まさかの時のボードゲーム Gloomhaven (S1) シナリオ #1 Black Barrow [1] シナリオ開始前

ただのリプレイですが、実験的になぜか物語風です。

プロローグ

犯罪と混沌の街 Gloomhaven の下町にある中堅の傭兵ギルド MML は、さる高貴な人物からの密命を受け、盗賊の巣窟となっているという Black Barrow へ何度か討伐隊を送っていた。しかし、これまでの討伐隊は悉く返り討ちにあったようで、誰も帰ってくることはなかった。事態を重く見たギルドマスターの「入」は、二人の手練のギルドメンバーである Brute の “K” と Tinkerer の “U” を呼び出すことにした。

入「君達に頼みがある。」
U「イヤ。」
K「金ならありません。ヒマもありませんが。」

あいかわらずの二人である。彼らは手練であることは間違いないのだが、一癖も二癖もあることでも有名であった。最初から分かっていたことではあるが、彼らの傍若無人な態度を目の当たりにして「入」は苛立ちを隠しきれなかった。

入「…先に話を聞け。」
U「めんどい。」
K「ツケを払ってもらえるなら聞きますよ。」
入「…」

ギルドマスターの「入」は怒鳴りそうになるところを、間一髪のところで堪えることに成功した。

入「…わかった、例のものを。」
β「はい。」

唐突にドアが開き、ギルドの職員である「β」が盆の上に何かを載せて持ってきた。K と U の二人が興味深そうに覗きこむ。こう見えても「入」は、この荒くれ者が集まる Gloomhaven で 10 年もギルドマスターを務める男だ。こういった連中を手懐ける方法のひとつやふたつ、心得くらいなくてはとても務まるものではない。

U「あっ! あずま屋のショートケーキ!」
K「…60ゴールドとはまた奮発しましたね。ツケにはいくらか足りませんが。」
入「とにかく座ってくれ。」
U「食べる!」
K「まあ、聞くだけならいいでしょう。」

K は金の入った小袋を手早くクロークの内側にしまいこみ、U はショートケーキにかぶりついた。

入「さて、君らも知っていると思うが、最近 Black Barrow の盗賊どもが暴れていてな。」
U「はむはむ」
K「Black Barrow ですか。あまりいい噂は聞きませんね。」
入「君たちには、奴らが奪っていった書類を取り戻して来てほしい。」
K「それは…散歩のついでに、というわけには行かないですねえ。」
入「そんな簡単な相手なら、もうとっくに解決しているところだ。」
U「遠いの?」
K「街から1時間くらいの場所ですよ。」

U「…遠い」
K「えーと、距離はともかくとしてですね…ギルドでも上位の実力をもつ『赤き獅子』 の4人パーティですら全滅したと聞いてますよ。私たちが2人で行ってどうにかなるもんですか。」
入「私に考えがある。」
K「ほう。」

ギルドマスターの自身ありげな態度をみて、無意識のうちに K は腕組みした。彼が話に興味を持ったときの癖である。

入「まず、盗賊やモンスターの数はいつも同じではないらしい。偵察に入って逃げ帰ってきたメンバーの情報によれば、2人のときと4人のときでは、明かに出てくる敵の数が違ったそうだ。」
K「ほう、それはどういうことでしょう。」
入「理由はわからん。連中はやってくるパーティの人数を、何らかの方法で知っているのかもしれん。ともかく、2人で行くと敵の数は少なくなるらしい。」
U「でも敵強い。」
K「そうですよ、最初に行ったパーティは 2 人だったと聞きますが、彼らも帰ってこなかったのでしょう?」
入「うむ。だから私には考えがある。」

K の懸念にもかかわらず、「入」はにやりと笑った。

K「と、言いますと?」
入「イージーモードで行くのだ。」
K,U「イージー!?」
入「これまで帰ってこなかった連中は、戦利品や経験値に目が眩んで、ノーマルとかハードモードで潜ったそうだ。」
K「…つまり、イージーモードで行けと言うことですか。敵は弱くなるけど、戦利品も経験値も減ってしまうという、あの?」
入「そうだ。今回のミッションは、書類を取り戻すことが重要なのだ。現地で戦利品を稼ぐことなど重要ではない! 」

すくっと立ち上がる K。ショートケーキの最後のひとかけを口に押しこんでいた U は、それを見て慌てて立ちあがった。

K「…U、帰りますよ。」
U「…ほい。」

躊躇なくドアに向かう 2 人を見て、慌てるギルドマスター。

入「ま、待て。心配するな、イージーで減る戦利品や経験値を補填する方法も考えてある。」
U「?」
入「ランダムダンジョンだ。」
K「っ! なんと、あの伝説の?」

そう言われても、何のことか分からずきょとんとする U。一方で、めったに動揺しない K が驚きの表情を見せたことで、「入」は少し気分をよくした。

入「うむ、そうだ。依頼主のバリアント伯爵から、特別に許可を得た。」
U「おいしい!?」
入「うむ、おいしいぞ。」
U「おいしいの好き!」
K「…分かってると思いますが、ダンジョンなんですから。食べ物じゃないですよ。」
U「おいしいの好き。」
K「聞いてますかね…」

咳払いをする「入」。

入「ともかくだ。この作戦に参加するメンバーに限り、ランダムダンジョンを使用して良いことになった。」
K「よく許可されましたね。」
入「背に腹は換えられんということだろう。このまま書類が奪還できなければ、伯爵の立場も危うくなる。無論、このギルドにも大きな影響が出る。」
U「ランダムダンジョン…戦えるの?」
入「もちろんだ。ギルドの依頼するシナリオと違って、無制限に何度でも戦えるぞ。」
U「楽しそう。」
K「ふうむ、そうですか。無限に経験値やゴールドが稼げるという、伝説のランダムダンジョンに行けるというなら、少し考えてもいいですね。」
U「行きたい、ランダムダンジョン。」
入「引き受けてくれるか。」

黒い皮貼りのソファーにまぶかに腰掛けたまま、じっと K を見入る「入」。K は表情を崩さなかったが、「入」は K の 答が肯定的なものであることを、その無表情の下から読み取っていた。

K「…一晩考えさせてください。返事は明日でいいですよね。」
入「もちろんだ。」
K「あ、今晩の夕食はおごりですよね?」
入「…もちろんだ。」
U「わーい!ご馳走!」
入「…エールは5杯までだからな!」
U「10杯で。」
入「…7杯までだ。」
U「…8杯」
入「…よかろう。」
K「では、請求書はあとで回しておきます。」
入「いい返事を期待している。」

街中にて: 都市イベント(#02)

β「ギルドからのお知らせです。これから先に、イベントカードの若干のネタバレがあります。カードの内容を知りたくない方は、記事の最後まで読み飛ばすことをお勧め致します。」

ギルドから宿屋へ向かう途中、喧騒とする Gloomhaven の市場の中を二人は歩いていた。

U「はむはむ。」

市場の店で見つけて強引に K にねだったシュークリームを頬張る U の横で、K はギルドマスターとの話を思いかえした。

K「結局オーケーしてしまいましたねえ。まあ、ランダムダンジョンの無限使用権は魅力的なのですが。」
U「シュークリーム好き。」
K「あなたは単純ですね。なぜそれで機械工の Tinkerer とかやっていられるんですか。」
U「同じ。」
K「? 何がですか。」
U「考える脳筋。」
K「私のことですか? Brute が思考を巡らせて何が悪いのでしょう。」
U「筋肉の脳、考えられない。矛盾。」
K「…人のことは言えない、ということですか。」

K はやれやれという様子で首を振った。

?「おい、おまえら。わしの話を聞け。」

突然、頭からすっぽりローブを被った、いかにも怪しい風体のおっさんらしき人物が背後から呼びかけてきた。素早く振り向く二人。

U「…殺る?」
K「大丈夫、殺気は感じません。」

おっさんは、何か金属の欠片のようなものを手に持っている。U は警戒して身構えたが、K は武器ではないことにすぐに気がついて U を静止した。

?「おまえら傭兵だろ。」
K「…だったら何ですか。」
?「俺は、これを昨日下水道で拾った。こいつには何か書いてある。俺には読めん。だが、字が光っとる。きっとすごい秘密が書かれているはずだ。おまえらなら読めるだろう?」
K「ほう。」

K が確かめようと身を乗りだすと、おっさんはすばやく手をひっこめた。じろりとおっさんを睨む K。ごつい体格をした Brute の K に睨まれ、おっさんはわずかに怯んだが、それでも引き下がりはしなかった。

?「み、見たけれりゃ 10G 払え! さもなきゃ、読ませはせん!」
K「…」

じっと動かずにおっさんを睨み続ける K。おっさんの手がわずかに震えるのが見えた。その横で、U がゴソゴソと動く。

U「臭い。」
K「?」
U「あれ、すっごく臭い。」
K「…下水にあったと言ってましたから、臭いでしょうね。」
U「臭いのイヤ。」

それを聞いて、K は体の力が少し抜けた気がした。

K「残念ですがその宝物は、他の人に譲りますよ。この子が臭がるのでね。」
?「なに、後悔するぞ!」
U「臭いのイヤ!」
K「さ、行きますよ。」
?「チッ!、腐れ傭兵どもめがっ!」

K と U は、吠えるおっさんを後に、夕暮れの市場の中を宿へと向っていった。

旅程にて:街道イベント #13

Black Barrow と呼ばれる場所は Gloomhaven の街のすぐ北東にある、Corpsemoon と呼ばれる小高い丘の中腹あたりにあった。街の新市場の門から出て、小一時間も歩けば着くような距離である。街からそれほど遠くない場所ではあるが、丘に行った者は誰も帰ってこないという噂が立ち、まともな人間は近づかない場所となっていた。K と U は市場のはずれにある門を出て、Corpsemoon の丘へと向かっていた。このあたりは街の近くまで Black Barrow を根城とする盗賊の縄張りになってしまったせいもあり、最近は特に治安が悪い一角となっている。

街道沿いには廃墟のようになった空家が建ち並び、そこには Gloomhaven の街から追い出された素性の怪しい連中が住みついていた。彼らは、隙あらば通行人から何かを奪おうと、あらゆる空家の影から虎視眈々と狙っている。街道沿いに進めば、その連中の住む廃墟群を通ることになるため、K はわざと街道を迂回して丘へと続く林の中を進むことを選んだ。林の中も安全とはいい難かったが、見通しが効く分だけ廃墟の中を進んでいくよりはマシであった。

K「Corpsemoon の丘には、その名の通り動く骸骨や屍体がいるらしいですよ。丘に近づいた人は、みな殺されて屍体の仲間になるんだとか。」
U「臭そう。」
K「怖くはないのですか?」
U「怖いより、臭いのイヤ。」
K「…あなたらしい感想ですね。しかし、屍体なら臭いと思いますよ。」
U「帰る。」
K「まあまあ。そう言わずに。ランダムダンジョンもありますし。」
U「ランダムダンジョン…」
K「帰ったら、あずま屋のチョコレートエクレアをあげますよ。もちろんギルドマスターの驕りですが。」
U「ちょこエクレア!」
K「どうですか。」
U「行く。」

機嫌をよくした U が、丘の上へと進み始めようとしたそのときだった。

K「…待って下さい、何かいます。」

K は U をひっぱって、木陰に隠れた。見ると、林の上のほうにたくさんの人影らしくものが見える。人影は近づいてくる様子はなく、ただ呆然と立ちつくしているようにも見える。

U「何あれ。」
K「さて、何でしょうね。」

二人は警戒しながら、林の中をゆっくりと進んでいった。人影までもう少しというところで、K はようやく人影の正体に気がついた。

K「…あれは、人間の像ですね。」
U「像?」
K「つまり人形です。」
U「おいしい?」
K「食べられません。」
U「戦う?」
K「生きてませんから、襲ってもこないと思いますよ。」
U「…つまらない。」
K「何故こんなところに、像があるんでしょうねえ。何かの罠なのか…」
U「あっ!」

U は、何かに気がついたように突然像に向かって走りだした。

K「油断は禁物ですよ!」

K も急ぎ後に続いて走った。

U「キラキラ!」

U が手に取ったのは、像の首にかかっていたネックレスだった。いくつもある像には、いろいろな装飾品らしきものが掛けられていたが、このネックレスだけが値打ちのあるもののように見えた。

?「触るな!」

突然、すぐ近くで怒鳴り声がした。U と K が警戒して身構えると、地面がぱっくりと開いて中からおっさんが出てきた。さすがの 2 人も、地面から出てくるおっさんには驚いた。

?「これは皆、私の嫁だ。勝手に触るな!」
U「嫁?」
K「嫁、ねえ。」

おっさんの台詞を聞いて、K は少し脱力した。確かに像は女性に見えなくもなかった。ただ、材料が鉄屑や木材の端切れといったゴミがほとんどで、すえたような匂いがする上に、お世辞にも見た目が良いと言える代物ではなかった。

?「離れろ!」

二人は、おっさんの剣幕に押されると同時に、何か触れてはいけないもののような気配を感じて後退りし、そのまま丘の上に駆けだそうとした。

?「待て、そのネックレスは嫁のものだ。嫁に返せ!」
U「えー。」

露骨にいやがる U。

U「もう、もらったもん。」
K「大した価値はなさそうですよ。」

K は面倒なことになる雰囲気を感じて U を諭そうとした。しかし U は聞かなかった。

U「キラキラ!」
?「 返せ! このクソ傭兵ども!」

おっさんは、いつのまにか手にした鈍器を片手に、二人ににじり寄って来る。K は仕方なく身構えた。しかし、予想以上に早くおっさんが U に向かって駆け出した。

K「U!」
U「やだーっ!」

K が叫ぶと同時に、U が反射的に何かを投げつけた。直後、猛烈な閃光と爆発音が轟き、あたりは煙に包まれた。

?「うわーっ!?」
K「今のうちに!」

じたばたする U の腕をつかむと、K は一目散に丘の上に向かって走りだした。 U が投げたのは、彼女がこのところ開発していた、謎の薬品が入った筒だったようだ。これは、武器としての殺傷能力は低いものの、敵を大きな音と光で相手を怯ませることができるものだ。おっさんは、これをまともに食らった上に煙につつまれてしまい、二人を完全に見失っていた。K と U はその隙に、立ち並ぶ像の間をすり抜けて丘の上へと走り去った。

K「ふー、まったく。これが盗賊どもの罠だったら面倒なことになるところでしたよ。」
U「キラキラ、ゲット!」
K「はー、あなたは呑気ですねえ。」

溜息をつく K をよそに、U は掴んだネックレスを無邪気に眺めていた。ネックレスは希少なものではなかったが、市場で叩き売っても 4 ゴールドくらいにはなりそうだった。少なくとも、K はそう見立てた。

K「何事もなくて良かったですよ。」

林の中を強引に走り抜けたせいで服にいくつもついてしまった、毛虫のような形の下草の種を落としながら K は言った。

K「でも、いきなり走るのは良くありませんね。罰として、エクレアは無しにします。」
U「えっ! エクレア!?」

U の顔がひきつる。

K「ネックレスが手に入ったからいいでしょう?」
U「やだ! エクレア食べる!」
K「ダメです。」
U「やだーーっ!」

駄々っ子のように泣きだす U。どうしようもないな、と思いながらも K は U の頭を撫でる。

K「分かりました。では盗賊のアジトについたら、私の指示通りに動くのですよ。そしたら、エクレアもあげます。」
U「ほんと?」
K「ほんとです。」
U「嘘ダメ。爆弾飲ます。」
K「…あなたなら、本当にやりそうで怖いですねえ。大丈夫です。ちゃんとあげますってば。」
U「…わかった。」
K「ではさっさと行きましょう。日が暮れるまでには、片付けてしまいたいところです。屍体のうろつくような場所に、長居はしたくありませんからね。」
U「夜はエクレア!」
K「はいはい、行きますよ。」

謎のおっさんのことなどすっかり忘れた U は、軽い足取りで林の中を丘の上へと向かっていった。

K (思ったより物語のところが長くなって、書くのが大変だったなあ。次回からは適当に省略しよう)

ナゾのことを思いつつ、K も後を追うのであった。

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目次

まさかの時のボードゲーム Gloomhaven (5) 初期クラスと難易度

初期から使用できる 6 つのクラスのアビリティカードや特徴について、以下で少し紹介してみる。その後で、難易度についての所見を述べてみる。

Brute

見た目通りの肉体派クラスで、近接攻撃を得意とするいわゆる「戦士」的なクラス。近接攻撃で大きなダメージを与えたり、複数の敵にダメージを与えるアビリティカードを持ち、戦闘では中心的な働きをすることになる。HP も 10 と高めで、防御系のアビリティカードもあり、前線に出て敵の攻撃に多少は耐えることもできる。一方で、遠隔攻撃をしてくる敵には対抗手段が乏しい。移動速度も遅いため、遠隔攻撃を得意とする敵には的にされてしまうこともある。攻撃自体も、基本的にはダメージを与えて倒す以外の手段があまりないことから、単純に HP が多い敵や防御力の高い敵相手には苦戦することもある。

基本的に死ににくいため、とりあえず敵に近づいて殴るという分かりやすいプレイができる。レベル1のアビリティカードは全体的にシンプルであり、この手のゲームにあまり慣れていないプレイヤーでも扱いやすい(と思う)。

Spallweaver

遠隔攻撃を得意とする、いわゆる「魔法使い」的なクラス。複数の敵をまとめて焼き払ったり、エレメンタルの力を使って攻撃力を増強することができ上げるアビリティがあり、瞬間的な火力は高い。一方で、HP は 6 と少なめで、防御系のスキルも多くないため、前線で殴りあうことは得意ではない。また手札が 8 枚と少ないため、長期戦になると息切れしやすい傾向にある。後半は退場する前提で序盤に暴れ回るのか、力を温存してボス戦で頑張るのかといった、カードの使い方についての戦略は予め考えておく必要がある。

カードのイニシアチブ値はやや高めで、他のキャラクターや敵が動いてから最後にトドメを刺すような動きになりやすい。敵の攻撃にさらされない位置取りをしながら、効率よくカードを使って敵を倒していくという立ち回りが求めらる。また、経験値を得ようと思うとエレメンタルの状態を気にしながら戦う必要があったりするので、他のクラスに比べるとやや難易度が高いクラスという気はする。

Scoundrel

近接攻撃を得意としながらも高い移動力をもち、罠の解除、隠密行動、戦利品の回収能力なども備える、盗賊的なクラス。HP や移動力、手札の枚数などは平均的で、後半でもある程度の行動力を維持できる持久力をもつ。攻撃のアビリティ自体はシンプルなため、カードの選択に悩むことも少ない。ただし、味方が近くにいると攻撃力などが強化されるアクションが多く、単独で行動するよりも味方と歩調を合わせて行動したほうが力を発揮しやすい。戦闘に関しては、一撃離脱とか急降下爆撃的な動きが得意なクラス。

イニシアチブが低めのカードが多いことから、敵が動くよりも早くに数を倒してしまうことで、味方を有利な状況に導くことができる。一方で、味方との連携がうまくいかないと、戦場で孤立して袋叩きにあうことになる。他のクラスと比べて、味方との連携が重要なクラスである(と思う)。

Mindthief

味方を支援したり、有利な状況を作り出すことが得意なクラス。敵を操って同士打ちさせるスキルや、自分を継続的に強化するといった、独自のアクションももつ。相手を倒すこと自体はそれほど得意ではなく、HP も 6 と少ないほうなので、単独での行動はしにくい。個々のアクションは強力だが、アクションの多くに何らかの制約条件がついており、アクションの順序や移動する位置などはよく考える必要がある。

イニシアチブの値が低いカードが多いため、他のキャラクタに先駆けて行動することで、味方が有利に動ける状況を作りだせる。ただし Scoundrel とは異なり敵を倒すのではなく、行動不能にしたり操ったりするといったトリッキーな方法を使う。そのため、自分自身も味方も若干テクニカルな動きを要求される。

Cragheart

近接攻撃、遠隔攻撃、範囲攻撃など多彩な攻撃方法を持ちつつ、高い HP で前線に出て戦えるクラス。風のエレメンタルを自分で操作してアクションを強化することができ、カードをうまく使えば複数の敵に大きなダメージを与えることができる。障害物を操作するユニークな能力もあり、障害物を除去して敵の裏から回りこんだり、障害物を配置して敵を封鎖するといった、他のクラスではできない立ち回りもできる。一方で回復や防御系のアクションは少ないため、HP の高さを過信して前に出すぎると、あっけなく退場させられてしまうこともある。

全体的にイニシアチブの値が高いアビリティカードが多いことから、他のキャラクタが動いてからの行動になりやすい。味方の動きにあわせて、臨機応変に行動するスキルがプレイヤーに求められる(気がする)。

Tinkerer

ヒールや手札の回復、味方の攻撃力や防御力の強化といった、味方を支援するアクションをもつ、どちらかというと後方支援タイプのクラス。攻撃は遠隔攻撃が主だが、一度しか使えない必殺技的な攻撃カードか、繰り返し使えるが大きな威力はなく状態異常を付与する支援的なカードが多く、攻撃方法に若干の癖がある。高火力のカードで敵を倒すことは一応できるものの、それらを乱発すると手札が枯渇して支援ができなくなってしまう。カードの使いどころがやや難しいクラスではある。

HP は 6 と少なめな上に、防御系のアクションがほとんどないため、単独で行動するとすぐゲームから追放されてしまう。味方が行動した後から、その穴を埋めるように行動しつつも、敵からは攻撃を受けないで生き残ることが重要である(と思う)。

難易度の設定について

MML でいろいろ試した感じでは、シナリオレベルをやや低めに設定したほうが良いように思った。敵を早めに倒してしまってから、シナリオクリアになる前に貨幣の回収や経験値を得るカードを使うようにすると、結果的に難易度を少し上げるよりも経験値もゴールドも多く稼げる気がする。

経験値に関しては、敵を倒して経験値が得られるゲームではないので、敵を強くする意味があんまりない。ゴールドに関しては変換レートが上がるのでシナリオレベルを上げる意味はあるけど、敵が強くて戦いに余裕がないと、結果的にマネートークンを回収できなくてゴールドが手に入らなかったりする。

敵が弱いとおもしろくないと思うかもしれないけど、敵が減ってからシナリオクリアする間に「いかにうまくカードを使って経験値を稼ぐか」「残り少ないラウンドでいかに戦利品を集めるのか」「残り少ない手札で回収や経験値稼ぎとシナリオクリアをいかに両立させるのか」等々考えるのは、思った以上に楽しかったりする。皆でゴールド回収に夢中になっていると、残っている敵に思わぬ攻撃をくらったり、手札が足りなくなってクリアできないまま疲弊状態になったりする。敵との戦いというより、欲との戦いみたいになって、それはそれで面白い。もちろん、あんまりにも敵が弱いと萎えるのだけど、EASY 設定くらいでいけばそこまで敵も弱くなく、油断するとさっくりやられるので緊張感も保てると思う。

というわけで、MML 的には EASY プレイをお勧めしておく。もちろん、マゾいプレイが好きという諸氏には、その限りではない。

パーティ構成について

初期のシナリオでは Brute か Tinkerer のいずれかのクラスがいると、プレイが安定する感じがする。いずれも、他のキャラとの連携をあまり考えず単独で動くことができて、必殺技みたいなのをもっていて、敵を倒すだけならそれほど難しくない。Brute と組ませるなら 2 人目は Spellweaver, Mindthief あたり、Tinkerer と組むなら 2人目は Cragheart か Scoundrel がいいような気がする。もちろん、Brute + Tinkerer ならかなり安定する感じ。

MMLでは 2 人のときは Brute + Tinkerer か Cragheart と Spellweaver の二人組でプレイし、3人プレイをするときは Scoundrel か Mindtheif を追加, 4人のときは残りのクラスから追加、という感じにしていることが多い。

まさかの時のボードゲーム Gloomhaven [4] キャンペーンゲーム

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このゲームは、キャンペーンとしてプレイすることが前提になっている。キャンペーンは複数のシナリオで構成されており、ひとつのシナリオをクリアすると次の(いくつかの)シナリオがアンロックされ、プレイできるようになる。また、シナリオで得た経験値や報酬を使って、自分自身を強化することもできる。そして、シナリオをクリアしていくうちに、新たなクラスをプレイできるようになったり、Gloomhaven の街自体が発展して新たなアイテムを購入できるようになったりする。

キャンペーンにはメインのストーリーラインがあり、それを追っていくことで「メインストーリーをクリアした」という状態にたどり付くことはできる。しかし、それ以外のサブストーリーが無数にある上に、繰り返し遊べる「ランダムダンジョン」という要素もあるので、実質的にキャンペーンゲームには終わりはない。シナリオブックにあるシナリオだけでも 95 もあり、これらをクリアするだけでも年単位のプレイ時間がかかることは間違いない。

これは Gloomhaven の街(右上)と、その周辺の地域のマップである。

シナリオをクリアしたら、クリアしたシナリオのシールをマップに貼っていく。たとえば、最初のシナリオ Black Barrow をクリアしたら、マップ上に 1 と描かれた場所にシールを貼る。次の Barrow Lair をクリアしたら、すぐ横にある 2 のところにシールを貼る…といった感じである。そうやってシナリオをクリアしていくと、だんだんとマップの上にシールが増えていくというわけだ。

ある程度まとまったシナリオ群をクリアすると「業績(アチーブメント)」を獲得できる。業績を獲得することで、アンロックされるシナリオもある。獲得した業績は、対応するバナーのシールがあるので、それをマップの上の部分に貼っていく。キャンペーンが進めば進むほど、この業績のシールも増えていくことになる。

シナリオをクリアすることで、Gloomhaven の街自体が発展することもある。発展の度合いは、マップの下にあるゲージで表現される。街が発展すると、より高いレベルのアイテムを購入できるようになったり、クラスチェンジしたときの初期レベルを 2 以上から始められたりする。

こうやって、マップをどんどん埋めていくこと自体が、究極的なキャンペーンゲームの目的(というより楽しみ)であると言えよう。

ちなみに、壮大なキャンペーンゲームをプレイしている時間がないという人のために、カジュアルプレイというシナリオ単体を個別に遊ぶ方法や、インスタンスダンジョン(ランダムに生成できるダンジョン)を遊ぶ方法も用意されている。さらに、多人数でプレイできない人のために、ソロプレイのシナリオも用意されている。しかもそれはオマケ程度のものではなく、本格的なソロ用シナリオが大量に用意されており、まったく手抜きがない。用意されているコンテンツのボリュームがあまりにも膨大で、まさに無限に遊べるゲームといっても過言ではないだろう。

クラスの選択とキャラクタの作成

キャンペーンゲームをプレイするには、まずプレイヤーが各自使用するキャラクタのクラスを選択して、パーティを組む必要がある。初めて Gloomhaven の街を訪れたときは、初期の 6 つのクラス (Brute, Tinkerer, Spellweaver, Scoundrel, Cragheart, Mindthief) から一つを選ぶ。2人以上のプレイヤーが、同じクラスをプレイすることはできない。

  • Brute: 防御力や HP が高く、近接攻撃を得意とする。攻撃のダメージは高め。シンプルなアクションが多く、状態異常や回復や移動などは苦手。
  • Spellweaver: 遠隔攻撃を得意とする。防御力や HP は低めで、エレメンタルを使って追加の効果を得る能力をもつ。
  • Tinkerer: 遠隔攻撃、範囲攻撃、回復を得意とする。召還もできる。手札が多く行動に自由度が高い。一方で攻撃力自体は低め。
  • Scoundrel: 忍者的なクラス。攻撃方法に若干癖がある。罠の解除、宝の回収、不可視化などの能力を持つ。
  • Cragheart: 遠隔攻撃が得意とし、防御力や HP も高い。基本ダメージは若干低いが、エレメンタルの使用で能力を底上げできる。
  • Mindtheif: 純粋な攻撃は得意ではないが、状態異常や支援能力、隠密行動に優れる。HP は少なめ。

クラスを決めたら、対応するクラスのキャラクターシートに、キャラクターの名前を書く。名前は完全にロールプレイのためだけに使う。最初の時点ではレベルは 1 なので、レベル 1 のところに印をつけておく。初期ゴールドとして 30 ゴールドを受けとり、受け取ったゴールドシートの上に記録しておく。印刷できるシートの pdf は、下記から入手できる。

キャラクターシートの pdf

それから「ゲームの概要」でも説明したように、レベル1のアビリティカードの束と、クラス用の5つのトークン、フィギュア、キャラクターマットを受けとる。これらは、一連のキャンペーンゲームを続ける間は、基本的にひとりのプレイヤーが使い続けることになる。

しかし、キャンペーンのプレイ中にずっと同じクラスを使い続けるというわけではない。キャラクターには「引退」というイベントがある。引退したキャラクターは、以後のシナリオには参加できなくなる。キャラクターが引退してしまった時は、プレイヤーは新しくアンロックされたクラスをプレイすることになる。その場合、キャラクターは初期状態から始まることになるが、街の発展度合いによってレベル 2 以上の状態から始めることができたりする。また、アンロックされた(最初からは使えない)クラスは、初期のクラスより強力なアビリティを持っていたりするので、極端に弱い状態からプレイしなおし、みたいなことにはならないようになっている。

引退の条件は、キャラクターを作ったときに引く「個人クエストカード」に書かれている(ことがある)。個人クエストカードには、プレイヤーが個人的にクリアすべき条件が書かれている。その条件はそれほど簡単ではなく、シナリオを多数クリアしていくことで、クリアできるような内容になっている。条件をクリアしたとき、そこに「Open Box」と書かれていたときは、現在プレイ中のキャラクタは「引退」し、新たに開いたボックスの中のクラスのキャラクターを新たに作成し、以後のキャンペーンはそのキャラクタでプレイすることになる。

条件を満たしたことによる「引退」は強制なので、キャラクタに愛着がわいてどうしても引退したくない場合ば、条件を満たさないようにプレイすることになる。とはいえ、キャラクターのレベルには上限もあるし、新たなクラスには新たな魅力もあるので、パーソナルクエストのクリアを目指してクラスチェンジすべきなのか、同じキャラクタをプレイし続けるのか、その判断はなかなかに悩ましい。

ちなみに、キャンペーンを進めている途中から、新たなプレイヤーが新規にキャラクターを作って参加することもできる。その場合でも、Gloomhaven の街が発展していれば、レベル 2 よりも高い状態から始めることができるし、アイテムのレベル1の街よりも良いものが買えたりするので、新たに参加したプレイヤーが一人だけ弱くて足手まといになる、みたいなことが起こりにくい。

パーティ

このゲームでは、基本的にパーティ単位で行動する。パーティは複数のキャラクタで構成する必要があり、パーティを結成したらシートにパーティの名前と所属するキャラクタの名前を書いておく。ひとつのパーティに所属できるキャラクタ数にルール上の上限はないが、同じクラスのキャラクタがひとつのパーティに所属することはできないため、事実上の上限はある。

パーティはシナリオクリアや、イベントカードの効果によって「評判」が上がったり、下がったりすることがある。評判が良いパーティは、街でアイテムを買うときに安価に買えたり、街でのイベントで有利な条件を選択できたりと、いろいろと特典がある。逆に評判の悪いパーティは、アイテムを高く買わされたり、イベントで不利な内容を実行させられたりする。

なお、パーティに 5 人以上のメンバーがいても、シナリオは 4 人までしか同時にプレイできない。そのため、5人以上のメンバーがいるパーティでは、どのメンバーがシナリオに参加するのかを、シナリオごとに決める必要がある。シナリオによって、参加するメンバーが交代することは問題ない。

ちなみにパーティシートについては、印刷して使えるシートを作って BGG で公開している人がいる。見た目もオリジナルのものより格好いいし、シナリオ間の関連情報が書いてあって便利だし、記入欄が実用的な上に、pdf を直接編集することもできてたりして、ものすごく便利なものになっている。

オリジナルのパーティーシート (BGG)

キャンペーンプレイの流れ

キャラクターとパーティがセットアップできたら、キャンペーンゲームをプレイできる。キャンペーンでは、おおむね以下のルーチンを繰り返すことになる。

  1. 以下は街にいるときに実行する (順番は問わない)。
    • City Event カードを1枚ひいて、内容を解決する。
    • アイテムの売買をする(したければ)。
    • レベルアップする(可能なら)。
    • 「チェック」を使った強化をする。
  2. プレイするシナリオを決める。
  3. シナリオの場所が今いる場所から離れていれば、Road Event カードを1枚ひいて、内容を解決する。
  4. シナリオをプレイする。
  5. シナリオをクリアしたなら、報酬を獲得する。またバトルゴールカードの内容を達成したプレイヤーは、その報酬も獲得する。
  6. シナリオが終了したら除去されるカードを、デッキなどから取り除く。
  7. 街に戻るか、次のシナリオをプレイするかを選択する。街ではない場所のシナリオをプレイする場合は 2 の手順に飛ぶ。街に戻る場合は 1 の処理に飛ぶ。

あまり厳密ではないけど、だいたいこんな感じの手順になる。

City Event カードを引く

パーティは、どのような理由であれ Gloomhaven を訪ずれたら、そのたびに City Event デッキからカードを1枚引いて、そこに書いてあることを実行してもよい(パーティ全体で1枚だけ引く!)。

写真の上の列のカードは表面で、下の列のカードは裏面を映している(若干ネタバレになるので、あえてテキストの内容は読まないほうがいいかも)。だいたいの場合、カードの表面のテキストに A, B の二つの選択肢があり、パーティでいずれかの選択肢を選んでから裏面を見る。裏面には、A を選択した場合と B を選択した場合の、それぞれのイベントの「結末」が書かれているので、それらの内容を実行する。

選択の「結果」によって、パーティの評判が増減したり、いくらかのゴールドを手に入れたり、何らかの「業績」を獲得したりする。ちなみに、City Event のカードを引くかどうかは「任意」であり、気がむかなければ引かなくてもいい。ただし、City Event は良い結果になることが多いので、引ける機会にはできるだけ引いたほうが良い気がする。

アイテムの売買

アイテムカードはアビリティカードとは別に、ラウンド中にいろいろなアクションを実行できるカードで、所持しているゴールドを使って街で売買することができる。シナリオのプレイ中に、宝箱などから入手できることもある。アイテムは装備できる部位が決まっていて、キャラクターは基本的に各部位には 1 つずつのアイテムしか装備できない。アイテムの機能は、移動力を上げるもの、攻撃力を上げるもの、HP を回復するもの、特殊なアクションを行なうものなど様々である。

街で買えるアイテムは、街の発展度によって異なる。上のアイテムカードは、街の発展度が 1 のときに買えるカードである。最初にキャンペーンを始めた時点では、キャラクターはレベル 1 の Gloomhaven の街にいて、30 ゴールドを初期ゴールドとして持っているので、これらのカードの中から 30 ゴールド分のアイテムを買うことができる。

シナリオにアイテムを持ち込む(装備する)かどうかは、プレイヤーがシナリオの開始前に選択できる。ただし、アイテムカードを 1 枚装備するたびに、攻撃修整デッキに “-1” カードを追加するというペナルティがある。そのため、大量にアイテムカードを装備してシナリオを始めると、修整デッキに大量に “-1” のカードが追加されることになる。アイテムによっては、装備することで -1 カードを 2 枚追加しなければならないものもあるため、どのアイテムを装備するかは多少考える必要がある。

なお、キャラクタ間でアイテムを受け渡すことはできない。また、アイテムを売買できるのは、キャラクタが街にいるときだけである。

アイテムの売買とは直接関係はないが、キャラクターは街に来たときに 10 ゴールドを寄進することで、次のシナリオで 2 枚の BLESS 付きの x2 攻撃修整カードを二枚、攻撃修整デッキに入れることができる。これらのカードは、シナリオが終了したらデッキから除去する。

レベルアップ

街にいるときに、シナリオのプレイ中に得た経験値を使って、キャラクタをレベルアップさせることができる。レベルアップすると、新たなアビリティカードを使えるようになったり、攻撃修整デッキのカードをよりプレイヤーに有利なものに交換したりできるようになる。また、シナリオ開始時の初期 HP も増加する。

レベルアップしたときに得られる特典については、それぞれのキャラクタ用のシートに書かれている。

「チェック」を使った強化

シナリオをプレイするときにプレイヤーが受けとる「バトルゴールカード」に書かれた条件をクリアすると、シナリオ終了時に「チェックマーク」を受けとることがある。この、受けとったチェックマークを使って、キャラクターを強化することができる。

キャラクターシートの右の中段に、Notes という欄があり、そこに□が三つずつ並んでいる。バトルゴールカードの報酬でチェックマークをひとつ受けとったら、ここの□にチェックを書きこむ。チェックが三つ集まったら、それらのチェックマークを消費して、Notes の上の欄のひとつにチェックマークを「ひとつ」付けることができる。そのチェックを付けることで、キャラクターの能力が強化される。

たとえば、上の写真のキャラクターの Perks 欄のシートの一番上のチェックマークを付けると「修整デッキから -1 のカードを二枚除去する」という能力を得る。この能力を得たあとは、シナリオで攻撃修整デッキを作るときに、そこから -1 の修整カードを2枚取り除いた状態でプレイすることができるようになる。

チェックマークを集めることで、どんどん攻撃修整デッキが自分に有利なものになり、結果的に戦闘を有利に進めることができる。なお、このチェックマークによる強化は、レベルアップの時にもできることがある。

この他にも、アビリティカードの強化という要素もあるけど、長くなるので説明は省略する。

プレイするシナリオの決定

パーティで相談して、次にプレイするシナリオを決める。ただし、自由に選択できるわけではなくて、シナリオごとにプレイするための「条件」が設定されており、シナリオブックの該当するページの左上の Requirements のところにその条件が書かれている。また「場所のアンロック」という要素があり、基本的にはシナリオクリアによって「アンロック」されている場所のシナリオしかプレイできない。ロケーションは、シナリオ番号のすぐ左に書かれている。

たとえば、シナリオ番号 1 (ロケーション G-10) の Black Barrows は Requirements に None とあるので、業績については何の条件もなくプレイできる。

ロケーションのアンロックについても、シナリオブックの冒頭で(上の写真) G-10 のロケーションがアンロックされているため、このシナリオはプレイ可能ということになる。

これに対してシナリオ番号 2 (G-11) の Barrow Lair の Requirements には First Steps (Party) COMPLETE と書かれている。これは “First Steps” の業績を獲得したパーティでないとプレイできないことを意味している。First Steps は、シナリオ 1 の Black Barrows をクリアすることで(パーティが)獲得できる (シナリオ 1 の右側の Party Archivement に書かれている)。つまり、シナリオ 1 をクリアしたパーティだけが、シナリオ 2 をプレイする条件になっている。

また、ロケーションについてもシナリオ 1 の New Locations の項目に G-11 とあり、シナリオ 1 をクリアすることで G-11 のロケーションがアンロックされる。このため、いずれにしてもシナリオ 1 をクリアしていなければ、シナリオ 2 はプレイできないことになる。

シナリオ番号 3 の Inox Encampment の Requirements には、The Merchant Flees (Global) INCOPLETE と書かれている。これは、キャンペーンゲーム全体で The Marchant Flees という業績が未達成であるときに限り、いずれのパーティもプレイできることを意味している。ゲームを開始した直後は、どの業績も未達成の状態になので、つまりこのシナリオはゲーム開始直後でも業績の条件はクリアしていることになる。。

一方でロケーションについては、G-3 のロケーションをアンロックするシナリオ (シナリオ 2) を先にクリアしておく必要がある。そのため、業績の条件は問題ないとしても、シナリオ 2 をクリアしないと、このシナリオはプレイできないことになる。このようなアンロックの縛りがあるため、基本的にはシナリオはある程度順番に進める必要があるようになっている。

プレイするシナリオを決定したら、シナリオブックに従ってシナリオのマップタイルの組立や、モンスター、宝箱などの配置をする。

シナリオの準備

シナリオの準備は、基本的にシナリオブックの記述に従って行なう。どのシナリオの準備でも、だいたい次のような作業を行なう。

  • 指定されたマップタイルを見つけて、指定された形に並べる。
  • 指定されたモンスタータイプのアビリティデッキを作る。
  • モンスターのデータシートを用意し、シナリオレベルにあわせてモンスターのレベルを決める(スリーブに入れる)。
  • パーティの人数に合わせて、モンスターのフィギュアを配置する。
  • 宝箱や障害物、ドアなどのタイルを置く。
  • その他、シナリオに記述があれば、それに従う。

これらとは別に、キャラクター側の準備と、マーカー類の準備、エレメンタル影響テーブルを配置する。

たとえば、シナリオ番号 1 の Black Barrow の場合は、マップタイル L1a, G1b, I1b の三つを組合せて、シナリオに描かれた絵と同じ状態に組みあわせる。タイルは表裏があるので、間違えないようにする。

次に、シナリオで指定されているモンスターのアビリティデッキ、データシートの用意をする。このシナリオでは、Bandit Guard、Bandit Archer、Living Bones の三種類のモンスターを使うので、これらのモンスターのアビリティデッキとデータシートを箱から取りだす。

次にシナリオレベルを決める。シナリオレベルは、パーティのキャラクターの平均レベルと、パーティが選択した「難易度」で決まる。前者は自動的に計算されるが、後者のほうはパーティが難易度を「易しい」「通常」「困難」「非常に困難」の四段階から選べる。より高い難易度を選ぶことで、クリア時の報酬が増加するという特典があるが、それだけ敵が強くなってクリアは困難になる。

シナリオレベルの計算は、パーティの平均レベルに上の難易度表に書かれた数値を加える(減じる)ことで計算される。たとえば、ゲームを始めたばかりの平均レベル 1 のパーティで、難易度「通常」を選んだ場合は、シナリオレベルは 1/2 + 0 = 1 (0.5の端数切り上げ) になる。なお、シナリオレベルの上限は 7 で下限は 0 である。

シナリオレベルが決まったら、それに応じてモンスターのレベルや報酬へのボーナスなどが決まる。モンスターのレベルが決まったら、そのレベルの部分以外を隠すように、データシートにスリーブを付ける。

たとえば、シナリオレベル 1 の場合は上の表によるとモンスターのレベルは 1 になるので、1 のところが表示されるようにスリーブを付ける。アビリティデッキは、モンスターごとに分かるように置いておく。

モンスター共通の攻撃修整デッキを 20 枚の攻撃修整カード(上の写真は 1 と書いてあるけど、実際にはカードに M と書いてあるものを使う)で作成し、分かりやすい場所に置いておく。

マップにモンスターを配置するときは、シナリオのマップに書かれているモンスターの絵の周囲にある、パーティの人数にあわせて、白、黄色、黒のマークを見て配置をする。

モンスターの周囲に描かれた色は、黒が「配置しない」、白が「ノーマルを配置」、黄色が「エリートを配置」を意味する。そして、左上の色は「パーティが2人のときの配置条件」、右上の色は「パーティが3人のときの配置条件」、下の色は「パーティが4人のときの配置条件」を意味する。

たとえば、シナリオのマップの図が上のようなとき、2人のときのモンスターの配置条件は、左から順に配置しない(黒)、配置しない(黒)、ノーマルを配置(白)、エリートを配置(黄)、ノーマルを配置(白)、配置しない(黒)、配置しない(黒)となって、つまり 3 体の Bandit Guard (1体はエリート)を配置する。

実際に配置するとこのようになる。同様に、三人のときは、左から順にノーマルを配置(白)、ノーマルを配置(白)、ノーマルを配置(白)、配置しない(黒)、ノーマルを配置(白)、ノーマルを配置(白)、ノーマルを配置(白)、となりノーマルを6体配置する。

なお、このマップではドアが2つあって、部屋が 3 つに分けらている。このような場合は、モンスターは最初の部屋だけに配置する。次の部屋のモンスターは、次の部屋へ続くドアをあけた時に配置する。

モンスターを配置したら、ドアなどの障害物や机、罠などのタイルを置いてマップは完成になる。なお、キャラクター側のプレイエリアの準備も、これらとは別に行なう。

Road Event カードを引く

もし、シナリオを開始する場所がいまパーティがいる場所から離れているなら、シナリオの開始前にパーティで Road Event カードを 1 枚引いて、その内容を解決する。このイベントは、パーティが街道を移動している途中に起こる、さまざまなイベントを表している。

なお、Road Event カードを引くのは「強制」である。都市カードと違って、引かないという選択はできない。

Road Event カードは、City Event カードと同じように表面にイベントが書かれており、A か B かを選択するか、何らかの条件に従って A、B のいずれとなるかを決める。その後に、裏面を見て選択した項目に書かれた内容を実行する。City Event とは違って、Road Event の結果はシナリオのプレイが有利になったり不利になったりするような内容が多い。

シナリオをプレイする

ここまでの処理を行なって、ようやくシナリオ本体をプレイする。プレイ方法については、前の記事の「ラウンドのプレイ」で書いたので、ここでは割愛する。

シナリオ終了時の処理

シナリオが終了したら、その成否にかかわらずシナリオ中に拾った現金トークンを集計する。現金トークンは、シナリオレベルによる修正値を乗じた値をゴールドとして受けとる。その他、使用したアイテムカードを元に戻したり、HP を MAX まで回復させたり、デッキ類を元の状態に戻したりする。

シナリオをクリアしたときは、シナリオブックに書かれた報酬を獲得できる。また、シナリオをクリアしていて、なおかつバトルゴールカードの条件を満たしたプレイヤーは、その報酬も獲得する。シナリオクリアの経験値ボーナスも貰える。なお、シナリオのクリアは「パーティ」単位で判定されるので、自分のキャラクタがシナリオの途中で「退場」させられても、他のパーティメンバーがシナリオをクリアすれば、退場させられたキャラクタも(パーティとして)「クリア」したことになる。

シナリオによっては、クリア時に業績を獲得することもある。業績を獲得したら、パーティシートにその業績を書きこんでおく。業績が増えると、新たなシナリオが「アンロック」されてプレイできるようになる。

街に戻るかシナリオを続けるか決める

パーティは、シナリオを終了した時点で街に戻るか、次のシナリオに進むかを決める。街に戻る場合は、また City Event カードを引くところから始める。次のシナリオに進む場合は、そのシナリオが今のシナリオと「リンク」されているときは、すぐにそのイベントを始めることができる。そうでない場合(次のシナリオがマップ上で離れている場合)は、Road Event カードを引くところから始める。

例えば、シナリオ 1 は右上に「リンク」しているシナリオとして、シナリオ 2 が書かれている。シナリオ 1 の終了後に、すぐシナリオ 2 をプレイするときは、シナリオが「リンク」しているので、Road Event カードは引かない。これはつまり、今いる場所のすぐ近くで次のシナリオが始まるから、旅のイベントが発生しないということである。しかし、街に戻ったりシナリオ 2 以外を始めるときは、街のイベントが発生したり、旅のイベントが発生するということである。

ランダムダンジョン

シナリオの合間に、ランダムに生成したダンジョンを攻略することもできる。ランダムダンジョンは、キャンペーンの進行には影響しないけど、プレイすることで経験値やゴールドを稼ぐことができる。

ランダムダンジョンは、ランダムにマップカードとモンスターカードを引いて、それらの組合せでダンジョンを作る。上の列のカードがダンジョンカードで、下の列がモンスターカードである。ダンジョンカードのマップ上に数字が書かれており、その数字のところにモンスターカードに書かれているモンスターを配置することで、ダンジョンを生成できる。シナリオレベルによってモンスターの強さは変えることができるし、クリア時の経験値ボーナスなどもシナリオレベルに応じて変化する(ランダムダンジョンのクリア条件は常に「敵の全滅」である)。

実際問題として、このランダムダンジョンだけでも無限に遊べてしまう。とりあえず、このゲームのシナリオを一度プレイしてみたいというときは、このランダムダンジョンをプレイしてみるのもいいかもしれない。

なお、キャンペーンの合間にランダムダンジョンに行くときは、Road Event カードや City Event カードは引かない。これらのカードは、キャンペーンゲームのシナリオをプレイするときにだけ引く。

まとめ

かなり長くなってしまったけど、キャンペーンゲームはだいたいこんな感じで進んでいく。シナリオをひとつ進めるだけでも、準備を含めると 2-3 時間くらいはかかるので、全てをクリアしようとすると途方もない時間がかかることは間違いない。まだまだ説明していない要素も沢山あり、ゲームの奥深さは半端ない。まさしく、一生遊べそうなゲームだと思う。

おまけ

ちなみに少しプレイした感じでは、少なくとも 3 人以上でプレイしたほうが楽しめる気がする。2 人だと、エレメンタルなどのプレイヤー間での連携が必要な要素の一部が、あまりうまく働かない感じがする (レベルが上がれば解決するのかもしれないけど)。どうしても 2 人でプレイする場合でも、2 人のキャラクタを 1 人で操作するなどして、3 キャラクターにしたほうがいいかもしれない。

パーティの構成については、ひとりは固いキャラ(初期キャラなら Brute か Cragheart)を入れたほうが、シナリオを楽に進められる気がする。固いキャラなしでプレイするなら、シナリオの難易度を落としてみる(Easyにするなど)といいかもしれない。


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