まさかの時のボードゲーム: Warhammer Quest Adventure Card Game (2) ラウンド構成と戦闘

このゲームのラウンドは、次の 4 つのフェイズで構成されている。

  1. Hero フェイズ: 各プレイヤーがアクションを実行する。
  2. Enamy フェイズ: 敵の行動を解決する。
  3. Location フェイズ: ロケーションカードの内容を解決する。
  4. Peril フェイズ: ターンエンド時に起こる効果を解決する。

各プレイヤーはヒーロー フェイズを順番に実行し、そのあとのフェイズはプレイヤーの人数によらず1回ずつ実行する。

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ヒーローフェイズで実行できるアクションとして、戦闘、探索、休息、支援の4つのアクションがある。プレイヤーは実行したいアクションカードをタップすることで、アクションを実行できる。実際にどのような効果が起こるのかは、それぞれのカードに書かれている。実行するアクションは自由に選べるわけではなく、アンタップ状態のアクションカードだけを使用できる

また、各キャラクタは何らかの敵と「接敵」していることが多い。接敵状態で敵を倒さないままアクションを実行すると、敵から攻撃を受けてしまう。つまり、接敵している状態で敵を倒さないまま他の行動をしていると、敵から殴られ続けることになる。そうしたことを考慮しつつ、どのアクションを選ぶかを決める必要がある。


戦闘アクション

各キャラクタは、自分と「接敵」している敵に「戦闘」のアクションを選ぶことで、攻撃を加えることができる。「接敵」している敵は、自分のヒーローのすぐ前に表向きに置いて、接敵していることが分かるようにする。このゲームでは、ヒーローカードの前の場所を「接敵ゾーン」と呼び、このゾーンに敵カードが置かれていたら、その敵とは「接敵している」ものとして扱う。

攻撃の手順は、だいたい以下のような感じでおこなう。「だいたい」というのは、ヒーローによって手順が異なっている(カードの書かれている)ためなんだけど、大筋の手順は共通しているということ。

まず、戦闘のアクションカードをタップして、攻撃することを示す。当然ながら、すでにカードがタップされているときは、戦闘のアクションは選べない。

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これが攻撃のアクションカード。ヒーローによって、書かれているテキストがかなり違っている。

次に、攻撃する対象の敵を選ぶ。ヒーローによって、対象に選べる敵の条件が違っていたりする。攻撃する敵は、1体だけしか選べないヒーローもいれば、複数の敵を攻撃対象にできるヒーローもいる。

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これが敵カード。左の青い菱形に書かれて数値が「攻撃値」で、右の赤いマークに書かれた数値が敵の Health (HP) を示している。

攻撃する敵を決めたら、攻撃カードに書かれている数の白ダイスと、接敵している敵と同数の黒のダイスを振る。「敵の攻撃値と同数の黒ダイス」ではなく、現在ヒーローが接敵しているアンタップ状態の敵の数と同数の黒ダイスを振るというところが間違いやすい(ていうか、この記事の記述も最初間違ってたし)。つまり、1体の敵と接敵している(そしてアンタップ状態)ならば、敵を2対攻撃したとしても黒ダイスは(敵の攻撃値にかかわらず)ひとつであり、ひとつも接敵していない状態であれば、何体の敵を同時に攻撃しようとも黒ダイスはひとつも振らなくていい。

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ダイスを振った結果、白いダイスで出た斧と火花のマークの数だけ「成功ポイント」を得る。火花のマークが出たときは、成功ポイントを1つ得た上に、そのダイスをもうひとつ振りなおす。振りなおしたときに、さらに火花マークがでたら、再度成功ポイントを1つ得た上でダイスを振りなおす。こうして、火花マークが出なくなるまで振りなおす。

次に、黒いダイスを見る。「爪痕」のマークがあるときは、敵のカードにかかれている「攻撃値」と同数のダメージを受ける。黒ダイスを複数振ったときは、「爪痕」がひとつのときは「一番攻撃値の高い敵の攻撃値」のダメージを受け、2つあるときは「一番攻撃値の高い敵の攻撃値+二番目に高い攻撃値を持つ敵の攻撃値」分のダメージを受ける、という感じになる。ダメージの処理をするとき、白ダイスの「盾」のマークの数だけ、受けるダメージを軽減することができる。

黒いダイスに「悪魔」(Nemesis)のマークがあるときは、シナリオカードに書かれた効果を適用する。当然ながら、だいたいはヒーローにとってよくないことが起きる。

最後に、白いダイスを振って得た「成功ポイント」の数に等しいダメージを、攻撃した敵に割当てる(割り当てたダメージの数の負傷トークンを、敵カードの上に置く)。複数の敵を攻撃したときは、プレイヤーが割り振り方を任意に決められる。

戦闘の結果、負傷トークンが敵カードの Health の値を上回った場合は、敵は「倒された(defeated)」ことになり、捨札にする。ヒーローカードに Health 値以上の負傷トークンが置かれてしまったら、ヒーローは倒されたことになり、ゲームから除去される。もしすべてのヒーローが倒されてしまったら、大抵の場合はシナリオに敗北したことになる。

・・・とまあ、かなりざっくりしているけど、戦闘についてはだいたいこんなかんじ。うん、読みなおしてみたけど、かなり抽象的でわかりにくいね。というわけで、仕方ないので例を挙げて説明してみる。


戦闘の例

というわけで、実際に戦闘の例をあげて説明してみる。

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上のように、プレイヤーがヒーローの Warrior Priest を担当していて、今 Gaiant Wol という敵に「接敵」しているとする。このような状態で、Warrior Priest のプレイヤーのターンがまわってきたものとする。

まず、プレイヤーはアクションとして「攻撃」を選ぶ。このとき、自分の「攻撃カード」をタップ(横向きに)する。もしこのとき、攻撃カードがすでにタップ状態であれば、このラウンドに攻撃を選ぶことはできない。

次に、攻撃カードに書かれている項目(効果)を上から順番に実行していく。Warrior の「戦闘」のアクションカード (Righteous Fury) の場合は、以下のように書かれている。

  1. (追加で) 1 体の敵に接敵してもよい。
  2. 通常攻撃: 白ダイスx2。このアクションの前に、他のアクションカード1枚をタップすることで、追加の敵 1 体を攻撃対象とするとともに、成功ポイント 1 を得てもよい。

1番目の効果は、場に出ている任意の敵カードを1枚選んで、それに新たに「接敵」している状態にしてもよい、という効果である。「通常攻撃」を行なう場合、接敵していない敵を攻撃することはできない。つまり、このヒーローはどの敵にも接敵していない状態では攻撃ができない。ただし、その場合でも最初の効果を適用することで、敵を攻撃できる状態にすることができる、ということ。上のケースではすでに1体の敵に接敵しているので、この敵を「通常攻撃」することはできる。

なお、すでに 1 体以上の敵に接敵している場合でも、新たな敵を選んでそれを「接敵」状態にするとができる。このヒーローは、2番目の効果で同時に2体の敵に攻撃ができるので、2体以上接敵している状態にすることにも意味はある。ただし今回の戦闘の例では、新たな敵には接敵しないことを選んだものとする。ここまでで、1番目の効果の処理はおしまい。

1番目の効果の処理を終えたら、2番目の効果の処理をする。この、2番目の通常攻撃(ロール)の処理を行なう前に、攻撃する対象の敵を1体選ぶ。このとき「他のアクションカードを1枚タップすることで、攻撃する対象の敵をひとつ追加し、なおかつ成功ポイント1を(無条件で)得る。」という効果を適用して、2体目の敵を選んでもいい(選ばなくてもいい)。なお、今回の戦闘では、このヒーローは1体しか接敵していないので、敵を追加する効果は適用できない。

敵の選択をしたあと、実際に攻撃ダイスを振る。白ダイスは、攻撃カードに書かれているとおり2つ使用し、接敵しているアンタップ状態の敵の数は1体なので、黒ダイスをひとつ振る。

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ダイスを振ったところ、火花が1つ、盾が1つ、爪痕が1つという結果となった。クリティカルヒットを示す火花の目が出たので、「成功トークン」をひとつ受けとって「成功ポイントを1つ持っている」という状態を記憶しつつ、このダイスを再度振る。

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この結果、今度は斧マーク2つがある目が出た。これにより、成功ポイントが合計 3 つとなり、敵にあたえられるダメージの総数は 3 となった。ただし、敵にダメージを与えるまえに、敵からのダメージを受ける処理をする。

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黒ダイスの目は「爪痕」なので、敵の「攻撃値」である 2 に相当するダメージを受ける。ここで、白ダイスに「盾」の目がひとつあるため、受けるダメージは1 点軽減できる。その結果、ヒーローが受けるダメージは 1 点となり、負傷トークンひとつをヒーローの上に置く。

この後に、敵にダメージを与える処理をする。成功ポイントは 3 なので、敵に与えるダメージは 3 となる。負傷トークンを Giant Wolf に置くが、この敵の Health は 3 なので、敵は「倒された(Defeated)」状態となり捨札にする。


こんな感じで、戦闘のルールは結構ややこしい上に、カードの記述も曖昧なところがあり、どのように解釈するかはが結構難しい。MMLでは、公式 FAQ の記述や BGG 等のサイトで議論された内容に基づいて上記のように解釈しているけど、あくまで MML 的見解にすぎないので、間違っている可能性もある。

5月末6月に発売延期された日本語版のルールブックで、もう少し丁寧な説明が追記されてたらいいなあ・・・(遠い目)。

次の記事では、戦闘以外のアクションについて簡単に説明する予定。


まさかの時のボードゲーム Arcadia Quest (5) 休憩・トークン・ヒーロー

休憩

プレイヤーは、自分のターンにヒーローを動かす代わりに休憩することで、「攻撃カードなどをすべて未使用の状態に戻す」「ヒーローへの攻撃カードなどの割り当てを変更する」「Exploration トークンをヒーロー間で移動する」「倒されたヒーローをボードに戻す」という操作ができる。

休憩したときは、自分のギルドボードの上にある、すべてのギルドトークンを取り除く。これにより、すべての「使用済み」カードは「未使用」の状態に戻る。

次に、トークンやカード類をヒーローの間で自由に移動させる。これは、したくなければしなくてもいい。ただし、クエストトークンとデストークン、および「デスカース」のカードは、移動することができない。

最後に、倒された(ヒーローカードの上にフィギュアが載っている)ヒーローを、シナリオで指定された初期マスに置くか、ボード上にいる自分のヒーローに隣接するように置く。復活させたヒーローの負傷トークンは、すべて取り除いておく。

探査トークン(Exploration Token)

ボード上にある ? マークが書かれたトークンのことで、ヒーローがそのトークンのあるマスに移動すると、それを拾うことができる。拾うのに移動力などを消費することはないし、そのマスを通過するだけでも拾うことができる。

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拾ったらマーカーをめくって表を確認する。トークンは、アイテムのように使えるものと、持っていることで何らかの恩恵のあるものがある。罠以外のトークンだったときは、拾ったヒーローのカードの上に置いておく。

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このトークンを使うと、今のターンのあとに再度このヒーローが行動できる(他のヒーローを行動させるために使うことはできない)。このトークンはいつでも好きなときに使える。使ったらトークンは捨てる(共通のストックに戻す)。

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このトークンを使うと、使ったヒーローの負傷トークンと、デスカースのカードを全て捨てる。このトークンは戦闘の途中でなければいつでも使え、使ったらトークンを捨てる。

p_refresh

このトークンを使うと、使ったヒーローに割当てられているギルドトークンをすべて取り除いて、未使用の状態に戻すことができる。ヒーローカードに置かれたギルドトークンも取り除ける。このトークンはいつでも使え、使ったらトークンを捨てる。

p_trap

このトークンは罠トークンで、拾ってしまったヒーローは即座に負傷トークンをひとつ受けとる。そして、このトークンは捨てる。

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このトークンは、拾ったときには何もおこらない。シナリオ終了時にこのトークンを持っていたら、トークンに書かれている数字と同じ数のコインをもらえる。

なお、ヒーローが拾ったトークンは、「休憩」したときに自分のヒーローの間で自由に探査トークンを移動させることができる。

ヒーローが倒されてしまうと、ヒーローの持っているトークンは、すべて倒されたマスに置く。他のヒーローがそのマスに来ることで、それらを拾うことができる。倒されたヒーローがいるときに、他のヒーローがそのマスにいたときは、そのヒーローが自動的にすべてのトークンを拾う。

クエストトークン

赤、青、橙、緑の四種類の丸いトークンのこと。クエストで、これらを集めるよう指示されることがある。トークンは、シナリオによって裏向きに置かれている(どれがクエストトークンか分からない)こともあれば、最初から表向きに置かれていることもある。

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これらも、探査トークンと同様にヒーローが拾うことができるし、倒されたら倒されたマスに落としてしまう。ただし、クエストトークンは「休憩」しても、他のヒーローに渡すことはできない。

ヒーローカード

Arcadia Quest の最初のセットには、12人のヒーローが収録されている。

wisp

Wisp:
このヒーローは、移動してもガードリアクションが発生しない。攻撃によるガードリアクションは発生する。攻撃さえしなければ、モンスターの間をすいすいと歩いてまわれる。トークン集めなどをするには便利。

hobsbawm

Hobsbawn:
Magic 属性をもつ攻撃カードを使い、なおかつそのターンに自分が動いていない場合に限り、このヒーローから視線が通っている、他の自分のヒーロー1体をアクティベートできる。ターンを2連続で実行できる感じになるので、うまく使えば他プレイヤーのヒーローを一方的に倒したりできる。

johan

Johan:
近接攻撃カードを、あたかも遠隔攻撃であるかのように使える。つまり、隣接していない敵でも、視線が通っている敵であれば近接攻撃カードを使って攻撃できる。ただし、ダイスの目は剣のマークが出たときに「ダメージ+1」と判定する。近接攻撃は、遠隔攻撃よりダメージが高めなものが多いので、それを遠隔武器のように使えるのはなかなか強い。

greensleeves

Greensleeves:
Bow 属性を持つ攻撃カードを使って、クリティカルの目が出たときは、その目ごとに追加で「ダメージ+1」する。うまくはまると、爆発的なダメージを与えられたりする。

maya

Maya:
Magic 属性の攻撃カードは、ギルドトークンが2個になるまで使える。つまり、ギルドトークンが1つ載って「使用済み」になっているカードでも、そのままの状態でさらにもう1回使える。このヒーローに魔法カードを複数割当てておけば、休憩しないでかなり長い間攻撃し続けられるようになる。

kanga

Kanga:
攻撃カードにギルドトークンを載せて「使用済み」にするときには、かわりに自分に負傷トークンをひとつのせてもいい。つまり、攻撃カードを使うときに自分に負傷トークンを載せれば、その攻撃カードを「使用済み」の状態にしなくてもいいということ。自分の体力がもつかぎり、休みなく攻撃し続けられる。

seth

Seth:
Magic 属性のカードで攻撃すると、防御側のキャラクタは防御ダイスをひとつも振ることができない。ボスモンスターや、他のヒーローを攻撃するときに、なかなか有効な能力。

zazu

Zazu:
攻撃対象のキャラクタに、このヒーロー以外の(攻撃対象のキャラクタから見て)敵のキャラクタが隣接しているときは、このヒーローで攻撃するときに、攻撃カードにギルドトークンは載せない。イメージ的には、誰か他の敵と対峙しているキャラを、横から攻撃する(側面攻撃する)ときには攻撃カードを消費しないですむ、といった感じ。

grom

Grom:
自分に負傷トークンが載っているときは、すべてのロール時のダイスをひとつ追加する。ダメージを受けているときに強くなるタイプのヒーロー。

scarlet

Scalet:
攻撃対象のキャラクタに、このヒーロー以外の敵のキャラクタが隣接しているときは、このヒーローで攻撃するときに、攻撃ダイスをひとつ追加する。Zazu と似ているけど、こちらは側面から攻撃するときにはダイスが増える。

spike

Spike:
防御ロールのときにクリティカルが出たら、攻撃側のキャラクタにその目の分だけダメージを与える。反撃能力のあるヒーロー。防御ダイスを増やすカードをたくさん割当てたい。

diva

Diva:
基本セットでは唯一、特殊能力をもたないヒーロー。そのかわり、防御ダイスが最初から 4 つと、かなり硬い。


これでルールは 95% くらい説明したはず。あとはシナリオ終了後のアップグレードくらいかな。次の記事では、プレイ例の説明をする予定。

まさかの時のボードゲーム Arcadia Quest (4) 攻撃に対するリアクション

このゲームでは、ヒーローが攻撃することによって、モンスターが反撃行動をする。この行動が少し特殊で間違いやすいため、詳しく説明する。その他、戦闘に関しての「報酬」や「モンスターの復活」についても触れる。

攻撃により誘発する攻撃(ガードリアクション)

ヒーローが攻撃を行なったとき、攻撃対象となったモンスター(または味方ではないヒーロー)が、攻撃を実行したヒーローに隣接していなかったときは、ヒーローに隣接している他のモンスター全てが、攻撃を実行したヒーローを攻撃する。これを、攻撃で誘発するガードリアクションという。

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たとえば上のような状態で、ヒーローが2マス離れたオークを遠隔攻撃したとする。このとき、攻撃したヒーローに隣接するゴブリン2体は、ガードリアクションを誘発してヒーローを攻撃する。これは、ヒーローが攻撃した対象が、ヒーローに隣接していないキャラクタであって、なおかつ攻撃を実行したヒーローには、隣接しているモンスターがいるためである。

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一方で、同じ状況で下にいるゴブリンを近接攻撃したとする。このときは、上にいるゴブリンのガードリアクションは誘発しない。なぜなら、ヒーローが攻撃したのはヒーローに隣接したモンスターだからである。攻撃したモンスターと別のモンスターがヒーローに隣接していたとしても、攻撃対象のモンスターがヒーローに「隣接」していさえすれば、ガードリアクションは発生しない。このルールは、ちょっとややこしい。

なお、このガードリアクションによる攻撃は、ヒーローの攻撃が解決したあとで発生する。複数のモンスターのガードリアクションを誘発した場合は、どのモンスターから順に攻撃するかは、ヒーローを操作しているプレイヤーの「右隣りのプレイヤー」が決める。

攻撃したモンスターからの反撃(ペイバックリアクション)

ヒーローが攻撃したモンスターは、ヒーローの攻撃が解決したあとで、ヒーローを攻撃できる。この攻撃の「前」に、モンスターカードの中段左(ピンクのアイコン)に書かれた「移動力」の分だけ、モンスターは移動することができる。この、モンスターからの反撃のことをペイバックリアクションという。

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ここで、「攻撃できる」とか「移動できる」という不思議な表現になっているのは、実際に移動したり攻撃するかは、攻撃を実行したヒーローの「右隣りのプレイヤー」が決めることができるからである。つまり、もし「右隣りのプレイヤー」がモンスターで攻撃しないと決めたら、攻撃したヒーローはモンスターから反撃を受けずに済む。

ただしこのゲームでは、自分の操作するヒーローではない(他のプレイヤーの)ヒーローが何らかの理由で倒されると、自分は1コイン貰えるというルールがある。そのため、できるだけ自分以外のヒーローは倒しておきたい。つまり、モンスターで他プレイヤーのヒーローを攻撃できるなら、しないにこしたことはない。・・・という感じになるので、モンスターを攻撃したヒーローは、だいたいの場合(右隣りのプレイヤーの操作する)モンスターから反撃を受けることになる。

モンスターで反撃する場合、それを操作するプレイヤーは、モンスターを都合のいいマスまで移動させることができる。ただし、あくまでモンスターの持つ移動ポイントの範囲でしか動かせないし、ヒーローの移動と全く同じルールのもとで移動する必要がある。

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たとえば、上の状態で青のヒーローがすぐ左にいるモンスターを攻撃したとする。そして、モンスターの攻撃を担当するのが、黄色のヒーローを操作しているプレイヤーだとしよう。このとき、ペイバックリアクションで反撃するとき、モンスターは攻撃してきたヒーローに隣接しているので、そのままでも攻撃させられる。しかし、モンスターをヒーローのいるマスに移動させてから、モンスターに攻撃させたほうが、黄色のプレイヤーとしてはお得である。なぜなら、このモンスターを移動させてしまえば、その左にいる自分のヒーローが次に移動するときに、そのモンスターからのガードリアクションを受けずにすむからである。

このように、モンスターの移動はあくまで「右隣りのプレイヤー」の都合のよいように実行してよい。仮にモンスターを移動させることで、攻撃してきたヒーローを攻撃できなくなってしまってもいい(その場合は、もちろんヒーローを攻撃できない)。移動だけして攻撃しなくてもいいし、モンスターを移動も攻撃もさせたくなければ、何もしなくてもいい。ただし、移動させるなら必ず攻撃する前に行なう。攻撃してから移動させることはできない。

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ペイバックリアクションでモンスターに攻撃させるときは、必ず攻撃してきたヒーローを」攻撃の対象にしなければならない。攻撃してきたヒーローを対象にしない限り、他のヒーローを攻撃することはできない。ただし、攻撃してきたヒーローを対象にしさえすれば、モンスターの能力を使って他のヒーローを攻撃するようなことは可能である。

たとえば、上の写真の中央にいるボスオークは「隣接するすべてのヒーローを攻撃する」という能力を持っている。ここで、右の青いヒーローがこれを攻撃したときは、ペイバックリアクションで左にいる黄色のヒーローまで反撃を受けてしまう。

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そこで、黄色プレイヤーはこのようにボスオークを移動させてから、攻撃させることにする。そうすれば、黄色ヒーローはまきこまれず、青のヒーローだけを攻撃させることができる。ただし、攻撃させるときは必ず最初に攻撃してきたヒーローが攻撃対象になるようにしなけばならない。もし、攻撃してきたヒーローに隣接しない場所にボスオークを移動させてしまうと、他に隣接したヒーローがいたとしても、ボスオークは誰も攻撃できない。

・・・とまあ、なかなかややこしいけど、自分が攻撃を仕掛けたモンスターは、自分の右にいるプレイヤーが好きに操作して自分のヒーローを攻撃してくる、というように認識しておけば良い。もちろん、左隣りのプレイヤーが攻撃したモンスターは、自分が好きなように動かして攻撃させられる。

オーバーキル

モンスターを攻撃したとき、モンスターの HP 以上のダメージを与えたら、モンスターを倒すことができる。しかし、たとえ HP 以上のダメージを受けていたとしても、モンスターは倒れる前にペイバックリアクションを実行できる。その後で、はじめてモンスターはボード上から除去される。ここはちょっと間違いやすいところ。

モンスターを倒したとき、オーバーキルアイコン(左上の白いアイコン)に書かれた数字以上のダメージを一度に与えたときは、このペイバックリアクションが発生しない。モンスターはただちにボード上から除去される。

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たとえば、この右のモンスターの場合、一度の戦闘で 3 ダメージ以上与えたときは、ヒーローは反撃を受けない。しかし、2 以下のダメージで倒したときは、ヒーローは反撃を受けるかもしれない。モンスターに最初から 1 の負傷トークンがあり、その上で 2 ダメージ与えて倒したときは、オーバーキルにはならない。この場合は、モンスターから反撃を受ける可能性がある。オーバーキルの判定は、あくまで一度の戦闘で与えたダメージの量で行なわれる。

討伐の報酬

モンスターを倒したら、倒したヒーローを操るプレイヤーは、モンスターカードに書かれている枚数のコインを貰える。このとき、最後にダメージを与えたヒーローだけがコインを貰える。倒されたモンスターは「墓場」ボードで、空いている一番数字の小さいスペースに置かれる。もし墓場ボードがいっぱいだったときは、モンスターは箱に戻す(二度とこのシナリオではボードに出てこない)。

この方法で得られるコインは、キャンペーンで連続してシナリオをプレイするときに、シナリオの合間にカードをアップグレードするときに使う。シナリオのプレイ中には、獲得したコインを使うことはないし、勝利点に数えられるようなこともない。

他プレイヤーのヒーローを倒したときは、倒してヒーローを操るプレイヤーが 1 コインもらう。他プレイヤーのヒーローがモンスターの攻撃などで倒されたときは、そのプレイヤー以外のすべてのプレイヤーが 1 コインずつもらう。ヒーローが倒されたきは、そのヒーローの上にデストークンを1つ追加する。

Villain というタイプのモンスター(ボス)は特殊で、倒されたときにはダメージを与えたヒーローすべてが、モンスターカードに書かれた枚数のコインを受けとる。ヒーローが Villain モンスターにダメージを与えたときは、モンスターのカードの上に自分のギルドトークンを置き、報酬をもらうときの目印にする。

ただしモンスターを「倒した」のは、最後にダメージを与えたヒーローということになる。そのため、Villain モンスターを倒すクエストでは、最後にダメージを与えたヒーローだけが、クエストをクリアしたことになる。

モンスターの復活

モンスターが倒されたら「墓場」ボードの上の、一番数字が少なくてあいてるマスに置かれる。そして、次のプレイヤーのターンの開始時に、復活するかどうかを判定する。もし墓地に置くスペースがなかったら、そのモンスターは箱に戻す(二度とそのシナリオでは復活しない)。

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墓場にいる戦闘のモンスターから順に、黒ダイスを二つずつ降って復活判定をする、出た目と、ボード上にある「復活トークン」の目の組合せを比べ、同じ目の組合せのトークンがあったときは、そのモンスターをそのマスに置く。

もし、ダイスの出た目に一致する組合せのトークンがなかったら、そのモンスターは箱に戻す。また、対応するトークンのあるマスが「満員」(2体のキャラクターがいる状態)だったときも、同様に箱に戻す。


ここまでで、ルールの重要なところはほぼ書いた気がする。次回は「休憩」についてと、多少こまかいところをいくつか書いてみる予定。