけ置く。今は番号 1 の Bandit Guard に 3 ダメージ与えたので、Bandit Guard のスリーブの上の 1 の欄にダメージトークンを 3 つ置いている。

ノーマルの Bandit Guard の HP は、データシートの左の欄の一番上に 6 と書かれている、つまり、倒すには 6 ダメージ与える必要がある。今はまだ 3 ダメージしか与えていないので、この Bandit Guard はボード上に残って、今後のモンスターのターンの時に行動することになる。

最後に、プレイしたカードを捨て札にする。これで Spellweaver のターンは終了になる。

モンスターのターン

マップ上に同じ種類のモンスターが複数存在するときは、エリートが先に行動し、次にノーマルが行動をする。エリートやノーマルが複数いるときは、コマに書かれた番号の低いほうから順に行動する。このシナリオでは何番のコマをどこに配置しろという指示がなかったので、Bandit のコマ(の番号)はランダムに配置されている。今はエリートの Guard が一体おり、ノーマルが 2 体いるので、先にエリートからアクションを行なう。ノーマル2体については、コマの番号が 1 と 2 となっているので、1 のほうから先にアクションを行なう。

種類が同じモンスターは、何匹いても1枚の同じアビリティカードの内容を実行する。複数の種類のモンスターがいるときは、種類ごとに1枚のアビリティカードを引く。今はマップ上に三匹の Bandit Guard がいるけど、いずれも同じ種類のモンスターなので、先に引いた1枚のアビリティカードに書かれたアクションを、それぞれの状況に従って順番に実行する。

エリートのアクション

さて、上記のルールに従って、モンスターのターンでは最初にエリート(台座が黄色のもの)がアクションを実行する。

アビリティカードの Move +0、Attack +0 という記述は「修整値 0 で移動し、その後に修整値 0 で隣接攻撃をする」という意味になる。

モンスターは、上の写真のモンスターのデータシートにあるように、上から順に、基本となる「HP」「移動値」「攻撃値」(一番下の欄は攻撃できる距離)が書かれている。シートの左の欄は「ノーマル」タイプの数値で、右の欄には「エリート」タイプの数値が書かれている。エリートタイプの移動値は 2 なので、「修整値 0 で移動する」ということは、つまり最大で 2 マス移動することを意味する。

モンスターが移動するときは、「一番少ない移動量で攻撃ができる位置に移動できるキャラクター(最も近いキャラクタ、という)」を目指すことを優先し、同じ条件のキャラクターが複数いるときは「よりイニシアチブ値の低いキャラクター」を優先して目指す。現在の状況では、エリート Guard から「最も近い」キャラクタは Brute である。そこで Brute に隣接するために 1 マス移動し、そこで移動を終わる。キャラクタの場合と同様に、アクションは必ずしも最大値まで実行する必要はない。「最も近い」キャラクタに攻撃できる位置に移動したら、そこで移動は終了する。

これで「移動」のアクションは終わったので、次に「攻撃」のアクションを実行する。攻撃するときも、モンスターは「最も近い」キャラクタを攻撃するので、ここでは Brute を攻撃することになる。モンスターも、攻撃するときは「攻撃修整デッキ」から一枚カードを引く。モンスターは、キャラクターとは別に(共通の)攻撃修整デッキが用意されており、すべてのモンスターは攻撃するときにそこからカードを引く。

今カードを引いたところ、-1 というカードだった。エリート Guard の攻撃値は 3 で、アビリティカードによる修整値は +0、修整カードによる修整が -1 なので、エリートが Brute に与えるダメージは 2 となる。Brute の HP ダイヤルを回して、10 から 8 に減らす(2ダメージ受ける)。

ちなみに、キャラクターがダメージを受けたときは、HP を減らすのではなく「手札から1枚破棄する」か「捨て札から2枚破棄する」ことで 1 ダメージ受けることもできる。破棄したカードは二度と手札には戻らないので、おいそれとは使えない方法ではある、しかし、全てのダメージ受けると HP が 0 以下になってしまう時などは、この方法でダメージを受けるしかない(こともある)。

ここで攻撃のアクションは終わったので、攻撃修整カードは捨て札にする。

忘れてはいけないのが、Brute のプレイしたカード Eye for an Eye のアクションにあった Retaliation 2 である。Brute は隣接するマスから攻撃を受けたので、Retaliation の効果によって攻撃してきた相手に 2 ダメージを与える。エリート Guard は 2 ダメージを受け、ダメージトークンをエリートの欄(エリートのコマは5番なので5番の欄)に2つ置く。

エリート Guard は Sheild 1 という特性を持っていて、攻撃を受けたときに1ダメージ減らすことができるが、Retaliation は「攻撃ではない」ため、Sheild によりダメージを軽減することはできない。

さらに、Eye for an Eye には「Retaliation を実行したときは経験値 1 を得る」と書かれている。今、エリート Guard に対して Retaliation を実行したので、Brute のプレイヤーは青ダイヤルを回して経験値 1 を得る。

ゲームの概要でも説明したように、このゲームでは経験値は敵を倒すだけでは得られず、このようなアクションの効果としてしか基本得ることができない。そのため、経験値を得るために、このようにわざと攻撃を受けて経験値を得るといったプレイもあり得るわけである。ただ、ここでは単にダメージを受けて経験値を得ただけなく、Shield 持ちでダメージの通りにくいエリート Guard に、無条件で 2 ダメージ与えることにも成功している。

このように、カードをうまくプレイすることで一石二鳥、三鳥のプレイができる点が、このゲームの面白さのひとつだと思う。

ノーマル1のアクション

エリートの次は、ノーマルのモンスターが行動する。ルールに従って、コマの番号がより低いほう(番号が 1 の Guard)が先に行動する。ノーマル 1 の Guard も、先に引かれたカードのアクションを実行するので、移動と攻撃を行なうことになる。

まずは移動を行うが、ノーマル 1 の Guard の「最も近い」キャラクターは Brute であり、すでに近接した状態になっている。つまり、移動せずとも「最も近い」キャラクターを攻撃できるため、ノーマル 1 の Guard は移動しないでこの位置に留まることになる。

次の攻撃のアクションでは、「最も近い」Brute を攻撃する。攻撃時には、モンスターの攻撃修整デッキから修整カードを引く。

今引いたカードは -2 で、ノーマルの Guard の攻撃力は 2 であり、アクションカードによる修整は +0 であることから、Brute へのダメージは 0 ということになる。ダメージは受けなかったものの、Brute の Retaliation の効果が発動する条件は「Brute が攻撃を受けたとき」なので、ノーマル 1 の Guard は Brute から 2 ダメージを受けることになる。

スリーブにダメージトークンを 2 個追加し、合計のダメージは 5 となった。しかし HP は 6 なので、まだノーマル 1 の Guard は倒されてはいない。

一方で Brute は Retaliation を行なったので、さらに経験値 1 を得る。

ノーマル2のアクション

最後に、ノーマル 2 の Guard がアクションを実行する。

ノーマル 2 の Guard が、最小の移動で攻撃できるキャラクタは Brute なので、やはり Brute 目指して移動することになる。

データシートによればノーマル Guard の移動力は 3 であり、アクションによる修整は +0 なので、最大で 3 マスまで移動できる。今 Brute を標的にしているので、直線的に 2 マス進んで Brute に隣接するマスまで移動する。ちなみに上の図の移動の途中で他の Bandit を通りこしているけど、移動するときは「味方の」フィギュアであれば通り抜けられるため、このように移動することができる。

これで「移動」のアクションは終わったので、次に「攻撃」のアクションを実行する。

ノーマル 2 の Guard の攻撃対象は、もちろん Brute である。修整カードを引くと、+0 のカードだった。アクションカードの修整値は +0 であり、ノーマル Guard の攻撃値は 2 なので、合計 2 のダメージを Brute に与える。

このとき、Brute の Retaliation がまだ有効なので、ノーマル 2 の Guard には自動的に 2 ダメージ与えられる。

そして、Brute は 1 の経験値を得る。HP は 2 減って 6 になっている。このラウンド、Brute は 4 ダメージ受けたものの、経験値 3 を得て、敵に合計で 6 ダメージも与えることに成功している。

クリーンナップ

すべてのキャラクターとモンスターのターンが終わったので、このラウンドは終了となる。プレイした手札は捨て札となり、モンスターのアビリティカードや戦闘で使った修整カードなども、すべてそれぞれの捨て札の束に置く。

ここで、プレイヤーはキャラクタに「短い休息」をさせて、捨て札を手札に戻すこともができる。しかし、休息するにはアビリティカードの捨て札の束から、ランダムに 1 枚を「破棄する」(二度と手札に戻らない状態にする)必要がある。破棄されたカードは、休息しても手札に戻らないため、休息すればするほど使える手札が減っていく。ラウンドの開始時に手札が1枚または0枚であり、なおかつ捨て札も0枚のときは、プレイヤーはその場で「消耗」状態となり、ゲームから退場させられてしまう。

とはいえ、ラウンドをプレイするごとに 2 枚ずつ手札を消費するので、どこかの時点で休息して手札を回復する必要がある。HP がどれだけあろうとも、手札を失なうとシナリオに失敗するというメカニズムがあるため、プレイヤーは HP の管理だけでなく手札の管理についても気を配らなければらない。この手札による「時間制限」みたいなものが、ゲームの緊張感を高める一つの要素となっている(と思う)。ちなみに、手札だけでなく HP も回復できる「長い休息」もあるけど、それについてはここでの説明は省略する。

このラウンドでは、いずれのプレイヤーも休息はしないことにした。そのため、これでこのラウンドは終了となり、次のラウンドを始める。このようにしてして、シナリオのクリア条件(このシナリオでは「全ての敵を倒す」)を満たしてクリアするか、すべてのキャラクターが「消耗」状態になってシナリオのクリアに失敗するまでラウンドを繰り返す。

注:途中の写真から、ノーマル 1 の Guard のコマがなぜか Living Bone になっているけど、心眼で Guard と思うこと!

(つづく)
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まさかの時のボードゲーム Gloomhaven [1] ゲームの概要

Gloomhaven は、ファンタジー世界を舞台とした協力型のボードゲームである。プレイヤーはそれぞれ1人のキャラクタの操作を担当し、モンスター側はルールに従って自動的に移動したり攻撃を加えたりしてくる。プレイヤーは、キャラクタに剣を振るわせたり、魔法を使わせたりしてモンスターを攻撃し、罠を回避し、宝を回収する。キャラクタはゲーム中でアビリティを使ったり、シナリオをクリアすることで経験値を得て、レベルアップしたりさまざまな報酬を獲得することができる。そして、強くなったキャラクターで、アンロックされた新なシナリオに挑んでいく。

ゲームはターン/ラウンド制で、六角形のマスが描かれたマップタイルの上に配置されたキャラクタやモンスターのフィギュアを、それぞれの手番(ターン)に動かすことで進行していく。

各プレイヤーは、それぞれ一人のキャラクタ(クラス)を担当する。キャラクターは、六角形のマスの描かれたマップの上に「フィギュア」として配置され、プレイヤーの指示に従ってマップ上を移動したり、敵を攻撃したりできる。実際にプレイしているときの盤面の様子はこんな感じ。モンスターは厚紙のコマを台座に差しこんだものだが、プレイヤーの操作するキャラクターはそれぞれ専用のフィギュアが用意されている。

プレイヤーは、キャラクタに指示を与えるときは、クラスごとに用意された「アビリティカード」を使う必要がある。ラウンド毎に、手札から2枚のカードをプレイすることで、それらのカードに書かれた内容をキャラクタに実行させることができる。ちなみにデッキ(山札)みたいなものはなくて、使えるすべてのカードを最初から手札として持っていてる。なので、最初の時点では手札は 10 枚とか沢山もっていることになる。

アビリティカードは、こんな感じで上段と下段に別のテキスト(アクション)が書かれている。プレイヤーは、2枚プレイするカードのうち、一枚は上段側のテキストを実行し、もう一枚は下段側のテキストを実行しなければならない。上段側は攻撃系のアクションが多く、下段側は回復や移動のアクションが多い傾向がある。どのカードをプレイするか自体も悩むが、基本的には上段側のアクションのほうが強いこともあり、出したカードのどちらの上段側のテキストを実行するかも悩むことになる。

キャラクタには「クラス」があり、複数のプレイヤーが同時に同じ「クラス」をプレイすることはできない。クラスはそれぞれに特徴があり、近接戦闘に特化したクラスもあれば、敵の行動を阻害することが得意なクラスや、治癒などの支援活動が得意なクラスもある。担当するクラスによって、全く別のゲームをプレイしているかのように感じるほど、それぞれのクラスの得意分野が異なっている。

たとえば、これは Brute という接近戦を得意とするクラスのキャラクタマット(左上)とアビリティカードで、近接攻撃で大きなダメージを与えるカードが多く揃っている。複数の敵に同時に攻撃できるカードや、相手の攻撃に対して反撃できるカード、敵の攻撃を防御するカードなどもある。逆に、長距離を移動できるカードは少なく、また遠隔攻撃に関してはあまり得意ではない。

こちらは Spellweaver という遠隔攻撃(魔法攻撃)を得意とするクラスで、離れた場所から攻撃するカードが揃っている。また、エレメンタルと呼ばれる精霊の力(カード内に描かれている火とか水とかのマーク)を使うカードが多数あり、エレメンタルを消費することでさまざまな追加の効果を得ることができる。一方で、Brute に比べてデッキの枚数が少なかったり(Brute は 10 枚、Spellweaver は 8 枚)、HP が少ない(Brute は 10、Spellweaver は 6)といったように、アビリティカード以外にもクラスごとの相違点がある。

プレイヤーの前のプレイエリアはこんな感じになる。自分の担当するキャラクタマット、アビリティカードの他に、HP/経験値トラッカー、攻撃修整デッキ(左下の剣のマークにあるカード)、キャラクタトークン(左上にある丸い駒)を受けとる。トラッカーは、赤い左側の部分でキャラクタの HP を管理し、右の青い部分でシナリオ内で取得した経験値を管理する。キャラクタトークンは、ゲームの中でカウンターとして使ったり、何かを示すマーカーとして使ったりする。

左側中段にある、石畳みたいなカードは「バトルゴールカード」というカードで、シナリオの開始時に2枚引いて1枚を選んで自分のプレイエリアに裏向きに置いておく。バトルゴールカードの表面(上の写真)には「条件」と「報酬」が書かれており、シナリオクリア時にプレイヤーが条件を満たしていたら(シナリオクリアの報酬とは別の)報酬がもらえる。書かれている条件は、それほど厳しい内容ではないのだが、条件を満たそうとすると必ずしもパーティとしてベストの行動ができないことがある。しかも、このカードは他のプレイヤーには秘密にしたまま達成する必要がある。そのため、バトルゴールカードはプレイヤーの行動に若干のゆらぎみたいなものを与える要素になっている。

HP/経験値トラッカーは、キャラクタの HP と経験値を管理する。HP が 0 以下になったり、ラウンドの開始時に手札が2枚プレイできず、なおかつ「休息」(後述) もできない状態になると、キャラクターは「消耗」した状態となって、ゲームから退場させられてしまう。全員がゲームから退場したら、その時点でシナリオのクリアは「失敗」となる。シナリオで獲得した経験値については、シナリオをクリア(または失敗)した後に、レベルアップするために使用される。レベルアップすることで、初期の HP の最大値が増加したり、新たなアビリティカードを使えるようになったりする。

このゲームの経験値のシステムは少し変わっていて、モンスターを「倒す」だけでは経験値が得られない。アビリティカードを使ってアクションを実行するときに「特定の条件を満たすことで」経験値が得られる。つまり、何も考えずに敵を倒しまくっても、経験値を得ることはできないようになっている。このため、敵を倒すことを優先するのか、経験値を獲得することを優先するかについての判断に頭を悩ますことになる。なお、シナリオをクリアすることでも、報酬として経験値は貰える。

この他に、プレイヤーの場には「攻撃修整デッキ」と呼ばれるカードの束がある。これは、サイコロを使わないこのゲームにおいて、戦闘時に若干の(場合によっては相当な)ランダム要素を加えることで、ゲーム緊張感を高めるものとなっている。これについては、ゲームの進行の説明のところでまとめて説明する。

モンスターについては、モンスターの種類ごとにモンスターのデータシートと、モンスターの行動を決めるアビリティデッキを用意する。どの種類のモンスターをどこに配置するかは、シナリオブックに書かれている。モンスターには「レベル」と「ノーマル」「エリート」の区別があり、それらについてもシナリオブックで指定がある。

たとえば、最初のシナリオでは Bandit Archer、Bandit Gurd、Living Bones の三種類のモンスターを配置するように指示がある。スリーブを使って、シナリオブックで指定されたレベルの表記だけが見えるように、モンスターのデータシートをセッティングする。スリーブに書かた番号は、マップ上に配置したモンスターの駒に書かれた番号に対応している。モンスターがダメージを受けたときは、対応する番号の欄にダメージトークンを置く。ダメージがモンスターの HP を上回れば、モンスターは倒されてボード上から取り除かれることになる。

モンスターは、データシートとは別にモンスタータイプごとに用意されたアビリティデッキ(モンスターアビリティカード)がある。アビリティデッキは、プレイヤーが使うアビリティカードと同じように、モンスターが行なうアクションが書かれている。ラウンドごとにアビリティカードをデッキから引くことで、そのラウンドにそのタイプのモンスターがどのように行動するかが決まる。

さらに、モンスター用の攻撃修整デッキもある。これについては後述する。

(つづく)
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