現在の状況は以下の通り。コーポレーションには遠隔サーバが 3 つあり、ひとつ目のサーバには 4 つのアイスが付いている。R&D サーバにはアイスがひとつ、HQ にはふたつアイスが付いている。
ランナー側は、プログラム列にはアイスブレイカーとして汎用の《クリプシス/Crypsi》 (強度を +1 する 《個人的調整/The Personal Touch》 付き) とバリアー用の《バタリング・ラム/Battering Ram》、コードゲート用の《ゴルディアン・ブレード/Gordian Blade》 がある。アイスブレイカー以外のプログラムとしては、ネットダメージを軽減する 《ネット・シールド/Net Shield》、1クリックを2クレジットに変換する 《マグヌム・オプス/Magnum Opus》 がある。
ハードウェア列には、メモリーユニットを 1 増やす 《アカマツ・メモリーチップ/Akamatsu Mem Chip》 と、メモリーユニットとリンク値をそれぞれ 2 増加させつつ、アイスブレイカーの能力起動にのみに使える 2 クレジットを毎ターン供給できる《ザ・ツールボックス/The Tool Box》が出ている。
リソース列には、使用回数 6 回までの制限つきで 1 クリックを 2 クレジットに変換する 《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》、ターン開始時にカード1枚を 3 クレジットに変換する 《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》、およびリンク値を 1 増やす 《グローバルセックへのアクセス/Access to Globalsec》 がある。
ターン25: コーポレーション
まず 2 枚の 《PADキャンペーン/PAD Campaign》 から 2 クレジットを得て、 1 枚ドローした。
次に、遠隔サーバ 1 にカードをインストールした。このとき、アップグレードの《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》はそのままに、2 枚目のカードをインストールした。
続けて、インストールしたカードをアドバンスした。
最後に 《ヘッジファンド/Hedge Fund》 を使ってクレジットを 4 つ増やした。
この結果、コーポレーションのクレジットは 14、手札は 5 枚となった。
ターン26: ランナー
ランナーは先にインストールした《グローバルセックへのアクセス/Access to Globalsec》を、予定通り《イソップ質店/Aesop’s Pawnshop》の能力でトラッシュし、3 クレジットを得た。
次の 3 つのクリックを、ドローと《マグヌム・オプス/Magnum Opus》 から 4 クレジットを獲得するために費した。これで、ランナーの手札は 2 枚、クレジットは 13 となった。
ランナーは、ここで遠隔サーバ 1 へのランを宣言した。
コーポレーションは、先にインストールしたばかりの 1 枚目のアイスを 1 クレジットでレゾした。これは《エニグマ/Enigma》というコードゲートタイプのアイスで、レゾコストは 3、強度は 2 で二つのサブルーチンを持っている。レゾコストは、例によって《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》の効果で -2 されている。サブルーチンのひとつめは「ランナーは可能なら 1 クリックを失なう」という効果をもち、二つ目は「ランを終了する」ことができる。
ランナーは、ひとつ目のサブルーチンは起動しても実質的に被害を受けない(クリックをすでに持っていない)ので、ブレイクしないことにした。二つ目のサブルーチンは、ブレイクしなければランが終了するので、1 クレジット使用し 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》の能力でブレイクした。
次のアイスは、最初からレゾされている 《チャム/Chum》 である。ランナーは 《ザ・ツールボックス/The Toolbox》 から得た 2 クレジットと 1 クレジットを払って 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》 の強度を 2 上げつつ、サブルーチンをブレイクした。
三つ目のアイスについても、裏向きではあるが先程のランで 《セル・ポータル/Cell Portal》 だと判明している。コーポレーションが 3 クレジット払ってレゾしてきたのに対し、ランナーは 3 クレジット支払って 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》 の強度を 3 つ上げつつサブルーチンをブレイクした。すでに前のアイスの時にこのアイスブレイカーの強度を+2しているので、ここでさらに+3することで+5となっている。ただし、この強度の上昇が同じランの間は継続する能力は 《ゴルディアン・ブレード/Gordian Brade》 特有のものである。他のアイスブレイカーの多くは、アイスに遭遇するたびに強度がリセットされる。
最後のアイスにランナーが遭遇したとき、コーポレーションは 6 クレジットを支払ってレゾしてきた。レゾされたのは《ウォール・オブ・ソーンズ/Wall of Thorns》というアイスで、種類は Barrier、強度は 5、レゾコストは 8 であり、二つのサブルーチンをもっている。ひとつ目のサブルーチンは「2 ネットダメージを与える」能力を持っており、二つ目の能力は「ランを終了させる」である。
これに対し、ランナーは初めて 《バタリング・ラム/Battering Ram》 の能力を使用して、ブレイクを試みることにした。まず 2 クレジットでアイスブレイカーの強度を 5 とし、次に 2 クレジット支払って Barrier タイプの 2 つのサブルーチンをブレイクする能力を使った。ちょうど《ウォール・オブ・ソーンズ/Wall of Thorns》はサブルーチンをふたつもっており、一度の能力の使用で両方のサブルーチンをブレイクすることができた。
こうして、ついにランナーは遠隔サーバ 1 のカードにアクセスすることに成功した。これだけ守りを固めた上に、アドバンスされている裏向きのカードは計画書カードに違いない・・・と思った瞬間、コーポレーションはカードをレゾしてきた。
なんと、めくったのは資材カードの《ジューンバグ計画/Project Junebug》だった。そして、コーポレーションはただちに 1 クレジット支払って、このカードの能力「ランナーがこのカードにアクセスしたとき、1 クレジット支払うことでこのカードの上にあるアドバンストークンの数 x 2 のネットダメージを与える」という能力を起動した。
今 《ジューンバグ計画/Project Junebug》の上にはアドバンストークンがひとつあるので、ランナーは手札を二枚とも失なうことになった。《ネット・シールド/Net Shield》でダメージを軽減することも可能ではあったが、ランナーの手元には残り 1 クレジットしかなかった。このクレジットを温存するためダメージの軽減を見送り、ネットダメージを受けることにした。
ランナーは直後に《ジューンバグ計画/Project Junebug》にアクセスし、コスト 0 でこのカードをトラッシュした。続いて《アキタロー・ワタナベ/Akitaro Watanabe》にアクセスするが、こちらのトラッシュコスト 3 を支払うことができないので、残念ながらこのカードはそのまま残すことにした。
こうして激闘のランは終了し、ランナーは手札 0、クレジット 1 という状態でコーポレーションのターンを迎えることとなった。
ターン27: コーポレーション
コーポレーションは、すでに定番となっている資材カード 2 枚から 2 クレジットを得て、手持ちのクレジットを 6 とし、ドローによって手札を 4 枚とした。
コーポレーションは 1 クリックを支払って、おもむろに 2 クレジット支払ってオペレーションカードの《電磁精神汚染/Neural EMP》を使用した。このカードは「前のターンにランナーがランしていれば、ランナーに1ネットダメージを与える」という能力を持っている。今、ランナーの手札は空なので、この状態でダメージを受けるとランナーは「フラットライン」状態となり、敗北してしまう。
ランナーはただちに 1 クレジット使用して《ネット・シールド/Net Shield》の能力を使い、ダメージを軽減した。このカードの妨害能力は、自分のターンでなくても使用することができる。もし使えなければ、今のタイミングで負けていた。
ランナーがほっとしたのも束の間、コーポレーションはさらに 1 クリック使用して・・・2 枚目の《電磁精神汚染/Neural EMP》を使用してきた。
ランナーはこのダメージを防ぐ方法がない。ランナーには残りクレジットがない上に、仮にあったとしても《ネット・シールド/Net Shield》は「そのターンの最初の1ダメージ」しか防げないので、2 回目のダメージは防ぐことができない。
ただちにランナーは「フラットライン」状態となり、このゲームに敗北した。
ちなみに、前のターンでダメージを受けるときに 《ネット・シールド/Net Shield》 を使っていたとしても、次のターンではクレジットがひとつもないので、2 枚の《電磁精神汚染/Neural EMP》を使われたら、負けてしまうことには変わりがない。
このプレイ例では、ルールの説明のためにランナー側がやや強引にランしているけど、実際にはクレジットを十分集めてからランすれば、比較的楽にアイスを突破してサーバにアクセスできるはず。