MTG カード与太話: タルキール龍紀伝より「忘れられた運命」「享楽者の宝物庫」


忘れられた運命/Fate Forgotten

供犠台の光/Altar’s Light の完全な上位互換。12 年経過して 1 マナ軽くなった。それでも、いにしえの 解呪/Disenchant に比べると 1 マナ重い。ただ、破壊から追放になった能力アップに相当するコストが、2 マナから 1 マナに減ったと思えば、適正なところに戻ってきたという感じかも。存在の破棄/Revoke Existence よりは 1 マナ重いけど、ソーサリーとインスタントの差が 1 マナと思えば、これも納得できる範囲という気もする。フラッシュバック付きの ねじれの光/Ray of Distortion と比べても 1 マナ少なくなっていて、フラッシュバック分だけ軽くなっているとも考えられる。

・・・というか、こうして見ると 供犠台の光/Altar’s Light のコストだけが、他に比べて(結果的に)高かったと言うべきだろう。この供犠台の光/Altar’s Light が出た当時は、エンチャントやアーティファクトを破壊する白の役割分担が変更されて間も無い頃のことで、コスト調整は手探りだった時代だった。白が解呪を失なって以来、この手のカードの能力とコスト調整がずっと行なわれてきたわけだけど、十数年を経た今になってついに収束したともいえる。「忘れたらた運命」とは、白が失なった解呪能力のことだったんだよ(注1: なんだってー)。地味ながら、高い歴史的意義があるカードと言えよう(注2: 使用者の感想です。効果には個人差があります)。


享楽者の宝物庫/Hedonist’s Trove

相手の墓地に落ちてるカードを使い放題にするというエンチャント。呪文はともかく、土地まで使えるようにするというのは珍しい。精神的な介入/Psychic Intrusion のように、土地でないカードを使えるようにするカードはあるけど、土地までプレイできるカードはなかった。今の環境なら、土地破壊とかしなくてもフェッチランドが墓地に結構な数落ちてそうだし、無駄になることはないよね。黒だし、手札破壊と組合せて墓地に落としまくってから使えば、効果が高そう。

・・・とはいっても所詮は相手の墓地なので、ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will のようなわけにはいかないよね。ミラーマッチで、墓地対策 + α みたいな感じで使うのかなー。(注: ちなみに自分墓地の土地なら、世界のるつぼ/Crucible of Worlds で使うことができる。)

MTG カード与太話: タルキール龍紀伝より「凶暴な熱口」「遮る霊気」


凶暴な熱口/Savage Ventmaw

繰り返しマナも出せるクリーチャーはいくらでもいるけど、固定で 6 マナも出せるものはこれしかないらしい。不定量のマナ出せるクリーチャーの中には、斧折りの守護者/Axebane Guardian とか ヘイラバズのドルイド/Harabaz Druid のように、条件を満たせば 6 マナ以上出せるものもいる。でも、条件によらずに 6 マナも常に出せるのは、このドラゴンだけのようだ。

マナを出すには攻撃するだけよく、しかもマナをターン終了時まで持ちこせるというのは、なかなかのサービスぶり。X 呪文でトドメをさすもよし、アタルカを呼び出してオーバーキルもよしという感じ。自分で攻撃すると返り討ちにあうかもしれないので、欠片の双子/Splinter Twin みたいなので、コピーを出して攻撃すれば完璧か(そこまでするかは謎)。ただ、自身のコストも 6 マナと重いので、どうやって戦場に出すかが悩ましいところ。そこさえ解決できれば、この豪快な能力を何かに使ってみたい感じがする。


遮る霊気/Obscuring AEther

夢彫り刀/Dream Chisel を緑色にしてエンチャントにしたら、自分で裏向きの 2/2 クリーチャーになる能力がついた。さすがに、自分で裏向きになれるエンチャントは、今のところこれしかない。とはいっても、裏を向いてしまうと1番目の能力は消えてしまうので、裏向けにすると 3 マナで 2/2 にしたのとあまり変わらない。しかも表はクリーチャーではないので、普通には表に戻ることができない。エンチャント破壊を免れるために裏を向く、みたいな変なことはできるにしても、戻れないのではあまり意味がない気もする。

3 枚並べれば裏向きクリーチャーを無料で出し放題にはなるけど、表に向けるコストは安くならないんだよね。うーん、これはどうしたらいいのかな。表がクリーチャーなら、何か使い方があるような気もするんだけど・・・これは、なかなか使いどころが難しそう。

MTG カード与太話: タルキール龍紀伝より「狩猟の統率者、スーラク」「ウギンの末裔」


狩猟の統率者、スーラク/Surrak, the Hunt Caller

色数、マナコスト、能力、レアリティなど、すべてにおいて一回り小さいスーラク君。昇進後(?)の 6/6 にくらべると、5/4 とサイズは少し小さい。このあと、熊を倒して 6/6 にパワーアップしたのか、6/6 になってから熊を倒して青氏ね氏ね団長「龍の爪」になったのか、どっちなのかは謎。

とりあえず (2)(緑)(緑) で 5/4 というサイズも最近ではそう珍しくなく、同じマナコストで 5/5 の 死橋の大巨虫/Deadbridge Goliath とか 世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater とかがいる。自身のパワーが 5 もあることを思えば、出した時にはだいたい速攻をつけられるとしても、このマナコストでこのスペックはどうだろう。伝説なので、1枚しか置けないのも気になる。はたして、リミテッド以外の活躍の場があるだろうか。


ウギンの末裔/Scion of Ugin

10 枚目の「末裔」(scion) カード。といっても、末裔という名前で何かシリーズがあるというわけでもない。「末裔」は、何かのシリーズ物の一種として登場するカードか、自然や概念などが具現化したもの(アバターとかエレメンタルとか)のいずれかであることが多いようだ。たとえばウーナの末裔/Scion of Oona妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Faeのシリーズカードのひとつで、カードの能力もウーナ(フェアリー)に関連している。一方で氷河の末裔/Scion of Glaciers闇の末裔/Scion of Darknessは後者のカードになっている。

このカードは前者のカードなわけだけど、精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragonからは「無色かつアーティファクトでも土地でもないドラゴン」という、他にない属性を受け継いでいるところは興味深い。エルドラージでもアーティファクトでも土地でもないクリーチャーで、無色のクリーチャーというのはこれまでに存在しなかった。能力的にもウギンとも関連していて、ウギンの1番目の能力をくらっても破壊されず、2番目の能力を X=10 とかでくらっても追放されない、というデザインはおもしろい。ウギンの目/Eye of Uginでサーチもできるけど、コスト削減効果が適用されないのは残念。「アーティファクトでも土地でもない無色のクリーチャー」というような表記だったらよかったのにね。

無色で 6 マナ 4/4 飛行という能力は新しくなく、過去に 黄金造りの歩哨/Gold-Forged Sentinelルーメングリッドのガーゴイル/Lumengrid Gargoyleといったのがいる。ただ、アーティファクトではないという点が、これらのカードに比べてメリットでもあり、デメリットにもなっている。この特性は、はたしてどう評価されるのだろうか。とにもかくにも唯一のカードで、後日とんでもない使い方が発生する可能性もあるし、長い目で見守ってみたい。