まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (14) プレイ例の解説 -ターン25〜27-

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現在の状況は以下の通り。コーポレーションには遠隔サーバが 3 つあり、ひとつ目のサーバには 4 つのアイスが付いている。R&D サーバにはアイスがひとつ、HQ にはふたつアイスが付いている。

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ランナー側は、プログラム列にはアイスブレイカーとして汎用の《クリプシス/Crypsi》 (強度を +1 する 《個人的調整/The Personal Touch》 付き) とバリアー用の《バタリング・ラム/Battering Ram》、コードゲート用の《ゴルディアン・ブレード/Gordian Blade》 がある。アイスブレイカー以外のプログラムとしては、ネットダメージを軽減する 《ネット・シールド/Net Shield》、1クリックを2クレジットに変換する 《マグヌム・オプス/Magnum Opus》 がある。

ハードウェア列には、メモリーユニットを 1 増やす 《アカマツ・メモリーチップ/Akamatsu Mem Chip》 と、メモリーユニットとリンク値をそれぞれ 2 増加させつつ、アイスブレイカーの能力起動にのみに使える 2 クレジットを毎ターン供給できる《ザ・ツールボックス/The Tool Box》が出ている。

リソース列には、使用回数 6 回までの制限つきで 1 クリックを 2 クレジットに変換する 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》、ターン開始時にカード1枚を 3 クレジットに変換する 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》、およびリンク値を 1 増やす 《グローバルセックへのアクセス/Access to Globalsec》 がある。

ターン25: コーポレーション

まず 2 枚の 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 から 2 クレジットを得て、 1 枚ドローした。

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次に、遠隔サーバ 1 にカードをインストールした。このとき、アップグレードの《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》はそのままに、2 枚目のカードをインストールした。

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続けて、インストールしたカードをアドバンスした。

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最後に 《ヘッジファンド/Hedge Fund》 を使ってクレジットを 4 つ増やした。

この結果、コーポレーションのクレジットは 14、手札は 5 枚となった。

ターン26: ランナー

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ランナーは先にインストールした《グローバルセックへのアクセス/Access to Globalsec》を、予定通り《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》の能力でトラッシュし、3 クレジットを得た。

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次の 3 つのクリックを、ドローと《マグヌム・オプス/Magnum Opus》 から 4 クレジットを獲得するために費した。これで、ランナーの手札は 2 枚、クレジットは 13 となった。

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ランナーは、ここで遠隔サーバ 1 へのランを宣言した。

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コーポレーションは、先にインストールしたばかりの 1 枚目のアイスを 1 クレジットでレゾした。これは《エニグマ/Enigma》というコードゲートタイプのアイスで、レゾコストは 3、強度は 2 で二つのサブルーチンを持っている。レゾコストは、例によって《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》の効果で -2 されている。サブルーチンのひとつめは「ランナーは可能なら 1 クリックを失なう」という効果をもち、二つ目は「ランを終了する」ことができる。

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ランナーは、ひとつ目のサブルーチンは起動しても実質的に被害を受けない(クリックをすでに持っていない)ので、ブレイクしないことにした。二つ目のサブルーチンは、ブレイクしなければランが終了するので、1 クレジット使用し 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》の能力でブレイクした。

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次のアイスは、最初からレゾされている 《チャム/Chum》 である。ランナーは 《ザ・ツールボックス/The Toolbox》 から得た 2 クレジットと 1 クレジットを払って 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》 の強度を 2 上げつつ、サブルーチンをブレイクした。

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三つ目のアイスについても、裏向きではあるが先程のランで 《セル・ポータル/Cell Portal》 だと判明している。コーポレーションが 3 クレジット払ってレゾしてきたのに対し、ランナーは 3 クレジット支払って 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》 の強度を 3 つ上げつつサブルーチンをブレイクした。すでに前のアイスの時にこのアイスブレイカーの強度を+2しているので、ここでさらに+3することで+5となっている。ただし、この強度の上昇が同じランの間は継続する能力は 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》 特有のものである。他のアイスブレイカーの多くは、アイスに遭遇するたびに強度がリセットされる。

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最後のアイスにランナーが遭遇したとき、コーポレーションは 6 クレジットを支払ってレゾしてきた。レゾされたのは《ウォール・オブ・ソーンズ/Wall of Thorns》というアイスで、種類は Barrier、強度は 5、レゾコストは 8 であり、二つのサブルーチンをもっている。ひとつ目のサブルーチンは「2 ネットダメージを与える」能力を持っており、二つ目の能力は「ランを終了させる」である。

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これに対し、ランナーは初めて 《バタリング・ラム/Battering Ram》 の能力を使用して、ブレイクを試みることにした。まず 2 クレジットでアイスブレイカーの強度を 5 とし、次に 2 クレジット支払って Barrier タイプの 2 つのサブルーチンをブレイクする能力を使った。ちょうど《ウォール・オブ・ソーンズ/Wall of Thorns》はサブルーチンをふたつもっており、一度の能力の使用で両方のサブルーチンをブレイクすることができた。

こうして、ついにランナーは遠隔サーバ 1 のカードにアクセスすることに成功した。これだけ守りを固めた上に、アドバンスされている裏向きのカードは計画書カードに違いない・・・と思った瞬間、コーポレーションはカードをレゾしてきた。

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なんと、めくったのは資材カードの《ジューンバグ計画/Project Junebug》だった。そして、コーポレーションはただちに 1 クレジット支払って、このカードの能力「ランナーがこのカードにアクセスしたとき、1 クレジット支払うことでこのカードの上にあるアドバンストークンの数 x 2 のネットダメージを与える」という能力を起動した。

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《ジューンバグ計画/Project Junebug》の上にはアドバンストークンがひとつあるので、ランナーは手札を二枚とも失なうことになった。《ネット・シールド/Net Shield》でダメージを軽減することも可能ではあったが、ランナーの手元には残り 1 クレジットしかなかった。このクレジットを温存するためダメージの軽減を見送り、ネットダメージを受けることにした。

ランナーは直後に《ジューンバグ計画/Project Junebug》にアクセスし、コスト 0 でこのカードをトラッシュした。続いて《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》にアクセスするが、こちらのトラッシュコスト 3 を支払うことができないので、残念ながらこのカードはそのまま残すことにした。

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こうして激闘のランは終了し、ランナーは手札 0、クレジット 1 という状態でコーポレーションのターンを迎えることとなった。

ターン27: コーポレーション

コーポレーションは、すでに定番となっている資材カード 2 枚から 2 クレジットを得て、手持ちのクレジットを 6 とし、ドローによって手札を 4 枚とした。

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コーポレーションは 1 クリックを支払って、おもむろに 2 クレジット支払ってオペレーションカードの《電磁精神汚染/Neural EMP》を使用した。このカードは「前のターンにランナーがランしていれば、ランナーに1ネットダメージを与える」という能力を持っている。今、ランナーの手札は空なので、この状態でダメージを受けるとランナーは「フラットライン」状態となり、敗北してしまう。

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ランナーはただちに 1 クレジット使用して《ネット・シールド/Net Shield》の能力を使い、ダメージを軽減した。このカードの妨害能力は、自分のターンでなくても使用することができる。もし使えなければ、今のタイミングで負けていた。

ランナーがほっとしたのも束の間、コーポレーションはさらに 1 クリック使用して・・・2 枚目の《電磁精神汚染/Neural EMP》を使用してきた。

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ランナーはこのダメージを防ぐ方法がない。ランナーには残りクレジットがない上に、仮にあったとしても《ネット・シールド/Net Shield》は「そのターンの最初の1ダメージ」しか防げないので、2 回目のダメージは防ぐことができない。

ただちにランナーは「フラットライン」状態となり、このゲームに敗北した。


ちなみに、前のターンでダメージを受けるときに 《ネット・シールド/Net Shield》 を使っていたとしても、次のターンではクレジットがひとつもないので、2 枚の《電磁精神汚染/Neural EMP》を使われたら、負けてしまうことには変わりがない。

このプレイ例では、ルールの説明のためにランナー側がやや強引にランしているけど、実際にはクレジットを十分集めてからランすれば、比較的楽にアイスを突破してサーバにアクセスできるはず。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (13) プレイ例の解説 -ターン18〜24-

ターン開始直前のランナー陣営の状態を示しておく。

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プログラムのリグ(場)には、バリアーテイプのサブルーチンをブレイクできる、アイスブレイカーの 《バタリング・ラム/Battering Ram》 と、種類を問わずブレイク可能な 《クリプシス/Crypsis》 が出ている。また、アイスブレイカーではないプログラムとして、1 ネットダメージを妨害できる 《ネット・シールド/Net Shield》 が出ている。

ハードウェアのリグ(場)は、メモリユニットを 1 増やす 《アカマツ・メモリーチップAkamatsu Mem Chip》 が出ている。この効果で、ランナーのメモリユニットは 5 となっている。現状のプログラムのメモリコストの合計は 4 なので、あと 1 のメモリユニットを使用することができる。

リソースのリグ(場)には、場のカード1枚を捨てて 3 クレジットを得ることができるユニークカードの 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 と、6 回までの制限つきながら 1 クリックで 2 クレジット得られる 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 があり、後者のカード上には 6 クレジットが残っている。

以上のような状態で、ランナーのターンを開始する。

ターン18: ランナー

最初の 1 クリックで 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 から 2 クレジット取った。

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次の 1 クリックで《個人的調整/The Personal Touch》というハードウェアをインストールすることにした。このカードはこれまでにインストールしたカードと違って、他のアイスブレイカーの上にしかインストールできないという制約がある。今回は、このカードを 《クリプシス/Crypsis》 の上にインストールした。これにより、 《クリプシス/Crypsis》 は強度が 0 から 1 になった。

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3 クリック目は、今強化した 《クリプシス/Crypsis》 にウィルスカウンターを 1 つ載せた。

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そして 4 クリック目は、アイス 4 枚に守られる強固な遠隔サーバ 1 に対してランを宣言した。

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コーポレーションは、1 枚目のアイスをレゾした。これは 《データ・マイン/Data Mine》というアイスだ。レゾコストは 0 なので、クレジットを払うことなくレゾできる。アイスの種類は Trap であり、強度は 2、ランナーに 1 ネットダメージを与えるサブルーチンをもっている。

これに対して、ランナーはブレイクしないことを選択したため、コーポレーションは 1 ネットダメージを受けるサブルーチンを起動させた。しかし、ここでランナーは 1 クレジット使用して、《ネット・シールド/Net Shield》の能力でダメージを防ぎ、ダメージを無かったことにした。

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このゲームは、他の対戦型カードゲームのような「スタック」に相当する概念がなく、あらゆるカードの能力は基本的に「即座に解決される」という原則がある。ただし例外があり、「妨害する (Prevent)」と書かれた能力については、妨害の対象となる能力が使用されたときに限り、その能力を妨害する形で起動することができる。《ネット・シールド/Net Shield》の場合は、そのターンの最初のネットダメージを妨害することができると書かれているので、そのタイミングでのみ起動することができるわけだ。(昔の Magic the Gathering にあった「インタラプト」に近い)

さて、こうして《データ・マイン/Data Mine》のサブルーチンの効果を無効化し、ランナーは 1 つ目のアイスを突破することに成功した。コーポレーションは 《データ・マイン/Data Mine》 のサブルーチンの効果を適用し、このカードをトラッシュした。ランナーはランを継続することとした。

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二つ目のアイスについて、コーポレーションはレゾしてきた。これは 《チャム/Chum》 というアイスで、種類はコードゲート、強度は 4、レゾコストは 1 である。「次に遭遇するアイスの強度を +2 し、そのアイスを突破できなかったときは 3 ネットダメージを与える」という、これまでとは少し違うサブルーチンを持っている。このアイス単独では防御能力はなく、これよりサーバ側にアイスが無い場合(1つ目のアイスであるとき)は、サブルーチンをブレイクせずとも事実上突破されてしまう。しかし、2枚目以降にこれが設置されていると、なかなかやっかいである。状況によっては、サブルーチンでランを終了させることはできないけど、ランナーに自発的にジャックアウト(ランを終了させること)を迫ることができる。

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ランナーは考慮した後、《クリプシス/Crypsis》 でサブルーチンをブレイクすることにした。まず 3 クレジット払ってアイスブレイカーの強度を 4 とし(《個人的調整/The Personal Touch》によって基本の強度が 1 に上がっているため)、次に 1 クレジット払ってブレイクする能力を使用した。

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これでサブルーチンのブレイクに成功し、《クリプシス/Crypsis》からウィルスカウンターをひとつ除去した。

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そして、ランナーはランを継続し、三つ目のアイスに挑むことにした。ここで、突如コーポレーションは遠隔サーバのカードをレゾしてきた。サーバのカードは 《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》という「強化」カードだった。このカードは、インストールされているサーバに付けられているアイスのレゾコストを -2 するという効果を持っている。

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強化カードはどのサーバにもインストールできるカードで、サーバを何らかの形で強化する能力をもっているものが多い。資材カードや計画書カードと異なり、強化カードはサーバごとに何枚でもインストールできる点と、HQ や R&D、アーカイブサーバにインストールすることができるという点で大きく異なっている。また、遠隔サーバにインストールされるときは、資材カードや計画書カードなどと区別して置く必要がない。そのため、ランナーからは強化カードがインストールされていても、資材カードや計画書カードとは(裏向きの状態では)区別がつかない。今回のようにレゾしてみたら資材カードも計画書カードもなくて、強化カードだったということもありえる。もちろん、他の計画書などのカードがインストールされている状態で、追加で強化カードを同じサーバにインストールすることもできる。

ただし、他のプログラムがインストールされてないのに、強化だけされてるという状態は、現実世界のサーバ管理では違和感があるけど、そのあたりは気にしないということで・・・

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次にコーポレーション、三つ目のアイスを 3 クレジット使ってレゾしてきた。《セル・ポータル/Cell Portal》というアイスで、種類はコードゲート、レゾコストは 5 であるが 《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》 の効果でレゾコストが -2 されているので、3 クレジットでレゾできる。

このアイス、強度は 7 と高い上に「ランナーは(このアイスに遭遇した後に)このサーバの最も外側のアイスに遭遇する」というやっかいなサブルーチンを持っている。このサブルーチンをブレイクできなければ、再び 《チャム/Chum》 から遭遇しなおしになる(《データ・マイン/Data Mine》はトラッシュされたので存在していないので遭遇しない)わけだ。サブルーチンの起動後は《セル・ポータル/Cell Portal》自体はデレゾ(裏向きに)されるので、次にこのアイスに遭遇したときは、コーポレーションは再度レゾのためのクレジット支払う必要があるものの、コストが払える限りは(そして、サブルーチンをブレイクできない限りは)永遠にサーバに辿りつけないことを意味する。

ここでランナーは、サーバが強化カードの《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》であることを見て、ランを継続する意味がないと判断した。そこで、サブルーチンはブレイクせず、ジャックアウト(ランを終了)することにした。サブルーチン自体は起動されるので、ランナーは再び《チャム/Chum》に遭遇することになるわけだけど、この遭遇前にジャックアウトしたということになる。一方でコーポレーション側は、《セル・ポータル/Cell Portal》のサブルーチンを起動したので、このカードをデレゾ(裏向きに)した。

これで、ランナーはこのターンを終了した。

ターン19: コーポレーション

コーポレーションはターン開始前に 2 クレジット消費して、遠隔サーバ 3 をレゾした。サーバのカードは、サーバ 2 と同じく 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 で、コーポレーションは合計で 2 クレジット得た。

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1枚ドローしたあとは、3 クリックを消費して 3 クレジット得てターンを終了した。コーポレーホン側も、先のランの攻防でかなりのクレジットを消費したため、しばらくはクレジットの回復に努めることになりそうだ。

ターン20: ランナー

コーポレーション側の守りが固いので、ランナー側も当分は自陣の強化に専念することにした。

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このターンは、ドロー、クレジットの取得、《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 からの 2 クレジット取得をし、最後の1クリックで《確実なギャンブル/Sure Gamble》というイベントカードを使用して、クジットを実質的に 4 つ増やした。

ターン21: コーポレーション

まずターン開始時に、2 枚の 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 から合計 2 クレジットを得た。ドローフェイズのドローのあと、1 クリックを使ってさらに 1 枚引いた。

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その後、1 クリックと 3 クレジットを消費して遠隔サーバ 1 にアイスをインストールした。さきほどのランで 《データ・マイン/Data Mine》 をトラッシュしたので、遠隔サーバ 1 のアイスは 3 枚になっていたが、これでまたアイスが 4 枚になった。

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最後の 1 クリックと 1 クレジットを消費して、HQ サーバに 2 枚目のアイスをインストールした。

コーポレーション側の守りは、着々と固くなりつつある。ランナーとしては防御体制が完成する前に、何とか攻略したいところだ。

ターン22: ランナー

ターンの始めに 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 の能力を使用して 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》 をトラッシュし、3 クレジットを得た。

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次にイベントカードの 《ディーゼル/Diesel》 を使用して手札を 3 枚引いた。(実質的には、手札は 2 枚増えたことになる)

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そして、イベントカードの《改良済み/Modded》を使用し、5 クレジット使用してハードウェアの 《ザ・ツールボックス/The Toolbox》をインストールした。このカードのコストは 9 だけど、《改良済み/Modded》 の効果でコストが -3 され、さらに ID カードの効果でコストが -1 されているため、5 クレジットでインストールできる。

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《ザ・ツールボックス/The Toolbox》は高いコストに見合う強力なカードで、メモリーユニット +2、リンク値 +2 に加え、毎ターン繰り返し使える 2 クレジットを供給する能力をもっている。このカードからクレジットを得るときは、クリックを消費する必要がない。その一方で、このカードから得たクレジットは、アイスブレイカーの能力を起動するときにだけ使用することができる。

ただ、このカードはユニークカードであり、リグには一枚しか出せない。しかもこのカードは「コンソール」という種類のカードであり、他のコンソールカードと同時にはリグに出せないという、大きな制約を持っている。

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3 つ目のクリックでは、5 クレジット使って 《マグヌム・オプス/Magnum Opus》というプログラムをインストールした。このカードは、回数の制限なく 1 クリックを 2 クレジットに変換するという、かなり強力な能力を持っている。その代わり、インストールコストは 5、メモリーコストも 2 といずれも高く設定されている。現在のランナーのメモリーユニットは、先の 《ザ・ツールボックス/The Toolbox》 のインストールで 7 まで増えたため(かつ現時点でのメモリーコストの合計は 4 であるため)、このカードをインストールすることができる。

最後のクリックは、 《マグヌム・オプス/Magnum Opus》 から 2 クレジット得るために使用した。ランナー側の陣営もかなり強化されてきたようだ。

ターン23: コーポレーション

コーポレーションは、2 枚の 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 から 2 クレジットを得て 1 枚ドローしたあとは、3 クリックをすべてクレジットの取得に費した。

このゲームでは、重要なリソースであるクレジットを手番を消費して獲得しなければならないため、このようにクレジットの獲得だけにターンを費すことも少なくない。

ターン24: ランナー

一方でランナーは、手札も自動的には補充されず、なおかつ手札は残りライフと等しい価値をもつので、ドローにクリックを費すことが自然と多くなる。

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このターンも、ランナーは 2 クリックをドローに消費した。3 クリック目はコスト 0 で《グローバルセックへのアクセス/Access to Globalsec》というリソースをインストールした。このカードはリンク強度を 1 増加させる効果がある。直接的には、コーポレーション側からの「トレース」への対策になるカードだ。しかし今回の狙いはそこにはなく、低コストで場のカードを増やして 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》 の「餌」を作ることが目的のようだ。

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最後に、対コードゲートのアイスブレイカーである 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Blade》を 4 クレジット使用してインストールした。場に出ているアイスにコードゲートタイプが多いようので、このアイスブレイカーのインストールは、コーポレーション側にとっては脅威であろう。

互いの陣営が整ってきており、決戦の時が近づいてきているようだ。


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MTG カード与太話: 戦乱のゼンディカーより「空乗りのエルフ」「淀みの種父」


空乗りのエルフ/Skyrider Elf

マナコストに X が含まれながら、X についてのテキストがないという珍しいカード。とはいえ、例によって長い MTG の歴史の中にはいろんなカードがあるもので、同種のカードはこれ以前にも《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》というカードがある。爆薬のほうのコストは (X) だったので、好きなマナの色の組合せで唱えることができた。対してこちらは(青)(緑)までは固定になったので、自由なマナの組合せでは出せなくなった。そのかわり、最低でも 2 マナ 2/2 飛行では出る。どちらかといえば、3 マナで烈日持ちの《太陽に触れたマイア/Suntouched Myr》に似ているか。

X=0 で出すと、コストも能力も《ガイアの空の民/Gaea’s Skyfolk》とまったく同じになる。これだと、コストパフォーマンス的にはそう悪くはない。異なる色マナ 3 つで 3/3 飛行だと、(青)(緑)(白)の《戦争のアスラ、ジェナーラ/Jenara, Asura of War》がかなり近い。ただし、ジェナーラは自力で +1/+1 カウンターを増やす能力を持っているので、少し負けている。色の組合せが少し違うけど、3 マナ 3/3 飛行といえば《カマキリの乗り手/Mantis Rider》がいて、こちらは飛行に加えて警戒、速攻まで持っているので、かなり負けている。4 色以上だと 4 マナ 4/4 飛行とか 5 マナ 5/5 飛行はいくらでもいるので、コストパフォーマンスとしては良くない・・・とまあ、結局は 2 マナか 3 マナで出すのが現実的っぽいけど、何げにエルフであったりとか、状況に応じてサイズ可変で出せるところとかが、何か生かせる気はする。


淀みの種父/Sire of Stagnation

「上陸」のキーワードをもつクリーチャーがたくさんいる「戦乱のゼンディカー」で、自分の戦場に土地が出たときではなく「対戦相手が土地を出したとき」に誘発する、かなり珍しい能力をもつクリーチャー。上陸デッキを狙い撃ちにするだけでなく、上陸に関係なく相手に土地を出すことを躊躇わせることもできる。公式記事にあるように、対戦相手がたくさんいる統率者戦みたいなところでは、確かにかなりの嫌がらせになりそうだ。ただ、6 マナを得た頃にこれを出したとして、どのくらい相手がそのあと土地を出してくるのかがちょっと分からない。うまく刺さるデッキがありそうな気もするけど、青も黒もあまり得意な色ではないので、得意な方々に考察は譲ることにしよう。

本題なんだけど、これは神話レアにしては名前があんまり格好よくない・・・とりあえず、stagnation のほうを「淀み」としたのは、過去の《淀みの霧/Mist of Stagnation》を踏襲したものらしい。このカードも、ロックをかける的な能力をもっていて、雰囲気としては《停滞/Stasis》に似ている。辞書によれば stasis が「流れが停止すること、不活性な状態にあること」というような意味合いなのに対して、stagnation のほうは「空気の淀み、発展が止まること、不景気な状態」という感じで、どちらかというと stagnation のほうが「停滞」という日本語に近い気はする。ただ、先に stasis が出て「停滞」と訳されたので、stagnation のほうは「淀み」という、やや脱力系の別の訳語を当てられたという経緯のようだ(多分)。種父 (sire) のほうも以前に取り上げたけど、意味的には「種馬」というような感じで、そのまま訳すと格好悪い。たぶん「総本山」とか「根源」みたいな雰囲気なんだろうけど、なかなか悩ましいところよね。