まさかの時のボードゲーム: Star Realms (3) プレイ例1

実際のプレイ例を使って、プレイ方法について解説してみる。

ターン1: 先手

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先手だけ、最初のターンは3枚の手札で始める。先手プレーヤーは、これらのカードをすべてプレイすることで、交易ポイント3を得ることにした。得られたポイントは「交易ポイントプール」に貯まり、そのターンの間であればプール内のポイントは、いつでもあるだけ使うことができる。

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まず、プールに貯めた交易ポイントのうちの1ポイントを使って、コストが 1 の Federation Shuttles を購入することにした。

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購入したカードは、交易所から取って自分の捨札にする。

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そのあと、すぐに交易デッキの一番上からカードをめくって、空いた場所にカードを補充する。何らかの理由で交易所からカードが1枚取り除かれたら、その直後に必ずカードを補充する。

さて、この時点でまだプールには2ポイントの交易ポイントが残っている。そこで先手プレイヤーは、補充されたカードを見た上で、コスト2の Trade Pod を買うことにした。

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購入したカードは、先と同様に自分の捨札にする。

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そして、空いた場所には交易デッキからカードを補充する。何が出るかはお楽しみ。

この時点で、プールの交易ポイントがなくなった。カードもすべてプレイしてしまって他に何もできないので、ターンを終わることにする。

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プレイしたカードは、この時点で初めて捨札にする。

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最後にデッキからカードを5枚引いて手札にする。カードは裏向けになっているけど、もちろんカードの表を見てもいい。

これで先手の最初のターンは終わり。


ターン2: 後手

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続いて後手のターンになる。後手は最初のターンでも手札5枚ではじめる。手札から Scout を 4 枚、Viper を 1 枚プレイして、4交易ポイントと1攻撃ポイントを得た。攻撃ポイントも、攻撃ポイントプールに貯められて、そのターンの間なら自由に使うことができる。

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後手プレイヤーは、4交易ポイントを使ってコスト4の Freighter というカードを購入した。交易所から購入したカードを自分の捨札置き場に置き、空いたところには交易デッキからカードを補充する、というのは先に買いたとおり。

これで交易ポイントはなくなってしまったけど、まだ攻撃ポイントが残っている。このポイントを使って、相手を攻撃することにした。

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攻撃を受けた相手(先手プレーヤー)は、自分の権威ポイント(HP)を1減らす。ここでは、1点のカードを抜きだして横向けにおいているけど、カードの置きかたとか HP の表示の仕方は、わかりやすければ何でもいい(多分)。

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ここで交易ポイントも攻撃ポイントもなくなり、プレイできるカードもないので、後手はターンを終了することにした。プレイしたカードをすべて捨札にして、デッキから5枚のカードをひく。

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最初のデッキにはカードが10枚しかないので、これでデッキは空になった。

・・・という感じで、あんまり動きがないけど、序盤のうちはこんなにふうに淡々と進んでいく。

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まさかの時のボードゲーム: Star Realms (2) カードの能力

前の記事に出てきた、Federation Shuttles のカードを例にして、カードの能力を見てみよう。

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このカードは下段が3つの蘭に仕切られていて、一番上の蘭には「黄色の数字」が、中央の蘭には「緑色の数字」と十字マークが、一番下にはテキストが書かれている。

一番上の蘭は、このカードをプレイしたときに、無条件で効果を発揮する能力が書かれている。このカードの場合、プレイすればただちに交易ポイント2が得られる。最初のデッキにある Scout では交易ポイント1しか得られないことを考えれば、このカードのほうが Scout より強力だということが分かる。

二番目の蘭は、左に十字マークがあって、中央に緑色の数字がある。緑色の数字は「権威ポイント」を意味していて、HP を数字だけ増やすことができる。ただし、この能力は無条件では効果を発揮しない。カードの左上に十字のマークのある別のカードが場にある時だけ効果を発揮する。このカード単体をプレイしただけでは、二番目の蘭の能力は使えない。

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一方で、たとえば手札に Federation Shuttles が 2 枚あったとしよう。1枚目の Federation Shuttles をプレイしたときは、場には他のカードがないので、一番上の蘭の「2交易ポイントを得る」の能力だけが発揮される。

この直後に、手札からもう一枚の Federation Shuttles を出すと、2枚目のカードの「2交易ポイントを得る」の能力が発揮されると同時に、場にすでに出ているカードと、今出したカードの両方の二番目の蘭の能力「4HPを得る」が使えるようになる。この能力を使うことで、合計 4 の交易ポイントを得て、HP を 8 増やすことができる。

ちなみに、この状態でさらに3枚目の Federation Shuttles を出した場合、3枚目のカードの陣営能力は使えるけど、すでに使ってしまった2枚のカードの陣営能力は使えない。陣営能力は「他のカードが場に出ていたら、そのターンに1回だけ使える」能力であって、他のカードが出るたびに使えるわけではない。いわゆる、誘発型能力というのとは違う。

この左にマークのある能力は、陣営能力(Ally Ability)と呼ばれる。いわゆる「シナジー」とか「コンボ」とか呼ばれるギミックが、あらかじめカードの能力として用意されているとも言える。このメカニズムがあるため、同じ陣営のカードを購入することで、より有利にゲームを進められるようになる。ちなみに、Base Set には「陣営」が 4 種類ある。

Federation Shuttles の一番下の蘭は、いわゆるフレーバーテキストと呼ばれるもので、ゲームには直接関係はないが、ゲームの雰囲気を盛りあげる文言が書かれている。カードによっては、このフレーバーテキストがなく、蘭が2つしかないものもある。

なお、カードによっては能力がテキストで書かれているものや、使用する能力を選択するもの、複数の能力を同時に使えるものもある。

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たとえば、この Patrol Mech というカードの一番上の蘭には 3 or 5 と書かれている。このカードをプレイするときは、「3交易ポイントを得る」か「5攻撃ポイントを得る」のいずれかを選ぶ。

Patrol Mech の二段目の陣営マーク付きの能力は、テキストで書かれている。この能力は「自分の手札か捨札から1枚を、廃棄してもよい」と書かれている。「廃棄(Scrap)」というのは、カードを捨札に置くのではなく、交易デッキの隣りの廃棄物置き場(Scrap Pile)という場所におく。ここに置かれたカードは捨札とは異なり、二度とデッキには戻らない

この「カードを廃棄する」という能力は、デッキに強力なカードが増えてきたときに、最初から入っている Scout や Viper などの「弱い」カードが手札に来ないように、デッキから取り除くために使われる。その他にも、シナジーを起こしやすくするために、自分の集めたい陣営のカード以外を取り除くために使ったりもする。

なお、カードによっては「廃棄する」ことで能力を発揮するものもある。これを廃棄能力(Scrap Ability)と言う。

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たとえば、この Explorer というカードは、普通にプレイすると2交易ポイントが得られる。プレイしたあとで、さらにカードを「廃棄」すると、追加で「2攻撃ポイント」を得ることもできる。

ちなみに、この Explorer というカードの廃棄能力を使った場合だけは、カードを廃棄場に置くのではなく「交易所」の Explorer が積んである束に表向きに置く。Explorer カードは、交易所に最初から10枚置かれているカードで、ここにカードが残っている限り、いつでも購入することができる特殊な宇宙船カードである。

基地カード

カードには、縦向きのカードと横向きのカードがある。縦向きのカードは「宇宙船カード」で、手札からプレイしたら、そのターンだけ能力を使うことができる。一方で横向きの「基地カード」は、手札から場に出してプレイすると、ターンが終わってもそのままずっと場に残り続ける。そして、自分のターンになる毎に、基地カードに書かれた能力を繰り返し使うことができる。

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基地カードも、宇宙船カードと同じように「交易所」から購入する。購入された基地カードは、やはり自分の捨札になる。

手札に基地カードがあるときは、それを場に出すことでプレイできる。プレイするときに、コストなどを支払う必要はない。プレイした基地カードは、横向きにして自分の場に置く。場に出した基地カードの能力は、すぐに使うことができる。もちろん、陣営能力(Ally Ability) も使える。

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たとえば、この Blob Wheel という基地カードは、出した直後に上の蘭の「1攻撃力を得る」という能力を使える。さらに、このカードを廃棄することで、下の蘭の「3交易ポイントを得る」能力を使うこともできる。

基地カードにも「陣営」があり、陣営能力をもつカードもある。

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たとえば、この Space Station という基地カードは、「2攻撃力を得る」という陣営能力をもっている。この能力は、このカードと他の同じ黄色陣営のカードが同時に自分の場に出ているとき、任意のタイミングで使うことができる。基地カードは場にずっと出したまにできるので、同じ陣営の基地カードが2枚あれば、毎ターン陣営能力を使えることになるため非常に強力である。

そして、基地カードには宇宙船カードにはない「耐久力」というパラメータがある。これは右下の盾マークの中に書かれた数字で表される。攻撃ポイントを消費することで、相手の基地カードを攻撃することができる。1ターン中に与えたダメージが耐久力以上になったら、基地カードは捨札にされる。つまり、耐久力を超えた攻撃をすることで、基地カードを場から除去することができる。ただし、あくまで捨札になるだけなので、いずれデッキに戻って再び場に出てくることにはなる。

「耐久力」の盾のマークの上に、Outpost と書かれたカードがある。Outpost カードが相手の場に出ていると、Outpost 以外の基地カードを攻撃したり、捨札にすることができず、また相手を攻撃することもできない。つまり、Outpost カードは相手からの攻撃を防ぐ「盾」として使えるわけだ。

カードの能力を使うタイミング

このゲームでは、カードの能力を使うタイミングがかなり重要なので、ここに纏めておく。

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宇宙船カードは、プレイしたときに一番上の蘭の能力 (Primary Ability) が発揮される。そのため、一番上の能力を使うときは「能力を使いたいタイミングで」プレイする必要がある。

基地カードの一番上の蘭に書かれた能力 (Primary Ability) は、自分のターンであればいつでも使うことができる。またカードの陣営能力は、条件さえ満たしていれば、自分のターンで中の任意のタイミングで使うことができる。

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たとえば、上の基地カード Space Station が自分の場にあるときに、他の基地カード War World を出したとする。その後はどのタイミングでも、いずれのカードの陣営能力も使うことができる。

場に出されたカードの廃棄能力は、自分のターン中に好きなタイミングで使うことができる。カードの他の蘭に書かれた能力を全て使ったあとで、廃棄能力を使ってもよい。

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同じ蘭に二つ以上の能力が書かれている場合、それらの能力は必ず「同時に」使わなければならない。たとえば、上の Supply Bot というカードは、交易ポイント 2 を得ると同時に「手札か捨札の束から1枚を廃棄してもよい」という能力を持っている。このカードを交易ポイントを得る目的で場に出したときは、場に出したときに2番目のカード廃棄する能力を使うかどうかを、その時点で選択しなければならない。

カードを引く能力と併用したときなどに、これが問題になることがある。たとえば、このカードを使った時点では手札に廃棄していいカードがなくて、その能力を使わなかったとする。そのあとに別のカードの能力で手札を引いたとき「あ、このカードいらないから廃棄するね〜☆」みたいなことをしたくなるけど、それはダメということ。一方で、カードを引く能力を使った後でこのカードをプレイしたのであれば、引いたカードを廃棄することはできる。


というわけで、カードの一般的な能力については、だいたいこれでおしまい。あとはプレイ例について少し説明して、基本的なプレイの戦略についてと、カードの能力についての細かいところについて補足する予定。

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まさかの時のボードゲーム: Star Realms (1) ゲームの概要

Star Realms は、宇宙船カードや基地カードを使って相手を攻撃し、相手の権威ポイント(HPみたいなもの)をゼロにすれば勝利となる、対戦型のカードゲームである。

それぞれのプレイヤーは自分のデッキを持つが、MTG のような TCG と違って、デッキの内容は予め決められている。8 枚の Scout という宇宙船カード(黄色の丸に1と書かれたカード)と、2 枚の Viper と書かれた宇宙船カード(赤色の丸に1と書かれたカード)の、合計10枚のカードで最初のデッキを作る。

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この10枚のカードをシャッフルして山札とし、先手は3枚、後手は5枚のカードを引いて、最初の手札にする。

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準備が終わった状態はこんな感じ。中央の「交易デッキ」とか「交易所」については後述する。

相手への攻撃

Viper カードに書かれた「赤色の数字」は「攻撃ポイント」を表していて、そのカードを場に出す(プレイする)ことで、書かれた数字だけの「攻撃ポイント」を得ることができる。

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上のように、今の手札に1枚の Viper カードがあるとする。これを手札から出してプレイすると、「1攻撃ポイント」を得ることができる。この攻撃ポイント1を使うと、相手に 1 ダメージ与えて HP を 1 減らすことができる。なお、カードのプレイにコストの支払いなどは必要ない。ただ、手札から場に出すだけでプレイできる。

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プレイヤーの HP (権威ポイント)はこのようにカードで表されていて、最初は 50 ポイントある。1 ダメージうけたら 1 と書かれたカードを 1 枚減らす。こうして、相手の HP が 0 以下になったら自分の勝利となり、自分の HP が 0 以下になったら敗北になる。

ちなみに、1ポイントのカードは裏が5ポイントになっており、10ポイントのカードは裏が20ポイントになっているので、必要に応じてひっくりかえして使う。もちろん、このカードを使わずに、自前のライフカンターを使って HP を表示してもいい。

カードの購入

一方で、Scout カードに書かれた「黄色の数字」は、「交易ポイント」を表している。交易ポイントは、中央の「交易所」に置かれた 6 枚のカードを購入するために使う。

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この「交易所」の6枚のカードは、あらかじめ80枚のカードで「交易デッキ」を作ってシャッフルしておき、その上から5枚めくったものに、Explorer という宇宙船のカードを加えた 6 枚で構成されている。

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それぞれのカードの右上には「値段」が書かれていて、値段と同じだけの「交易ポイント」があれば、そのカードを購入することができる。

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たとえば、今手札に 2 枚の Scout カードがあるとする。これを2枚のカードを場にだしてプレイすることで、2交易ポイントが得られる。この交易ポイントを使うことで、値段が2以下のカードを買うことができる。

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今、交易所にあるカードで買えるのは、値段が 2 の Explorer(一番左) と Cutter (左から2番目)、値段が 1 の Federation Shuttles (右から2番目) がある。ここでは Federation Shuttles を買ってみよう。

まず、手札から Scout カードを1枚出して、交易ポイント 1 を得る。そして、この Federation Shuttles を捨札置き場に置く。このように、購入したカードは、手札ではなく自分の捨札置き場に置く

そして、交易所の空いた場所には、交易デッキの一番上からカードをめくって補充する。この補充は、空きができたら即座に実行する。この状態で、まだ交易ポイントが残っていれば、さにカードを購入できる。

ただし、今は手札に Scout カードが1枚残っているけど、交易所には値段が1以下のカードがないので、これ以上カードの購入はできない。購入も攻撃もできなくなったら、プレイした宇宙船カードと手札すべてを捨札にする

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プレイした宇宙船カードを捨札にするだけでなく、手札もすべて捨札にするというところが、最初は間違いやすい。

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そして、デッキから5枚引いて次の手札にする。これで、自分のターンは終わりになる。ちなみに3枚だけ引くのは、最初のターンの先手番のプレイヤーだけで、それ以降のターンや後手番のプレイヤーは5枚引く。

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さて、デッキからカードを引くときに、デッキのカードが足りないことがある。たとえば、上のような状態で5枚の手札を引こうとしたとき、今デッキに2枚しかカードがないので、デッキからは手札は2枚しか引けない。このようなときは、捨札をシャッフして新たなデッキとし、そこから残りの手札を引く。つまり、購入して捨札となったカードは、いずれ自分のデッキのカードとして使えるようになるわけだ。もちろん、プレイして捨札になったカードも、いずれ再び利用できるようになる。

この、カードを購入してデッキを強化していく(デッキ育成)という要素が、このゲームの大きなポイントになっている。


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