MTG カード与太話: 戦乱のゼンディカーより「荒廃した湿原」「板岩の槌」


荒廃した湿原/Blighted Fen

MTG の歴史も 20 年近くなり、基本でない土地の種類も膨大になってきた。だんだんと、新たに使える単語が減ってきているはずなのに、それでも新しい土地の名前を探しだす(考えだす?)開発の苦労は図り知れない。これまで、黒マナだけを出す土地の名称としては、「沼(Swamp)」「沼地(Bog )」「湿地(Marsh)」「墓所(Crypt)」といった地名が多く使われてきた。いかにも黒っぽくて、黒マナが出そうだ。このあたりは分かりやすい。

一方、沼や墓所っぽい名前が入らないときは、代わりに黒を連想する単語が形容詞的に入ることが多い。例えば《漆黒の要塞/Ebon Stronghold》のように黒に直結する単語の他、《Lake of the Dead》のように死を連想するような単語、《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》のような黒に関係する団体や地名などの単語が使われている。

それで、このカードも「湿原」ではあるけど、英語の単語は Fen という新しい単語が使われている。それで、Fen という単語の語源を oxford 辞書で調べてみたところ、これは泥炭地が冠水してできた、弱酸性の湿地を意味する単語だそうだ。湿原は湿原でも、過去に使われている単語の Marsh のほうは、雨季になると低地の草原に水が貯まって冠水してできる一時的な湿地のことだそうで、似ているけど違うものらしい。いずれにしても、沼っぽいものではあるので黒マナは出そうな気はする。「荒廃(Blightend)」のほうも黒っぽいけど、今回のゼンディカーで「荒廃」シリーズとしてそれぞれの種類のマナが出る土地が出てるおり、そっちの単語は黒とは関係がないということらしい。

とまあ、どこまで深く考えられているのかは分からないけど、だんだん地形を表す単語も複雑になってきて、開発する人も翻訳する人も苦労してそうだなー・・・と思いつつ、このカードを取り上げた本当の理由は、今回のゼンディカーの土地でイラストが一番良いと思ったからだったりする。本当にありがとうございました。


板岩の槌/Slab Hammer

上陸の反対のことをすると、装着してるクリーチャーが +2/+2 される装備品。上陸と相性がとても良さそうではあるけど、手札に戻すタイミングが「攻撃するたび」なのが憎い。《ヴァラクートの捕食者/Valakut Predator》あたりにこれを付けてから、土地を手札に戻して +2/+2 したあとに、さらに土地を出して +2/+2 するとかできないようになってる。逆は出来るけど、それだと土地が手札にないときはできないよね・・・このへんのバランスは、例によって開発の絶妙な匙加減ということかな。とりあえず、上陸強化クリーチャーと《そびえる尖頂/Looming Spires》あたりと組ませて、何かデッキを組んでみたい。

ちなみに、槌(Hammer)というと装備品を連想しやすいけど、実際には赤のカード用の単語として使われていることが多いようだ。よく使われたところでは《ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan》とか《火山の鎚/Volcanic Hammer》あたり。絵的に言えば、槌を装備して殴るというよりも、槌そのものを投げつけてダメージを与えるというイメージっぽい。一方で、装備品としては数があまりなく、このカードを除けば《破滅の槌/Hammer of Ruin》と《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》の2枚しかない。MTG の世界では、槌は装備されるより自分で飛んでく(?)ほうが主流らしい。