まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (4) セッティングとゲームの進行

セッティング

まず、プレイヤーはコーポレーションとランナーのどちらの陣営をプレイするか選ぶ。

次に、ID カードを選んでデッキを作る。このとき、コーポレーションは裏が青色のカードだけを使い、ランナーは裏が赤色のカードだけを使う。最初に、自分が使う ID カードを選んでデッキを作る。初心者オススメ用のデッキのカードについては、コアセットのルールブックの 5P に書かれている。

コアセットでは、最初のプレイではコーポレーション側は「ジンテキ」、ランナー側は「シェイパー」を選ぶことがオススメされている。ただし、ジンテキはプレイが少々難しいので、最初にプレイするときは、コーポレーション側は H/B か Wayland を選んだほうがいいと思う。

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こちらがコーポレーション(ジンテキ)のセッティングをしたところ。

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こちらがランナー(シェイパー)のセッティングをしたところ。いずれの陣営も、ID カードはデッキに入れずに最初から場に出しておく。

次に各プレイヤーは 5 クレジットを受けとって、ID カードの近くに置いておく。残ったトークンは「トークンバンク」としてプレイエリアに積んでおく。

デッキをシャッフルして、山札として自分の場に置く。コーポレーションはこれが「R&Dサーバ」となり、ランナー側の山札は「スタック」と呼ばれる。山札の横には ID カードを並べておく。コーポレーションは、この ID カードを「HQサーバ」の位置を示すマーカとして使う。

山札の横には、捨札を積む場所をあけておく。コーポレーションは、捨札を置く場所が「アーカイブサーバ」になり、ランナー側の捨札は「ヒープ」と呼ばれる。

それから、各自ともカードを 5 枚引いて最初の手札にする。なお、引いたカードが気にいらないときは「マリガン」(手札を山札に混ぜてシャッフルし、手札を 5 枚引きなおすこと)ができる。このゲームでは、マリガンしても手札は減らないけど、1回しかマリガンはできない。つまり、2回マリガンはできない。

最後に、必要に応じて手順の書かれたカードと、クリックをカウントするためのカードとトークンを置く。クリックのカウントは、サイコロやコインで代用することもできる。コアセットに付いているカードとトークンを使う場合は、下の図のようにトークンを置いておく。

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これはコーポレーション用のクリックカウント用のカード。コーポレーションは 3 クリック使うことができる。

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こちらはランナー用。ランナーは 4 クリック使うことができる。

ゲームの進行

ゲームはターン制で、コーポレーションが最初のターンをプレイし、次にランナーがターンをプレイする。そのあとはコーポレーション、ランナーの順で交互にプレイしていく。

コーポレーションのターン

  • ドローフェイズ
  • 山札から手札を 1 枚引く。もし山札が空なら、コーポレーションは負けとなる。

  • アクションフェイズ
  • 次のアクションを選んで実行できる。ただし、アクションを実行するには「クリック」や「クレジット」といったコストを支払う必要がある。そのかわり、コストが支払える限りはいくつでも、どの順番でもアクションを実行できる。

    1. 1 クリック: 手札の「計画書(Agenda)」「資材(Asset)」「強化(Upgrade)」「アイス」カードのうち、1 枚をインストールする (場に出す)。
    2. 1 クリック+1クレジット: カード1枚を「アドバンス」する (カードにアドバンストークンを1つ置く)。
    3. 1 クリック: 山札 (R&D) からカードを1枚引く。
    4. 1 クリック: 1 クレジットを得る。
    5. 1 クリック: 「任務(Operation)」カードを1枚プレイする。
    6. 1 クリック+2クレジット: ランナーに「タグ」が付いている場合に、ランナーのリグにある (場に出ている) リソースカード1枚を捨札にする。
    7. 3 クリック: 「ウィルスカウンター」をすべて除去する (トークンバンクに戻す)。
    8. カードの能力を使用する。

    上の 1 と 2 は「ルールブックを読む前に」の記事の中でだいたい説明した通りで、実際のプレイでは概ねこの 1,2 と 3 の「カードを引く」、4の「クレジットを得る」、 および 5 の「任務」カードをプレイする」のアクションをメインに使っていくことになる。5-7 については、このあとのプレイ例の記事で説明する。

    「クリック」は、セッティングのところで少し触れたように、コーポレーションの場合は毎ターン 3 つ使うことができる「行動力」のことで、アクションの実行やカードの能力を使用するときに消費する。クリックは、毎ターン必ず全て消費する必要がある。

    「クレジット」は前の記事でも説明したように、最初の時点で 5 つ配られるリソースで、これもアクションの実行やカードの能力の使用時に消費する。こちらは自動的には補充されず、カードの効果を使うか「アクション」で得る必要がある。

  • ディスカードフェイズ
  • 手札が上限の枚数を越えてるときに、上限になるまで手札を捨てる。初期状態では、手札の上限は 5 枚となっている。

だいたいこんな感じ。コーポレーションは、計画ポイントを 7 点得るか、ランナーが手札を捨てるときに、ランナーの手札が空になっていれば勝ちになる。

ランナーのターン

ランナーのターンはドローフェイズがなく、アクションフェイズとディスカードフェイズのみで構成される。

  • アクションフェイズ
  • 次のアクションを選んで実行できる。コーポレーションと同様に、アクションを実行するには「クリック」や「クレジット」を支払う必要がある。そして、コストが支払える限りは何度でも、どの順番でもアクションを実行できる。

    1. 1 クリック: 山札(スタック)からカードを1枚引く。
    2. 1 クリック: 1 クレジットを得る。
    3. 1 クリック: 「ラン」を行う。
    4. 1 クリック: 手札の「プログラム」「リソース」「ハードウェア」を 1 つ場に出す(インストールする)。
    5. 1 クリック: 「イベント」カードを 1 つプレイする。
    6. 1 クリック+2クレジット: 「タグ」を 1 つ取り除く。
    7. カードの能力を使用する。

    1,2 についてはコーポレーションと同じ。ただし、ランナーはドローフェイズがないため、手札を補充するにはクリックを消費して「アクション」としてカードを引く必要がある。この点がコーポレーションと大きく違うところ。

    3 については、先の記事では説明しなかったけど、ランナー「ラン」をするために「クリック」を消費する必要がある。逆に、クリックが払えるなら1ターンに何度でも「ラン」できる。

    1-3 以外の項目については、プレイ例で説明する。

  • ディスカードフェイズ
  • 手札が上限の枚数を越えてるときに、上限になるまで手札を捨てる。初期状態では、コーポレーションと同じく手札の上限は 5 枚となっている。


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まさかの時のボードゲーム: Android Netrunner (3) 「ラン」の攻防

ランナー側のサブルーチンへの対策: アイスブレイカー

コーポレーションのサーバへのアクセスを阻む「アイス」に対して、ランナー側には「アイスブレイカー」という対抗策がある。ランナーは「アイスブレイカー」を使うことで、アイスの「サブルーチン」を突破(ブレイク)して、サーバにアクセスすることができる。「アイスブレイカー」というのは「プログラム」と呼ばれるカードの一種で、自分の手番のうちに場に出しておくことで使うことができる。

「アイスブレイカー」を含む「プログラム」のカードは、場に出すために必要な「コスト」が書かれている。アイスブレイカーは、これに加えて「強度」という値と、サブルーチンを突破(ブレイク)するための能力がテキストで書かれている。

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たとえば左のアイスブレイカーは、コストが 3、強度が 1 で、「1 クレジット払うことで「セントリー」という種類のアイス(のサブルーチン)をブレイク(突破)できる」「2 クレジット払うことで、このターンだけ強度を +1 する」という能力をもっている。このブレイクする能力は、コストさえ払えば何度でも使うことができる。逆に言えば、コストが払えないとアイスブレイカーが場に出ていても能力を使うことができない。

ランの攻防: 「アイス」と「アイスブレイカー」

さて、だんだん複雑になってきたので、このあたりでプレイ例を挙げて「アイス」や「アイスブレイカー」がどのように使われるのかを説明してみよう。ここではゲームの流れを分かりやすくするために、細かいルールは一部省略して説明しているので、実際のプレイはもう少し複雑になる。きちんとしたルールについては、次回以降の記事で説明する。

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さて、今ランナーの場が上のようになっているとする。ランナー側の場には三枚のカードが出ている。いずれも「プログラム」カードではあるけど、左のカードは「アイスブレイカー」ではなく、中央と右の2枚のカードは「アイスブレイカー」である。これらに加えて、クレジットを 5 つもっている。

それぞれの能力は、このようになっている。

  • 左: プログラム (インストールコスト 2, メモリコスト 1)
    • 1クレジット: このターンの最初の 1 ネットダメージを防ぐ。
  • 中: プログラム: アイスブレイカー (インストールコスト 5, メモリコスト 2)
    • 2クレジット: 「バリアー」のサブルーチンを 2 つまでブレイクする。
    • 1クレジット: このランの残りの間、このカードの強度を +1 する。
  • 右: プログラム: アイスブレイカー (インストールコスト 4, メモリコスト 1)
    • 1クレジット: 「コードゲート」のサブルーチンを 1 つブレイクする。
    • 1クレジット: このランの残りの間、このカードの強度を +1 する。

これに対して、コーポレーション側の場は下のようになっているとしよう。

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左から ID カード、山札、遠隔サーバ1、遠隔サーバ2があり、遠隔サーバ1にはアイスが2枚、遠隔サーバ2にはアイスが1枚付けられている。遠隔サーバ1のアイスは、手前側のアイスが表向きで、奥側のアイスは裏向きとなっている。

サーバへの「ラン」

最初の記事で説明したように、ランナーはサーバにアクセスして「計画書」を盗めば得点できる。サーバにアクセスするためには、そのサーバに対して「ラン」(侵入をためす)ことを宣言し、コーポレーションから何も妨害を受けなければ、アクセスに成功したことになる。

今、コーポレーション側には「遠隔サーバ」が2つあり、いずれも「アイス」という防御壁が付いている。そのため、いずれのサーバに対して「ラン」しても、付けられているアイスを突破しなければ、サーバにはアクセスできない。その、アイスを突破するためのカードとして、ランナーの場には「アイスブレイカー」が出している。

さて、ここでランナーは「遠隔サーバ1」に向けてランすることにした。遠隔サーバにはアイスが二枚あるので、サーバにアクセスするためには、2枚のアイスを突破する必要がある。アイスは、ランナーの近くに置いてあるほうから順番に突破していかなければならない。

1 枚目のアイスとのエンカウント(遭遇)

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1枚目のアイスは、最初から表に向いている(レゾされている)ので、コーポレーションは何もしなくても、アイスのサブルーチンが勝手に起動する。このカードのサブルーチンには「ランを終了する」と書かれているので、ランナーが何もしなければ、今回の「ラン」を強制終了されてしまい、サーバへのアクセスは失敗となる。

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そこで、ランナーは自分の場(リグという)に出ている《バタリング・ラム/Battering Ram》というアイスブレイカーの能力を使うことにした。このカードは「強度」が 3 であり、「2クレジット払うことで、バリアータイプのサブルーチンを 2 つまでブレイクする。」という能力を持っている。手持ちのクレジットから 2 つを払い、この能力を起動することにした。

今、ランナーが対峙しているアイスの種類はバリアーであり、強度が 3 (カードの左下に書かれている数字) となっている。アイスの強度がアイスブレイカー以下であり、ブレイクできるアイスの種類が一致しているので、この今使用した能力によってサブルーチンのブレイクに成功した。これでこのアイスは突破できたことになる。

2枚目のアイスとのエンカウント(遭遇)

ランナーは、次に2枚目のアイスの突破を目指す。2枚目のアイスは裏向きなので、このままではサブルーチンは機能しない。コーポレーションが表向きにする(レゾする)操作をしなければ、ランナーはこのアイスを自動的に突破して、サーバに到達することになる。

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ここで、コーポレーションはアイスのレゾコスト (表向きにするコスト)を払って、表に向けることにした。このカードのレゾコストは 4 (カードの左上に書かれた数字) なので、クレジットを 4 枚支払った。ちなみに、ここでレゾコストが支払えなければ表に向けることができず、ランナーに突破を許してしまうことになる。

さて、このアイスはランを終了させるサブルーチンは付いていない。そのため、ランナーはこのサブルーチンはブレイクしなくても、ラン自体は継続できる (アイスの突破はできる)。その代わり「3ネットダメージを与える」というサブルーチンが付いていので、もしランナーがブレイクせずに 3 ネットダメージを受けると、3 枚の手札を捨てなければならない。ランナーの手札が 3 枚未満の状態で 3 ダメージ受けると、ランナーは「手札の枚数を越えるダメージ受けると敗北する」のルールによって敗北することになる。

今、ランナーの場(リグ)には、この「セントリー」という種類のアイスのサブルーチンをブレイクできるアイスブレイカーがない。このため、サブルーチンはブレイクできずに 3 ダメージ受けてしまう。

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そこでランナーは、リグ(自分の場)の一番左にある「プログラム」カードの「妨害(Prevent)」能力を使うことにした。このカードには「1 クレジット: このターンの最初の 1 ネットダメージを防ぐ。」という能力がある。これを使えば、サブルーチンで受けるダメージを 3 から 2 に減らすことができる。このように「プログラム」は、リグにあってコストが払えれば(かつ使用条件が満たされれば)いつでも使うことができるカードである。

なお、「アイスブレイカー」も「プログラム」の一種である。

サーバのカードへのアクセス

この攻防でランナーは手札を 2 枚捨てることにはなったけど、アイスは2枚とも突破したので、遠隔サーバにアクセスすることには成功した。コーポレーションは、アクセスされた裏向きのカードの表側を「開示」しなければならない(開示は、表向きにするのではなく「表を見るだけ」という点に注意)。もし、このカードが「計画書」カードなら、ランナーはカードを奪って得点することになる。

ここで、コーポレーションは突如この遠隔サーバのカードを「表向きにする」(レゾする)ことにした。

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なんと、この遠隔サーバの中身は「計画書」ではなく、罠の「資財」カードだった。このアセットは「ランナーがこのカードにアクセスし、コーポレーションが 1 クレジット払ったならば、このカードの上に載っているアドバンストークン1個につき、ランナーに 2 ネットダメージを与える」という罠能力をもっている。

「資財」カードは裏向きのままでは(「開示する(expose)」のは「表向きにする(レゾする)」のとは違う!)罠が機能しないが、表向きにする(レゾする)ことで罠が機能するようになる。この資材カードのレゾコストは 0 なので、特に何も支払わなくても表向きにできる。そして、1クレジット払うことでランナーのアクセスに対し、反撃することができるというわけだ。

ランナーはこの反撃に対処する方法がなく、あえなく 2 ダメージを受けて手札を 2 枚失なってしまった。もしダメージを受ける前にランナーの手札が1枚しかなければ、手札の枚数を越えるダメージを受けたことになり、ランナーの敗北となる。

サーバのカードのトラッシュ

ここでランナーが生きのこっていれば、このあとに「トラッシュ(trash)」という処理をして、ランを終わることになる。トラッシュというのは、ランナーがアクセスしたサーバのカードに書かれた「トラッシュコスト」(右下のゴミ箱のアイコンに書かれた数字)を払うことで、そのカードを捨札にできるというものだ。

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ランナーはトラッシュすることを選択し、この「資財」カードは捨札の山(アーカイブ)に表向きに捨てられることとなった。

これで、ランナーの「ラン」は終わりになる。


という感じで、この「ラン」という操作がゲームにおける攻防の中心になっている。

ランナーは「計画書」のあるサーバがどれであるかを推測してランを実行し、アイスを突破してサーバにアクセスすることを目指す。一方で、コーポレーションは遠隔サーバを守りながら、ランナーに悟られないように「計画書」をアドバンスして得点を目指しつつ、迂闊にランしてきたランナーにダメージを与えて倒すことを目論む・・・といった感じのゲーム展開になる。

ここまで分かれば、たぶんあとはルールブックを読んでも理解できるんじゃないかなー・・・(希望)。次の記事では、実際のプレイの流れをルールに沿って説明してみる。


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