まさかの時のボードゲーム: Warhammer Quest Adventure Card Game (1) ゲームの概要

このゲームはファンタジー RPG 風の協力型カードゲームで、複数のプレイヤーで協力していろいろな場所を探索したり、モンスターを倒したりしてクエストのクリアを目指すカードゲームである。プレイヤーは、ヒーローごとに用意された「アクションカード」とダイスを使って、クエウトで指定された場所を探索したり、モンスターを倒したり、他のヒーローの行動を支援する。そして、規定のラウンド以内に目的地に到達したり、指定されたモンスター(ボス)を倒すことができたら、クエストクリア(プレイヤーの勝利)となる。

w1-1

ゲームのシステムとしては、同社の Lord of the Ring LCG によく似ている。ただし、デッキ構築要素がないことと、戦闘や探索などのアクションにダイスを使うことから、LotR とはプレイ感はかなり異なっている。ゲームの雰囲気としては、 LotR LCG とディセントのいいところ取りしたという感じ。

ちなみに、フィギュアとボードを使って遊ぶゲームだった Warhammer Quest とは、ルールの互換性などはない。元ゲームの世界観を取りいれた、新しい協力型のカードゲームとしてデザインされているようだ。このため Warhammer Quest を知らなくても、ゲームをプレイをする上で特に支障はない。

なお、2016年5月にホビージャパンから日本語版が発売されている(はず)。

ゲームの概要

このゲームはラウンド制で、各プレイヤーが順番に手番を実行していく。プレイヤー毎にラウンドをプレイするのではなく、ラウンドの各フェイズをプレイヤーが順番に実行するという方法をとる。

w1-2

ゲームの盤面は、このような感じになる。これはヒーロー2人(Warrior, WIzard)を使ってプレイするときのもので、ヒーローを操作するプレイヤーは1人でも2人でも良い。手札がないことから、それぞれのヒーローのすべての情報は、どのプレイヤーでも見ることができる。

w1-3

右上のカードがヒーローを示すカードで、カードの右下に HP が書かれている。HP を超えるダメージ(Wounds)を受けると、ヒーローは倒れてしまう(ゲームから取り除かれる)。

ヒーローカードの手前に並んだカードは「アクションカード」と呼ばれ、「戦闘」「探索」「休息」「支援」の 4 種類がある。プレイヤーは、これらのカードを使ってモンスターとの戦闘を行なったり、森や城などの場所を「探索」したり、他のヒーローの行動を支援することができる。このアクションカードは、使うためにタップ(Exausted)する必要がある。しかし、タップされたカードが自動的にアンタップされることはない。アンタップする別のアクションを使うか、何らかの効果でアンタップされない限り、一度タップされたアクションカードは使えなくなる。

w1-4

これが「クエストカード」で、表面にはクエスト独自のルール、クエストのクリア条件、進行状態の管理方法などが書かれており、裏面にはゲームのセットアップの方法と、クエストクリアの報酬などが書かれている。ゲームを始める前に、クエストカードに従ってセットアップを行なう。たとえば、この Lost in the Dark というクエストの勝利条件は「すべてのロケーションを踏破すること」と書かれている。踏破については次回以降の記事で説明する。

w1-5

クエストでは、ロケーションデッキとエネミーデッキという二つのデッキを使用する。上の左側がロケーションデッキで、右側がエネミーデッキになる。ロケーションデッキは、ヒーローが探索すべき場所(ロケーション)を示すカードが含まれている。このデッキからカードをめくることで、新たなロケーションにヒーローたちが訪れたことになる。

w1-6

ロケーションカードには、そのロケーションを訪れたときに起こることが書かれている。左下にある数字は、そのロケーションで出現するモンスターの数を示している。このカードをめくったときは、エネミーデッキの上から指定された枚数のカードを取って場に出す。赤い数字は「表向きに」出す数を意味し、黒い数字は「裏向き」に出す数字を意味している。

この Sewer System というロケーションカードの場合、赤が 1、黒が 3 なので、表向きにカードを1枚めくり、3枚は裏向きのまま場の中央に置く。表向きにされたエネミー(敵)カードは、優先権をもつプレイヤーから順番に「接敵」したことになる。

w1-7

実際にエネミーカードをめくった状態は、こんな感じになる。左下の表向きのエネミーカードは、左側のヒーローに「接敵」している。遭遇した敵はキャラクタと戦うことになるけど、それは別の記事で説明する予定。

w1-6

ロケーションカードの右下に書かれた数字は、このロケーションを「踏破」するために必要な探索ポイントを示している。ヒーローがアクションとして「探索」を選ぶと、ダイスを振った結果に従って、探索ポイントを得ることができる。ヒーローが得た探索ポイントがこの数字以上になったとき、ロケーションは「踏破」されたことになり、場から除去される。その後、新たなロケーションカードをめくって、別のロケーションを探索していく。

ただし、ロケーションカードをめくったときに出現するモンスターが、ヒーローの「探索」を妨害してくる。モンスターを倒したり、モンスターの行動を阻害するなどしつつ、ロケーションの探索を目指すというのが、このゲームの大きな流れになっている。


・・・という感じなんだけど、実際プレイするとすぐ分かるように、

  • Learn to Play には書かれていない細かいルールが多く、ルールブックを隅々まで読む必要がある (Learn to Play だけ読んでもシナリオは正しくプレイできない)。
  • カードテキストがゲームに大きな影響をもっている反面、カードテキストをどのように処理していいかが分かりにくい (カードテキストの記述が曖昧なのよね)。
  • わずかなルールの解釈間違いがゲームバランスを大きくかえる (やたら簡単になったり、やたら難しくなったりする)。

という感じになっている。かなり面白いゲームだと思うんだけど、プレイ方法がよくわからなかったり、ルール解釈が間違っていてグダグダな展開になって面白さが伝わらないのは残念なので、以下の記事でルールとプレイ方法について説明してみる。


なお、以下の記事は MML 会員向けに執筆されたものを、誰かの役にたつかもしれないので一般向けにも公開していますが、何らかの理由で予告なく閉鎖、またはアクセス制限をかけることがあります。また、内容の誤りを発見されましたら、コメント欄でつっこんでいただけましたら幸いです。


まさかの時のボードゲーム: Star Realms (7) 拡張セット

2016年3月時点で、下記の 7 種類の拡張セットが販売されている。Crisis のセットについては、パックごとに Crisis XX のように名前がついてはいるけど、内容的にはそれぞれのパック間に直接の関係はなく、個別にパックを購入して遊ぶことができる。

なお、Kickstarter のプロモーションカードだった Merc Cruiser は、Gambits 拡張セットに 3 枚含まれている。

  • Gambits
  • Crisis: Bases and Battlesships
  • Crisis: Heros
  • Crisis: Events
  • Crisis: Fleets and Fortresses
  • Cosmic Gambits
  • Colony Wars

単独で遊べるボックスセットの Colony Wars については、別の記事でカードの内容を紹介しているので、ここでの説明は省略する。それ以外のセットについて、順に説明する。

Gambits

このセットには、Trade Deck に混ぜて使うのカードではなく、プレイ開始時にプレイヤーにあらかじめ配って使うタイプのカード (Gambit カード) と、Promo カードである中立陣営の Merc Cruiser というカード、およびソロプレイ/協力プレイ用のルールカードが入っている。

Gambit カードは、各プレイヤーにあらかじめ裏向きに1-3枚程度配っておく。最初のラウンドの開始時にカードを表向きにし、以降はそのカードが効果を発揮する。Gambits のカードを使う枚数に特に規定はないので、何枚配ってもいい。プレイヤー間に実力差がある場合に、ハンデとして強い側のプレイヤーの取る枚数を減らす方法もある。

ちなみに、初版の Gambit カードは base と同様の「横向き」カードだったけど、現在発売されているこのセットのカードは、Ship と同様の「縦向き」のカードになっている。

ソロプレイ用および協力プレイ用の追加ルールカードとしては、2種類のカード (Nemesis Beast / Pirates of the Dark Star) が入っている。

r6-1

このカードでソロプレイをする場合、ゲームのセッティング自体は通常通り行ない、プレイヤー側のプレイとしては、通常と同様に行なう(多少の変更はあり)。相手側のターンになったら、Trade Deck の上から一枚めくる。そのカードがどの陣営(faction)のカードだったかによって、起こることがかわる。

たとえば、緑の陣営だった場合はルールカードの緑の蘭の記述通り、「めくったカードのコストの3倍のダメージをプレイヤーが受ける」という処理をする。赤いカードなら「交易所にあるコストが最大のカードの2倍のダメージをプレイヤーが受け、交易所のカードをすべて Scrap する」という処理をする。

指示された処理が終わったあとは、交易所のカードの一番左のカードを Scrap し、残りのカードを一枚ずつ Exlorer 側に移動させる(交易所にカードがない場合は、この処理はしない)。そして、めくったカードを Trade Deck の隣りの空いたスペースに置く。

ダメージを受けるとき、プレイヤーの場に Outpost や Base があるときは、耐久力が一番高いものから順に攻撃を受ける。Base があるときは、それが Outpost でなくても、優先的に攻撃を受ける。

ディスカードの能力を使ったときは、代わりに「プレイヤーは即座に1枚ドローし、1枚捨札にする」という操作をする。また Base を破壊できる能力を使ったときは、代わりに 3 攻撃ポイントを得る。

こうしてゲームを進めていき、ルールカードの右上に書かれている権威ポイント分だけ、相手にダメージを与えたらプレイヤーの勝利となり、先にプレイヤーの権威ポイントが 0 以下になったら、プレイヤーの敗北になる。

協力プレイカードについても、ほぼ同様にしてプレイできる。

実際にプレイしてみると、だいたい運ゲーな感じにはなるんだけど、腕が上がればそれなりに安定して勝てるようにはなる。

Crisis: Bases and Battlesships

このセットには、Base Set の Trade Deck にそのまま追加できる Base と Ship カードが、各色ごとに Base 1 種、Ship 1 種が入っている。これらのカードは、Core Set のカードと同様に、通常の Base や Ship カードとして使用できる。

Crisis: Heros

このセットには、Hero という Trade Deck に混ぜて使うことができる、新しいタイプのカードが入っている。Hero には属性(faction)がなく、また通常能力がついていない。その代わりに、Hero カードは交易所から購入したあとに、捨札ではなく直接自分の場に出すことができる。Scrap 能力を使うことで、一度だけ特定の陣営のカードとして機能し、他のカードの ally 能力を使うことができるようになる。

Hero カードの Scrap 能力が使われず捨札になったときは、Base や Ship のカードと同様に、プレイヤーのデッキに混ぜて使うことになる。

Crisis: Events

このセットには、Event という Trade Deck に混ぜて使うことができる、新しいタイプのカードが入っている。Event カードは、交易所に置かれたときにただちに効果を発揮する。

Event カードの効果が終了したらそのカードを Scrap し、Trade Deck から新たにカードを補充する。プレイヤーのデッキに Event カードが入ることはない。

Crisis: Fleets and Fortresses

このセットには Bases and Battleships のセットと同様に、Tarde Deck に混ぜて使うことができる、新しい Base カードと Ship カードが含まれている。各陣営ごとに Base 1 種類と Ship 1 種類が含まれている。

比較的軽めの Ship カードと、重めの Base カードが入っている。

Colony Wars

Base Set がなくても、これ単独で遊べる大型の拡張セットである。ルールブックや、点数のカードや Scout、Viper などのカードも入っている。もちろん、Base Set に混ぜて使うこともできる。

このセットについては別の記事をどうぞ。

Cosmic Gambits

新たな Gambit カード 13 枚と、Secret Outpost という Trade Deck に混ぜて使える Base カードが含まれている。Gambit カードの使い方は、Gambits セットのカードと同じである。

r6-2

まさかの時のボードゲーム: Star Realms (6) Colony Wars のカード2

以下では、Colony Wars の 6-8 コストのカードについて、MML 的見解を述べる。

Colony Wors の 6-8 コストのカードは、Base Set に比べると強さが拮抗しており、おおむね同じコストのカードであれば同じくらいの強さになっている。一方で、カード単体での強さは Base Set に比べるとやや控え目になった。どちらかというと、他とのカードのシナジー(ally能力など)で強さを発揮するよう調整されたようだ。


r5-1

ドロー付き8ダメージカード。普通に強い。おまけ能力として 、このカードを取得したときに黄色のカードをプレイしていれば、捨札ではなく手札に入れられる能力がついている。終盤、デッキが空になるまでに時間があっても、この能力で手札に入れば即戦力にできる。

r5-2

毎ターン自分はカードを引け、相手にはディスカードさせるという、かなりの嫌がらせができる Outpost。耐久力も 6 と高いので、中盤に取れるとなかなかのアドバンテージを稼げる。

r5-3

手札2枚を、それぞれ2ダメージか2交易力に変換できる。Recycle Center の手札交換能力に比べると弱いけど、中盤以降にデッキに残ってる Scout や Viper を攻撃力や交易力に変換できるのはうれしい。Ally 能力のドローが使えれば非常に強力になる。

r5-6

毎ターン2枚ずつデッキ圧縮できる Outpost。ドローできる Brain World に比べるとかなりパワーは落ちているけど、それでも2枚も圧縮できる能力は捨て難い。赤いカードが揃えば、かなり強力なダメージ源になる。

r5-7

デッキ圧縮能力つき6ダメージ。ally 能力でドローできるようになれば、非常に強力になる。

r5-9

ドロー付き 8 ダメージ。7 コストカードでは、おそらく最強のカード。ally 能力はおまけに近い。

r5-10

ドロー、base 破壊能力つき 9 ダメージ。Command Ship を緑色にして、能力をやや調整して弱くしたような感じ。ドローが1枚にはなったけど、Colony Wars のカードの中では最強クラス。

r5-12

6 コスト以下のカードを取得するか、6 ダメージかを選べる。5 コストカードの中では、おそらく最も汎用性が高い。上のほうのカードがなければ、これを取っておきたいところ。

r5-11

6ダメージ、6 HP獲得で 12 HP差がつくカード。Flagship の調整版。無条件ドローがなくなったのは痛いが、12HP差のアドバンテージは侮れない。青いカードを揃えたいところ。

r5-13

毎ターン 3 交渉力を得つつ、獲得したカードをダイレクトに手札に入れられるようにする Outpost。単体での強さはそれほどでもないが、ドローカードがデッキに増えると、獲得したカードを次々と場に出せるようになるため、非常に強力になる。


次の記事へ