MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「神秘の痕跡」「頭巾被りのハイドラ」


神秘の痕跡/Trail of Mystery

山火事のようにしか見えないけど、神秘の痕跡らしい。このカード、絵も効果も一見地味っぽく見えるわりには、強そうなオーラを感じる。というか、普通に強くない? クリーチャーを連打してるだけで、土地を手札に補充しつつライブラリーを圧縮できて、しかも 2 マナと序盤から出せる軽さ。これだけでも使えそうなのに、おまけに変異で表向きにすると +2/+2 がついてくるとか、神秘にしてもかなりの出血サービスという気がする。そして、複数枚並べても腐らないという優秀さ。これは使うしかない。軽量or変異クリーチャーを並べたてながら土地を伸ばしていき、ファッティを出してトドメを刺すという緑らしいデッキが組めそう。

将来的にドライアドの東屋/Dryad Arbor生けるものの洞窟/Zoetic Cavernみたいな土地かつクリーチャーみたいなのが沢山追加されたら、探検/Explore迷える探求者、梓/Azusa, Lost but Seekingムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Dayaあたりと組ませて、じゃかじゃかクリーチャーを出しながら、どんどん土地を引くみたいなデッキが組めたらいいなあ(注1)。


頭巾被りのハイドラ/Hooded Hydra

ハイドラって MTG の世界では多数の首をもつ大蛇的な扱いという感じだけど、首を実際に蛇っぽくしてみると思った以上に違和感があるなーという、どうでもいいことに気がついたカード(注2)。というか、コブラっぽいエラがよくないのか。最初見たときに、一瞬キノコかと思ったくらい。しかものこのハイドラ、体が哺乳類というか象とか馬みたいな感じで、さらに違和感が高まっている。もちろん、過去にも蛇かつハイドラなんてカードは存在してない。むしろ、ハイドラは蛇じゃないよということを明言するために作られたカードだったりして。

カード的には、地割れ潜み/Chasm Skulkerを自分で最初からカウンターを置けるようにしつつ、変異で固定数のカウンターが載るようになった感じ。あとから強化はできなくなったけど、最初の時点で自由にカウンター数を選べるのは良い感じ。場面に応じて小さく出すこともできるし、裏向けておいて中盤に 5/5 に化けさすこともできる点で使い勝手はよさそう。1/1 トークンをばらまく能力は、死んだあとにそれぞれの首が分裂して蛇になるというイメージだよね。ハイドラならそういうのありそうなのに、意外にもこれまでには存在してなかった。イカと同じでいろいろなコンボのパーツとしてひっそり(?)活躍しそうな気はする。


  • (注1) そんな日がくるかは不明
  • (注2) この世でのヒドラ刺胞動物という分類らしい。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「内向きの目の賢者」「龍爪のスーラク」


内向きの目の賢者/Sage of the Inward Eye

ジンかつウィザード。意外にもこの組合せのクリーチャーは初めらしい。まあ、そもそもジン自体が魔法使いを兼ねるような存在でもあるので、わざわざウィザードと名乗る必要がない気もする。そういう意味では、ウィザードと明示したことに何か意味があるのかもしれない。また、ジンもウィザードも青に多い種族なので、青単色のクリーチャーとして存在してても良さそうなのに、なぜか多色にて初登場。能力的に見ても、絆魂あたりに白っぽさはあるものの、赤い要素はほとんどなかったりして、多色の意味がいまいちわからない。そもそも赤とその対抗色という組合せのはずなのに、赤っぽい要素が一番少ないというのはちょっと面白い。なお、絆魂を持ってたり与えられるジンというのはいないけど、ウィザードにはいくらかいる。そのあたりでウィザードっぽさを主張しているのだろうか。

過去の 3/4 飛行のクリーチャーで似ているものには稲妻の天使/Lightning Angelがいる。色が同じでコストはこれより 1 マナ少ないながら、飛行に加えて速攻と警戒を持っている。速攻と警戒よりも、条件付きながら自分のクリーチャーに絆魂を与える能力のほうが、1 マナ分強いと判断されているらしい。もうひとつ似たのに冷静な天使/Stoic Angelがいる。これは、色が1色違うもののコストが1少なくて、飛行に加えて警戒と、煙幕/Smokeのような能力を持っている。それでも 1 マナ少ないのは、アンタップを制限する能力がデメリットと判断されているぽい。一方でテューンの大天使/Archangel of Thune は 3/4 飛行に絆魂がつき、さらにライフを得るたびに +1/+1 カウンターを置ける能力がついて、ダブルシンボルながら 5 マナと同じコストに設定されている。神話レア補正にしても、これはなかなか強さに差がある感じ。修道院のガーゴイル/Abbey Gargoylesはトリプルシンボルで、3/4 飛行とプロテクション(赤)が付いていてレアリティは同じ。かなり昔のカードながら、これと比べたら(環境にもよるけど)こっちのほうが良い。なかなか、このあたりのバランスの調整がどうなっているのかは、興味がつきないところ。


龍爪のスーラク/Surrak Dragonclaw

何この強いの。青が発狂しそうな能力の詰め合せセットになっていて、これは使うしかない。自身がトランプル持てないのが玉に瑕だけど、それがほとんど誤差にしかならないような強さ。爪鳴らしの神秘家みたいなカードを使って 3-4 ターン目くらいに出たら、暴れられそうな感じ。同コストの 熊の仲間/Bear’s Companion との差が凄い。過去の同コストのクリーチャーには二つ反射のリクー/Riku of Two Reflectionsがいる。こちらも強力なカードではあるものの、色さえあれば入れといて問題なし的なスーラク君にくらべると、汎用性という面でかなり差がある感じがする(注1)。本体のサイズが 3 倍違うというのも何げに大きそう。これは何かデッキを考えるしかない。ブロック構築で・・・

ちなみに Dragon Claw というと、過去にドラゴンの爪/Dragon’s Clawというカードがあるけど、能力的に何も関係がなかった。せいぜい、ドラゴンの爪/Dragon’s Claw を出してからこれを唱えたら 1 ライフ得られる、という程度の関連性しかないくて残念。装備品なら、強引に装備させるギャグとかできたのに。名前のほうでも、Surrakar(サラカー)という種族がゼンディカーにいたけど、これは両生類っぽい生物な上に色も青黒だったりするのでスラーク君とは関係がないようだ(注2)。スペルは全然違うど、雰囲気的には最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Trollの、青シネシネ団的な系統に近い感じがする(注3)。ただし、スラーン君が自分だけを守る能力を持っているのに対して、スーラク君は自分以外のクリーチャーを守ったり強化できる点でかなり違っている。このあたりがティムールのリーダーになれた所以だろうか。


  • (注1) EDHのことは考慮してない。
  • (注2) サラカーの呪文刃/Surrakar Spellbladeのインスタント呪文かソーサリー呪文を唱えるたびに能力が誘発する部分は似てるとも言えなくもないけど、ほとんどこじつけよね。
  • (注3) スーラク君自身も青いのに・・・そのあたりで、呪禁がなかったりして青に対する甘さがあるのかも。

MTG カード与太話: タルキール覇王譚より「軍族の解体者」「熊の仲間」


軍族の解体者/Butcher of the Horde

まさかの白いデーモン。多色とはいえ、白いデーモンというのは初めてらしい。青いデーモンは、多色(黒入り)であれば 4 体ほど存在しているが、緑のデーモンは 1 体もいない。赤いデーモンは多色であれば沢山いるけど、赤単色のデーモンは野蛮な地の鬼/Oni of Wild Places血塗られしもの、死祭/Shimatsu the Bloodcloakedの二体だけ。そして、警戒を持つことができるデーモンも、これが初めてらしい。ちなみに速攻を持つデーモンはいくらかいるけど、絆魂を持つデーモンは他には グリセルブランド/Griselbrand しかいないようだ。こうして見ると、いろいろと規格外な部分が多く、なぜデーモンにされたのかはよくわからない。

カード的には 4 マナ 5/4 飛行と、素でもなかなかに強い。普通なら 3 色は辛いところだけど、このブロックではさほど苦労することなく出せそう。能力については、警戒はともかく、速攻も絆魂も使えそうな感じ。それほど繰替えし使う能力でもない上に、特に能力を使わなくても強いから、とりあえずフィニッシャーとして入れとけ的な感じでデッキに入てといても問題なさそう。マルドゥ色でデッキを組む場合には高確率でデッキに入って来ると思う。というか、デーモンのデはデメリットのデ、という時代が遠い昔になったもんですな・・・。


熊の仲間/Bear’s Companion

この世界で熊といえば 2/2 と決まってるのに、なぜか人間のほうが熊 (2/2) で、呼びだされる本体(?)の熊は 4/4 というおかしな状態になっている。4/4 の熊トークンなるものも初出だし(注1)、4/4 の熊クリーチャーというのも過去に存在してない。一番巨大な熊でも金色熊/Golden Bearの 4/3 が最大だった。これは、あきらかにこの世界のルールを破っている。という状況証拠から推測するに、実は、2/2 のほうは絵に描かれているクマに見えるほうで(実は人間が着ぐるみを着ている)、4/4 のほうが手前にいる「熊さん」という名前の人間に違いない。カードには、どっちが本体とも書いてないもんね。・・・ただ、熊トークンの絵がどうみてもやっぱり熊だけど、そのへんは気にしないということで・・・。

カード的には、5 マナで 2/2 と 4/4 が二体出るというもの。コストパフォーマンスそうは悪くないけど、本体もお供も除去耐性もなければ回避能力もなく、クリーチャータイプに大きなメリットがあるわけでもない(人間というのは多少有利なものの・・・)という、なかなか使いどころが悩ましい感じになっている。構築では出てこないよねえ。リミテッドでも色が合わないとなかなか出しにくいし、出しても突破力があんまり無いのでどうしたものかな、といったところ。戦場とどこかを往復すれば 4/4 トークンを量産できるけど、その仕掛けをわざわざ組むくらいなら他のカードを選びそう。赤や青が入ってる意味もあんまり無い感じ。今後、熊トークンが何かすごいことに化けるとかいうことでもない限り、しばらくは放置されてしまいそうな雰囲気はある。ただ、とりあえず何かのギャグのネタにはなりそうな気もするので、1枚くらいは手元に置いておきたい。


(注1) 従来の熊クリーチャートークンは 2/2 だった。