まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (7) プレイ例の解説 -ターン3/4-

コーポレーションのターン: 3

コーポレーションは、まずドローフェイズで手札を引き、手札を 4 枚にした。アクションフェイズでは、最初の 1 クリックを使い、手札を1枚引いて 5 枚とした。

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次の 2 クリック目では、新たな遠隔サーバを作成することにし、カードを1枚インストールした。遠隔サーバにインストールしたカードは、R&D などと並べて裏向きに置く。カードは裏向きに置かれているので、ランナーからは何のカードがインストールされたか分からない。

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3 クリック目で、先に作成した遠隔サーバを守るアイスをインストールした。

このアイスがなければ、ランナーから易々と遠隔サーバのカードにアクセスを許してしまう。もしカードが計画書なら、ランナーに得点をプレゼントしているようなものだ。それを防ぐために、コーポレーションはアイスをインストールしたのかもしれない。

しかし、遠隔サーバのカードが計画書かどうかは、ランナーからは分からない。もしかすると、コーポレーションが罠の資材カードをインストールしたにも関らず、それをランナーに計画書だと思わせようとして、わざわざアイスで守ってみせたという可能性もある。

こうした、コーポレーションとランナーとの間の「読み合い」みたいなものは、他の TCG ではあまり無い部分で、このゲームの魅力の一つになっていると思う。

という感じで、コーポレーションは自分のターンを終えた。

ランナーのターン: 4

ランナーとしては、コーポレーションがインストールしてきたカードが計画書なら、得点される前に是非とも奪っていきたい。しかし、もしもサーバのカードが罠の資材カードで、ネットダメージを受けるようなことがあれば、手札 1 枚の状態では敗北してしまう可能性が高い。

そこで、このターンはクレジットと手札を貯めておき、次のターンに反撃に転じることとした。

まずは最初の 2 クリックを使って、山札(スタック)から手札を 2 枚得た。特に理由がなければ、アクションとして手札を引くときは、他のアクションよりも先に実行したほうがいいことが多い。なぜなら、先に手札を引くことによってターン開始時より手札が良くなり、そのターンのプレイの幅が広がる可能性があるからだ。

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さて、次に 2 クリック使用して、リソースの《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》の上からクレジットを 4 つ得た。これで手札が 3 枚、クレジットは 8 となり、次のターンの行動に十分備えることができた。そして、クリックを使いきったのでターン終了となった。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (6) プレイ例の解説 -ターン2-

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ターン2: ランナー (イベントカードの使用、カードのインストール、R&Dへのラン)

ランナーにはドローフェイズがないので、いきなりアクションフェイズを実行する。ドローフェイズがない代わりなのかランナーは 4 クリック持っていて、コーポレーションよりも 1 クリック多く使用できる。

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1クリック目は「イベント」カードの 《改良済み/Modded》を使用することにした。このカードのコストは 0 なので、1クリック消費するだけでカードをプレイすることができる。このカードを使うと「プログラム」か「ハードウェア」のカード1枚を、コストを 3 減らしてインストールすることができる。これらのカードをインストールするときは通常はクリックを消費するけど、このカードを使ったときは、追加でクリックを消費することなくインストールできる。

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使用したイベントカードの効果を利用して、プログラムであるアイスブレイカーの《バタリング・ラム/Battering Ram》を、インストールすることにした。通常はインストールのために 1 クレジットをコストとして支払う必要があるが、イベントカードの効果を使用してインストールするので、クリックを消費する必要がない。また、イベントカードの効果によって、インストールコストは 5 クレジットから 3 クレジットに減る。

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これに加えて、ID カードの効果「各ターンの最初にインストールするプログラムかハードゥエアのコストを1減らす」によって、インストールに必要なクレジットは 1 に減少した。こうして、最終的に 1 クレジットだけ払うことで 《バタリング・ラム/Battering Ram》 をインストールできた。インストールしたカードは、自分の場(リグ)に並べておく。

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2クリック目は、イベントカードの 《ディーゼル/Diesel》 を使用して、カードを 3 枚引いた。このカードは、1 クリックを使用しての手札の補充に比べると、ずっと効率がいい。

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3クリック目は「リソース」カードの《アーミテージ式コード破壊/Armitage Codebusting》を 1 クリック支払ってインストールした。インストールしたときに、12 クレジットをこのカードの上に置く。そして、以後は1クリック支払うたびに、このカードの上にある 2 クレジットを得ることができる。

このクレジットを得る能力は、1ターンに使える回数に上限はないので、たとえば 4 クリック消費すれば 8 クレジット得ることもできる。ただし、カードから全部のクレジットが無くなったら、カードをすぐに捨札(ヒープ)に置く。このカードはつまるところ、回数制限がある 1 クリックを 2 クレジットに変換できるカードということだ。

そして、最後の 4 クレジット目は、R&D サーバにランするために使うことにした。

R&D へのラン

以前の記事では、遠隔サーバへのランしか説明しなかったけど、R&D (山札) もサーバのひとつなので、ランナーは R&D に対してランすることができる。R&D へのアクセスに成功した場合、山札の一番上から 1 枚カードを見て、それが「計画書」なら盗むことができる。また、トラッシュコストのあるカードならトラッシュする(捨札にする)ことができる。ただし、山札(R&D) の一番上のカードが何であるかは、コーポレーション側ですら(大抵の場合は)分からないので、何がめくれるかは運次第ということになる。

ちなみに、ジンテキの初期デッキの枚数は 49 枚で「計画書」は 9 枚含まれている。だから、R&D にアクセスできれば、おおむね 1/5 の確率で「計画書」を獲得できる。トラッシュコストのあるカード(「資材」、「強化」)も 18 枚あるので、2/5 くらいの確率でアクセスしたカードを捨札にすることができる。

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ランの開始

ともかく、ランナーは最後のクリックを消費して、R&D へのランを宣言した。R&D にはアイスがあるので、まずはこのアイスについて「遭遇」の処理を行なう。今、このアイスは裏向きになっているので、コーポレーション側が表向きにする(レゾする)操作をしなければ、アイスを突破することができる。

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ここで、コーポレーションはアイスをレゾすることにしたようだ。4 クレジット払って、アイスを表向き(レゾ状態)にしてきた。この《ニューラル・カタナ/Neural Katana》というアイスは「セントリー」という種類のアイスで、強度は 3 であり、「3 ネットダメージを与える」というサブルーチンを持っている。

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これに対して、ランナー側はセントリータイプに対応したアイスブレイカーを場に出していない。そのため、サブルーチンが自動的に実行されてランナーは 3 ネットダメージを受け、手札を 3 枚ランダムに捨てなければならない。

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もし手札が 2 枚以下しかなければ、この時点でランナーは「フラットライン」となり敗北してしまう。先に 《ディーゼル/Diesel》を使って手札を 5 枚にしたので、フラットラインにはならずに済んだものの、序盤に 3 枚捨てさせられるのはなかなか痛い。

ただし、手札は捨てさせられた一方でラン自体は終了させられなかったため、ランナーはこのアイスを通過して R&D にアクセスすることに成功した。

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コーポレーションの山札の一番上のカードを見ると(カードの表はコーポレーションには見せない!)、残念ながら「計画書」のカードではなく、アイスのカードだった。しかも、アイスのカードにはトラッシュコストがないので、捨札にすることもできない。仕方なくランナーはカードを R&D の上に裏向きで戻した。今回のランでは、3 枚ものカードを捨てさせられたにも関らず、たいした収穫は得られなかった。とはいえ、R&D に付けられているアイスがレゾされたため、次にランするときはアイスへの対策をしてから挑むことができる。

こうしてこのゲームの最初のランは終了し、クリックも消費し尽くしたので、ランナーのアクションフェイズも終わりとなった。

ディスカードフェイズでは、手札が 1 枚しかないので特に何もすることがなく、ランナーのターンは終了した。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (5) プレイ例の解説 -ターン1-

以下、実際にルールに沿ってプレイした例を挙げ、プレイ方法やルールについて解説する。今回のプレイ例では、ランナー側からの視点で説明する。

  • コーポレーション: ジンテキ (Core Set初期デッキ)
  • ランナー: シェイパー (Core Set 初期デッキ)

なお、ジンテキ vs シェイパーとしたのは、ルールを説明するために都合がいいという理由なだけで、初心者同士で初プレイするならコーポレーション側はハース=バイオロイドかウェイランド・コンソーシアムを選んだほうがいい。このセットでコーポレーション側がジンテキでプレイすると、まず勝てないと思う。

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上は、コーポレーション側のセッティングが終わった状態を、ランナー側から見たところ。

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こちらは、ランナー(自分)側のセッティングが終わったところ。このゲームは、必ずコーポレーション側が先手と決まっているので、まずはコーポレーション(相手)から手番を始める。

ターン1: コーポレーション (アイスのインストール、「任務」カードの使用)

コーポレーションはドローフェイズがあるので、山札(R&D)から手札を引いて、手札の枚数を 6 枚とした。

次のアクションフェイズでは、3 クリック分のアクションを実行する。まず最初のクリックで、コーポレーションは R&D サーバ(山札)の前にアイスをインストールしてきた。インストールするアイスは裏向きかつ横向きに、サーバの前に置く。

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R&D もサーバなので、ランナーはランすることができる。R&D サーバは最初の時点で無防備であり、この状態でランナーにランされると無条件でサーバにアクセスされてしまう。これを防ぐために、まずは R&D にアイスをインストールしてきた。

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2つ目のクリックでは、同じように HQ サーバ(手札)にアイスをインストールしてきた。手札も同様に、初期状態では無防備でアクセスされ放題なので、守りを固めてきたようだ。ちなみに HQ サーバの本体は「手札」だけど、HQ サーバにアイスをインストールするときは「ID カード」の前に置くことになっている。

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最後の 3 つ目のクリックで、手札から「任務」のカード《ヘッジファンド/Hedge Fund》を使用し、手持ちの 5 クレジットをすべてをコストとして支払い、9 クレジットを得た。 使った「任務」カードは、アーカイブサーバ(捨札)に表向きに置く。

アイスはインストールしても、コストを払って表向き(レゾ状態)にしなければ、ランナーのランを阻むことができない。そのためここではクレジットを蓄えて、ランナーに対していつでもアイスをレゾできる構えを見せた、といったところだろうか。

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いずれにしても、これで 3 クリックすべてを使用したので、コーポレーションはアクションフェイズを終わった。なお、クリックを余らせた状態でこのフェイズを終了することはできない。必ず、余らないように何かにクリックを使用する必要がある。

最後のディスカードフェイズでは、手札が 3 枚で上限の 5枚以下となっているので、特に何もすることはない。これでコーポレーションはターンを終えた。


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